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ブレーメン降下作戦〜『辛辣の蜃気楼』 consicive mirage
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■ ブレーメン降下作戦~『辛辣の蜃気楼』consicive mirage
自然の摂理とは人間の思惑を超越した織物であるから、ブレーメンの大気を戦闘純文学者たちが航空機運用可能に調整したところで、どこかに無理が生じる。岩塊の公転速度が速いがゆえに、機体に余計な荷重が加わる。コリオリの力というやつだ。王国の要撃機は旋回半径を多めに取らざるを得ない。
「シーラス1、頭の黒い蠅を焼き払え。ぐずぐずするな」
ブレーメン上空をCAP中の王国軍機に旗艦シア・フレイアスターから檄が飛ぶ。
「ええい! ちょこまかと。CL2,3、シックス(後方)から回り込め」
量子リンクを通じてシーラス隊のHUDに敵の位置情報がプロットされるが、機の速度が追い付かない。
「こちら、ビーフボウル。CLリーダー聞こえるか? mic(天使)をroll(離陸)させる。vulch(誤射)するなよ!」
空母ワロップからメイドサーバントが飛翔する。
「CL3、あたしとロッテ(編隊)を組め、CL2は4とだ」
「cc(了解)」
シーラス航空隊は機首を邂逅点に向ける。
「CL2、r60に可愛いコちゃんがいるぞ」
「こっちもクールな子、d2に見つけたわよ。エンゲージ!」
チート能力者を満載した兵員輸送機が二機、護衛が計八機。こちらの防空網を突破して地上をめざしている。
「CVのダンサーどもにシーラス流の踊りを見せてやれ。全機in(攻撃開始)」
CLリーダーは量子レーダーで輸送機の進路上にmic隊を確認すると、高度差を運動量に変えて、一気に攻め込む。CL2、CL4組も複葉可変翼を一つにまとめ、デルタ翼機と化す。
「CL4、こないだみたいに弾を捨ててブルってんじゃねーぞ」
「NOP(大丈夫)ちゃんと、シックスにいますよ」
要撃機シーラスの武装は高価な量子共鳴ホーミングミサイル三発と重素粒子機銃。手数は多くない。
敵護衛機隊は輸送機を中心とした輪形陣を解き、第一警戒航行序列、すなわちリーダーを頂点にV字編隊へ移行した。輪形陣では、ミサイル攻撃に弱いことを学習したらしい。
「T&Bを仕掛ける!」「「RGR(了解)」」
シーラスリーダーの掛け声と同時に各機はFCS(火器管制装置)のロックを解除し、機体を反転させた。
敵編隊の真正面へナイフを突き立てるように襲い掛かる。
CL各機は機体をわざと敵の射線上に乗せ、正面衝突するようにミサイルを放つ。
敵パイロットは慌てたり、侮ったり、十人十色の表情で応戦する。
この時点で勝敗が決した。いくら反射神経や筋力をチートで補おうと、メンタル面まで強化はできない。相応の人生経験が必要なのだ。
対するシーラス隊は外見はあどけない女子にみえるが、肝の据わったベテラン勢だ。
CL各機は機体をいったん沈め、機体をひねりつつ一気に上昇する。その間、敵機を観測しつづけねばならない。戦闘純文学兵器の弱点でもある。
敵もミサイル発射後、あわてて急上昇、回避行動に移った。さきほど降下したシーラスに一瞬、気を取られたため、ミサイルは外れてしまった。
「もらった!」 シーラスリーダーが嬌声をあげる。
腹を見せた護衛戦闘機めがけて、シーラスが蹴り上げるようにミサイルを誘導する。
ぽつねんと取り残された輸送機の周囲に八つの火球が輝く。
