3 / 21
伝説のレストラン
料理ができない
しおりを挟む
料理音痴と言ったけど、本当は誰よりも得意と胸を張って言える────あたしの唯一の取り柄。
でもそれは………、とある事件をきっかけに……
『日下部さんが、私のレシピを盗作したんです!!』
ヒソヒソ
"えー!?日下部さんが!?"
ヒソヒソ
"嘘……信じらんない"
ヒソヒソ
"真面目そうなのに意外と悪どい事するんだねぇ……"
ヒソヒソ
"じゃあ今までの料理も全部……────
「違う!!あたしは盗作なんてしてない!!」
『日下部さん───じゃあその証拠は何処にあるの?』
あたしの料理はあたしにしか作れない。
同じ料理でも、作り手が違うだけで
味と雰囲気は全然違うのだから
『盗作の料理じゃなぁ~?』
『パクリで美味いって言われて嬉しいのか?』
『すげぇ根性してるな』
それ以来、あたしは"料理"が出来なくなってしまった───────
出来ないんじゃない、辞めてやったのよ
本当は卵かけご飯以上のハイスペック料理なんておちゃのこさいさいだけど……
『ごめんね……、ひまわり───』
あの時の"親友"の顔が、脳にこびり付いて離れない。
嘘つきで、貪欲で、ずる賢くて……
平気で自分の幸せの為ならば、人を利用出来る女。
そして何がタチが悪いって、被害者面する所よね……
親友の一声で、あたしは一気に悪者になってしまった。彼女の影響力は凄いのだ。
勿論そこからの学校生活は楽しいもんじゃなくて、うっかりワサビを口にしてしまったかのような泣く泣くの毎日を過ごしていた。
もう………思い出したくもない
蓋をした───悲しくて腹立たしい過去は、こんな世界に迷い込んだお陰で、中途半端に開いていたのかもしれない
だからといって、食べる事は嫌いじゃないし
料理をする事も本当は──────
「ッ!……う……、嫌な事思い出しちゃった」
「卵と白米…北の方から取り寄せた、出汁を存分に使用した醤油になります。」
スイがテーブルの上に材料を丁寧に並べる。
ほかほかの白米から幸せの香りがする……
卵を割ろうと手に取ると、あの時の記憶がフラッシュバックして手が震えた。
「───ごめんなさい!!…っやっぱりあたしにはできない!!」
あれ……目から涙が……
駄目だ……駄目だ!!あたし……まだ……
「帰ります……」
「は?、お前何言って…」
「帰ります!!」
「何処へ帰るのです?」
「自分の居た世界です!!───あたし、もう料理はしないって決めたの!! 」
「……──それは、君の本心なのかい?」
「…貴方たちみたいに…、恵まれた環境で料理を作っている人達には……あたしの気持ちなんか分かりませんよ!!」
「あ"あ"!?恵まれた環境だ!?───勝手に決めつけてんじゃねェよッ!!!」
エンの怒声で我に返るひまわり。
なんて心にもないことを言ってしまったのだろう…と、後悔をした。
「…ごめん…なさい───」
無意識に店の外へと飛び出し、そのまま森に向かって走り出していった。
ポタ───ポタ……
「やだぁ~!雨!?」
「今日降るなんて聞いてなぁーい!」
窓の外を見ると雨が降り始め、スイは女性客全員に傘を持たせて帰るように促す。
「えぇ~!?スイ様の紅茶飲みたいのにぃ!」
「そうですよぉ~!」
「ふふ、今日はもうお帰り下さい。雨が、酷くなる前に……」
言葉は柔らかい口調だが、眼差しはとても冷酷な物だ。
でもそれに気付いているのは、ソウとエンくらいだろう……───
渋々帰って行く女性客を丁寧に見送りながら、スイは、ポツリと吐露をする。
「思い過ごし……だったのでしょうか」
「……あんな奴……──例えスパイスの持ち主だったとしても、こっちから御免だぜ!!」
「………彼女から────」
「はい?」
「料理が好きって気持ちと……──それ同等のトラウマを感じられた……。過去に……何かあったんだろうね」
「……エン───ちゃんとレディに謝罪して下さいね」
「なっっっ!!?何でオレだけが悪いみたいな空気感になってんだよ!?」
「貴方の怒声が、彼女の心にとどめを刺したのです。本当に、短気ですね……───もう少し冷静さを保てないのですか?」
「う、うるせェ!!!怒」
「とりあえず、彼女を迎えに行ってくるよ」
「気を付けて下さいね、今日の森は……ご機嫌斜めの様子ですよ」
「あはは、僕は"森と仲が良い"から大丈夫だよ?──それじゃあ、行ってくる」
緑色の傘を差し、ソウはひまわりを追いかけ
森へと向かった。
「……不味いですね」
「何がだよ?」
「エン、この世界が何周目かお分かりですか?」
「な、何周目ったって………」
「雨が……限界だと、仰ってるんですよ」
「それって……」
「今回、もし彼女が女神でなかったら、私達は完全にお終いです。」
「……潮時って言いたいのかよ」
「……ですが、まだ諦めてはいません……」
本降りとなった雨を窓から眺めながら、スイは手を組んで祈る
(どうか……)
今度こそ私達を止められますように……
でもそれは………、とある事件をきっかけに……
『日下部さんが、私のレシピを盗作したんです!!』
ヒソヒソ
"えー!?日下部さんが!?"
