第八種接近遭遇

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僕の胸においで

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そんなある日、公園でいつも通り、彼の隣に座ってぼーっとしながら彼の横顔を見ていたんだけど、なんか視線を感じたの。でも振り返ってもそこには誰もいない。しばらくしたらその違和感は消えたのだけどまた視線を感じるようになったんだよね。それもだんだん強くなって。そのうち私は恐怖を感じ始めて……彼はそんな私を心配してくれたんだけど……彼の目を見たら、彼があの日の父と重なって、私はまたパニック状態に……。彼はそんな私に大丈夫だよと言って抱きしめてくれて……私はその瞬間、彼に全てを打ち明けることにしたの。そしたら……
『僕なら君のことを救えるのに、どうしてそんな嘘をつくの?』と私に言うの。私が驚いているとその人は『実は僕は君のストーカーなんだ。本当は今日も君の後をつけていて、さっき偶然会えてとても嬉しかったよ。さあ、僕の胸においで。君の苦しみを取り除いてあげよう。』
「もう大丈夫だよ。」って言ったのはね。
「助けに来てくれるのを待っていてもいいですか?」
「ああ、もちろんだとも。君さえよければこれから毎日会いに来るよ。」……っていうやり取りがあって、次の日から私の元に現れてはいろいろなことをしてくれたんだよね。でもそのせいで彼は学校で浮いた存在になってしまったの。いじめられるようになったって言っていたわ。私はどうしようって思った。私のせいで彼の人生をめちゃくちゃにしたんじゃないかって思って泣いちゃったの。「泣くことはない。君は悪くない。悪いのはあいつだ。」
「もうやめて、私はあなたの人生を滅茶苦茶にしてしまったの。もうやめましょう。もうこれ以上はやめて。」
「いいややめない。もうすぐ終わる。もうすぐ解放される。」
「やめて、やめて、やめて!!」
「もう遅い。」
「いやああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」……気がついたら私は自分の部屋に戻ってベッドに寝転んでいた。私は涙が出そうになった。もう限界だった。私はすぐに警察に電話した。「すみません、今、変な男に後をつけられています。」「それは大変ですね。わかりました。では、お気をつけください。」
私は彼に電話した。彼は出なかった。
「もしもし、あなたが私のストーカーさんですか? あなたのおかげで助かりました。ありがとうございます。でも、私、あなたとはお付き合いできません。」私は、彼の電話を切った。
それから数日後、彼は行方不明になった。
私が彼のことを通報したからだと思う。
でも後悔はしていない。
彼は私のことを本当に愛してくれていたから。
そして、私が彼の人生を壊したから。
私が彼の幸せを奪ったから。
でも、彼は私を愛してくれてた。
その証拠に、彼が私を刺したナイフは私の血ではなく、彼自身の血が付いていたの。
そして、そのナイフは今でも私の部屋に飾られているの。
これが私の体験した不思議な話。
私、今、すごく幸せなんだ。
「あなたは1億人に1人の奇跡的な出会いをしたんだね」
彼女はそう言い残してどこかへ行ってしまった。
その後、彼女は私の前に現れることはなかった。
しかし、彼女と出会ってからの日々は決して忘れることはできないだろう。
なぜならば、彼女は私に生きる希望を与えてくれたのだから……。完
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