「敵護衛機オールクリアー。mic、舞踏会を楽しんでね」 CL隊は残り福を屠りに来た天使に投げキスする。
輸送機内ではチート能力者たちが阿鼻叫喚していた。
「予言、外れてんじゃん」
「どーすんだよ、これ」
流石に揺れ動く男のチキンハートを読むのはベテラン占い師でも無理だ。
メイドサーバント達は、輸送機の尾翼を狙った。崩壊した機体から生身の男たちが躍り出る。
いくらチートしたところで、薄い大気内で人間が羽ばたくことはできない。
ブレーメンの空に血の雨が降った。
■ 降下部隊旗艦 強襲揚陸艦ミラージュ
戦闘指揮所は大敗を喫したにも関わらず、静かだった。
「なるほどな。やはり航空戦力頼みか」
顎髭の男は机上のマップを睨んでうなづいた。
「しかし、何も二十七世紀のご時世に硫黄島攻めを再現せんでも宜しいのでは?」
揶揄する副官に仰山は言い放った。
「真似ているのはライブシップをまともに運用できん女どもだ。置物かなにかと勘違いしとる」
航空戦艦で立体的な防空網を築くなら、重層的に艦載機を運用してこそ意味がある。
もっとも、アバスの頭のネジが一本足りなかったせいか、ワロップ級には致命的な設計ミスがあった。
空母の主力装備は艦載機であって、個艦防空能力などオマケ程度だ。丸腰になった母艦を守るミサイル巡洋艦や、ガチの殴り合いを担う駆逐艦が不可欠だ。
グレイスたち、オーランティアカ級航空戦艦は駆逐艦や巡洋艦をちゃんと艦載している。量産型ワロップではそれらが省略されている。
こんな島嶼防衛線では、砲台と滑走路がわり以外に使い道がなかった。
「ミートグラインダー(ひき肉器)どもは艦砲射撃と空爆で殲滅する」
仰山の発案で精鋭が招集された。ブレーメンの地表に鎮座する敵艦めがけて、モーダルシフターを砲弾がわりに叩き込む。
弾頭部には防御系のチート能力者で固め、徹甲弾と化す。別働隊として、欺瞞系のスキルを持つ者に爆撃機を護衛させ、上空援護する。
《辛辣の蜃気楼作戦》が発動した。
自然の摂理とは人間の思惑を超越した織物であるから、ブレーメンの大気を戦闘純文学者たちが航空機運用可能に調整したところで、どこかに無理が生じる。岩塊の公転速度が速いがゆえに、機体に余計な荷重が加わる。コリオリの力というやつだ。王国の要撃機は旋回半径を多めに取らざるを得ない。
「シーラス1、頭の黒い蠅を焼き払え。ぐずぐずするな」
ブレーメン上空をCAP中の王国軍機に旗艦シア・フレイアスターから檄が飛ぶ。
「ええい! ちょこまかと。CL2,3、シックス(後方)から回り込め」
量子リンクを通じてシーラス隊のHUDに敵の位置情報がプロットされるが、機の速度が追い付かない。
「こちら、ビーフボウル。CLリーダー聞こえるか? mic(天使)をroll(離陸)させる。vulch(誤射)するなよ!」
空母ワロップからメイドサーバントが飛翔する。
「CL3、あたしとロッテ(編隊)を組め、CL2は4とだ」
「cc(了解)」
シーラス航空隊は機首を邂逅点に向ける。
「CL2、r60に可愛いコちゃんがいるぞ」
「こっちもクールな子、d2に見つけたわよ。エンゲージ!」
チート能力者を満載した兵員輸送機が二機、護衛が計八機。こちらの防空網を突破して地上をめざしている。
「CVのダンサーどもにシーラス流の踊りを見せてやれ。全機in(攻撃開始)」
CLリーダーは量子レーダーで輸送機の進路上にmic隊を確認すると、高度差を運動量に変えて、一気に攻め込む。CL2、CL4組も複葉可変翼を一つにまとめ、デルタ翼機と化す。
「CL4、こないだみたいに弾を捨ててブルってんじゃねーぞ」
「NOP(大丈夫)ちゃんと、シックスにいますよ」
