爛漫ろまんす!

平野ポタージュ

文字の大きさ
10 / 62
あたしは伝説の食材

痩身術

しおりを挟む
 
おばあちゃんが何故、あんなに呪文のように「痩せろ」と、毎日のように言っていたのか────
それは小龍シャオロンが語った。

「お前を産んだ娘は、美豚ビトンと呼ばれる一族の末裔だった。」

美豚びとんは、小龍シャオロンとおばあちゃんが何千年の時をかけて捜していた、中華伝説の食材だったと云う────
でもその伝説は、人々を不幸に招き、最後は世界が滅びると…………
龍仙女ロンシィェンニュが持っていた予言書に記されていたとか……

「その予言書は、数千年前に龍仙女ロンシィェンニュ蓬莱五山ホウライゴザンで見つけた物らしい……」

蓬莱五山ホウライゴザン!?」

「知っているのか?」

「夢で………、夢であたし……五匹の龍を見たの……。その夢に……蓬莱五山ホウライゴザンって山が出てきて……」


《…龍仙女ロンシィェンニュが……美豚ビトンを自らの手で始末すると………───そう申していた》


「……でも、夢だから……」

確信はないけど……、あの白い龍はもしかして……──────
でも、夢で言っていた事が本当だとしたら………
おばあちゃんはあたしを殺そうとしていた?

でも………おばあちゃんは


神美かみ、饅頭食うべ》


あたしにとびきりの愛を与えてくれた人────

龍仙女ロンシィェンニュは…、お前を腕の中に抱いた時────」


小龍シャオロン………──ワシは仙女失格かもしれねぇ……》

龍仙女ロンシィェンニュは涙を流しながら私にこう語ったのだ

《これが伝説の食材?………ただの人間の赤子じゃねぇか……》

「"自分が育てる……命を懸けて"と、そう言って龍仙女ロンシィェンニュはお前の世界で、お前の家族になると決めたのだ。でもそれは……我々の世界を乱す事となり、私を含めたロンは、龍仙女ロンシィェンニュが不在となった事で、世界の平和の調和が取れなくなってしまったのだ。」

「そんな……!!」

「……だからと言って、お前のせいではない。お前は呪いに巻き込まれた犠牲者に過ぎないのだ……。」

「……っ…小龍シャオロン!、あたしには何ができるの?」

神美かみ……」

「おばあちゃんは全てを知っていても……、あたしを殺そうとはしなかった。でもそれは……世界を乱す事で…、小龍シャオロン達に迷惑かけて……。だからこそ、今度はあたしが……おばあちゃんと小龍シャオロンを助ける番だよ!。」

「───……ならば、痩身術を身につけてはくれぬか?」

「痩身術?」

「ふん、要はその贅肉だらけ肉を削ぎ落とすって事よ」

ぶっきらぼうに黄龍ファンロンが言った。

「つまり、ってこと!?」

美豚ビトンを消滅させるには三つの方法がある」

一つは、美豚ビトンの根源となる源を殺す

二つは、美豚ビトンに適してない平均な重さと体型を手に入れる

三つは、その身を異性に捧げ、交尾をする

「ぶーーーーーっ!!?こ、こ、こ、こ、こ、ここここここ!!?」

神美かみに相応しい方法は、二つ目の平均な重さと体型を手に入れる事だ」

「そ、そ、そんなあ~!!?。ダイエットなんてやった事ないし……」

「そこで──柘榴シィーリオ 、黄龍ファンロン───お前達に一つ頼みがある。神美かみを…、私の妃として育て上げて欲しいのだ」

「あら陛下……、それは…正妃を──神美かみにするという事で解釈して宜しいのですか?」

こくりと頷く白龍パイロン神美かみは頬を紅潮させた。

「…私の傍に置いておいた方が、身の安全は保証できる。正妃になるのは表向きであり、あくまで神美かみを護る為だ。正常な体型に戻り、美豚ビトンを封印すれば、我々の関係は解消するから安心しろ」

(…なんだ…、本気じゃ…ないんだ。)


「怒!!嫌ですわ!!!。なんでわたくしがこんな大娘おおむすめに!!」

「な、何よーーーーー!!!。それに大娘おおむすめって何!?」

「あんた小娘って柄でもでもないでしょ?」

「むきぃぃぃぃ!!!やっぱりむかつくぅ~!!」

「陛下、承知致しました。神美かみを必ず……、立派な正妃に育てあげますわっ♪」

「頼んだぞ」

「え?……ちょ、ちょっと!!あたしまだダイエット賛成した訳じゃ……」

「アタシも認めた訳じゃないんだからッ!!」

「じゃあ!、見知らぬ殿方と交尾するの?&陛下に嫌われても良いの?」

「「それだけは絶対嫌っっっっっっっ!!!」」

「ふん…、あんたなんて交尾されるどころか、豚の丸焼きにされるのがオチよ」

「むっきぃぃぃ~~!!!怒」

「やれやれ、先が思いやられるわね…」


こうして─────
神美かみ美豚ビトン封印計画という名の、ダイエットが始まったのです。

「ねぇ小龍シャオロン、おばあちゃんは結局何処に行っちゃったの?」

「そうですわ…!龍仙女ロンシィェンニュ様は……」

神美かみの問いに、少し重い表情を浮かべた白龍パイロン

龍の髭ロンシュータン……」

「??……龍の髭ロンシュータン?」

「その指輪の事だ」

「おばあちゃんがくれた……指輪?」

「時が来たら、その指輪が神美かみを 龍仙女ロンシィェンニュのもとへいざなうだろう……」

「じゃ、じゃあ……!!…おばあちゃんは無事なのね!?」

「案ずるな───大丈夫だ……」


そう…………

大丈夫だ……


 龍仙女ロンシィェンニュ…………

そなたは……
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...