ヒソヒソ
"嘘……信じらんない"
ヒソヒソ
"真面目そうなのに意外と悪どい事するんだねぇ……"
ヒソヒソ
"じゃあ今までの料理も全部……────
「違う!!あたしは盗作なんてしてない!!」
『日下部さん───じゃあその証拠は何処にあるの?』
あたしの料理はあたしにしか作れない。
同じ料理でも、作り手が違うだけで
味と雰囲気は全然違うのだから
『盗作の料理じゃなぁ~?』
『パクリで美味いって言われて嬉しいのか?』
『すげぇ根性してるな』
それ以来、あたしは"料理"が出来なくなってしまった───────
出来ないんじゃない、辞めてやったのよ
本当は卵かけご飯以上のハイスペック料理なんておちゃのこさいさいだけど……
『ごめんね……、ひまわり───』
あの時の"親友"の顔が、脳にこびり付いて離れない。
嘘つきで、貪欲で、ずる賢くて……
平気で自分の幸せの為ならば、人を利用出来る女。
そして何がタチが悪いって、被害者面する所よね……
親友の一声で、あたしは一気に悪者になってしまった。彼女の影響力は凄いのだ。
勿論そこからの学校生活は楽しいもんじゃなくて、うっかりワサビを口にしてしまったかのような泣く泣くの毎日を過ごしていた。
もう………思い出したくもない
蓋をした───悲しくて腹立たしい過去は、こんな世界に迷い込んだお陰で、中途半端に開いていたのかもしれない
だからといって、食べる事は嫌いじゃないし
料理をする事も本当は──────
「ッ!……う……、嫌な事思い出しちゃった」
「卵と白米…北の方から取り寄せた、出汁を存分に使用した醤油になります。」
スイがテーブルの上に材料を丁寧に並べる。
ほかほかの白米から幸せの香りがする……
卵を割ろうと手に取ると、あの時の記憶がフラッシュバックして手が震えた。
「───ごめんなさい!!…っやっぱりあたしにはできない!!」
あれ……目から涙が……
駄目だ……駄目だ!!あたし……まだ……
「帰ります……」
「は?、お前何言って…」
「帰ります!!」
「何処へ帰るのです?」
「自分の居た世界です!!───あたし、もう料理はしないって決めたの!! 」
「……──それは、君の本心なのかい?」
「…貴方たちみたいに…、恵まれた環境で料理を作っている人達には……あたしの気持ちなんか分かりませんよ!!」
「あ"あ"!?恵まれた環境だ!?───勝手に決めつけてんじゃねェよッ!!!」
エンの怒声で我に返るひまわり。
なんて心にもないことを言ってしまったのだろう…と、後悔をした。
「…ごめん…なさい───」
無意識に店の外へと飛び出し、そのまま森に向かって走り出していった。
ポタ───ポタ……
「やだぁ~!雨!?」
「今日降るなんて聞いてなぁーい!」
窓の外を見ると雨が降り始め、スイは女性客全員に傘を持たせて帰るように促す。
「えぇ~!?スイ様の紅茶飲みたいのにぃ!」
「そうですよぉ~!」
「ふふ、今日はもうお帰り下さい。雨が、酷くなる前に……」
言葉は柔らかい口調だが、眼差しはとても冷酷な物だ。
でもそれに気付いているのは、ソウとエンくらいだろう……───
渋々帰って行く女性客を丁寧に見送りながら、スイは、ポツリと吐露をする。
「思い過ごし……だったのでしょうか」
「……あんな奴……──例えスパイスの持ち主だったとしても、こっちから御免だぜ!!」
「………彼女から────」
「はい?」
「料理が好きって気持ちと……──それ同等のトラウマを感じられた……。過去に……何かあったんだろうね」
「……エン───ちゃんとレディに謝罪して下さいね」
「なっっっ!!?何でオレだけが悪いみたいな空気感になってんだよ!?」
「貴方の怒声が、彼女の心にとどめを刺したのです。本当に、短気ですね……───もう少し冷静さを保てないのですか?」
「う、うるせェ!!!怒」
「とりあえず、彼女を迎えに行ってくるよ」
「気を付けて下さいね、今日の森は……ご機嫌斜めの様子ですよ」
「あはは、僕は"森と仲が良い"から大丈夫だよ?──それじゃあ、行ってくる」
緑色の傘を差し、ソウはひまわりを追いかけ
森へと向かった。
「……不味いですね」
「何がだよ?」
「エン、この世界が何周目かお分かりですか?」
「な、何周目ったって………」
「雨が……限界だと、仰ってるんですよ」
「それって……」
「今回、もし彼女が女神でなかったら、私達は完全にお終いです。」
「……潮時って言いたいのかよ」
「……ですが、まだ諦めてはいません……」
本降りとなった雨を窓から眺めながら、スイは手を組んで祈る
