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第二章 : 夜のしじまのカーテンコール
新しい御入居者と初対面
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街路樹の樫の木の葉が萌黄色に色づき、光風が心地よく感じられる季節となった。
今日、五月一日は、PotostarのYUーMA(ユウマ)さんの入居日だ。
YUーMA(ユウマ)さんは、本名:佐々木 悠馬(ささき ゆうま) 年齢:25歳
職業:会社員。
……ん? YU-MA(ユウマ)さんってモデルじゃないの?
疑問を持ちながらも書類の最終確認を終え、エントランス周りの清掃を始める。
既に今日は、石川様と長谷川様は外出中で、建物内にいるのは私と片桐さんだけだ。
YU-MA(ユウマ)こと佐々木様は11時位にこちらに到着予定で、ルミエールで昼食を摂りたいとの連絡があった。
片桐さんはお迎え用のランチという事で、今頃、準備に取り掛かっているところだろう。
「環ちゃ~ん。おはよう!」
いつもより少し濃い目のメイクで、高揚感を具現化したような馥郁とした香水の香りを纏い叔母さんがやって来た。
分かりやすい所が、年上ながら可愛らしくも感じる。
「おはようございます」
「いよいよね~。楽しみだわ~」
御本人より叔母さんの方が入居を楽しみにしていそうだ。
「そう言えば、YU-MA(ユウマ)さんてご職業、会社員なんですか?」
「そうなのよ。Photoupは仕事の一環で本業はアパレルメーカーのプレスさんなのよ」
「えっ!そうだったんですか。てっきりモデルさんかと」
「広報業務の一部としてPhotoupやファッション雑誌でも活動しているみたいね」
「なるほど……」
そんな話を二人でしていると、門の前で足を止め、ルミエールを見上げる男性が一人……
――YU-MA(ユウマ)こと佐々木 悠馬さんだ。
エントランスの時計が午前11時を指そうかという頃、片桐さんも昼食の用意を終え、挨拶の為にエントランスに来てくれた。
「いらっしゃいませ。ようこそルミエールへ。コンシェルジュの翠川 環と申します」
「……どうも」
佐々木様は、幾分、面倒臭そうに、顎先だけを軽く突き出すように会釈をする。
「オーナーの翠川 明子と申します。こちらは、料理人の片桐です」
「片桐 宏樹と申します。宜しくお願い致します」
二人にも同様に、顔を少しだけ見て会釈で挨拶を終えた。
片桐さんは昼食の用意があるので、すぐに食堂へ戻って行った。
「じゃあ、お疲れでしょうし、運び込むお荷物も、まだ届かないと思いますので、先に昼食でも如何ですか」
「おー、はい。是非是非」
さっきとは打って変わり、『昼食』という言葉を聞くや否や、急に柔和な表情になった。
少し安心し、私は叔母さんと二人、食堂へと佐々木様をご案内する。
食堂へ一歩足を踏み入れると、これから振舞われる料理の物と思われるいい匂いが漂っている。
この匂いを嗅いだだけでも、一流の料理が出てくるのだろうと私だったら期待してしまう。
「ふーん。誰も他にいないんですね。俺の貸し切りだ」
……綺麗な顔立ちに反して、言葉使いは割と男性っぽい。
「はい。今日は他の入居者様は、お二人とも外出されていらっしゃるので」
「なるほど」
Photoupで見るクールな雰囲気とは大分違っていて、なんだか拍子抜けしてしまう。
椅子を引いて佐々木様を席に着かせると、丁度良いタイミングで片桐さんがお料理をサーブしにやって来る。
本日のランチはコース形式で、前菜、スープ、お肉料理、デザート、紅茶となっている。
今日、五月一日は、PotostarのYUーMA(ユウマ)さんの入居日だ。
YUーMA(ユウマ)さんは、本名:佐々木 悠馬(ささき ゆうま) 年齢:25歳
職業:会社員。
……ん? YU-MA(ユウマ)さんってモデルじゃないの?
疑問を持ちながらも書類の最終確認を終え、エントランス周りの清掃を始める。
既に今日は、石川様と長谷川様は外出中で、建物内にいるのは私と片桐さんだけだ。
YU-MA(ユウマ)こと佐々木様は11時位にこちらに到着予定で、ルミエールで昼食を摂りたいとの連絡があった。
片桐さんはお迎え用のランチという事で、今頃、準備に取り掛かっているところだろう。
「環ちゃ~ん。おはよう!」
いつもより少し濃い目のメイクで、高揚感を具現化したような馥郁とした香水の香りを纏い叔母さんがやって来た。
分かりやすい所が、年上ながら可愛らしくも感じる。
「おはようございます」
「いよいよね~。楽しみだわ~」
御本人より叔母さんの方が入居を楽しみにしていそうだ。
「そう言えば、YU-MA(ユウマ)さんてご職業、会社員なんですか?」
「そうなのよ。Photoupは仕事の一環で本業はアパレルメーカーのプレスさんなのよ」
「えっ!そうだったんですか。てっきりモデルさんかと」
「広報業務の一部としてPhotoupやファッション雑誌でも活動しているみたいね」
「なるほど……」
そんな話を二人でしていると、門の前で足を止め、ルミエールを見上げる男性が一人……
――YU-MA(ユウマ)こと佐々木 悠馬さんだ。
エントランスの時計が午前11時を指そうかという頃、片桐さんも昼食の用意を終え、挨拶の為にエントランスに来てくれた。
「いらっしゃいませ。ようこそルミエールへ。コンシェルジュの翠川 環と申します」
「……どうも」
佐々木様は、幾分、面倒臭そうに、顎先だけを軽く突き出すように会釈をする。
「オーナーの翠川 明子と申します。こちらは、料理人の片桐です」
「片桐 宏樹と申します。宜しくお願い致します」
二人にも同様に、顔を少しだけ見て会釈で挨拶を終えた。
片桐さんは昼食の用意があるので、すぐに食堂へ戻って行った。
「じゃあ、お疲れでしょうし、運び込むお荷物も、まだ届かないと思いますので、先に昼食でも如何ですか」
「おー、はい。是非是非」
さっきとは打って変わり、『昼食』という言葉を聞くや否や、急に柔和な表情になった。
少し安心し、私は叔母さんと二人、食堂へと佐々木様をご案内する。
食堂へ一歩足を踏み入れると、これから振舞われる料理の物と思われるいい匂いが漂っている。
この匂いを嗅いだだけでも、一流の料理が出てくるのだろうと私だったら期待してしまう。
「ふーん。誰も他にいないんですね。俺の貸し切りだ」
……綺麗な顔立ちに反して、言葉使いは割と男性っぽい。
「はい。今日は他の入居者様は、お二人とも外出されていらっしゃるので」
「なるほど」
Photoupで見るクールな雰囲気とは大分違っていて、なんだか拍子抜けしてしまう。
椅子を引いて佐々木様を席に着かせると、丁度良いタイミングで片桐さんがお料理をサーブしにやって来る。
本日のランチはコース形式で、前菜、スープ、お肉料理、デザート、紅茶となっている。
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