29 / 62
時の一族と実
護る為に
しおりを挟む
白梨国の宮廷に一人の仙女が舞い降りた。
杏色の美しく長い髪────桃色の煌めく羽衣に仙女の神秘な美しい衣装。
曲線美な身体付きに誰もが魅了されたであろう。
仙女はお転婆にニッコリと笑ったかと思えば思い出したかの如く忙しなく怒り出す。
僵尸達は怯えていた。
「もおおぉーーーっ!!!怒 あたしを置いていくなんて酷いじゃないのよ!!!」
その言葉は呆気に取られていた五龍にかけられた。
先に我に返ったのは黄龍だ
「ちょ……っと待ちなさい───アンタ……誰?」
「誰って……神美だよっ!?嘘でしょ忘れるとかありえないんですけど!?」
「アタシの知ってる神美は……まん丸で…頬も手もぷっくりしてて……──こんな……こんな痩せてないわよッ!!!」
「あっはっはっは!!その"痩せてない"って響き……たまらない快感っっっ」
「へぇ~痩せても"出る"ところは"出る"んだねぇ」
と、いやらしい手付きで胸の膨らみを表現する黒龍に神美の拳が黒龍の鳩尾に入った。
呻き声を上げながら、ずるずると倒れていく。
「目を覚ました後に、若榴ちゃんから話を聞いて、一時的だけど体重を減らす事が出来るって言われて……───本当に一時的だからアレだけど、今のあたしは美豚に秘められた魔力は完全に失われてる。誰かがあたしを食べても、ただの人肉でしかないって……」
「神美……そなた、どうして龍仙女の力を?───それに、何故そのような身体に負担がかかりそうな事を……ッ!安直すぎではないか!?何故大人しく待てなかったのだ!!」
白龍は神美の肩を思い切り揺さぶり捲し立てる。
普段は温厚で冷静な白龍とは思えないが、神美を心配しているからこその取り乱しである。
「陛下…、落ち着いて下さい。」
青龍が落ち着かせるように、白龍と神美の間に入り、宥めた。
我に返り、「済まない……」と小さく呟いた。
「ご、ごめん……なさい。でも……!!皆だけに辛い思いはさせられないよ!!。元は美豚の呪いのせいでこんな事になったようなものじゃない!!。だからあたしは!!…───あたしは、ちゃんと責任を取りたい…!」
「責任を取る……───それは、この世界では"命をかける"と同じですが……、貴女…死ぬつもりではないですよね?」
青龍の冷たい声音に、一瞬───空気が冷たくなる。
「死んで……全てを終わらせようなんて、虫のいい話は許されませんよ」
「…………───あっははは!、死ぬわけないじゃん!。だって、やりたい事いーーーっぱいあるんだよ?───それに、おばあちゃんが……力を与えてくれたから……。」
神美は左手の薬指に嵌めていた指輪に触れる
「この指輪に……おばあちゃんの魂が眠ってるんだって……。おばあちゃん、あたしをキョンシーから庇う為に……龍仙女の力……使い果たしちゃったんだって」
目に涙を浮かべ、指輪を固く握りしめる。
神美は五龍に頭を下げ
「皆の……大切な人を奪って……ごめんなさいッ!!!」
龍仙女は五龍にとって、主であり、育ての親でもあり、かけがえのない存在であった─────
その主が生命をかけて護った娘は……
「……あんた、勘違いしてねぇか?」
今まで黙り込んでいた赤龍が口を開き、その場で跪いたのだ。
黒龍───黄龍──青龍も赤龍に続く。
その状況に戸惑う神美───
白龍はその手を取った
「龍仙女はそなたに全てを捧げ──そして、託した。神美……お前が、たった今…我等の龍仙女となったのだ。」
「あたし…が?───」
「その力……その身に纏っている衣は龍仙女にしか扱えない。それが証拠だ」
そうか……龍仙女……
"こうする"事で、神美は五龍に護られ、神力はそなた自身の力……
その身が果てようとも、最期まで護る気なのだな。
ならば私も最善を尽くそう──────
そして──白龍も跪き、神美の手の甲に唇を落とす。
「我々五龍は、そなたの物となった」
「そんな……───あたしは……」
龍仙女になった所で、あたしの命は限られている───
皆には口が裂けても言えないけど……
あたしは、痩の実を食べたのだから……
龍仙女の力を手にしたのは───それは青龍の力、幻眠香から目を覚ました直後の事だった───
「貴女様が嵌めているその指輪には、龍仙女様の魂が封印されております……」
「たま…しい?」
それは─────死んだってことなの?
