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静かな屋敷

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「お帰りなさい」

「な、同じ顔?」

「ええ。お久しぶり。」
「ああ、私もそっちの挨拶が良いかしら」


「だ誰なんだ!オマエ!」

「貴女の妻よ、書類上。」
「私も妻よ、たぶん。」

「そんなわけ…」

「それより、どこにいたのかしら?」
「聴くまでもないでしょ、愛人のところよ。」


「あら、バレていると思ってなかったの?」
「まあ、隠せてないからねえ。」


「そうね。人選を誤っているのに気づかないから。」


「ど、どうして」

「別に過去の女がいるのは良かったのだけど。」
「今も繋がってて、情報を流すのはダメよね。」

「そんな事してない!」

「自覚がないの?」
「そこまでバカなの?」


「会っている女性はそれが目当て。家とライバル関係、出入りの商人に会って
情報料を受け取っているの。」


「し、知らなかったんだ!」

「ええ。私もね。」
「私は調べた。」


「お、おい助けろ、こいつらを消しちまえ!」




「その命令は聞けません。」

「使用人は、家の使用人よ。あなたの味方じゃない。」
「使用人も皆、私達を知っている。」


「消えるのはそっち」
「さようなら、旦那様?」

悲鳴がうるさいけど、すぐに静かにしてくれた。



「私達、どっちが離婚なの?」

「未亡人ってだけで良いのよ。その方がモテそうだし。」

「私はしばらく結婚はいらないわ。」


「そうね。子供は養子を迎えましょうか。」


「双子が良いかしらね?」


「ええ、素敵ね。」
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