爛漫ろまんす!

平野ポタージュ

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あたしは伝説の食材

夢物語

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むかーしむかーし……蓬莱五山ホウライゴザンと呼ばれる山があったそうな

その山には龍仙女ロンシィェンニュと呼ばれる美しい羽衣を纏った仙女がおりました

そして、龍仙女ロンシィェンニュに仕える五匹の龍──────

赤龍

青龍

白龍

黒龍

黄龍

世界の四方と中心を護り、人々を平和に導く存在でした。

『まさか……伝説の美豚ビトンが誕生してしまうなんて……』

『厄介なのは、その美豚ビトンを食した者の行方が分からないという事です』

『ありゃりゃ~、このままじゃ本当の豚のように繁殖しちまうな~。あっはっは!笑うしかない!』

五匹の内の黄龍は悲嘆に、青龍は冷静に、黒龍は陽気に

『……どうでもいいね。大体、美豚ビトンが本物だったって、証拠はねぇだろ?』

赤龍は不信に

『ちょっと、赤龍!!…白龍と龍仙女ロンシィェンニュ様が嘘を言っていると仰いたいの!?』

に映らねぇ情報なら信用できねぇよ。テメェ等もいい加減、目を覚ましたら?』

『……ッ、あんたなんて……五龍ウーロンから消えれば良いのよ!!』

『こらこら黄龍、言い過ぎじゃないか?』

『赤龍……。白龍と龍仙女ロンシィェンニュ様が嘘をつかれる方ではないと……───貴方が一番良く理解しているのでは?』

『……うるせぇよ────』

この時、白龍と龍仙女ロンシィェンニュ美豚ビトンを追う為に長い年月をかけた旅に出ていました

残された四匹の龍は、世界の平和を願い、守る為に蓬莱五山ホウライゴザンで白龍と龍仙女ロンシィェンニュの無事を祈っておりました……

お互いの事を啀み合いながらも
不器用ながらも、四匹の心は常に一つでした

しかし……───────


『どういう事です…?、龍仙女ロンシィェンニュ様がもう戻らないとは……』

『…龍仙女ロンシィェンニュが……美豚ビトンを自らの手で始末すると………───そう申していた』

白龍は沈んだ表情で、四匹の龍に伝えたのです。

『…参ったね……、ロンちゃんが居ないと、四方と中央の調和が取れない事になるけど』

『……我ら五匹でなんとかするしかない……』

『正気ですか……白龍───』

『17年の時……』

『え……』

『我等も人間に生まれ変わり、それぞれ四方と中央を護るのだ────そして……』



いつか、龍仙女ロンシィェンニュ美豚ビトンを……



神美かみを──────────


『嫌です!!……ッ貴方と離れるなんて────』

黄龍は黄金色の瞳から涙を零しました───


ポチャン……────────








「起きなさい────豚娘」


美しい凛とした芯のある声で目が覚めた。


「!!…………───今のは……」

夢……?


「やっと起きたわね……」

神美かみは重い身体を起こし、辺りを見渡した。すると……薄暗い空間の中に

「ぎゃーーーー!!?黄金色の瞳ーーー!?。此処は何処!?薄暗くて顔は見えないけど、あなたはだれ!?」

「単刀直入に申しますと、貴女を殺す───……でもそうね……、冥土の土産にわたくしの名と正体を……教えて差し上げるわ」

美しい娘の声と吐息に笑みが混じると、薄暗い部屋は一気に黄金色に輝いた────

「龍……!?───!!…黄龍!?」

神美かみの目の前に居る、一匹の龍から放たれた輝きだ───

「あら……アタシの名前、知ってんのね…。伝説に記された五龍ウーロンが一匹──黄龍ファンロンよ」

神々しく煌めく黄金の龍は神美かみの身体を龍尾りゅうびを使って締め上げたのだ。

「くっ……ぁ……や……め!───」

「ふふふ……───苦しい?……そうよねぇ……苦しいわよねぇ…────身体は普通の人間だものねぇ…。可哀想に───……美豚ビトンでなければ、殺されずに済んだのに……。」

「美……豚……って、なんなのっ!?……どうして……あたしは……あたしは普通の───」

「──人間の欲望と願望を叶える、伝説の食材よ。…龍仙女ロンシィェンニュ様と白龍は……───ッ白龍パイロンは変わってしまったのよ!!───美豚あんたのせいで!!───」

黄龍ファンロンは黄金色の瞳から涙を零したのだ。


そう──────

あの夢と同じように、龍仙女ロンシィェンニュと白龍を想って


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