灰かぶりと宝石姫

ナカナカ田

文字の大きさ
1 / 4

プロローグ

しおりを挟む
大好きなお姉さま

あなたがなりたいものはなんですか?

この家ーー王家の跡取りですか?

あなたが望むその地位を、揺るぎないものとしてあなたに贈れたら、あなたは私が生きていくことを許してくれますか?

富も地位も権力も私にとっては無意味で、興味のないものでした。

母は、私を産んだことで身体を悪くした母は、私を恨んで死にました。

お前さえ産まなければ。

サリーだけにしておけば。

私の記憶の母は、いつもそう言っていました。

母が死んだ後は、同じように父も私を責めました。

望まれない子。

それが自分なのだと、聡い私は分かってしまったのです。

世界は私を歓迎しない。

あるのはただ絶望で。

私は生きる意味を知りませんでした。

そんな時いつも、お姉さまだけが私の小さな光で。

会うと笑ってくれる。

挨拶を返してくれる。

心配なのと抱きしめてくれる。

今はもう、お姉さまにすら嫌われてしまっているかもしれないけれど、

優しくしてもらった幼い日々は、

私のただ一つ輝く日々で。

それを糧に残りの全ての人生を生きられるほどのものだったのです。

お姉さま。

お姉さま。

私の世界で唯一、大好きなお姉さま。

全てをあなたにあげるから、

そのあかつきには、

遠い地で、

あなたを想って生きること、

許してはいただけませんか?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

物語は始まりませんでした

王水
ファンタジー
カタカナ名を覚えるのが苦手な女性が異世界転生したら……

ちゃんと忠告をしましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。  アゼット様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ? ※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。

乙女ゲームはエンディングを迎えました。

章槻雅希
ファンタジー
卒業パーティでのジョフロワ王子の婚約破棄宣言を以って、乙女ゲームはエンディングを迎えた。 これからは王子の妻となって幸せに贅沢をして暮らすだけだと笑ったゲームヒロインのエヴリーヌ。 だが、宣言後、ゲームが終了するとなにやら可笑しい。エヴリーヌの予想とは違う展開が起こっている。 一体何がどうなっているのか、呆然とするエヴリーヌにジョフロワから衝撃的な言葉が告げられる。 『小説家になろう』様・『アルファポリス』様・自サイトに重複投稿。

大好きなおねえさまが死んだ

Ruhuna
ファンタジー
大好きなエステルおねえさまが死んでしまった まだ18歳という若さで

義妹がピンク色の髪をしています

ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

魅了の対価

しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。 彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。 ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。 アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。 淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。

契約結婚なら「愛さない」なんて条件は曖昧すぎると思うの

七辻ゆゆ
ファンタジー
だからきちんと、お互い納得する契約をしました。完全別居、3年後に離縁、お金がもらえるのをとても楽しみにしていたのですが、愛人さんがやってきましたよ?

処理中です...