(どうか……)
今度こそ私達を止められますように……
0
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
【完結】元Sランク受付嬢の、路地裏ひとり酒とまかない飯
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
ギルド受付嬢の佐倉レナ、外見はちょっと美人。仕事ぶりは真面目でテキパキ。そんなどこにでもいる女性。
でも実はその正体、数年前まで“災厄クラス”とまで噂された元Sランク冒険者。
今は戦わない。名乗らない。ひっそり事務仕事に徹してる。
なぜって、もう十分なんです。命がけで世界を救った報酬は、“おひとりさま晩酌”の幸福。
今日も定時で仕事を終え、路地裏の飯処〈モンス飯亭〉へ直行。
絶品まかないメシとよく冷えた一杯で、心と体をリセットする時間。
それが、いまのレナの“最強スタイル”。
誰にも気を使わない、誰も邪魔しない。
そんなおひとりさまグルメライフ、ここに開幕。
犬の散歩中に異世界召喚されました
おばあ
ファンタジー
そろそろ定年後とか終活とか考えなきゃいけないというくらいの歳になって飼い犬と一緒に異世界とやらへ飛ばされました。
何勝手なことをしてくれてんだいと腹が立ちましたので好き勝手やらせてもらいます。
カミサマの許可はもらいました。
異世界と地球がダンジョンで繋がった ー異世界転移者の私ー
白木夏
ファンタジー
2040年の初春、突如として地球上の主要都市に謎のダンジョンが出現した。
その特異性は明らかで、人口密集地を中心に出現し、未開の地には一切現れないという法則性を帯びていた。
人々は恐怖に震えつつも、未知なる存在に対する好奇心を抑えきれなかった。
異世界転移した最強の主人公のほのぼのライフ
台風のよる、君ひそやかに、魔女高らかに
にしのくみすた
ファンタジー
【空を飛ぶ魔女たちの、もちもち百合ファンタジー・コメディ!】
台風の夜、魔女はホウキで空を翔け――嵐と戦う!
この街で台風と戦うのは、ホウキで飛ぶ魔女の仕事だ。
空を飛ぶ魔女に憧れながらも、魔法が使えない体質のため夢を諦めたモチコ。
台風の夜、嵐に襲われて絶体絶命のピンチに陥ったモチコを救ったのは、
誰よりも速く夜空を飛ぶ“疾風迅雷の魔女”ミライアだった。
ひょんな事からミライアの相方として飛ぶことになったモチコは、
先輩のミライアとともに何度も台風へ挑み、だんだんと成長していく。
ふたりの距離が少しずつ近づいていくなか、
ミライアがあやしい『実験』をしようと言い出して……?
史上最速で空を飛ぶことにこだわる変な先輩と、全く飛べない地味メガネの後輩。
ふたりは夜空に浮かんだホウキの上で、今夜も秘密の『実験』を続けていく――。
空を飛ぶ魔女たちの、もちもち百合ファンタジー・コメディ!
地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件
フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。
だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!?
体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。
【完結】うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。
かの
ファンタジー
孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。
ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈
【完結】花咲く手には、秘密がある 〜エルバの手と森の記憶〜
ソニエッタ
ファンタジー
森のはずれで花屋を営むオルガ。
草花を咲かせる不思議な力《エルバの手》を使い、今日ものんびり畑をたがやす。
そんな彼女のもとに、ある日突然やってきた帝国騎士団。
「皇子が呪いにかけられた。魔法が効かない」
は? それ、なんでウチに言いに来る?
天然で楽天的、敬語が使えない花屋の娘が、“咲かせる力”で事件を解決していく
―異世界・草花ファンタジー
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる