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【第4章】『脳筋騎士と庇護欲フラグ ~その正義、空回りにござる~』
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カイル・バークレイ。
代々王国に仕える名門騎士の家に生まれた彼は、燃えるような赤い短髪と、いつも全力な声が特徴の少年だ。
クラスメイトの中でも、誰よりも正面から物を言い、曲がったことが嫌いな熱血漢。
ただし、問題があるとすれば──
「女子や弱き者は守ってナンボ!」
と、若干勘違い気味な“騎士の精神”を、全力で実行しようとするところだった。
「あの子、確か婚約者がいるって聞いたけど……」
私はそう呟きながら、遠巻きに彼の様子を見ていた。
「ならば、なおのことあの手の接触は不適切だわ。婚約者がいるなら、その立場を弁えるべきよ」
目の前には、ヒロインに寄り添うように過剰な心配を見せるカイルの姿。
……それだけならまだしも、周囲の者に対して「女子を泣かせるとは最低!」と怒鳴っているのだから、手に負えない。
「姉上、落ち着かれよ」
レオが横から囁く。
「あの者は“騎士テンプレ”でござる。理性で説得するより、今は距離を取るのが最適解」
「でも……あの調子じゃ、ヒロインも変に期待しちゃうかもしれないわ」
「それがフラグというものですぞ。拙者が姉上を遠ざけておきますゆえ、どうか黙って微笑んでいてくだされ」
「またそれ……」
そして、私は静かにその場を離れた。
たぶん、今私が動いたら“怒れる悪役令嬢”完成コースだというのは、もう理解している。
ルルナ嬢の立ち居振る舞いは、日を追うごとに注目を集めていた。
しかしそれは、必ずしも好意的な意味ではなかった。
「ユリウス様ってほんっと優しいんですよね~!」
と授業中の発言で、教師の言葉を遮ってしまうこともあれば、
「えーっと、この字、何でしたっけ? 読めないです!」
と無邪気に発言し、先生に「基本の古語だ」と苦笑される場面も多かった。
最初こそ「庶子出身だものね」「微笑ましいわ」と見られていたが、
日を重ねるごとに、上位貴族の令嬢たちは次第に眉をひそめ始めた。
「やっぱり、育ちって出るのね……」
「殿下と親しげに話すのも、ちょっと見ていられないわ」
――そんな小さなさざ波が、教室の空気を確かに変えていた。
そして事件は、ある日の放課後に起きた。
「……え?」
教室に戻ったルルナが、机の上に置いた教科書を見て凍りついた。
分厚いその本は、真ん中からざっくりと破られ、表紙が裂けていた。
「……ひどい……どうして……?」
手に取る彼女の指が震える。
「わたし、なにもしてないのに……ただ、みんなと仲良くなりたかっただけなのに……」
彼女の声は、教室の壁に吸い込まれていくようにかすれていた。
「……やっぱり、わたしが平民上がりだから……? 貴族の人たちから見たら、こんなわたし、迷惑なの……?」
潤んだ瞳と、か細い声。
まるで“守ってあげたくなる存在”を演じるかのようなその姿に、
教室の片隅で見ていた私の背筋に、冷たいものが走った――
次の瞬間。
「おい、誰がやったんだ!」
その声は、燃えるような赤髪と共に響いた。
カイル・バークレイ。
代々騎士の家に生まれた、私たちのクラスメイトだった。
彼は机に突っ伏すルルナを一瞥し、ぐっと肩を抱いた。
「こんなこと、絶対に許されない……! ルルナ嬢、大丈夫か!?」
泣きそうな顔でうなずくルルナ。
その様子に、カイルは一段と声を荒げた。
「犯人は誰だ!出てこい!」
「こんな卑怯なマネをするなんて、騎士の名を汚す最低の行為だ! 貴族以前に人間として失格だぞ!」
私は、思わず立ち上がりかけた。
だがその袖を、となりの席から伸びてきた手が止めた。
「姉上、今は発言を控えるのが吉にござる……」
レオの声は低く、しかしいつものごとく異様に冷静だった。
「……でも、カイルくんは婚約者がいるはずなのに、あんな風に肩を……」
「そこが最大の“問題点”なのでござるよ姉上。拙者の分析を聞いてくだされ」
「まず第一段階ルルナ殿の涙イベントが発生→それに反応して登場する“ヒーローポジ男子”→その場で感情を爆発させヒロインを庇う→そして肩に手をかけるという過剰なボディタッチ……この一連の流れは完全に乙女ゲー初期の“庇護欲ルート”に突入しておる」
「……わかるようで、わからないわ」
