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第16話 次の行き先?
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「では、ぜひまた、次にお会いする日まで、では」
いつまでも別れの挨拶を続ける血色の良い青年と、お付きの男性の見守る病室を出て、こちらを見送る気配がなくなってようやくメグは、「はあ」とため息をついた。
大きな窓から見える空は、目にしみるほど青かった。廊下を渡ると広々とした空間に病床がずらり並んでいて、姉である美良野の方とその娘の彩芽、そして大勢のお付きたちが患者たちと語り合う姿があった。
「なんというか、今日は油断をしていました。単純に施療院の入院者に触れ合う催しだと思い込んでいた」遠慮がちに感想を述べる彼女にお福は、「ええ、あんな指の怪我ぐらいで個室に入るには、さぞかし交渉が必要だったでしょう」と述べてから「さて、御歳は二十三歳、特技は乗馬。父親の領地は北のイブキ岳にあるそうです。念のためにメグ様、猪猟にご興味は?たしかあの地の名物でした」
「いいえ、あまり」
「わかりました。領地以外に見所のない田舎武将の小せがれ、とっとと忘れるといたしましょう」
江津の城であり政庁とされる一帯は、ゆったりした敷地に低めの建物が連なった城塞都市を形成している。その一角には参州でも一、二を争う規模を持つ公立施療院「雪兎」がある。
今日のメグは姉たちに従い、そこで入院者と触れ合う催しに参加していた。
白髪の入院者と姉が語り合っていて、メグの方を向いて掌で指し示した。今日は妹もきている、と紹介しているのだ。相手が頭を下げるのに合わせ、メグはゆっくりと頭を下げた。
意外なのは、つきそう彩芽も嫌な顔一つ見せず、元気いっぱいに相手をしていることだ。いまも、火傷なのか肌のただれた老女の両手を力強く握りしめ、笑いあったりしている。わがまま姫だとばかり思っていたが、見方を変えなければならないようだ。
メグの後ろにはお福のほか孔雪、お蘭、美歌が付き従っている。黒狐はどこか目立たないところから護衛しているはずだが、メグからは所在がわからない。
地位の高い女性が施療院を見舞う催しは、美里公の先祖のうち、中興の祖とされる人物の母親の故事にちなんだもので、一時廃れていたのを姉が復活させたものと聞いている。当初、内務卿から話の持ち込まれた段階では、孔雪と黒狐は保安面から賛成しかねるという立場だったが、メグの立場上、断らないほうが良かろうと判断したわけだ。
しかし、メグを当惑させたのは本物の入院者との語らいではなく、病棟のあちらこちらに若く元気な男の患者が待ち構えていることだ。彼らは例外なくメグに熱っぽく語りかけ、病人または怪我人のはずなのに、握手を求めたり土産を渡そうとしたり、中には変な詩まで吟じ出すのもいた。すべてメグの参加を聞いて急遽入院した有力者の子弟である。
「未姫の入国がじわじわ知れ渡り、なんとかご挨拶したいとの希望が相次ぎ、仕方なく入院者ならと内務局側も黙認したようですよ」と孔雪が解説した。「当分、貴公子は御免蒙ると伝えてあるのですが」
「あれはいつでしたか、いずれ劣らぬ名家の貴公子にそれは親切にしていただきましたね」とメグが言うとお福がすかさず、「きゃつら、さぞ人生の見聞が深まったことにございましょう」と言って鼻にシワを寄せた。
「しかし、先日の卑しい若殿はともかく、もう少しこう、匂うがごとき若武者とか男の中の男、といった感じのがいても罰は当たらぬのに。男らしさなんて概念があてにならぬのはわかっていますが、それにしてもねえ」
「お福さんのお客さんは、男くささぷんぷんでしたね」後ろからお蘭が言うと、
「あれねえ。髭など剃ればいいのに。軍規はどうなっているのやら」お福は唇を歪めた。
行事が開始する少し前、施療院の待合室にあたる場所に、催しに参加する名家の子女のお付きたちにまじって軍服に髭面の巨漢が五人、異彩を放っていた。誰かの護衛かと思ったら、彼らは真っ先にお福を見つけ、ついには「イライザさま」と彼女の手を取り、涙を流さんばかりに喜んでいる。なんとお福の同郷人であり旧友だというのだ。
しかも、戦艦の艦長と副長という迫力たっぷりの二人は、友にしては態度がうやうやしい。聞けばどちらも軍歴のはじめがお福の亡父の少年従者であり、若きお福に手ほどきを受け船乗りになったという。国の瓦解後に江津海軍に移籍し、他の三人も彼らの引きで軍人になった。五人とも現在は外洋艦隊に所属し、たまたま艦体の修理に母港に戻っていたところ、未姫来臨の話を知ったという。
