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パーティ

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社交の場であるパーティは幼い子供達にとってもそうであるように。

派閥や、親の縁で集まり露骨に分かれいた。
王城の庭でのパーティは、形式ばったものではないものの

未来の貴族家を担う者、また繋がりをもとうと
既に用意されたシナリオを持って、出来上がっていた。

主役は、姫だった。
王妃の子ではないが、王族に連なることができる相手。

この国を背負う王子を兄に持ち、隣国の妃となる姉にも
溺愛されていると聞く。

どんな性格であっても、玉の輿になる相手だ。
そして初めて見たその容姿は、王族の色を持ち瞳は賢く意思を持っていた。


よくよく、父親から話て来い口説いて来いと言われただろう、
貴族の子息達に群がられている。


姫はその顔に微笑みを讃え、余裕の顔で眺めているが

内心は
頭が痛い。


『王女と会話しろと言われている』女の子。

ニッコリと話を聞いていると、横から

『僕なら一目惚れさせられる!かっこいいからな』男の子だ。


いい加減にしてほしい。
さっきまでは、なんとか列で挨拶をしていた子供達だが

もっと話そうと止まるせいで、塊になってきた。

(部屋に帰りたい)
わたしはそれしか考えていない。

“微笑みを持って挨拶を返す”その通りにしている。
貴族は子供も面倒らしいとわかった。

「婚約しろ。」

「僕が先だ。」『僕を選べ』

「婚約してくれるって」『言って!僕が婚約者』



勝手放題に、叫び始める。


限界。

「誰が決めるの?」


表情をどこかに落とした姫が喋ったのか?

ピタリと叫ぶような声が止まった。周りのメイドも騎士も止まる。

「ねえ、誰が決めたの?」


ゾッとした顔が並ぶ。



「もう良いかな。パーティは終わり。後は各自、ご歓談ください。」


綺麗な礼をして、去って行った。
メイドも騎士も連れない、その姿は不気味であった。

姫が去った後
その話題で持ちきりになる


「あんな女、誰がもらうというんだ?」

『気味が悪い』


「人形のようでしたわ」

「マナーはしっかりなさっていた」


「同じ歳なの?」

『6歳とは思えない』


秀才と聞くが
側妃様も出てこられないし


『本当に王との子か?』


言いたい放題


庭を見渡せるところで、わたしはメイドを待つ。
護衛の男が控えていた。


「疲れた。」

だらりと庭から隠れられる場所で姿勢を崩す。

戸惑う男の手が、躊躇いがちにぽんぽんと頭を撫でた。
『お疲れ、貴族ってのも面倒だな』


王女なんだけどな

と思ったけど訂正せずに

「ありがと」と小さく言った。


乳母が迎えに来て、部屋で眠った。もう限界で疲れ切っていた。








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