要撃機シーラスの武装は高価な量子共鳴ホーミングミサイル三発と重素粒子機銃。手数は多くない。
敵護衛機隊は輸送機を中心とした輪形陣を解き、第一警戒航行序列、すなわちリーダーを頂点にV字編隊へ移行した。輪形陣では、ミサイル攻撃に弱いことを学習したらしい。
「T&Bを仕掛ける!」「「RGR(了解)」」
シーラスリーダーの掛け声と同時に各機はFCS(火器管制装置)のロックを解除し、機体を反転させた。
敵編隊の真正面へナイフを突き立てるように襲い掛かる。
CL各機は機体をわざと敵の射線上に乗せ、正面衝突するようにミサイルを放つ。
敵パイロットは慌てたり、侮ったり、十人十色の表情で応戦する。
この時点で勝敗が決した。いくら反射神経や筋力をチートで補おうと、メンタル面まで強化はできない。相応の人生経験が必要なのだ。
対するシーラス隊は外見はあどけない女子にみえるが、肝の据わったベテラン勢だ。
CL各機は機体をいったん沈め、機体をひねりつつ一気に上昇する。その間、敵機を観測しつづけねばならない。戦闘純文学兵器の弱点でもある。
敵もミサイル発射後、あわてて急上昇、回避行動に移った。さきほど降下したシーラスに一瞬、気を取られたため、ミサイルは外れてしまった。
「もらった!」 シーラスリーダーが嬌声をあげる。
腹を見せた護衛戦闘機めがけて、シーラスが蹴り上げるようにミサイルを誘導する。
ぽつねんと取り残された輸送機の周囲に八つの火球が輝く。
「敵護衛機オールクリアー。mic、舞踏会を楽しんでね」 CL隊は残り福を屠りに来た天使に投げキスする。
輸送機内ではチート能力者たちが阿鼻叫喚していた。
「予言、外れてんじゃん」
「どーすんだよ、これ」
流石に揺れ動く男のチキンハートを読むのはベテラン占い師でも無理だ。
メイドサーバント達は、輸送機の尾翼を狙った。崩壊した機体から生身の男たちが躍り出る。
いくらチートしたところで、薄い大気内で人間が羽ばたくことはできない。
ブレーメンの空に血の雨が降った。
■ 降下部隊旗艦 強襲揚陸艦ミラージュ
戦闘指揮所は大敗を喫したにも関わらず、静かだった。
「なるほどな。やはり航空戦力頼みか」
顎髭の男は机上のマップを睨んでうなづいた。
「しかし、何も二十七世紀のご時世に硫黄島攻めを再現せんでも宜しいのでは?」
揶揄する副官に仰山は言い放った。
「真似ているのはライブシップをまともに運用できん女どもだ。置物かなにかと勘違いしとる」
航空戦艦で立体的な防空網を築くなら、重層的に艦載機を運用してこそ意味がある。
もっとも、アバスの頭のネジが一本足りなかったせいか、ワロップ級には致命的な設計ミスがあった。
空母の主力装備は艦載機であって、個艦防空能力などオマケ程度だ。丸腰になった母艦を守るミサイル巡洋艦や、ガチの殴り合いを担う駆逐艦が不可欠だ。
グレイスたち、オーランティアカ級航空戦艦は駆逐艦や巡洋艦をちゃんと艦載している。量産型ワロップではそれらが省略されている。
こんな島嶼防衛線では、砲台と滑走路がわり以外に使い道がなかった。
「ミートグラインダー(ひき肉器)どもは艦砲射撃と空爆で殲滅する」
仰山の発案で精鋭が招集された。ブレーメンの地表に鎮座する敵艦めがけて、モーダルシフターを砲弾がわりに叩き込む。
弾頭部には防御系のチート能力者で固め、徹甲弾と化す。別働隊として、欺瞞系のスキルを持つ者に爆撃機を護衛させ、上空援護する。
《辛辣の蜃気楼作戦》が発動した。
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