「未姫様におかれましては、間一髪で虎口を脱されたとか」艦長がメグに言った。噂はすでに伝わっているようだ。
「お福がおりましたから、そうひどくはありませんでしたよ」メグは笑みを浮かべつつ小声で尋ねた。「時にお福の亡き父君はそれほど厳しい方でしたか」
「いえ」艦長と副長はそろって首を傾げた。「闊達な人でした」「曲がったことはお嫌いでしたが規則や規律には拘らず、まして殴って従わせるなど決して」やはり、娘の訓話に登場する姿とは差がありそうだ。
お福はしばらく一行からはずれ、髭たちと話を交わした。その間、海兵のうち最も若い男は、一歩離れた場所にいてずっとお福に熱っぽい視線を向け続けている。聞けば「生きた伝説」のイライザお福にどうにか会いたいと、頼み込んで参加したそうだ。
「ばかな。技術の伝承がきちんと行われていない証拠です。昔は私程度の船乗りなどざらにいたものです」あとでそれを聞いたお福はむきになって主張した。
だが、同郷のよしみで追加取材したお蘭は「えらいことを教わりました」と戻るなり興奮の面持ちで報告した。「髭の兄さんによるとお福さまは十五、六のころ、戦闘に巻き込まれた民間の救護船を助けるため、脱出用の快速艇ただ一隻で敵艦隊に立ち向かい、戦艦五隻を沈めたとか。あり得ないほどの船速を出し、識別灯がまるで赤い箒星みたいだったって」
「戦艦を五隻!どこかで聞いたような話だけど、それはまた凄い」
「よその人間と間違えているのです」お福はついに不機嫌になってしまった。
彼女が軍功を口にしたがらないのは、メグの母に仕えると決めた際に相当な決心をしたためと聞いていた。だからメグは、彼女が自分から言わない限り、軍務の経験を詳しく教わることはなかった。
「でも、江津に続いて碧海もこんなへなちょこ王子ばっかりだと、すぐに嫌気がさすかもしれませんね」と、お福はまだ貴公子たちに不満を言っている。
碧海というのは、この次に向かう先として計画中の国の名でありメグの次姉、辰姫こと辰ノ御前が嫁いだ国だ。昨晩から今日、この会場にくるまでは、メグ主従はずっとこれからについて語り合っていた。
先日の萌の国による黒鷺館襲撃は、あくまで混乱に乗じた火事場泥棒的行為であり、軍も強力な江津に本気で戦をしかけるほどの理由は見当たらない。この国の関係者の多くはそう考えており、孔雪も同意見だった。だが彼女は同時に、「ただし問題は堀内豪胆斎の存在です」とリスクを指摘した。「術師の困るのは、理屈や国益だけでは動きの読めないところです。つまらない執着のため馬鹿げた挙におよびかねません。意表をつく術を仕掛けてくるかもしれず、それに驚いた我々が国外に飛び出るのを待っているかもしれない。それに、赤い影が追ってくる危険もまだ残っています」と指摘した。
「うえっ、まことですか」お福が敏感に反応した。これは黒狐が答えた。「奴ら、先日は任務を果たせず、戦にも勝てなかった。だから内藤家老からの指令がなくても、危険や採算を度外視してわれわれを狙う可能性は高い。最大の武器である世評に傷がついたわけですから」
「自業自得なのですけどね」「ええ」
「それはどういうこと?」うなずきあう黒狐と孔雪にメグは聞いた。
「他の傭兵に比べ、やつらが少ない犠牲で任務を遂行できる秘訣は赤い影の名声そのものにあります。名を聞けば相手が勝手に怯え、抵抗を諦める。忍びのくせにやけに名が知られているのはそのためです。逆に、悪い噂が広がらないための努力は惜しまない。とりわけ先日のような惨めな失敗は必ず挽回を考える。豪胆斎とは勝手に殺し合ってもらえばいいのですが、それだけでは済まない」
萌との経済的な関係を考えると、赤い影の工作班はもう江津へ入り込んでいると考えるべきだと孔雪も言う。「襲撃の手段も、不満を抱く江津の人間を抱き込み、毒をもったり船底に穴を開けたりの陰険なのを警戒すべきかと」
「こうなったら、姉に未の守り手を預けたほうがいいのかな」とメグはつぶやいた。つまり、完全に江津の国の庇護下に入るということだ。その代わり、権利も自由も独立もなくなる。
「それはいつでもできます」へこたれない孔雪は胸をそらすように言った。「では、私の案を一つ。とりあえず初期の予定通り、碧海に移るというのはいかが」
