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2.聖女の呪
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国の端にある教会は、その日
華やかに飾り立てられていた。
新しく就任した若い聖女様を歓迎するため
小さな村の人達と、聖女様が宿泊した隣町の人達が催す歓迎の飾り。
ささやかなパーティを開くためだった。
しかし
今の状況ではその光景が、痛々しい。乱されたパーティ会場は
教会の裏庭だった。
騎士が集合し、
鎧を脱いで町人に紛れて警備する騎士もいる
俺は教会の出入り口の見張りについていた。
コトの発端は
子供達が隣の国から来たらしい荒くれ共に拐われ
そいつらが『聖女を出せ』と脅してきたことだ。
それが教会に着いたばかりの聖女様に伝わり、限界体制と対策会議中だ。
聖女様の護衛や急いで呼んだ国境を守る兵士が参加している。
親達の声が
ーお願いです、子供を助けてください!
と繰り返し、祈っている。
(俺に祈ってもな)と入り口に佇む俺。気持ちもわかるが
ここを通せないし、今は退かさずしたいようにさせていた。
少しでも不安を拭えるように。
ここは教会なのだから、それくらい良いだろう?
会議が終わったらしい騒めきに、
聖女様が通るので人々を移動させる。。
親も必死だが近づけば不敬になるかもしれない
俺の仕事として間に入った。
当の聖女様は真っ直ぐな瞳で言った。
「力を尽くします。」
まだちょっとだけ少女の面影を残す聖女様は
神々しく、芯の強さを見せた。
それに親達は勇気づけられるだろうが
俺は知ってる。現実は残酷だ。
交渉の場へ赴くにあたって、
俺はその場に行く役目を担い、騎士と聖女様の案内に立つ。
刺激しない少数に見せかけて
周りへの騎士の配置
村への防衛にも国境の兵士を置いてきている
盤石な体制を敷いていた。
「ようこそ聖女様。」
下位の貴族だろうか。“元は”とつきそうな男は、町人の服装で
目を出した黒布をつけ、ふてぶてしい口元を晒していた。
「子供達は全員無事ですか?」聖女様が子供の安否を問う。
「それは、信じていただくしかありませんなあ。
信じるものは救われるのでしょう?」
その話し方は下手な役者みたいだった。
鼻につく、小悪党のものだ。
「子供達6人、幾らで買い戻しましょうか?」
子供を金で助けられると見せているが聖女としてできるのだろうか?
醜聞ものだ。
それが狙いかもしれない。
「どう戻してくださるのですか?」
「後でちゃんと、戻しますよお。金額でいろいろ待遇が違いますがー。
それまでは、聖女様が私共をのお相手してくださる?町の女が来ている?そっちでも良いですよ!」
揶揄うように、無礼を言う男。
周りの騎士は、壁のように沈黙している。敵を刺激してはならない。
相手には人質がいるから。
「交渉などしません。」
聖女様がそう言い出した!
「子供を見捨てますか?この国の聖女様が!」
「「「ハハハハッ!!」」」
男達の馬鹿笑いがこだまする中
発言するのは、聖女様のみ。
「貴方達を呪います。」
何を言ったのか?
と男達の笑いがピタっと止まる。
「はははっ
聖女が呪いですか。魔女に鞍替えですか!」
話を進めている男が言い出す
「私は聖女です。祈り、祝福を与える。呪いもまた同じです」
その気迫にその場は支配された
「貴方達を呪いました。」
そのひと言に、どれだけの緊張感が詰め込まれたのだろう?
目の前の男達は
『そんなわけない』と否定したいのに、目の前の聖女様の圧に押されている。
睨み合いが続いた。その均衡を破ったのは、荒々し開いた扉の音。
バン!
「そこまでです!捕えろ」
国境の兵士達、騎士も混ざっている。
捕まった男達は抵抗しても、その細腕で兵士に勝てるわけがない。
それでも悪あがきに暴れている。
「子供を見捨てるんだなあ!?聖女様よお!」
「ご心配なく、全員救出済みです。」
兵士に向き直り
「聖女様、ありがとうございました。」兵士の長が礼を述べました。
こっちは陽動だったらしい。焦ったぜ。
「はっ聖女は呪いを使うってよ」
広めてやる!と男は嫌な笑いのまま。
「どうぞ。それと貴方達の呪は解いてませんよ。」
本当にかけたままなのか?男達も動揺する。
「私は貴方の行いを許しません。呪われたまま悔い改めなさい」
そう言い残して帰っていきました。
聖女様が言う呪は、どんなものなだろう?
そんな疑問は彼方に消えたようで
子供達を教会で迎え入れました。
「おうちへ帰れますよ」と聖女様が家族達と話している。
子供達は叩かれて、ずっと小屋にいて不安を抱え過ごしいたらしい。
あの男達は、これから苦しむんだろうか?
