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エスリアール王城 出会い
迷客は花姫1
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舞踏の間とやらに到着した。ダンスパーティと違って舞踏会と言われると格式が高く感じる。アニメの中でも映画でも仮面舞踏会なんてキラキラした世界に見えた。
まさか、私が舞踏会に参加するなんて思いもしなかった。夢のような世界、でも夢じゃないんですよね。
大きく重厚な扉が今開かれる。
高い天井、キラキラ照明。王座の間とは違った雰囲気。正面奥にある階段から入口まで続くレッドカーペット。足をのせて歩くのが勿体ない。お兄ちゃんの腕にキュッと緊張から力が入ってしまう。
中央ホールを挟んで両側に来客らしき方達がザワザワと雑談しているようだったが、私達が数歩進んだ途端にシーンと雑談が囁きに変わり、視線が集まった。
「…あちらが例の第二王位継承者エルシオン・デュカーレ様?」
「ルピナス王女に似ておられる…」
「あの王女がまさか駆け落ちとはね」
「…庶民暮らしとか?」
「しっ、滅多なことは言えませんよ」
「ヒトの女性は?」
「黒髪とは珍しい。ヒトにも黒い目の者などいたか?」
「異界の迷客はあの方か?」
「誰だあの可憐な女性は?」
「変わったドレス」
「ヒトにしては容姿も変わっていらっしゃる」
「花をあしらってまるで妖精気取りかしら?」
「いや、でも可憐だぞ。」
「ああ、花の精霊のようだ。」
コソコソ囁き合う声は私にはギリギリ聞こえないけれど、お兄ちゃんは耳が良さそうだから、ちょっと心配。聞こえなければいいのに。
「…大丈夫?」
「心配ない。ありがとう。」
組んでいない手で頭を撫で撫でされた。とりあえず、気にしていないようでよかった。
現国王の甥だなんて、言い方を悪くするようだけど、出戻り王子みたいに思われることがあるのかもしれない。
沢山の着飾った人(貴族エルフ)の視線が王子でもあるお兄ちゃんに集まるのは仕方ないとわかるけど、なんか複雑。おまけでエスコートしている相手は誰だ?と腕を組んでいる私にも自然と目がいくのは当たり前だ。
レイファンスさんがホールの奥から私達の前まで来てくれた。
「アーヤ様、デュカーレ様お二人ともよくお似合いです。特に、アーヤ様…会場に入って来られた姿を目にした瞬間、花の妖精か精霊と思う程に私の目も心も貴女に釘付けとなってしまいました。私以外にも同じく目を奪われた殿方はどれだけいるか恐ろしいくらいです。ふふふ。」
「レイファンスさん、お世辞でも嬉しいです。でも、私は何も美人じゃないので、こんなに別人になる位素敵に仕上げてくれた方達がすごいんですよ。」
「貴女はご自身の魅力をご謙遜され過ぎです。その奥ゆかしさもまた、いいのですけど。」
純粋で、自身に無頓着な貴女を口説き落とすのは、骨が折れそうだ。しかし、自分でも面倒な性格だと自覚はしていたが恋愛において、さほど興味などなかった。この方に出会うまでは。
相手が思い通りにならない方がかえって燃えるタイプだったとは自分でも驚きだ。焦らず、じっくり…。
レイファンスがそんなことを考えていると知ってか知らずか、エルシオンは威圧と冷めた群青の眼差しで舞踏会の主旨について訪ねた。それを深緑の瞳が軽く受け流す。
やれやれ、今話そうとしてはいたのですがね。ククク。
「はい、今宵の舞踏会の主旨は我が国エスリアールに現れた迷客アーヤ様の紹介、歓迎です。それと、保護者として登城されたデュカーレ様のご紹介となっていますが、なにぶんルヴァニレット王子殿下の生誕日も近いので貴族、重鎮達はその祝いもかねて言祝ぎ、贈り物で取り次ぎ、あわよくば婚約しようと画策する輩もいるでしょうが。」