「直接、母のいる双樹に行くのではなく?たしかに、待ち伏せるとすれば双樹までの長い道中のどこかでしょうけど」
孔雪はうなずいた。「ご存じのように碧海にもメグ様の所領があります。江津におけるそれより大きく、神域たる鷹羽陵となっています。いったん入れば表立っては誰も干渉できませんし、内陸深くにあるので他国の軍は容易に近づけません。それと、辰ノ御前と夫である国主、山木源太左衛門は内藤洞山ぎらい」
「そうだったわねえ」
次姉と内藤の関係はもともと良くはなかったが、結婚に際し内藤が別の候補を強く推したのが原因となって、決定的にひびが入った。
次姉は少女のうちから碧海の王子だった現在の夫と互いに将来の約束をかわしていたのだが、内藤は新鮮味のない姉妹国の御曹司より、もっと世間へ与える印象が華々しく、領土および経済圏拡大にもつながりそうな別の有力国の王族との婚姻をしつこく勧めた。一時は感情的な対立が深刻となり、メグの母が間に入って仲裁したぐらいだ。内藤の謀反を聞いた時には、真っ先にあの時の揉め事が遠因ではないかと考えたほどだった。
「国主夫妻は赤い影のごとき忍びもお嫌いだし、碧海の国そのものが江津ほど萌との縁はない。そして」孔雪は続けた。「肝心なのは、メグ様の受け継がれた御倉金が『少しばかり』置いてあること」
女たちはうなずいた。碧海はメグたちの父祖の地とされていて、黒鷺館での祭祀を無事終えたあとは、碧海の鷹羽陵に出向いて報告の儀式を行う予定だった。
そして同地にはメグが祖父から遺贈された先祖伝来の財宝の一部を非常時の資金として隠してある。今回の旅ではそれを少し取り出し、ある孤児院と祈祷施設に建物改修費として寄付の予定だった。
「とりあえず手元に金はあり、美里公夫妻も頼めば融通はしてくださるでしょう。しかし御用金とは桁が違う。多少なりとも持ち出しが叶えば、思い切って船を仕立て双樹に行き、島々のひとつを護衛付きで買い取るのも可能となります」
ただし問題は、と孔雪は付け加えた。「昔とはすっかり水運事情が変わり、鷹羽陵にたどり着くまで幾日も陸路を行く必要があります」
「百年ほど前までは」お福が言った。「ひとたび御座船に乗り込めば、寝て起きるうちに鷹羽へ着いたと歌にあったものですが、いまは無理なのですね」
「はい。鷹羽のそばを流れる川そのものが付け替えられてしまいました。ただし陸路は巡礼の道でもありますから、整備はされていて退屈もしないと思います。治安もいいはず」
「まあ、どうせ儀式のあとは陸路を行く予定でしたから」
「碧海の巡礼ですか。都でもよく聞ました」と、美歌が言った。「立派な滝があるのじゃなかったかな」
お福がうなずいた。「滝はメグ様の御領地の手前にあるのです。昔はずいぶん賑やかでしたが、このごろはどうなのかしらね。私も陸路は経験がありましてね、灘の方様が藤にお輿入れの際に鷹羽まで参られたのへ同道しました。とても美しいところでしたよ」
「ほう」孔雪が関心を示した。「どんな道でした。割に平坦だとは聞きますが」
「その時は馬に牽かれて行きまして、特に不便は感じませんでした。ただし、考えたら二十年は昔。私もまだ若く、なんの薬も必要なかった」お福の嘆きを聞き、メグは苦笑した。
「霊場の付近を見て廻られましたか?宿場もあるはず」との問いにお福は首を横に振った。「当時は細かく日程が決められていて、半日も自由になりませんでした。ちょうど近くの草原に旅芸人たちが大きな幔幕を張り、巡礼客を大勢集めていました。象の曲芸まであったようですが、こちらは神事の最中。見ることは叶わず、風に乗ってくる歓声だけを聞いておりました。お方様はずいぶんと残念がっておられましたよ」
「なにせ私の母上ですからね。珍しいもの面白いものが好きなのです」
「そういうことです」一同は笑い合った。
メグは付け加えた「辰の姉とは割に仲の良い姉妹だと思っています。上の姉より遠慮はないですし。むろん歳は八つ違うし、当たりまえの家の姉と妹の間柄とは異なります。それに上の姉と同様、いまは一国の領主の妻として家臣と領民に責任を負っています。ですから状況によって冷たく扱われるのも当然、あるでしょう。命を狙われることも、絶対ないとは言えない。それぐらいできないと君主ではない。だから私はあの仕事はダメです」
