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エスリアール王城 出会い
群青と真紅の瞳2
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「ここ、静かて綺麗なお庭だね。花も木も噴水も手入れされてる。こんなに素敵な場所にベンチもあるし、座ったらなかなか立てなくなりそう。」
二人並んで、座る。
「しばらくお世話になるんだね。お城にいるなんて夢みたい。」
クス
「私も夢?」
お兄ちゃんの頬を軽くムニッと摘まんで睨む。
「そんなわけないでしょう。ほっぺもっと痛くする?」
「夢じゃないようだ。ごめんごめん。」
「月が冴えて空気も清々しいね。」
月の光 静寂 もてなし 緊張 居場所
明日への期待 好奇の目 不安…色々考えてしまうけど、なるようになる。やるしかない。
あの好きなアニメの主人公も異世界では人に騙されながらも、自分の生き方を見つめ直して弱い自分を受け入れてから初めて強くなり、本当の優しさや仲間を信じるようになっていった。私も誰かの為に優しいだけじゃなく、力になれるように心も強くありたい。
記憶から甦る。月にちなんであのサウンドが流れ出す。歌詞はないけれどメロディーだけ歌で奏でたい。
「お兄ちゃん、前に言ってた結界ここでもできる?少しだけ短いのだから歌いたくなったの。お願い。」
「いいよ。アーヤの頼みだ、喜んで。」
この城に自分以上の魔力は今のところアーヤ以外感じないし、血族にも結界を張ったとして、私と同等の魔力持ちでない限り気づかれないだろう。
何よりアーヤの願いは叶えてやりたい。
「…結界を展開した。いいよ。歌って。」
「ありがとう、お兄ちゃん。」
私は、頭に浮かぶメロディーを歌詞がない代わりにラで歌った。
ラララーラー ラーラー ラララーラーラー
ラララーラー ラーラー ラーラララーラー
………♪
歌いながら今の気持ちを込める
切ないような、寂しいような、静かな夜に思いは未来へ向けられる
銀色の月の光を浴びて明日また一歩踏み出そう
焦らなくていい、私も誰かのために強くありたい
優しい光よどうか見守っていて、光を受ける全ての者に安らぐ月光で包み込んで…
その歌がまさか、エルシオン以外の誰かに聞こえていたなんて考えもしない綾子であった。
いきなりの「帰城せよ」という王命が学院に下された。学院側は緊急事態として講師達から手続きもしておくからとにかく早く行くようにと追い出された。
急ぐのはわかるが、仮にもエスリアール国、王子である僕に対してその扱いはどうなんだ?留学して半年、一体城で何が起きている?
早馬に魔法も使い、最速で風のように駆け抜ける。凡人にはこんな魔法は真似できないレベルだが、僕は王族の中でめも魔力量が特に多く、濃密に練ることもできる為、この程度は容易かった。
母国の城門を抜け、馬を預けてから国王のいる私室に向かう。
「国王陛下、僕です。ルヴァニレットが只今帰城しました。入ってもよろしいですか?」
「入れ。」
「父上、急ぎ戻れとは一体何があったのですか!?」
「そのことだがな、まあ、座れ。」
「先日、私の妹ルピナスの嫁ぎ先の村で吉兆と共に迷客が現れ、神託により我が国を出国してヒトの国で魔法全般を学ぶよう告げられたのだ。」
「叔母上の村に迷客がっ?!」
「既にこの城にエルシオン・デュカーレお前の従兄弟殿と滞在している。どうやらエルシオンが迷客を発見し、保護したようだ。そして、そのまま保護者よろしくついていくらしい。」
「夕げを共にする予定だ。お前も同席して留学先の事など色々教えて差し上げろ。幼いながら淑女としての教養を感じる不思議な女性だぞ。」
「夕げまでは一先ず休め。急がせてすまなかったな、ルヴィ。」
「状況は理解しました。失礼致します。」
二人並んで、座る。
「しばらくお世話になるんだね。お城にいるなんて夢みたい。」
クス
「私も夢?」
お兄ちゃんの頬を軽くムニッと摘まんで睨む。
「そんなわけないでしょう。ほっぺもっと痛くする?」
「夢じゃないようだ。ごめんごめん。」
「月が冴えて空気も清々しいね。」
月の光 静寂 もてなし 緊張 居場所
明日への期待 好奇の目 不安…色々考えてしまうけど、なるようになる。やるしかない。
あの好きなアニメの主人公も異世界では人に騙されながらも、自分の生き方を見つめ直して弱い自分を受け入れてから初めて強くなり、本当の優しさや仲間を信じるようになっていった。私も誰かの為に優しいだけじゃなく、力になれるように心も強くありたい。
記憶から甦る。月にちなんであのサウンドが流れ出す。歌詞はないけれどメロディーだけ歌で奏でたい。
「お兄ちゃん、前に言ってた結界ここでもできる?少しだけ短いのだから歌いたくなったの。お願い。」
「いいよ。アーヤの頼みだ、喜んで。」
この城に自分以上の魔力は今のところアーヤ以外感じないし、血族にも結界を張ったとして、私と同等の魔力持ちでない限り気づかれないだろう。
何よりアーヤの願いは叶えてやりたい。
「…結界を展開した。いいよ。歌って。」
「ありがとう、お兄ちゃん。」
私は、頭に浮かぶメロディーを歌詞がない代わりにラで歌った。
ラララーラー ラーラー ラララーラーラー
ラララーラー ラーラー ラーラララーラー
………♪
歌いながら今の気持ちを込める
切ないような、寂しいような、静かな夜に思いは未来へ向けられる
銀色の月の光を浴びて明日また一歩踏み出そう
焦らなくていい、私も誰かのために強くありたい
優しい光よどうか見守っていて、光を受ける全ての者に安らぐ月光で包み込んで…
その歌がまさか、エルシオン以外の誰かに聞こえていたなんて考えもしない綾子であった。
いきなりの「帰城せよ」という王命が学院に下された。学院側は緊急事態として講師達から手続きもしておくからとにかく早く行くようにと追い出された。
急ぐのはわかるが、仮にもエスリアール国、王子である僕に対してその扱いはどうなんだ?留学して半年、一体城で何が起きている?
早馬に魔法も使い、最速で風のように駆け抜ける。凡人にはこんな魔法は真似できないレベルだが、僕は王族の中でめも魔力量が特に多く、濃密に練ることもできる為、この程度は容易かった。
母国の城門を抜け、馬を預けてから国王のいる私室に向かう。
「国王陛下、僕です。ルヴァニレットが只今帰城しました。入ってもよろしいですか?」
「入れ。」
「父上、急ぎ戻れとは一体何があったのですか!?」
「そのことだがな、まあ、座れ。」
「先日、私の妹ルピナスの嫁ぎ先の村で吉兆と共に迷客が現れ、神託により我が国を出国してヒトの国で魔法全般を学ぶよう告げられたのだ。」
「叔母上の村に迷客がっ?!」
「既にこの城にエルシオン・デュカーレお前の従兄弟殿と滞在している。どうやらエルシオンが迷客を発見し、保護したようだ。そして、そのまま保護者よろしくついていくらしい。」
「夕げを共にする予定だ。お前も同席して留学先の事など色々教えて差し上げろ。幼いながら淑女としての教養を感じる不思議な女性だぞ。」
「夕げまでは一先ず休め。急がせてすまなかったな、ルヴィ。」
「状況は理解しました。失礼致します。」
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