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【第5章】 痛い?可愛い?それってあなたの感想ですわぴょん♪
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縦割り実習の延長日。
裁縫室から道具運びを終えたレオとマリエッタは、中庭の石畳を歩いていた。
マリエッタはいつも通り、
「ふふっ、今日も楽しくなりそうですわね~♪ぴょん☆」
と、明るくツインテールを揺らしていた。
――そのときだった。
「また“ぴょん”とか言ってるよ……」
「本当ウザ……ぶりっこ通り越して、もうあざといでしょ」
「男子とばっか仲良くして、媚びてるつもり? 痛いんだけど」
近くの植え込みの陰から、女子数人のくぐもった声が聞こえた。
わざとらしいトーン。声の大きさ。
聞こえているのが前提の“陰口”。
レオは隣を歩くマリエッタにぎょっと目を向けた。
マリエッタは――確かに、聞こえているはずだった。
なのに、笑っていた。
「さっ、レオ様。次の課題に向かいましょう♪ぴょん!」
にこりと笑うその表情は、どこまでも明るく、涼やかだった。
まるで何も聞こえていないように――
「マ、マリエッタ殿……今の……!」
「うふふっ? どうかなさいましたの、レオ様?」
(ち、ちがう……聞こえてたはずだ。あれだけの言葉を……でも……)
レオは息を呑んだ。
(この方……芯が……強い……!)
そう感じたのは、マリエッタの笑顔が“演技”に見えなかったからだ。
毅然として、堂々として――それでいて、柔らかく人を気遣うような、優しい微笑み。
だが、同時にレオの胸に、奇妙な不安がよぎった。
(……でも、本当は……傷ついておらぬか……?)
(拙者が今、隣にいることで、平気なフリをしておらぬか……?)
いつもならぴょんぴょん語りで舞い上がるはずの自分が、
今はただ、彼女の背中に心を掴まれていた。
---
(あのぴょんは、本当に心からの笑顔だったでござるか?
それとも、誰にも見せぬ痛みを飲み込んだ、強がりのぴょん……!?)
――その瞬間、レオの胸に何かが溢れた。
これまでずっと、自分は守られる側だとばかり思っていた。
マリエッタは“可愛い存在”で、自分の推しで、憧れで――
でも、今は違った。
「マリエッタ殿っ……!!」
マリエッタが驚いて振り返る。
「れ、レオ様……?」
「拙者は、どうしても……どうしても申し上げたいことがあるのでござる!!」
「え……あ、はい?」
(いけ……今しかない!)
「マリエッタ殿のぴょんはっ……魂の光でござる!!」
「えっ?」
「ぴょんは決意の印! 可愛さの構築型演算! 表層で笑う者どもには届かぬ深淵なる美学ッ!
ツインテールは神の造形美、発声トーンは高次元癒し波動、所作は異世界外交水準ッ!
“痛可愛い”などと嘲る者は、ぴょんの持つ強さを知らぬ愚か者でござる!!」
マリエッタがぽかんと口を開けている間も、レオは止まらない。
「ぴょんで笑うな! ぴょんは盾であり、剣であり、愛であり戦術なのでござる!
わかる者だけわかればよい!
拙者は、その“わかる者”でありたいのでござるぅぅぅ!!」
最後は、両手を胸に当てて叫ぶように――
「だから申し上げます! マリエッタ殿のぴょんは……!
正義でござる!!!」
---
マリエッタはしばし無言でレオを見つめ――
やがて、肩をふるふると揺らしながら、ぱっと笑った。
「……まぁ。レオ様ってば……本当に面白い方ですわね」
その笑顔は、いつものようにキラキラしていて、
だけどどこか――ほんの少し、目元が柔らかく、あたたかかった。
それを見たレオは、
(ぴょんに……微笑まれた……)と崩れ落ちそうになるのをこらえた。
レオが魂の絶叫を終えた後。
マリエッタはツインテールを揺らしながら、ほんの少し頬を染めて言った。
「……“正義”って、ちょっと大げさですけど……」
「でも、マリエッタ殿のぴょんは世界を救う力を秘めておるのでござる!」
「ふふっ……そうですわね。レオ様がそう仰るなら、きっとそうなのでしょう♪」
そう言って、彼女はくるんと笑って歩き去っていった。
残されたレオは、ベンチにへたり込んだまま天を仰ぐ。
「……拙者、やってしまったでござるな……。でも……言えてよかったでござる……」
---
その夜――
寮の部屋の窓辺で、マリエッタは手帳を広げていた。
キラキラシールが貼られた今日のページ。
そこに、さらさらと筆記体のような文字で記されていく。
《レオ様からの激励発言記録》
・“ぴょんは魂の光”
・“わかる者だけがわかればよい”
・“マリエッタ殿のぴょんは正義”
その横に、小さく照れるレオの似顔絵が描かれ、
横に「ぽわ~」という謎の効果音が添えられた。
マリエッタは、ぱたんと手帳を閉じると、彼女はベッドに潜り込んで、
「おやすみなさいですわ、レオ様☆ぴょん♪」と優しく囁いた。
裁縫室から道具運びを終えたレオとマリエッタは、中庭の石畳を歩いていた。
マリエッタはいつも通り、
「ふふっ、今日も楽しくなりそうですわね~♪ぴょん☆」
と、明るくツインテールを揺らしていた。
――そのときだった。
「また“ぴょん”とか言ってるよ……」
「本当ウザ……ぶりっこ通り越して、もうあざといでしょ」
「男子とばっか仲良くして、媚びてるつもり? 痛いんだけど」
近くの植え込みの陰から、女子数人のくぐもった声が聞こえた。
わざとらしいトーン。声の大きさ。
聞こえているのが前提の“陰口”。
レオは隣を歩くマリエッタにぎょっと目を向けた。
マリエッタは――確かに、聞こえているはずだった。
なのに、笑っていた。
「さっ、レオ様。次の課題に向かいましょう♪ぴょん!」
にこりと笑うその表情は、どこまでも明るく、涼やかだった。
まるで何も聞こえていないように――
「マ、マリエッタ殿……今の……!」
「うふふっ? どうかなさいましたの、レオ様?」
(ち、ちがう……聞こえてたはずだ。あれだけの言葉を……でも……)
レオは息を呑んだ。
(この方……芯が……強い……!)