孔雪の口元が笑いそうになって、すぐ元に戻った。「ではとりあえず、この国の実務を担う層のメグ様への本心を早急に見極め、疑うべき点が多いとなれば素早く立ち退き碧海へと逃れ、最終的に双樹を目指すことにいたしましょうか。その前に江津側からおそらく皆さんに探りが入るでしょうから、とりあえず鳥羽根田を目指したい、とお答えください。実際にあそこに行ってもいいのですが、海浜と緑以外なにもありませんからね」
「食べ物は馬鹿高いし」「そうそう、そうらしいね」
鳥羽根田というのは、中立地帯となっている地域の名だ。各地の領主や大商人の別荘が並んでいるが軍隊は入域できない。メグもほんの小さな小屋を一つ、持っていた。
「鷹羽に着いても、肝心のお金が無いこともありますね。盗まれていなくとも、お金に困ったご先祖の誰かが使ったとか」あるはずの軍資金が使い込まれていたという話は、若い頃の失敗談として祖父からたびたび聞かされた。それを思い出したメグが突っ込むと孔雪は平然と答えた。「なければないでなんとかしましょう。たつきの道を得るために、滝の横に小商いの店でも開くのはいかが」
「そうね。あなたの言う通りだわ」彼女の堂々とした態度に、メグもくよくよと悩むのが馬鹿馬鹿しくなってきた。「そうしましょう。たまには運命に身を任せるのもいいかも。それで、どんな店を開きましょうか」
下世話な話に入ると、メグの気持ちが不思議と少しほぐれた気がした。今更ながら、緊張しっぱなしだったのがわかった。お福もお蘭も美歌も、もちろん孔雪だってそうだろう。
-------- 言い表せないほど、申し訳ないな。そう思ったが、一行の頭領たる自分がひるんではもっと申し訳ないことになる。メグはあえて明るく言った。
「わたしにすぐ、真似事のできそうなのは易者かな。あと、鷹羽陵には薬草が多いのよね」
「打ち身に効く草があれば、わたくし骨接ぎ医者のふりでも」とお蘭が言うと、「その横で痛み止めの薬酒など売るのも良いかも。疲れすぎて眠れない巡礼の寝酒用にも」美歌が言った。彼女はとてもうれしそうな笑みを浮かべていた。メグたちと店を開くという話題そのものが気に入ったようだ。
「以前に参りました時は、一面によもぎが生えておりました」お福が言った。
「なら、それを使った餅菓子屋など開きましょうか」
「手抜きさえしなければ、客はついてくれるでしょうね」「なにか、とても楽しみに思えてきます」お蘭と美歌が顔を見合わせて笑った。
「では、わたしは餅つきですか。精一杯やりましょう」いつものように布で口元を隠していて表情が読めない黒狐でさえ、笑っているようにも見えた。
「みなで力を合わせれば、なんとかなりそうに思えてきました」メグが言うと、孔雪はうなずいた。「死よりも生を考えましょう。生きている限り藤に戻る機会はあります。どうしてもだめなら、都で握手会でも開いて暮らしましょう。わたくしが代理人を務めます」
「この前の冗談をけっこう根に持っているのね、あなた」
美良野方一行とメグたち、そして他の豪族の子女たちはいったん施療院の中庭へと出た。そこには幔幕がいくつもはられ、簡単な茶会の準備がされている。比較的元気な入院者らと一緒にお茶を飲み、菓子をつまむのだ。
見ていると、離れた場所にある幔幕の下に新しい人々がやってきていた。参加者の家族、すなわち重職や豪族たちだ。すると美歌に孔雪がささやいた。「では、お手数ですが、よろしくお願いします」
「わかりました。メグ様、僭越ながら一行を代表し、わたくしめが少し接待のお手伝いをして、えらいおじさんがたのお腹の内を覗いてきます。お酒は出ていないようですけどね」
「あ、美歌さん」歩き出した孔雪が呼び止めた。「できれば、港をとりまく動きなどわかるとありがたい」
「港、港。都合よく関係者がいるかしら。ま、とにかくやってみます。頑張るぞ」
そう宣言すると、美歌はしずしずと立派な身なりの年配者の固まるあたりへと歩き去った。女性の多い催しだが、容姿に関して美歌が一等飛び抜けているのは遠目にもわかった。彼女もその気になっているようで、普段メグたちと喋り合っているときよりずっと気取った顔になり、背筋を優雅に張っている。まるで花束が風に漂っていくようだった。
「あの」美歌を目で追っていると物陰から声がして、メグは驚いて振り返った。甥の流星だった。
「あら、流星。お母上と一緒にはならないの?あなたなら構わないでしょう。それともわたくしたちと一緒にきますか?大歓迎ですよ」
「ありがとうございます。それより、あとで少しだけお部屋をおたずねしてもいいでしょうか」
「もちろんかまいませんよ。でもなにか用ですか」
「ええ。その時にお話しします。ではまた」