「続けますぞ! ここで発言内容にも注目“こんな可愛い子に嫉妬して嫌がらせするなんて許せない!”と叫ぶパターンが定番でござるが、これは女子全体を悪に分類する暴言にして、好感度上昇+敵対令嬢ポジションを明確化する罠なのでござる!」
私は息を呑んだ。
「……たしかに、冷静に見ると、問題だらけよね」
「然り。クラス全員を疑うような物言い、そして婚約者の存在を無視した馴れ馴れしい接触。どれを取っても倫理的にアウトでござる」
「……わたし、前世でああいうことしたかもしれないわ。正義感で突っ走って、逆に周りを傷つけてた」
「姉上、進化なされた。今の姉上は断罪ルートに足を踏み入れておりませぬ」
「それ、褒めてるつもり?」
「もちのろんでござるよ! デュフフッ!」
……ああ、また気持ち悪い笑い方が出た。
けれど今回は、ちょっとだけ助かった気がした。
「いいか、俺は絶対に見つけ出すからな!」
拳を握りしめ、教室の中心でカイルが声を張り上げる。
「ルルナ嬢にこんな真似をするなんて……どうせ婚約者に相手にされない女子の嫉妬だろ! お前ら、それでも貴族かよ!」
……静まり返る教室。
その場にいた女子の一部が、肩を震わせて目を伏せた。
私は喉元まで出かかった言葉を、ぎりぎりで飲み込んだ。
今、この場で何か言ったら――きっと私は、全員の敵になる。
“婚約者がいるのに他の女子に肩を抱いて庇う”
“根拠もなくクラス全体を敵視する”
“被害者に味方するふりをして、ただ自分の正義感を満たしているだけ”
……すべてが、前世の“自分の未熟さ”を見ているようだった。
「姉上」
レオが、私の後ろで小さく呟く。
「離れましょう。これは姉上が加わるべき物語ではありませぬ」
「……そうね」
私はゆっくりとその場を後にした。
後ろでルルナが、カイルの腕の中で静かにうなずいているのが見えた。
(……どうか、あの子たちが無闇に傷つかないで済みますように)
教室を出てから、私は小さく息を吐いた。
「で、どうだった? 拙者の分析」
レオが得意げに前髪をかき上げようとして、目に刺さったらしく「いってっ」とつぶやいた。
「……まあ、役に立ったわよ。今回に限っては、ね」
「ふふふ、姉上の評価が“今回に限っては”から“いつも信頼してる”に変わる日も遠くないでござるな!」
「それは永遠に来ないわ」
「デュフッ」
……でも、やっぱりこの子がそばにいてくれて、よかったと思う。
代々王国に仕える名門騎士の家に生まれた彼は、燃えるような赤い短髪と、いつも全力な声が特徴の少年だ。
クラスメイトの中でも、誰よりも正面から物を言い、曲がったことが嫌いな熱血漢。
ただし、問題があるとすれば──
「女子や弱き者は守ってナンボ!」
と、若干勘違い気味な“騎士の精神”を、全力で実行しようとするところだった。
「あの子、確か婚約者がいるって聞いたけど……」
私はそう呟きながら、遠巻きに彼の様子を見ていた。
「ならば、なおのことあの手の接触は不適切だわ。婚約者がいるなら、その立場を弁えるべきよ」
目の前には、ヒロインに寄り添うように過剰な心配を見せるカイルの姿。
……それだけならまだしも、周囲の者に対して「女子を泣かせるとは最低!」と怒鳴っているのだから、手に負えない。
「姉上、落ち着かれよ」
レオが横から囁く。
「あの者は“騎士テンプレ”でござる。理性で説得するより、今は距離を取るのが最適解」
「でも……あの調子じゃ、ヒロインも変に期待しちゃうかもしれないわ」
「それがフラグというものですぞ。拙者が姉上を遠ざけておきますゆえ、どうか黙って微笑んでいてくだされ」
「またそれ……」
そして、私は静かにその場を離れた。
たぶん、今私が動いたら“怒れる悪役令嬢”完成コースだというのは、もう理解している。
ルルナ嬢の立ち居振る舞いは、日を追うごとに注目を集めていた。
しかしそれは、必ずしも好意的な意味ではなかった。
「ユリウス様ってほんっと優しいんですよね~!」
と授業中の発言で、教師の言葉を遮ってしまうこともあれば、
「えーっと、この字、何でしたっけ? 読めないです!」
と無邪気に発言し、先生に「基本の古語だ」と苦笑される場面も多かった。
最初こそ「庶子出身だものね」「微笑ましいわ」と見られていたが、
日を重ねるごとに、上位貴族の令嬢たちは次第に眉をひそめ始めた。
「やっぱり、育ちって出るのね……」
「殿下と親しげに話すのも、ちょっと見ていられないわ」
――そんな小さなさざ波が、教室の空気を確かに変えていた。
