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第一章 逆断罪劇からのクズざまぁ編
40.もし常人でも勝ち目ある手段となれば……(SIDE:アーデル) ※ クズ2度目のざまぁ回(その5)
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論理も何もないクズ相手に口先だけで丸めこむシィプシィ。
その姿は頼もしいの一言だった。
この場にマイヤーが居ないから余計に頼もしく思うと同時に、別の意味で安堵もしていた。
(本当、こういった暗黒面をクラーラに伝授してくれなくてよかったわ)
アーデルはほっとするも、真実は違った。
シィプシィはクラーラにもしっかり腹黒部分を伝授しているのだが、アーデルはクラーラを盲目的に溺愛するあまりその事に気付いてなかった。
自分に都合のよいフィルターを備えてる辺りはアーデルもある意味クズと同類なのかもしれない……
「シシィ嬢。続きを……」
「……わかりました。次は不眠不休の労働でしたね」
ペーターからの催促に一瞬怪訝な顔をみせたシィプシィであるも、何事もなく次の話題へ移る。
「不眠不休の原因は準備期間の短さです。この規模の催しであるなら最低でも一週間の猶予が必要です。その猶予が三日であれば不眠不休で行わなければ到底間に合わないので不眠不休は必然でしょう」
「マイヤーは三日で行けると言ってたぞ。実際、ちゃんと開催できてるじゃないか!!」
「だから、皆が不眠不休で働いたからですよ。おまけに予算も相場の半分以下なせいで、無茶を承知で働いてくれた者達にろくな給金も払えないときた。もう鬼はどちらかって話です」
「そ、それでも!アーデルが無理やり働かせた事には変わりない!つまり、鬼は」
「王命には国民を強制的に働かせるだけの力があります!!その強制労働を促すような王命を出したのは誰ですか!!!」
「うっ」
怒気を込めたシィプシィの言葉に思わずたじろぐクズ。
ただアーデルからしてみれば、その強制労働を促す依頼をそのまま受理したのは誰だっと突っ込みたくなる言葉でもあった。
商業ギルドは国政とは切り離された独立組織であり、国境を超えた各国にも根を張る巨大組織。
王命でも突っぱねようと思えば突っぱねる権利を行使できる。
無理難題とも言えるような王命であれば、なおさらだ。
だというのに受理したということは、不眠不休での労働は商業ギルド側にも少なからず責任あるのだが……
(そのあたりを上手い具合にぼかして糾弾してるのはさすがだわ)
「まだまだ言いたいことはたくさんあります!!貴方は責任者という立場にもかかわらず現場に全く顔を出さない。書類も見ない。これでは不正してくださいと言ってるようなものです!!おまけに忙しい中で代理責任者を態々呼び出して遊び歩いていたとも……」
「あ、遊んでるわけでは……」
「あー遊びではなく本気ですか。婚約者がいる身ですでに婚約が決まっている令嬢と……サイテーですね」
「ち、違う……俺とクラーラは真実の愛で繋がってるんだ!!アーデルに望まない婚約を強要されたクラーラを救うために……」
「ほぉほぉ、望まない婚約ですか。一応言っておきますが、クラーラ様の婚約は貴方の父君。国王様も絡んでます。トビアス国王陛下の勅命なので、しがない王太子妃に過ぎないアーデル様ではどうしようもありませんよ。皆様方の言葉を借りるなら、アーデル様は無能なのでなおさら……ね」
(いやいや、国王陛下の勅命は山吹色のお菓子を持参したお父さんとお母さんによるONEGAI攻撃で半ば無理やり出させたものだし!下手すれば勅命の私用化で訴えられかねない案件だからあんまり掘り返させないで!!!)