流星は供も連れず、一人で来て一人で去った。そのか細い背中が、メグは気になった。
いつまでも別れの挨拶を続ける血色の良い青年と、お付きの男性の見守る病室を出て、こちらを見送る気配がなくなってようやくメグは、「はあ」とため息をついた。
大きな窓から見える空は、目にしみるほど青かった。廊下を渡ると広々とした空間に病床がずらり並んでいて、姉である美良野の方とその娘の彩芽、そして大勢のお付きたちが患者たちと語り合う姿があった。
「なんというか、今日は油断をしていました。単純に施療院の入院者に触れ合う催しだと思い込んでいた」遠慮がちに感想を述べる彼女にお福は、「ええ、あんな指の怪我ぐらいで個室に入るには、さぞかし交渉が必要だったでしょう」と述べてから「さて、御歳は二十三歳、特技は乗馬。父親の領地は北のイブキ岳にあるそうです。念のためにメグ様、猪猟にご興味は?たしかあの地の名物でした」
「いいえ、あまり」
「わかりました。領地以外に見所のない田舎武将の小せがれ、とっとと忘れるといたしましょう」
江津の城であり政庁とされる一帯は、ゆったりした敷地に低めの建物が連なった城塞都市を形成している。その一角には参州でも一、二を争う規模を持つ公立施療院「雪兎」がある。
今日のメグは姉たちに従い、そこで入院者と触れ合う催しに参加していた。
白髪の入院者と姉が語り合っていて、メグの方を向いて掌で指し示した。今日は妹もきている、と紹介しているのだ。相手が頭を下げるのに合わせ、メグはゆっくりと頭を下げた。
意外なのは、つきそう彩芽も嫌な顔一つ見せず、元気いっぱいに相手をしていることだ。いまも、火傷なのか肌のただれた老女の両手を力強く握りしめ、笑いあったりしている。わがまま姫だとばかり思っていたが、見方を変えなければならないようだ。
メグの後ろにはお福のほか孔雪、お蘭、美歌が付き従っている。黒狐はどこか目立たないところから護衛しているはずだが、メグからは所在がわからない。
地位の高い女性が施療院を見舞う催しは、美里公の先祖のうち、中興の祖とされる人物の母親の故事にちなんだもので、一時廃れていたのを姉が復活させたものと聞いている。当初、内務卿から話の持ち込まれた段階では、孔雪と黒狐は保安面から賛成しかねるという立場だったが、メグの立場上、断らないほうが良かろうと判断したわけだ。
しかし、メグを当惑させたのは本物の入院者との語らいではなく、病棟のあちらこちらに若く元気な男の患者が待ち構えていることだ。彼らは例外なくメグに熱っぽく語りかけ、病人または怪我人のはずなのに、握手を求めたり土産を渡そうとしたり、中には変な詩まで吟じ出すのもいた。すべてメグの参加を聞いて急遽入院した有力者の子弟である。
「未姫の入国がじわじわ知れ渡り、なんとかご挨拶したいとの希望が相次ぎ、仕方なく入院者ならと内務局側も黙認したようですよ」と孔雪が解説した。「当分、貴公子は御免蒙ると伝えてあるのですが」
「あれはいつでしたか、いずれ劣らぬ名家の貴公子にそれは親切にしていただきましたね」とメグが言うとお福がすかさず、「きゃつら、さぞ人生の見聞が深まったことにございましょう」と言って鼻にシワを寄せた。
「しかし、先日の卑しい若殿はともかく、もう少しこう、匂うがごとき若武者とか男の中の男、といった感じのがいても罰は当たらぬのに。男らしさなんて概念があてにならぬのはわかっていますが、それにしてもねえ」
「お福さんのお客さんは、男くささぷんぷんでしたね」後ろからお蘭が言うと、
「あれねえ。髭など剃ればいいのに。軍規はどうなっているのやら」お福は唇を歪めた。
行事が開始する少し前、施療院の待合室にあたる場所に、催しに参加する名家の子女のお付きたちにまじって軍服に髭面の巨漢が五人、異彩を放っていた。誰かの護衛かと思ったら、彼らは真っ先にお福を見つけ、ついには「イライザさま」と彼女の手を取り、涙を流さんばかりに喜んでいる。なんとお福の同郷人であり旧友だというのだ。
しかも、戦艦の艦長と副長という迫力たっぷりの二人は、友にしては態度がうやうやしい。聞けばどちらも軍歴のはじめがお福の亡父の少年従者であり、若きお福に手ほどきを受け船乗りになったという。国の瓦解後に江津海軍に移籍し、他の三人も彼らの引きで軍人になった。五人とも現在は外洋艦隊に所属し、たまたま艦体の修理に母港に戻っていたところ、未姫来臨の話を知ったという。