杏色の美しく長い髪────桃色の煌めく羽衣に仙女の神秘な美しい衣装。
曲線美な身体付きに誰もが魅了されたであろう。
仙女はお転婆にニッコリと笑ったかと思えば思い出したかの如く忙しなく怒り出す。
僵尸達は怯えていた。
「もおおぉーーーっ!!!怒 あたしを置いていくなんて酷いじゃないのよ!!!」
その言葉は呆気に取られていた五龍にかけられた。
先に我に返ったのは黄龍だ
「ちょ……っと待ちなさい───アンタ……誰?」
「誰って……神美だよっ!?嘘でしょ忘れるとかありえないんですけど!?」
「アタシの知ってる神美は……まん丸で…頬も手もぷっくりしてて……──こんな……こんな痩せてないわよッ!!!」
「あっはっはっは!!その"痩せてない"って響き……たまらない快感っっっ」
「へぇ~痩せても"出る"ところは"出る"んだねぇ」
と、いやらしい手付きで胸の膨らみを表現する黒龍に神美の拳が黒龍の鳩尾に入った。
呻き声を上げながら、ずるずると倒れていく。
「目を覚ました後に、若榴ちゃんから話を聞いて、一時的だけど体重を減らす事が出来るって言われて……───本当に一時的だからアレだけど、今のあたしは美豚に秘められた魔力は完全に失われてる。誰かがあたしを食べても、ただの人肉でしかないって……」
「神美……そなた、どうして龍仙女の力を?───それに、何故そのような身体に負担がかかりそうな事を……ッ!安直すぎではないか!?何故大人しく待てなかったのだ!!」
白龍は神美の肩を思い切り揺さぶり捲し立てる。
普段は温厚で冷静な白龍とは思えないが、神美を心配しているからこその取り乱しである。
「陛下…、落ち着いて下さい。」
青龍が落ち着かせるように、白龍と神美の間に入り、宥めた。
我に返り、「済まない……」と小さく呟いた。
「ご、ごめん……なさい。でも……!!皆だけに辛い思いはさせられないよ!!。元は美豚の呪いのせいでこんな事になったようなものじゃない!!。だからあたしは!!…───あたしは、ちゃんと責任を取りたい…!」
「責任を取る……───それは、この世界では"命をかける"と同じですが……、貴女…死ぬつもりではないですよね?」
青龍の冷たい声音に、一瞬───空気が冷たくなる。
「死んで……全てを終わらせようなんて、虫のいい話は許されませんよ」
「…………───あっははは!、死ぬわけないじゃん!。だって、やりたい事いーーーっぱいあるんだよ?───それに、おばあちゃんが……力を与えてくれたから……。」
神美は左手の薬指に嵌めていた指輪に触れる
「この指輪に……おばあちゃんの魂が眠ってるんだって……。おばあちゃん、あたしをキョンシーから庇う為に……龍仙女の力……使い果たしちゃったんだって」
目に涙を浮かべ、指輪を固く握りしめる。
神美は五龍に頭を下げ
「皆の……大切な人を奪って……ごめんなさいッ!!!」
龍仙女は五龍にとって、主であり、育ての親でもあり、かけがえのない存在であった─────
その主が生命をかけて護った娘は……
「……あんた、勘違いしてねぇか?」
今まで黙り込んでいた赤龍が口を開き、その場で跪いたのだ。
黒龍───黄龍──青龍も赤龍に続く。
その状況に戸惑う神美───
白龍はその手を取った
「龍仙女はそなたに全てを捧げ──そして、託した。神美……お前が、たった今…我等の龍仙女となったのだ。」
「あたし…が?───」
「その力……その身に纏っている衣は龍仙女にしか扱えない。それが証拠だ」
そうか……龍仙女……
"こうする"事で、神美は五龍に護られ、神力はそなた自身の力……
その身が果てようとも、最期まで護る気なのだな。
ならば私も最善を尽くそう──────
そして──白龍も跪き、神美の手の甲に唇を落とす。
「我々五龍は、そなたの物となった」
「そんな……───あたしは……」
龍仙女になった所で、あたしの命は限られている───
皆には口が裂けても言えないけど……
あたしは、痩の実を食べたのだから……
龍仙女の力を手にしたのは───それは青龍の力、幻眠香から目を覚ました直後の事だった───
「貴女様が嵌めているその指輪には、龍仙女様の魂が封印されております……」
「たま…しい?」
それは─────死んだってことなの?
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる