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退きなさい

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久々の夜会は、少々窮屈に感じる。

参加が同年代ばかりだから、お父様の仕事関係の方とおしゃべりしているわけにもいかない。

挨拶をするも話題はそれほど長続きしない。


今日は特にまだ婚約者のいない王子様がいらっしゃるそうで、空気がピリつく。

そうなると、誰かをいじめたくなるらしいですね?
今日の標的は私らしい。

「おっと子豚令嬢?生きてたのか。」
「おいおい、今じゃ侯爵令嬢様だぞー!お偉いんだ。」

「脂肪をためこんでんじゃねーの?」

ああ、殿方のあるまじきなのですが。うちの国はこうですものね。


「女性をそうなじるものではありませんわ。」

怒らせたいのが見え見えです。ロクな交渉術をお持ちじゃないでしょう。

「うっせえ豚!」
「その装いも豚に真珠のたとえを再現したんだろう?」

「良きお似合いでっハハハッ」

誰も助けに入る素振りはありませんね、もうこの国に愛想が尽きそうです。

「働くのは殿方ですが、経済を回すのは女でしょう?おかしいかしら」


職についていない次男三男で爵位だけ良い男達への皮肉だ。
顔が歪むが、言い返せないようね。


「退きなさい。」


口喧嘩なら、負けはしないわ。それにしても質が落ちた事。


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