「未姫様におかれましては、間一髪で虎口を脱されたとか」艦長がメグに言った。噂はすでに伝わっているようだ。
「お福がおりましたから、そうひどくはありませんでしたよ」メグは笑みを浮かべつつ小声で尋ねた。「時にお福の亡き父君はそれほど厳しい方でしたか」
「いえ」艦長と副長はそろって首を傾げた。「闊達な人でした」「曲がったことはお嫌いでしたが規則や規律には拘らず、まして殴って従わせるなど決して」やはり、娘の訓話に登場する姿とは差がありそうだ。
お福はしばらく一行からはずれ、髭たちと話を交わした。その間、海兵のうち最も若い男は、一歩離れた場所にいてずっとお福に熱っぽい視線を向け続けている。聞けば「生きた伝説」のイライザお福にどうにか会いたいと、頼み込んで参加したそうだ。
「ばかな。技術の伝承がきちんと行われていない証拠です。昔は私程度の船乗りなどざらにいたものです」あとでそれを聞いたお福はむきになって主張した。
だが、同郷のよしみで追加取材したお蘭は「えらいことを教わりました」と戻るなり興奮の面持ちで報告した。「髭の兄さんによるとお福さまは十五、六のころ、戦闘に巻き込まれた民間の救護船を助けるため、脱出用の快速艇ただ一隻で敵艦隊に立ち向かい、戦艦五隻を沈めたとか。あり得ないほどの船速を出し、識別灯がまるで赤い箒星みたいだったって」
「戦艦を五隻!どこかで聞いたような話だけど、それはまた凄い」
「よその人間と間違えているのです」お福はついに不機嫌になってしまった。
彼女が軍功を口にしたがらないのは、メグの母に仕えると決めた際に相当な決心をしたためと聞いていた。だからメグは、彼女が自分から言わない限り、軍務の経験を詳しく教わることはなかった。
「でも、江津に続いて碧海もこんなへなちょこ王子ばっかりだと、すぐに嫌気がさすかもしれませんね」と、お福はまだ貴公子たちに不満を言っている。
碧海というのは、この次に向かう先として計画中の国の名でありメグの次姉、辰姫こと辰ノ御前が嫁いだ国だ。昨晩から今日、この会場にくるまでは、メグ主従はずっとこれからについて語り合っていた。
先日の萌の国による黒鷺館襲撃は、あくまで混乱に乗じた火事場泥棒的行為であり、軍も強力な江津に本気で戦をしかけるほどの理由は見当たらない。この国の関係者の多くはそう考えており、孔雪も同意見だった。だが彼女は同時に、「ただし問題は堀内豪胆斎の存在です」とリスクを指摘した。「術師の困るのは、理屈や国益だけでは動きの読めないところです。つまらない執着のため馬鹿げた挙におよびかねません。意表をつく術を仕掛けてくるかもしれず、それに驚いた我々が国外に飛び出るのを待っているかもしれない。それに、赤い影が追ってくる危険もまだ残っています」と指摘した。
「うえっ、まことですか」お福が敏感に反応した。これは黒狐が答えた。「奴ら、先日は任務を果たせず、戦にも勝てなかった。だから内藤家老からの指令がなくても、危険や採算を度外視してわれわれを狙う可能性は高い。最大の武器である世評に傷がついたわけですから」
「自業自得なのですけどね」「ええ」
「それはどういうこと?」うなずきあう黒狐と孔雪にメグは聞いた。
「他の傭兵に比べ、やつらが少ない犠牲で任務を遂行できる秘訣は赤い影の名声そのものにあります。名を聞けば相手が勝手に怯え、抵抗を諦める。忍びのくせにやけに名が知られているのはそのためです。逆に、悪い噂が広がらないための努力は惜しまない。とりわけ先日のような惨めな失敗は必ず挽回を考える。豪胆斎とは勝手に殺し合ってもらえばいいのですが、それだけでは済まない」
萌との経済的な関係を考えると、赤い影の工作班はもう江津へ入り込んでいると考えるべきだと孔雪も言う。「襲撃の手段も、不満を抱く江津の人間を抱き込み、毒をもったり船底に穴を開けたりの陰険なのを警戒すべきかと」
「こうなったら、姉に未の守り手を預けたほうがいいのかな」とメグはつぶやいた。つまり、完全に江津の国の庇護下に入るということだ。その代わり、権利も自由も独立もなくなる。
「それはいつでもできます」へこたれない孔雪は胸をそらすように言った。「では、私の案を一つ。とりあえず初期の予定通り、碧海に移るというのはいかが」
「直接、母のいる双樹に行くのではなく?たしかに、待ち伏せるとすれば双樹までの長い道中のどこかでしょうけど」