そう感じたのは、マリエッタの笑顔が“演技”に見えなかったからだ。
毅然として、堂々として――それでいて、柔らかく人を気遣うような、優しい微笑み。
だが、同時にレオの胸に、奇妙な不安がよぎった。
(……でも、本当は……傷ついておらぬか……?)
(拙者が今、隣にいることで、平気なフリをしておらぬか……?)
いつもならぴょんぴょん語りで舞い上がるはずの自分が、
今はただ、彼女の背中に心を掴まれていた。
---
(あのぴょんは、本当に心からの笑顔だったでござるか?
それとも、誰にも見せぬ痛みを飲み込んだ、強がりのぴょん……!?)
――その瞬間、レオの胸に何かが溢れた。
これまでずっと、自分は守られる側だとばかり思っていた。
マリエッタは“可愛い存在”で、自分の推しで、憧れで――
でも、今は違った。
「マリエッタ殿っ……!!」
マリエッタが驚いて振り返る。
「れ、レオ様……?」
「拙者は、どうしても……どうしても申し上げたいことがあるのでござる!!」
「え……あ、はい?」
(いけ……今しかない!)
「マリエッタ殿のぴょんはっ……魂の光でござる!!」
「えっ?」
「ぴょんは決意の印! 可愛さの構築型演算! 表層で笑う者どもには届かぬ深淵なる美学ッ!
ツインテールは神の造形美、発声トーンは高次元癒し波動、所作は異世界外交水準ッ!
“痛可愛い”などと嘲る者は、ぴょんの持つ強さを知らぬ愚か者でござる!!」
マリエッタがぽかんと口を開けている間も、レオは止まらない。
「ぴょんで笑うな! ぴょんは盾であり、剣であり、愛であり戦術なのでござる!
わかる者だけわかればよい!
拙者は、その“わかる者”でありたいのでござるぅぅぅ!!」
最後は、両手を胸に当てて叫ぶように――
「だから申し上げます! マリエッタ殿のぴょんは……!
正義でござる!!!」
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マリエッタはしばし無言でレオを見つめ――
やがて、肩をふるふると揺らしながら、ぱっと笑った。
「……まぁ。レオ様ってば……本当に面白い方ですわね」
その笑顔は、いつものようにキラキラしていて、
だけどどこか――ほんの少し、目元が柔らかく、あたたかかった。
それを見たレオは、
(ぴょんに……微笑まれた……)と崩れ落ちそうになるのをこらえた。
レオが魂の絶叫を終えた後。
マリエッタはツインテールを揺らしながら、ほんの少し頬を染めて言った。
「……“正義”って、ちょっと大げさですけど……」
「でも、マリエッタ殿のぴょんは世界を救う力を秘めておるのでござる!」
「ふふっ……そうですわね。レオ様がそう仰るなら、きっとそうなのでしょう♪」
そう言って、彼女はくるんと笑って歩き去っていった。
残されたレオは、ベンチにへたり込んだまま天を仰ぐ。
「……拙者、やってしまったでござるな……。でも……言えてよかったでござる……」
---
その夜――
寮の部屋の窓辺で、マリエッタは手帳を広げていた。
キラキラシールが貼られた今日のページ。
そこに、さらさらと筆記体のような文字で記されていく。
《レオ様からの激励発言記録》
・“ぴょんは魂の光”
・“わかる者だけがわかればよい”
・“マリエッタ殿のぴょんは正義”
その横に、小さく照れるレオの似顔絵が描かれ、
横に「ぽわ~」という謎の効果音が添えられた。
マリエッタは、ぱたんと手帳を閉じると、彼女はベッドに潜り込んで、
「おやすみなさいですわ、レオ様☆ぴょん♪」と優しく囁いた。
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