そして事件は、ある日の放課後に起きた。
「……え?」
教室に戻ったルルナが、机の上に置いた教科書を見て凍りついた。
分厚いその本は、真ん中からざっくりと破られ、表紙が裂けていた。
「……ひどい……どうして……?」
手に取る彼女の指が震える。
「わたし、なにもしてないのに……ただ、みんなと仲良くなりたかっただけなのに……」
彼女の声は、教室の壁に吸い込まれていくようにかすれていた。
「……やっぱり、わたしが平民上がりだから……? 貴族の人たちから見たら、こんなわたし、迷惑なの……?」
潤んだ瞳と、か細い声。
まるで“守ってあげたくなる存在”を演じるかのようなその姿に、
教室の片隅で見ていた私の背筋に、冷たいものが走った――
次の瞬間。
「おい、誰がやったんだ!」
その声は、燃えるような赤髪と共に響いた。
カイル・バークレイ。
代々騎士の家に生まれた、私たちのクラスメイトだった。
彼は机に突っ伏すルルナを一瞥し、ぐっと肩を抱いた。
「こんなこと、絶対に許されない……! ルルナ嬢、大丈夫か!?」
泣きそうな顔でうなずくルルナ。
その様子に、カイルは一段と声を荒げた。
「犯人は誰だ!出てこい!」
「こんな卑怯なマネをするなんて、騎士の名を汚す最低の行為だ! 貴族以前に人間として失格だぞ!」
私は、思わず立ち上がりかけた。
だがその袖を、となりの席から伸びてきた手が止めた。
「姉上、今は発言を控えるのが吉にござる……」
レオの声は低く、しかしいつものごとく異様に冷静だった。
「……でも、カイルくんは婚約者がいるはずなのに、あんな風に肩を……」
「そこが最大の“問題点”なのでござるよ姉上。拙者の分析を聞いてくだされ」
「まず第一段階ルルナ殿の涙イベントが発生→それに反応して登場する“ヒーローポジ男子”→その場で感情を爆発させヒロインを庇う→そして肩に手をかけるという過剰なボディタッチ……この一連の流れは完全に乙女ゲー初期の“庇護欲ルート”に突入しておる」
「……わかるようで、わからないわ」
「続けますぞ! ここで発言内容にも注目“こんな可愛い子に嫉妬して嫌がらせするなんて許せない!”と叫ぶパターンが定番でござるが、これは女子全体を悪に分類する暴言にして、好感度上昇+敵対令嬢ポジションを明確化する罠なのでござる!」
私は息を呑んだ。
「……たしかに、冷静に見ると、問題だらけよね」
「然り。クラス全員を疑うような物言い、そして婚約者の存在を無視した馴れ馴れしい接触。どれを取っても倫理的にアウトでござる」
「……わたし、前世でああいうことしたかもしれないわ。正義感で突っ走って、逆に周りを傷つけてた」
「姉上、進化なされた。今の姉上は断罪ルートに足を踏み入れておりませぬ」
「それ、褒めてるつもり?」
「もちのろんでござるよ! デュフフッ!」
……ああ、また気持ち悪い笑い方が出た。
けれど今回は、ちょっとだけ助かった気がした。
「いいか、俺は絶対に見つけ出すからな!」
拳を握りしめ、教室の中心でカイルが声を張り上げる。
「ルルナ嬢にこんな真似をするなんて……どうせ婚約者に相手にされない女子の嫉妬だろ! お前ら、それでも貴族かよ!」
……静まり返る教室。
その場にいた女子の一部が、肩を震わせて目を伏せた。
私は喉元まで出かかった言葉を、ぎりぎりで飲み込んだ。
今、この場で何か言ったら――きっと私は、全員の敵になる。
“婚約者がいるのに他の女子に肩を抱いて庇う”
“根拠もなくクラス全体を敵視する”
“被害者に味方するふりをして、ただ自分の正義感を満たしているだけ”
……すべてが、前世の“自分の未熟さ”を見ているようだった。
「姉上」
レオが、私の後ろで小さく呟く。
「離れましょう。これは姉上が加わるべき物語ではありませぬ」
「……そうね」
私はゆっくりとその場を後にした。
後ろでルルナが、カイルの腕の中で静かにうなずいているのが見えた。
(……どうか、あの子たちが無闇に傷つかないで済みますように)
教室を出てから、私は小さく息を吐いた。
「で、どうだった? 拙者の分析」
レオが得意げに前髪をかき上げようとして、目に刺さったらしく「いってっ」とつぶやいた。
「……まあ、役に立ったわよ。今回に限っては、ね」
「ふふふ、姉上の評価が“今回に限っては”から“いつも信頼してる”に変わる日も遠くないでござるな!」
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