異世界における英雄とアヴェンジャーのあり方は。

朱音めあ

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3章

反乱の表の戦場

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「魔物から離れろ!!! 隠れている反乱者共を狙え!!!」

 一人の兵士がそう呼びかけながら、街を走る。

 店や他の建物は破壊され、街は大地震が起きたかの様な有様である。


 そんな瓦礫の中、黒い巨体の魔物・ビーストが兵士を叩き潰そうと追い掛け回す。

 ビーストは、太く強靭な腕に鋭い爪を振り回し、牙の生えた顎で兵士達に喰らいつこうと襲い掛かる。


「クソッタレの魔物め・・・」

 魔術士達の放つ魔法弾がビーストに命中し炸裂する。

 優勢とは言えないが、ビーストには確実にダメージが蓄積している。

 なんとかなる。兵士達は、そう思った。  

 
 だが、その時。

「・・・ッ!?」

 ビーストと交戦する兵士達へ、魔術師へと、魔法の弾丸が降り注いだ。

「なっ、魔法か・・・!?」
 

 反乱者による、魔術器の射撃だ。

 魔術士達は、結界で魔法を防ぎながら大きな瓦礫の影に避難し、なんとかその射線から逃れた。


「ぐっ・・・おい、大丈夫か?」
 
「あぁ。少し手を焼かれただけだ」

 多少の魔法であれば結界が防いではくれるが、しかしいくつかのは攻撃は結界を潜り抜け、魔術士達を傷つけた。
  
「くそ。魔物を攻撃しようとすれば、反乱者共が邪魔をしてくる。
かといって反乱者共の相手をしていたら、今度は魔物が好き放題暴れやがる。面倒なやつらだ・・・」


 その時。

 魔術士達の前に、瓦礫を砕きビーストが現れた。

 先程交戦していた奴ではない。

「なっ、魔物が・・・もう一体!?」

 更に。

 その後ろには、更に黒い巨体が一体見える。

 
「クソ、1体だけでも苦戦してるってのに、3体もいるのかよ・・・!」
 
 終わりか。3人の魔術士達はそう感じた。

 ビーストが鋭い爪の生えた腕を一歩踏み出し、魔術師達に向かい突進する。


 だが、その瞬間。
 
「・・・っ!?」

 魔術士達の前に、上空から銀色の物体が、複数体落下してくる。
 
「なん・・・だ?」 


 それは、身長2メートルはあるであろう人型の姿で、甲冑兵の鎧で覆われていた。

 そして、突進してくるビーストと、銀色の甲冑兵が衝突する。

 ビーストは、1体の甲冑兵に噛み付くが、しかし他の甲冑兵が剣を振るい、ビーストを突き刺し応戦する。


「なんだ、あのデカイ兵士は。上から来たのか!?」

 空を見上げる魔術士達。

     
「くはっははっは!!! 随分と好き勝手暴れている様だな!!!」

 そこには、大きな鳥の使い魔、そしてその背に乗ったアルスフォードがいた。
 
 アルスフォードは両手で大量のカードを取り出すと、そのカードから魔力の光が放たれる。

 そして、幾つもの甲冑兵が生成され、地上のビーストへ向かい落下していく。


「我が使い魔、蹂躙せよ」

 数十体もの甲冑兵が降り立ち、そしてビーストへ向かい突っ込み、剣を振るう。
 
 2体のビーストと、数十体の甲冑兵が、激しい乱闘を始める。
 
 ビーストの爪が甲冑兵の鎧を貫く。

 しかし痛覚などない甲冑兵達は、怯まずに剣を振るい、魔物の身体を削ぎ落としていく。


「・・・よし!!! 今だ、攻撃を再開するぞ!!!」

 呆気にとられていた魔術士達だが、アルスフォードが駆けつけた事をきっかけに、再び戦闘を始める。


「反乱者共を狙うぞ! 反乱者共の攻撃から、あの鉄の兵士を守れ!」

 反乱者達は甲冑兵を倒そうと、魔法の弾丸を乱射するが、
 魔術士達は反乱者へ向け魔法を放ち、攻撃の隙を与えない。


「真っ向勝負なら、負ける訳にはいかないな」

 ただの撃ち合いとなれば、反乱者よりも魔術師達の方が圧倒的に強いだろう。

 魔術士達の放つ魔法が、反乱者達を撃ち抜いた。

 


***


   
「・・・ん? なんだ。もう1体いたのか」

 3体目のビーストが、魔術士達へ向かって駆け抜ける。

 それを発見したアルスフォードは、鳥の使い魔の高度を下げ、ビーストへと接近した。

 そして一枚のカードを取り出すと、アルスフォード自身よりも大きな剣を生成する。


「裁きを受けよ、魔物―――」

 アルスフォードが巨大な剣を投擲し、放たれた剣がビーストを貫く。

 唸り声を上げるビースト。 

 しかし、それでもなお、黒い巨体は前へ突き進もうとしている。

「ふむ、しぶといな」

 降下して魔物に接近するアルスフォード。

 そして、魔物に突き刺さった剣を掴み、その勢いで、その魔物を真っ二つに切り裂いた。

 今度こそ、ビーストは動かなくなり、その場に崩れ落ちた。 


「くっくっく。我の敵ではないな・・・ん?」

 が、満足そうな表情のアルスフォードの真横を、魔法の弾丸が通過する。

「おわっ。まだ敵がいたか!」

 数人の反乱者が、建物の屋上からアルスフォードを狙い魔術器を発砲している。


「・・・いいだろう」

 アルスフォードは巨大な剣を持ったまま、使い魔の怪鳥を操り、反乱者たちのいる建物へ接近する。

 複数の魔法弾がアルスフォードへ向け放たれるが、高速で飛行するアルスフォードを捕らえることは出来ない。


「我がいくらでも相手してやるぞ!!!」

 距離を見計らい、アルスフォードは剣を振り上げ、そしてそれを投擲する。

 アルスフォードの手から放たれた大剣は、腕力だけでなく魔力より推進力を得て加速し、
勢いを増して、反乱者達がいる建物を貫き、そして破壊する。

 建物は崩れ、屋上にいた反乱者達はそれに巻き込まれて落下していった。



*** 



 やがて、放たれた魔物は全て絶命し、勝ち目が無いと感じた反乱者達は、撤退し始めた。
 
 崩れた街の中で、勝利を喜ぶ兵士達の歓声が響いた。

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