孔雪はうなずいた。「ご存じのように碧海にもメグ様の所領があります。江津におけるそれより大きく、神域たる鷹羽陵となっています。いったん入れば表立っては誰も干渉できませんし、内陸深くにあるので他国の軍は容易に近づけません。それと、辰ノ御前と夫である国主、山木源太左衛門は内藤洞山ぎらい」
「そうだったわねえ」
次姉と内藤の関係はもともと良くはなかったが、結婚に際し内藤が別の候補を強く推したのが原因となって、決定的にひびが入った。
次姉は少女のうちから碧海の王子だった現在の夫と互いに将来の約束をかわしていたのだが、内藤は新鮮味のない姉妹国の御曹司より、もっと世間へ与える印象が華々しく、領土および経済圏拡大にもつながりそうな別の有力国の王族との婚姻をしつこく勧めた。一時は感情的な対立が深刻となり、メグの母が間に入って仲裁したぐらいだ。内藤の謀反を聞いた時には、真っ先にあの時の揉め事が遠因ではないかと考えたほどだった。
「国主夫妻は赤い影のごとき忍びもお嫌いだし、碧海の国そのものが江津ほど萌との縁はない。そして」孔雪は続けた。「肝心なのは、メグ様の受け継がれた御倉金が『少しばかり』置いてあること」
女たちはうなずいた。碧海はメグたちの父祖の地とされていて、黒鷺館での祭祀を無事終えたあとは、碧海の鷹羽陵に出向いて報告の儀式を行う予定だった。
そして同地にはメグが祖父から遺贈された先祖伝来の財宝の一部を非常時の資金として隠してある。今回の旅ではそれを少し取り出し、ある孤児院と祈祷施設に建物改修費として寄付の予定だった。
「とりあえず手元に金はあり、美里公夫妻も頼めば融通はしてくださるでしょう。しかし御用金とは桁が違う。多少なりとも持ち出しが叶えば、思い切って船を仕立て双樹に行き、島々のひとつを護衛付きで買い取るのも可能となります」
ただし問題は、と孔雪は付け加えた。「昔とはすっかり水運事情が変わり、鷹羽陵にたどり着くまで幾日も陸路を行く必要があります」
「百年ほど前までは」お福が言った。「ひとたび御座船に乗り込めば、寝て起きるうちに鷹羽へ着いたと歌にあったものですが、いまは無理なのですね」
「はい。鷹羽のそばを流れる川そのものが付け替えられてしまいました。ただし陸路は巡礼の道でもありますから、整備はされていて退屈もしないと思います。治安もいいはず」
「まあ、どうせ儀式のあとは陸路を行く予定でしたから」
「碧海の巡礼ですか。都でもよく聞ました」と、美歌が言った。「立派な滝があるのじゃなかったかな」
お福がうなずいた。「滝はメグ様の御領地の手前にあるのです。昔はずいぶん賑やかでしたが、このごろはどうなのかしらね。私も陸路は経験がありましてね、灘の方様が藤にお輿入れの際に鷹羽まで参られたのへ同道しました。とても美しいところでしたよ」
「ほう」孔雪が関心を示した。「どんな道でした。割に平坦だとは聞きますが」
「その時は馬に牽かれて行きまして、特に不便は感じませんでした。ただし、考えたら二十年は昔。私もまだ若く、なんの薬も必要なかった」お福の嘆きを聞き、メグは苦笑した。
「霊場の付近を見て廻られましたか?宿場もあるはず」との問いにお福は首を横に振った。「当時は細かく日程が決められていて、半日も自由になりませんでした。ちょうど近くの草原に旅芸人たちが大きな幔幕を張り、巡礼客を大勢集めていました。象の曲芸まであったようですが、こちらは神事の最中。見ることは叶わず、風に乗ってくる歓声だけを聞いておりました。お方様はずいぶんと残念がっておられましたよ」
「なにせ私の母上ですからね。珍しいもの面白いものが好きなのです」
「そういうことです」一同は笑い合った。
メグは付け加えた「辰の姉とは割に仲の良い姉妹だと思っています。上の姉より遠慮はないですし。むろん歳は八つ違うし、当たりまえの家の姉と妹の間柄とは異なります。それに上の姉と同様、いまは一国の領主の妻として家臣と領民に責任を負っています。ですから状況によって冷たく扱われるのも当然、あるでしょう。命を狙われることも、絶対ないとは言えない。それぐらいできないと君主ではない。だから私はあの仕事はダメです」
孔雪の口元が笑いそうになって、すぐ元に戻った。「ではとりあえず、この国の実務を担う層のメグ様への本心を早急に見極め、疑うべき点が多いとなれば素早く立ち退き碧海へと逃れ、最終的に双樹を目指すことにいたしましょうか。その前に江津側からおそらく皆さんに探りが入るでしょうから、とりあえず鳥羽根田を目指したい、とお答えください。実際にあそこに行ってもいいのですが、海浜と緑以外なにもありませんからね」
