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二章 パーティーメンバー

はたらく勇者さま!

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 ラーメンが美少女だったということがわかってから早二週間。
 俺はラーメンの観察をしていた。
 これは決してストーカーというものではない。
 そう、これは仲間の安全を確認したいという俺の善意からきた行為なのだ!
 ふむ、今はちょうど正午ぐらいか。
 もうすぐお昼の時間だな。今日は水曜日だからジャス教会の隣の店で食べるはずだから待ち伏せしてよう。

ー数十分後ー

 な、なぜこない!
 今日は水曜日のはず!
 もうとっくに注文し終えている時間帯なのに!

 そんなことを考えている間にマサキはなんらかのスキルによって身動きをとれなくなった。

「だ、誰かー!助けてくれー!」

 精一杯叫んだ。このままじゃラーメンのストー、安全確認が続行できない!

「今までずっとこそこそ何やってたのですか?」

 そこには『会いたい』とずっと願っていたラーメンがいた。

「え、えっとー....、ラーメンが安全かどうか確認をしていた限りでございます」

「嘘は僕に通じないよ。僕はこの二週間ずっとマサキの行動を観察してましたから」

 な、なんだと!観察していた側が、観察されていただと!
 ラーメンも俺に好意をもっているのか!?

「それで、得られた結果は....、まさしくストーカーというものだと判断したので警察に通報しました」

「お、お前がそんなことするはずないだろ。仲間同士での騙し合いはよそうじゃないかラーメン」

「いえ嘘ではございません。もうそろそろおまわりさん達がくるはずなので待っててくださいね」

 く、くそーーーーー!
 こんなところで諦めてたまるもんか!
 警察に通報された時のためにとっておいたスキルを今使ってやる!

「ふふっ、ラーメン。お前は俺を甘くみていたようだな。バディディサピアー!!」

 このスキルはかけられている行動不能状態を直し、さらに体を消し、一分間姿を消すというスキルだ!そうなるはずだったのだか、効果はなし....。

「僕も、甘くみられたもんですね。そのようなことをするのはお見通しでしたよ。だから魔力吸収の魔法を使ってマサキの魔力をゼロにしました」

「な、なにー!!」

 そんなことされたら魔法が唱えられないじゃないか!なにをしてくれる、このラーメンめ!
 帰ったらお尻ペンペンの刑に処してやる!まぁいつ帰れるか分かんないけどね♪

「僕を敵にまわしたことを刑務所で後悔するがいいです!あ、来ました。こっちでーすおまわりさーん」

 そして俺はその警察の方々に連れてかれた。
 一体いつ出れるのだろう....。

 警察の方々はいろんな質問をしてきた。

ー数時間後ー

「はぁー、マサキにはこりごりです。プロフィール欄に変態と書かれていたけれどここまで酷いだなんて思いましませんでした」

「でも、ストーカーされるってことはラーメンちゃんにそれだけの魅力があるって私は思うけどな」

「そうですよ、ラーメンさん!だがわたくし、ホットからしたらラーメンさんなんてまだまだお子ちゃまですから眼中にもございませんよ!」

「いや魅力とかの問題じゃなくて、いろいろとうざったらしいのですよマサキは」

「はははっ、それなラーメンちゃん。でもマサキはああ見えても本当に勇者だから、あんまりからかっちゃいけないよ」

 そんな雑談をしていたら、現在はマサキ達のパーティーの集会場となっていたタイターの家の扉が開いた。

「どなたですか?ノックぐらいはしてから入ってください!」

「そうよ、ここは元私の家なのよ!」

「いや、タイターさん。ここは今でもあなたの家ですよ」

「へぇ、そうだったの!?」

「やぁやぁぐっどいぶんにんぐだね、タイター、ラーメン、ホット」

 そこには捕まったはずのマサキがいた。

「げっ、なんでいるのですか?できることなら一生目の前に現れてほしくなかったのに....」

「ははぁー、もしかしてラーメンはツンデレなのかな?本当は俺に会いたくてたまらなかったくせに~」

 ガシャッ....。

 無言でマサキはラーメンに弓を向けられた。

「じょ、冗談だって。で、なんだったっけな?確か、なんでいるかって?それはもちろんラーメンと俺が赤い糸で結ばれているから……、ごめんごめん!嘘だよ!嘘!だから弓をおろして!」

 そこには矢を引いてマサキにうつ準備ができているラーメンがいた。

「真面目に答えなかったらうちます」

「え、えーっとね。あのあと警察の方々に『もうしません!』って何回も謝ったら『まぁ、一回だけなら許してあげよう』って言われてそれから現状に至る」

 この国の警察はそこまで甘いのか。と心で叫んでいるラーメンがいた。

「そして、こんなことをしたラーメンにはお尻ペンペンの刑をしなければ!」

 変な目をしてやってきた変態をラーメンは射抜いた。

 もう、嫌。

 と心に呟くラーメンであった。
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