アーデルは必死に心の中で弁明するも、シィプシィは止まらない。
本来ならこちら側に非があるようなものであっても、絶妙な言い回しによってクズに非があるようにみせかける。
よく考えれば違和感や矛盾等に気付けるようなものでも、察しの悪いクズでは気付かない。
(でも、こうやって気付けるのは第3者目線で冷静に聞いてるからであって、当事者になれば全く気付かないのよね。そうしてペースを完全に握られたらもうなすすべなし。もし常人でも勝ち目ある手段となれば……)
「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!いい加減にしろぉぉぉぉぉ!!!!」
口で勝てないなら力で勝つ。
つまり、暴力に訴えかけるという非常にシンプルな手段だ。
ただし、それがシィプシィに通じるかはまた別問題であった。
その姿は頼もしいの一言だった。
この場にマイヤーが居ないから余計に頼もしく思うと同時に、別の意味で安堵もしていた。
(本当、こういった暗黒面をクラーラに伝授してくれなくてよかったわ)
アーデルはほっとするも、真実は違った。
シィプシィはクラーラにもしっかり腹黒部分を伝授しているのだが、アーデルはクラーラを盲目的に溺愛するあまりその事に気付いてなかった。
自分に都合のよいフィルターを備えてる辺りはアーデルもある意味クズと同類なのかもしれない……
「シシィ嬢。続きを……」
「……わかりました。次は不眠不休の労働でしたね」
ペーターからの催促に一瞬怪訝な顔をみせたシィプシィであるも、何事もなく次の話題へ移る。
「不眠不休の原因は準備期間の短さです。この規模の催しであるなら最低でも一週間の猶予が必要です。その猶予が三日であれば不眠不休で行わなければ到底間に合わないので不眠不休は必然でしょう」
「マイヤーは三日で行けると言ってたぞ。実際、ちゃんと開催できてるじゃないか!!」
「だから、皆が不眠不休で働いたからですよ。おまけに予算も相場の半分以下なせいで、無茶を承知で働いてくれた者達にろくな給金も払えないときた。もう鬼はどちらかって話です」
「そ、それでも!アーデルが無理やり働かせた事には変わりない!つまり、鬼は」
「王命には国民を強制的に働かせるだけの力があります!!その強制労働を促すような王命を出したのは誰ですか!!!」
「うっ」
怒気を込めたシィプシィの言葉に思わずたじろぐクズ。
ただアーデルからしてみれば、その強制労働を促す依頼をそのまま受理したのは誰だっと突っ込みたくなる言葉でもあった。
商業ギルドは国政とは切り離された独立組織であり、国境を超えた各国にも根を張る巨大組織。
王命でも突っぱねようと思えば突っぱねる権利を行使できる。
無理難題とも言えるような王命であれば、なおさらだ。
だというのに受理したということは、不眠不休での労働は商業ギルド側にも少なからず責任あるのだが……
(そのあたりを上手い具合にぼかして糾弾してるのはさすがだわ)
「まだまだ言いたいことはたくさんあります!!貴方は責任者という立場にもかかわらず現場に全く顔を出さない。書類も見ない。これでは不正してくださいと言ってるようなものです!!おまけに忙しい中で代理責任者を態々呼び出して遊び歩いていたとも……」
「あ、遊んでるわけでは……」
「あー遊びではなく本気ですか。婚約者がいる身ですでに婚約が決まっている令嬢と……サイテーですね」
「ち、違う……俺とクラーラは真実の愛で繋がってるんだ!!アーデルに望まない婚約を強要されたクラーラを救うために……」
「ほぉほぉ、望まない婚約ですか。一応言っておきますが、クラーラ様の婚約は貴方の父君。国王様も絡んでます。トビアス国王陛下の勅命なので、しがない王太子妃に過ぎないアーデル様ではどうしようもありませんよ。皆様方の言葉を借りるなら、アーデル様は無能なのでなおさら……ね」
(いやいや、国王陛下の勅命は山吹色のお菓子を持参したお父さんとお母さんによるONEGAI攻撃で半ば無理やり出させたものだし!下手すれば勅命の私用化で訴えられかねない案件だからあんまり掘り返させないで!!!)
アーデルは必死に心の中で弁明するも、シィプシィは止まらない。
本来ならこちら側に非があるようなものであっても、絶妙な言い回しによってクズに非があるようにみせかける。
よく考えれば違和感や矛盾等に気付けるようなものでも、察しの悪いクズでは気付かない。
(でも、こうやって気付けるのは第3者目線で冷静に聞いてるからであって、当事者になれば全く気付かないのよね。そうしてペースを完全に握られたらもうなすすべなし。もし常人でも勝ち目ある手段となれば……)
「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!いい加減にしろぉぉぉぉぉ!!!!」
口で勝てないなら力で勝つ。
つまり、暴力に訴えかけるという非常にシンプルな手段だ。
ただし、それがシィプシィに通じるかはまた別問題であった。
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