「食べ物は馬鹿高いし」「そうそう、そうらしいね」
鳥羽根田というのは、中立地帯となっている地域の名だ。各地の領主や大商人の別荘が並んでいるが軍隊は入域できない。メグもほんの小さな小屋を一つ、持っていた。
「鷹羽に着いても、肝心のお金が無いこともありますね。盗まれていなくとも、お金に困ったご先祖の誰かが使ったとか」あるはずの軍資金が使い込まれていたという話は、若い頃の失敗談として祖父からたびたび聞かされた。それを思い出したメグが突っ込むと孔雪は平然と答えた。「なければないでなんとかしましょう。たつきの道を得るために、滝の横に小商いの店でも開くのはいかが」
「そうね。あなたの言う通りだわ」彼女の堂々とした態度に、メグもくよくよと悩むのが馬鹿馬鹿しくなってきた。「そうしましょう。たまには運命に身を任せるのもいいかも。それで、どんな店を開きましょうか」
下世話な話に入ると、メグの気持ちが不思議と少しほぐれた気がした。今更ながら、緊張しっぱなしだったのがわかった。お福もお蘭も美歌も、もちろん孔雪だってそうだろう。
-------- 言い表せないほど、申し訳ないな。そう思ったが、一行の頭領たる自分がひるんではもっと申し訳ないことになる。メグはあえて明るく言った。
「わたしにすぐ、真似事のできそうなのは易者かな。あと、鷹羽陵には薬草が多いのよね」
「打ち身に効く草があれば、わたくし骨接ぎ医者のふりでも」とお蘭が言うと、「その横で痛み止めの薬酒など売るのも良いかも。疲れすぎて眠れない巡礼の寝酒用にも」美歌が言った。彼女はとてもうれしそうな笑みを浮かべていた。メグたちと店を開くという話題そのものが気に入ったようだ。
「以前に参りました時は、一面によもぎが生えておりました」お福が言った。
「なら、それを使った餅菓子屋など開きましょうか」
「手抜きさえしなければ、客はついてくれるでしょうね」「なにか、とても楽しみに思えてきます」お蘭と美歌が顔を見合わせて笑った。
「では、わたしは餅つきですか。精一杯やりましょう」いつものように布で口元を隠していて表情が読めない黒狐でさえ、笑っているようにも見えた。
「みなで力を合わせれば、なんとかなりそうに思えてきました」メグが言うと、孔雪はうなずいた。「死よりも生を考えましょう。生きている限り藤に戻る機会はあります。どうしてもだめなら、都で握手会でも開いて暮らしましょう。わたくしが代理人を務めます」
「この前の冗談をけっこう根に持っているのね、あなた」
美良野方一行とメグたち、そして他の豪族の子女たちはいったん施療院の中庭へと出た。そこには幔幕がいくつもはられ、簡単な茶会の準備がされている。比較的元気な入院者らと一緒にお茶を飲み、菓子をつまむのだ。
見ていると、離れた場所にある幔幕の下に新しい人々がやってきていた。参加者の家族、すなわち重職や豪族たちだ。すると美歌に孔雪がささやいた。「では、お手数ですが、よろしくお願いします」
「わかりました。メグ様、僭越ながら一行を代表し、わたくしめが少し接待のお手伝いをして、えらいおじさんがたのお腹の内を覗いてきます。お酒は出ていないようですけどね」
「あ、美歌さん」歩き出した孔雪が呼び止めた。「できれば、港をとりまく動きなどわかるとありがたい」
「港、港。都合よく関係者がいるかしら。ま、とにかくやってみます。頑張るぞ」
そう宣言すると、美歌はしずしずと立派な身なりの年配者の固まるあたりへと歩き去った。女性の多い催しだが、容姿に関して美歌が一等飛び抜けているのは遠目にもわかった。彼女もその気になっているようで、普段メグたちと喋り合っているときよりずっと気取った顔になり、背筋を優雅に張っている。まるで花束が風に漂っていくようだった。
「あの」美歌を目で追っていると物陰から声がして、メグは驚いて振り返った。甥の流星だった。
「あら、流星。お母上と一緒にはならないの?あなたなら構わないでしょう。それともわたくしたちと一緒にきますか?大歓迎ですよ」
「ありがとうございます。それより、あとで少しだけお部屋をおたずねしてもいいでしょうか」
「もちろんかまいませんよ。でもなにか用ですか」
「ええ。その時にお話しします。ではまた」
流星は供も連れず、一人で来て一人で去った。そのか細い背中が、メグは気になった。
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