夢じゃなかった！？

マジェストーラ国立魔法学院 編入

水の都セルリアン～祝福祭りin水上公園30

「やはりネコ同士察するものがあったようだな。よし、行ってみよう。」

「はい。水稀が頼りだからよろしくね。」

(ノワール探し、これはこれで何だか楽しくなりそう。)


水稀が示した方角は、エルシオンの予想通り光属性への道中で木々が増えていく。



「シオンさん。ノワールにしてみれば、急に屋敷から連れ出されて、騒がしい場所にいるのが嫌になっていなくなったんでしょうか。ゆっくりお昼寝もできないし。」

「あのネコノワールならオーナーがきちんと説明したことを理解した上で来ていそうだが。」

「う～ん、そうですよね。こちらの話してることもきちんとわかってそうだし、途中で投げ出したりしないと思うけど何かあったんですかね。」

姿を隠したままの水稀の先導せんどうで、無の祝福場へ通じる道から徐々に外れ、木々の多い方へ向かう。


ピチチチチ…


小鳥のさえずりが聴こえ、木々が密集するその場所は人気もなく一度水稀を呼ぶことにした。

「水稀、ここなら人気もないから一度出てきて。」

“はいにゃん。”

「ノワールはこの辺りにいそうかい？」


“何となくにゃんとにゃく、こっちから気配がしたにゃん。もう少し近づけたらきっとノワールが気づくはずにゃ。”

「気づく？何に？」

水稀の言に首を傾げるアーヤ。

「なるほど。」

「水稀に気づくとかですか？ネコ仲間だから。」

「それも在るかもしれないが、水稀が言いたいのはアーヤのことだよ。」

「私？」

“姫ひいさまの魔力にきっと気づいたらノワールから来ると思うにゃ。”

「じゃあ、呼びながらもう少し先まで行ってみる？」

“水稀も呼ぶにゃ。にゃ～お！にゃ～！姫ひいさまが探してるにゃ、ノワールー！”

「ノワールどこ～？」


……ザッ　　　ザザッ……　　

…シュッ


“気づいたにゃ！”

「ああ、近づいて来る。」


「え？何も見えないけど…。」


ザザッ　　シュッ　　ザッ


水稀とエルシオンの耳には確かにノワールがこちらに向かい飛び走る音が聞こえていた。

「ん～？」

アーヤは視界を見渡しノワールの姿を探してみるも見つからないまま目を凝らす。

ニャー……


「えっ？！上から？」

アーヤの耳にも聞こえた鳴き声は、なんと頭上の木から届いたのである。

「いた、あそこだ。」

“ノワールにゃ。”