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街
そろそろ
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「町に戻ろうかな」
クリスが朝食を食べながら思案する。
「おう、もう移動か」
「街には飽きたかい?」
話を耳にした商人は依頼でも受けたんだろうと思ったが、クリスはこの街の冒険者ギルドには行っていない。
冒険者がギルドに行かない理由が、「用がないから」だと思わないか。
町に戻るのも軽い気持ちで、“すぐ来れるし”という動機だった。馬車でゆっくり出ても昼には着ける距離。
魔物がたまには出る道も、魔物避けの馬車がよく通ればそれほど危険はない。
「老夫婦へのお土産にお茶と、買い物リストの品も揃ったし。」
ダリオスに町に戻る挨拶するには、どうするのが良いか。知り合った冒険者のことを思う。
フウに報せてもらうわけには行かないし、リンとは相性が良さそうだがそれも不確かだ。
カザンには面識がない。
警戒させるかもしれんか。
手紙で知らせるとか?冒険者ギルドを使うのに、目的は食事に行かないか?だった。
高級な店だが、良い肉料理を出す店。
「綺麗な姉ちゃんに興味は?」
「できれば静かなところでのんびりしたい」
「枯れてんなーと言いたいところだが賛成だ。」
そんな会話で、穴場や隠れ家的な店の話が出た。
クリスの方も、気になる場所は何箇所かある。カザンの情報も使って話し合った。
時期のものを食事に出す店もある。それなら、会える時に楽しめるものをと緩い約束をしている。
「町にある店を紹介してみるか。」
しかし、市場が有名な町らしく店は少ない。街のが店が多いからな。
「よし、商会の馬車が町に出るかで決めよう。」
商会に顔を出して、頼んでおいた品を確認した。
「今日のコーヒーはいかがです?」
苦味が強いと紹介され飲んだ。気に入ったので追加購入だ。
「かなり苦味があるな。」
「ええ、その分深い甘味の菓子と合うと思うんですよ!この黒糖という砂糖の一種なんですけど、
この独特の甘さが特におすすめです」
「白い砂糖よりクセがあるがうまいな。」
「これでお菓子をって頼んでいるんですが、なかなかコレというのがなくて良い案ないですかねー?」
「饅頭や団子とかか?」
素朴な味と相性が良さそうだ。
そんな話をひとと通りして、黒糖もオマケにもらい奥に通された。
「よくいらしてくださいました。買い物はできましたか?」
「全部揃ったよ。コーヒーの充実しているのが嬉しいね。」
「馬車ですが、昼過ぎに町へ出ますよ。」
「そうか。なら乗せてってもらえるかな?」
「喜んで」
この後、クリスは手紙を書き、冒険者ギルドへ寄って預ける。
宛先は、ダリオス。町に戻っていると報せ、また食事に誘ってくれとすぐ来れるとつけ添えた。
依頼人だったと勧誘の声はかけられず、貴族か?金持ちか?
その正体がわからず、ざわめかれたのは相変わらずのクリスの正体不明具合が理由だった。
こうして、短い滞在の街を堪能し古巣と言えそうな老夫婦の家に再び借り宿として過ごした。
クリスが朝食を食べながら思案する。
「おう、もう移動か」
「街には飽きたかい?」
話を耳にした商人は依頼でも受けたんだろうと思ったが、クリスはこの街の冒険者ギルドには行っていない。
冒険者がギルドに行かない理由が、「用がないから」だと思わないか。
町に戻るのも軽い気持ちで、“すぐ来れるし”という動機だった。馬車でゆっくり出ても昼には着ける距離。
魔物がたまには出る道も、魔物避けの馬車がよく通ればそれほど危険はない。
「老夫婦へのお土産にお茶と、買い物リストの品も揃ったし。」
ダリオスに町に戻る挨拶するには、どうするのが良いか。知り合った冒険者のことを思う。
フウに報せてもらうわけには行かないし、リンとは相性が良さそうだがそれも不確かだ。
カザンには面識がない。
警戒させるかもしれんか。
手紙で知らせるとか?冒険者ギルドを使うのに、目的は食事に行かないか?だった。
高級な店だが、良い肉料理を出す店。
「綺麗な姉ちゃんに興味は?」
「できれば静かなところでのんびりしたい」
「枯れてんなーと言いたいところだが賛成だ。」
そんな会話で、穴場や隠れ家的な店の話が出た。
クリスの方も、気になる場所は何箇所かある。カザンの情報も使って話し合った。
時期のものを食事に出す店もある。それなら、会える時に楽しめるものをと緩い約束をしている。
「町にある店を紹介してみるか。」
しかし、市場が有名な町らしく店は少ない。街のが店が多いからな。
「よし、商会の馬車が町に出るかで決めよう。」
商会に顔を出して、頼んでおいた品を確認した。
「今日のコーヒーはいかがです?」
苦味が強いと紹介され飲んだ。気に入ったので追加購入だ。
「かなり苦味があるな。」
「ええ、その分深い甘味の菓子と合うと思うんですよ!この黒糖という砂糖の一種なんですけど、
この独特の甘さが特におすすめです」
「白い砂糖よりクセがあるがうまいな。」
「これでお菓子をって頼んでいるんですが、なかなかコレというのがなくて良い案ないですかねー?」
「饅頭や団子とかか?」
素朴な味と相性が良さそうだ。
そんな話をひとと通りして、黒糖もオマケにもらい奥に通された。
「よくいらしてくださいました。買い物はできましたか?」
「全部揃ったよ。コーヒーの充実しているのが嬉しいね。」
「馬車ですが、昼過ぎに町へ出ますよ。」
「そうか。なら乗せてってもらえるかな?」
「喜んで」
この後、クリスは手紙を書き、冒険者ギルドへ寄って預ける。
宛先は、ダリオス。町に戻っていると報せ、また食事に誘ってくれとすぐ来れるとつけ添えた。
依頼人だったと勧誘の声はかけられず、貴族か?金持ちか?
その正体がわからず、ざわめかれたのは相変わらずのクリスの正体不明具合が理由だった。
こうして、短い滞在の街を堪能し古巣と言えそうな老夫婦の家に再び借り宿として過ごした。
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