なるほど
迷客は珍しいしから見てみたいし、王子二人含めた王族一家に取り入ることができるかもしれない機会でもあるということね。
まさか、私が舞踏会に参加するなんて思いもしなかった。夢のような世界、でも夢じゃないんですよね。
大きく重厚な扉が今開かれる。
高い天井、キラキラ照明。王座の間とは違った雰囲気。正面奥にある階段から入口まで続くレッドカーペット。足をのせて歩くのが勿体ない。お兄ちゃんの腕にキュッと緊張から力が入ってしまう。
中央ホールを挟んで両側に来客らしき方達がザワザワと雑談しているようだったが、私達が数歩進んだ途端にシーンと雑談が囁きに変わり、視線が集まった。
「…あちらが例の第二王位継承者エルシオン・デュカーレ様?」
「ルピナス王女に似ておられる…」
「あの王女がまさか駆け落ちとはね」
「…庶民暮らしとか?」
「しっ、滅多なことは言えませんよ」
「ヒトの女性は?」
「黒髪とは珍しい。ヒトにも黒い目の者などいたか?」
「異界の迷客はあの方か?」
「誰だあの可憐な女性は?」
「変わったドレス」
「ヒトにしては容姿も変わっていらっしゃる」
「花をあしらってまるで妖精気取りかしら?」
「いや、でも可憐だぞ。」
「ああ、花の精霊のようだ。」
コソコソ囁き合う声は私にはギリギリ聞こえないけれど、お兄ちゃんは耳が良さそうだから、ちょっと心配。聞こえなければいいのに。
「…大丈夫?」
「心配ない。ありがとう。」
組んでいない手で頭を撫で撫でされた。とりあえず、気にしていないようでよかった。
現国王の甥だなんて、言い方を悪くするようだけど、出戻り王子みたいに思われることがあるのかもしれない。
沢山の着飾った人(貴族エルフ)の視線が王子でもあるお兄ちゃんに集まるのは仕方ないとわかるけど、なんか複雑。おまけでエスコートしている相手は誰だ?と腕を組んでいる私にも自然と目がいくのは当たり前だ。
レイファンスさんがホールの奥から私達の前まで来てくれた。
「アーヤ様、デュカーレ様お二人ともよくお似合いです。特に、アーヤ様…会場に入って来られた姿を目にした瞬間、花の妖精か精霊と思う程に私の目も心も貴女に釘付けとなってしまいました。私以外にも同じく目を奪われた殿方はどれだけいるか恐ろしいくらいです。ふふふ。」
「レイファンスさん、お世辞でも嬉しいです。でも、私は何も美人じゃないので、こんなに別人になる位素敵に仕上げてくれた方達がすごいんですよ。」
「貴女はご自身の魅力をご謙遜され過ぎです。その奥ゆかしさもまた、いいのですけど。」
純粋で、自身に無頓着な貴女を口説き落とすのは、骨が折れそうだ。しかし、自分でも面倒な性格だと自覚はしていたが恋愛において、さほど興味などなかった。この方に出会うまでは。
相手が思い通りにならない方がかえって燃えるタイプだったとは自分でも驚きだ。焦らず、じっくり…。
レイファンスがそんなことを考えていると知ってか知らずか、エルシオンは威圧と冷めた群青の眼差しで舞踏会の主旨について訪ねた。それを深緑の瞳が軽く受け流す。
やれやれ、今話そうとしてはいたのですがね。ククク。
「はい、今宵の舞踏会の主旨は我が国エスリアールに現れた迷客アーヤ様の紹介、歓迎です。それと、保護者として登城されたデュカーレ様のご紹介となっていますが、なにぶんルヴァニレット王子殿下の生誕日も近いので貴族、重鎮達はその祝いもかねて言祝ぎ、贈り物で取り次ぎ、あわよくば婚約しようと画策する輩もいるでしょうが。」
なるほど
迷客は珍しいしから見てみたいし、王子二人含めた王族一家に取り入ることができるかもしれない機会でもあるということね。
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