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あたしは伝説の食材
痩身術
しおりを挟むおばあちゃんが何故、あんなに呪文のように「痩せろ」と、毎日のように言っていたのか────
それは小龍が語った。
「お前を産んだ娘は、美豚と呼ばれる一族の末裔だった。」
美豚は、小龍とおばあちゃんが何千年の時をかけて捜していた、中華伝説の食材だったと云う────
でもその伝説は、人々を不幸に招き、最後は世界が滅びると…………
龍仙女が持っていた予言書に記されていたとか……
「その予言書は、数千年前に龍仙女が蓬莱五山で見つけた物らしい……」
「蓬莱五山!?」
「知っているのか?」
「夢で………、夢であたし……五匹の龍を見たの……。その夢に……蓬莱五山って山が出てきて……」
《…龍仙女が……美豚を自らの手で始末すると………───そう申していた》
「……でも、夢だから……」
確信はないけど……、あの白い龍はもしかして……──────
でも、夢で言っていた事が本当だとしたら………
おばあちゃんはあたしを殺そうとしていた?
でも………おばあちゃんは
《神美、饅頭食うべ》
あたしにとびきりの愛を与えてくれた人────
「龍仙女は…、お前を腕の中に抱いた時────」
《小龍………──ワシは仙女失格かもしれねぇ……》
龍仙女は涙を流しながら私にこう語ったのだ
《これが伝説の食材?………ただの人間の赤子じゃねぇか……》
「"自分が育てる……命を懸けて"と、そう言って龍仙女はお前の世界で、お前の家族になると決めたのだ。でもそれは……我々の世界を乱す事となり、私を含めた龍は、龍仙女が不在となった事で、世界の平和の調和が取れなくなってしまったのだ。」
「そんな……!!」
「……だからと言って、お前のせいではない。お前は呪いに巻き込まれた犠牲者に過ぎないのだ……。」
「……っ…小龍!、あたしには何ができるの?」
「神美……」
「おばあちゃんは全てを知っていても……、あたしを殺そうとはしなかった。でもそれは……世界を乱す事で…、小龍達に迷惑かけて……。だからこそ、今度はあたしが……おばあちゃんと小龍を助ける番だよ!。」
「───……ならば、痩身術を身につけてはくれぬか?」
「痩身術?」
「ふん、要はその贅肉だらけ肉を削ぎ落とすって事よ」
ぶっきらぼうに黄龍が言った。
「つまり、ダイエットってこと!?」
「美豚を消滅させるには三つの方法がある」
一つは、美豚の根源となる源を殺す
二つは、美豚に適してない平均な重さと体型を手に入れる
三つは、その身を異性に捧げ、交尾をする
「ぶーーーーーっ!!?こ、こ、こ、こ、こ、ここここここ!!?」
「神美に相応しい方法は、二つ目の平均な重さと体型を手に入れる事だ」
「そ、そ、そんなあ~!!?。ダイエットなんてやった事ないし……」
「そこで──柘榴 、黄龍───お前達に一つ頼みがある。神美を…、私の妃として育て上げて欲しいのだ」
「あら陛下……、それは…正妃を──神美にするという事で解釈して宜しいのですか?」
こくりと頷く白龍に神美は頬を紅潮させた。
「…私の傍に置いておいた方が、身の安全は保証できる。正妃になるのは表向きであり、あくまで神美を護る為だ。正常な体型に戻り、美豚を封印すれば、我々の関係は解消するから安心しろ」
(…なんだ…、本気じゃ…ないんだ。)
「怒!!嫌ですわ!!!。なんで私がこんな大娘に!!」
「な、何よーーーーー!!!。それに大娘って何!?」
「あんた小娘って柄でも体型でもないでしょ?」
「むきぃぃぃぃ!!!やっぱりむかつくぅ~!!」
「陛下、承知致しました。神美を必ず……、立派な正妃に育てあげますわっ♪」
「頼んだぞ」
「え?……ちょ、ちょっと!!あたしまだダイエット賛成した訳じゃ……」
「アタシも認めた訳じゃないんだからッ!!」
「じゃあ!、見知らぬ殿方と交尾するの?&陛下に嫌われても良いの?」
「「それだけは絶対嫌っっっっっっっ!!!」」
「ふん…、あんたなんて交尾されるどころか、豚の丸焼きにされるのがオチよ」
「むっきぃぃぃ~~!!!怒」
「やれやれ、先が思いやられるわね…」
こうして─────
神美の美豚封印計画という名の、ダイエットが始まったのです。
「ねぇ小龍、おばあちゃんは結局何処に行っちゃったの?」
「そうですわ…!龍仙女様は……」
神美の問いに、少し重い表情を浮かべた白龍
「龍の髭……」
「??……龍の髭?」
「その指輪の事だ」
「おばあちゃんがくれた……指輪?」
「時が来たら、その指輪が神美を 龍仙女のもとへ誘うだろう……」
「じゃ、じゃあ……!!…おばあちゃんは無事なのね!?」
「案ずるな───大丈夫だ……」
そう…………
大丈夫だ……
龍仙女…………
そなたは……
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