聖女様なら知っているかもしれない。
許さないという呪をかけた
忘れず、懺悔する日まであいつらのために
祈るのだろう。
華やかに飾り立てられていた。
新しく就任した若い聖女様を歓迎するため
小さな村の人達と、聖女様が宿泊した隣町の人達が催す歓迎の飾り。
ささやかなパーティを開くためだった。
しかし
今の状況ではその光景が、痛々しい。乱されたパーティ会場は
教会の裏庭だった。
騎士が集合し、
鎧を脱いで町人に紛れて警備する騎士もいる
俺は教会の出入り口の見張りについていた。
コトの発端は
子供達が隣の国から来たらしい荒くれ共に拐われ
そいつらが『聖女を出せ』と脅してきたことだ。
それが教会に着いたばかりの聖女様に伝わり、限界体制と対策会議中だ。
聖女様の護衛や急いで呼んだ国境を守る兵士が参加している。
親達の声が
ーお願いです、子供を助けてください!
と繰り返し、祈っている。
(俺に祈ってもな)と入り口に佇む俺。気持ちもわかるが
ここを通せないし、今は退かさずしたいようにさせていた。
少しでも不安を拭えるように。
ここは教会なのだから、それくらい良いだろう?
会議が終わったらしい騒めきに、
聖女様が通るので人々を移動させる。。
親も必死だが近づけば不敬になるかもしれない
俺の仕事として間に入った。
当の聖女様は真っ直ぐな瞳で言った。
「力を尽くします。」
まだちょっとだけ少女の面影を残す聖女様は
神々しく、芯の強さを見せた。
それに親達は勇気づけられるだろうが
俺は知ってる。現実は残酷だ。
交渉の場へ赴くにあたって、
俺はその場に行く役目を担い、騎士と聖女様の案内に立つ。
刺激しない少数に見せかけて
周りへの騎士の配置
村への防衛にも国境の兵士を置いてきている
盤石な体制を敷いていた。
「ようこそ聖女様。」
下位の貴族だろうか。“元は”とつきそうな男は、町人の服装で
目を出した黒布をつけ、ふてぶてしい口元を晒していた。
「子供達は全員無事ですか?」聖女様が子供の安否を問う。
「それは、信じていただくしかありませんなあ。
信じるものは救われるのでしょう?」
その話し方は下手な役者みたいだった。
鼻につく、小悪党のものだ。
「子供達6人、幾らで買い戻しましょうか?」
子供を金で助けられると見せているが聖女としてできるのだろうか?
醜聞ものだ。
それが狙いかもしれない。
「どう戻してくださるのですか?」
「後でちゃんと、戻しますよお。金額でいろいろ待遇が違いますがー。
それまでは、聖女様が私共をのお相手してくださる?町の女が来ている?そっちでも良いですよ!」
揶揄うように、無礼を言う男。
周りの騎士は、壁のように沈黙している。敵を刺激してはならない。
相手には人質がいるから。
「交渉などしません。」
聖女様がそう言い出した!
「子供を見捨てますか?この国の聖女様が!」
「「「ハハハハッ!!」」」
男達の馬鹿笑いがこだまする中
発言するのは、聖女様のみ。
「貴方達を呪います。」
何を言ったのか?
と男達の笑いがピタっと止まる。
「はははっ
聖女が呪いですか。魔女に鞍替えですか!」
話を進めている男が言い出す
「私は聖女です。祈り、祝福を与える。呪いもまた同じです」
その気迫にその場は支配された
「貴方達を呪いました。」
そのひと言に、どれだけの緊張感が詰め込まれたのだろう?
目の前の男達は
『そんなわけない』と否定したいのに、目の前の聖女様の圧に押されている。
睨み合いが続いた。その均衡を破ったのは、荒々し開いた扉の音。
バン!
「そこまでです!捕えろ」
国境の兵士達、騎士も混ざっている。
捕まった男達は抵抗しても、その細腕で兵士に勝てるわけがない。
それでも悪あがきに暴れている。
「子供を見捨てるんだなあ!?聖女様よお!」
「ご心配なく、全員救出済みです。」
兵士に向き直り
「聖女様、ありがとうございました。」兵士の長が礼を述べました。
こっちは陽動だったらしい。焦ったぜ。
「はっ聖女は呪いを使うってよ」
広めてやる!と男は嫌な笑いのまま。
「どうぞ。それと貴方達の呪は解いてませんよ。」
本当にかけたままなのか?男達も動揺する。
「私は貴方の行いを許しません。呪われたまま悔い改めなさい」
そう言い残して帰っていきました。
聖女様が言う呪は、どんなものなだろう?
そんな疑問は彼方に消えたようで
子供達を教会で迎え入れました。
「おうちへ帰れますよ」と聖女様が家族達と話している。
子供達は叩かれて、ずっと小屋にいて不安を抱え過ごしいたらしい。
あの男達は、これから苦しむんだろうか?
聖女様なら知っているかもしれない。
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忘れず、懺悔する日まであいつらのために
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