異世界における英雄とアヴェンジャーのあり方は。

朱音めあ

文字の大きさ
8 / 80
1章

日常 02

しおりを挟む

「はぁ、どうせ異世界に来たのなら、可愛い女の子がパートナーになってくれるとか、あってもいいのなぁ」


 例えば。

(フローラさんとか? いやでもセンリさんと班を組んでいるし・・・他には、シンキさんとか? いや、シンキさんは怖そうだ。僕じゃ絶対無理だわ・・・)

「って、何考えてんだろ、僕は」

 溜息を吐きながらコハクが林の奥へ進んでいくと、大きな川が現れた。


 この川がCランクとBランクを区切る一つのラインであり、川を越えた先は危険度が上がりBランクの地域とされている。

 中には川を越えて渡って来る魔物も居る為、こういったランク境界線の付近は危険とされている。


「しょうがない、この辺で魔物を探すか」

 コハクは警戒しながら周囲を探索すと、すぐに道の脇から植物型の魔物が現れる。

 3体も束になっているが、コハクは魔物の蔓を剣で切り裂き、一匹づつ確実に仕留めていく。


「やっぱり、魔物の数が多い・・・」

 倒した魔物から魔力を吸収するコハク。


 その時、川の方から音が聞こえる。

 コハクが振り向くと、何かが川の中から這い出してくるのが見える。


「なんだ、見た事ない魔物・・・?」

 海老の様な甲殻類に見えるが、頭部に付いている大きい口に、人と同じような歯が並んでおり、奇妙な姿をしている。

 大きさは大型犬よりも一回り大きく、胴体から生えた4本の脚で陸を歩行している。

 目らしい部位はついておらず、視力があるのかわからないが、甲殻類の魔物は真っ直ぐコハクの方へ接近してくる。


「あー、くそっ。寄ってくるのは女の子じゃなくて魔物かい・・・」

 コハクは剣を振り上げ、接近してきた甲殻類の魔物へ振り下ろす。


「・・・っ、硬い!?」

 刃が魔物の頭部を斬り付けるが、甲羅が硬い為か両断は出来ずに刃は途中で止まっている。

 魔物は威嚇する様に不気味な口を開き、コハクに襲いかかる。

 コハクは魔法弾を生成し、大きく開いた魔物の口内へ向けて放つ。

 魔物の口内へ入った魔法弾が炸裂し、魔物の頭部が吹き飛ぶ。

「よし、この程度なら・・・ッ!?」


 魔物を倒し一安心するコハクだったが、川を見ると、同じ甲殻類の魔物が次々と岸に這い上がっていた。

 そのうえ、中には人よりもずっと身体の大きなものも見える。


「うぇ・・・!? これはちょっとまずいかも」

 コハクは後退しながら、接近してきた小さい甲殻類の魔物の口内に剣を突き刺し、インヴェイションで魔力を奪い止めを刺す。


 身体の小さい魔物はすばしっこく動き回るが、身体の大きな物はあまり素早く動くことはないらしい。

 これなら逃げ切きる事は出来そうだと安心するコハク。


 だが、コハクが草むらに入り込んだその時、草むらの中から伸び出した蔓がコハクの足に絡みつく。


「うっ!?」

 コハクは蔦を振りほどこうとするが、態勢を崩し転倒してしまった。

 コハクはすぐに剣で蔓を切断すると、草むらから現れた植物型の魔物を切り倒す。


 しかし、立ち上がろうとするコハクへ小型の甲殻類がコハクに襲いかかる。

 すぐに剣を構えるが、甲殻類の魔物が剣の刀身に喰らい付く。

 そうしているうちに、また別の植物型の魔物が蔓を伸ばしコハクの足に絡みつく。



「くそっ!!!」

 コハクは、剣に喰らい付いている甲殻類型の腹部に片手を当て、魔法弾を撃ち込む。


 魔法が炸裂し、甲羅で覆われていない柔らかい腹部を吹き飛ばす。

 コハクは足に絡みつく蔓を引き剥がして立ち上がるが、魔物の群れがすぐ傍まで迫っていた。

 逃げようと林を進むコハクだが、道の脇から生えた植物型の魔物がコハクを捕えようと蔓を伸ばす。


 先程までは弱いと思っていた植物型の魔物も、状況が変わると非常に厄介である。

 そうして魔物の蔓を処理している間に、追い付いてきた甲殻類の群れが襲い来る。


「ぐっ・・・!!!」


 逃げ切れない。

 コハクがそう思った瞬間。


 魔物の群れが、後方から順に次々と切り倒されていく。


「な、何・・・!?」


 突然細切れになっていく魔物の姿に、困惑するコハク。

 更に、巨大な魔物もどこからか放たれた光線で焼き払われ、一瞬で灰となる。



「やけに魔物が多いな」

「この程度ならすぐに片付きます」


 現れた兵士達に、コハクは見覚えがあった。


 センリに、式利。そして後から二人を追って来るのは、竜を連れたアルスフォードに、フローラであった。

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ

月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。 こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。 そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。 太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。 テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

処理中です...