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7. メルティアス家の覚醒
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魔法の発動は問題なくできた。
勢いでやらかしたが喜ばしく思う。
今後は魔法を使うことに身体を慣らしていこう。前世の記憶があるからといって以前と同じように魔法を放てる保証などないからな。
記憶はあっても数年のブランクが生じているし、今の肉体に魔力を馴染ませるのに必死だったのもあるが、一番の問題はやはりこの肉体。
ヒヨコの身体なのだ。
人間だった前世に比べると全体的に可愛らしくなってるというか小ぢんまりしてるというか、ぶっちゃけ大人の手の平くらいのお手軽サイズに縮まったこの雛鳥体型は動きづらい。
何せ前世が人間だったからな。その感覚のまま行動しても上手くいかないことも多いのだ。
家事ひとつ取ってみても洗濯物を干すときに干し竿に手が届かなかったり、棚から食器を取り出すときに脚立がないと取り出せなかったり、はじめの内は苦労した。本当に。
人間の赤ん坊より背が低いんだから当たり前だが。
生活面で事あるごとにそう認識せざるを得ないなら戦闘でも思うように動けないのは想像に難くない。だから今のうちに現世での戦い方を突き詰めようかと思っている。
魔法の使い方然り、身体の動かし方然り。いずれこの地を出て前世でやり残した研究の再開、またそれに伴う研究機関の設立や資材の調達に赴くならばしっかり地盤を固める必要がある。
今の俺では身体強化もなしに強風が吹けばコロコロ転がっていくくらい軟弱だからな。爽やかな春風で足元が浮いたときはびっくりしたもんだ。そっちでも今後対策を練らねば。
人間の身体とはあらゆる面で差異があり、どう影響するかは判断がつかないが……それは追々、な。
「いやー驚いた!まさかフィードが魔法を使えるなんてな!」
領主へ納税を済ませた帰り道。
ちょっとばかし興奮した様子で父が切り出した。
「魔力が継続されたことは話しただろ?」
「そうなんだけどなぁ、ノンバード族は魔法を使えない種族代表だから魔力云々関係なく魔法を使えないもんだと思ってたから」
なるほど。血栓の存在を知らないなら魔力の有無も分からないし、たとえ保有していても血栓が邪魔して魔法を阻害されるから使えないって認識されてるのか。
見たところ、血栓さえ取り除けば魔力は使える。
……ふむ、試してみる価値はあるか。
「父よ。ちょっと実験台になってくれ」
「は?」
「命に別状はないから大丈夫だ(多分)」
「待て待て待て!いきなりなんだ!?」
息子が突如訳の分からんことを言い出したと全力で顔に書いてあるが無視。
万が一失敗しても女子供の発言力が強い我が家において家庭内権力が低い父ならどうなっても構わな……いや流石に可哀想か。骨くらいは拾ってやろう。
実験台なんて不穏なワードに恐怖と困惑が入り交じったような表情で一歩下がる父の羽根にしがみつく。「ひぇっ」と息子を抱き留めたとは思えぬ情けなくも短い悲鳴が聞こえ、そんなだから嫁の尻に敷かれるんだよと思ったがそんなものは意に介さず、魔力の血栓を引っこ抜いた。
するとどうだろう。
みるみるうちに魔力が全身に巡り、肉体が活性化するではないか。
「う……おおおおお!?な、なんだ!?急に力が湧いてくるぞ!」
瞬間的に魔力が循環した影響でメキメキと筋肉が盛り上がる。
血栓を抜いた直後によくあることだ。解き放たれた魔力が肉体に浸透すると筋肉が活性化してマッチョ体型になる。
端から見たら8頭身のゴリマッチョ鶏である。
思わずアイアンクローを叩き込んだ俺は悪くない。
「ううう……子供達の俺への扱いが雑になってく……」
幸いにも筋肉が活性化するのは血栓を抜いてから数秒程度なのですぐに元のスリムボディ鶏に戻ったが、息子の暴挙にしくしく涙を流している父。
最近じゃ子供達に運動がてらサンドバッグにされ、これまた遊んでほしい子供達に綱引きよろしく千切れんばかりに引っ張りだこにされて肩の間接が外れることもあるのだからこれくらい慣れてほしいものだ。
ちなみに母は「あらあらお父さんったら人気者ねぇ」と笑って過ごしている。
「どうだ?魔力の血栓を抜いたんだが、身体に異常はないか?」
「え?ケッセン?……よく分かんないけど、身体は軽くなった気がするね。妙に力も漲るし」
よし成功だ。
これで父も魔法を使える。
そうだ、どうせなら家族全員の血栓を取り除こう。
ここらでは魔物を見かけないし、治安もいいから危険なんてほぼほぼないが万が一ということもある。想定外の事態に備えて家族を鍛えてやるのもいいかもな。
前世の記憶持ちとはいえ大事な家族だ。何か起こってから後悔するよりずっといい。
てな訳で帰ってから早速全員の血栓を抜いた。
「うおおおお!」
「すごいすごい!よく分かんないけどすごーい!」
「何これ面白ーい!」
魔力を解き放ち覚醒した弟妹達がはしゃぐ。
だが残念ながらその姿を見ることはできない。
何故かって?意図的に視界をシャットアウトしてるからさ。
俺の可愛い天使達がゴリマッチョになるなんて考えるだけで恐ろしい。
お前達は永遠の天使でいてくれ……
勢いでやらかしたが喜ばしく思う。
今後は魔法を使うことに身体を慣らしていこう。前世の記憶があるからといって以前と同じように魔法を放てる保証などないからな。
記憶はあっても数年のブランクが生じているし、今の肉体に魔力を馴染ませるのに必死だったのもあるが、一番の問題はやはりこの肉体。
ヒヨコの身体なのだ。
人間だった前世に比べると全体的に可愛らしくなってるというか小ぢんまりしてるというか、ぶっちゃけ大人の手の平くらいのお手軽サイズに縮まったこの雛鳥体型は動きづらい。
何せ前世が人間だったからな。その感覚のまま行動しても上手くいかないことも多いのだ。
家事ひとつ取ってみても洗濯物を干すときに干し竿に手が届かなかったり、棚から食器を取り出すときに脚立がないと取り出せなかったり、はじめの内は苦労した。本当に。
人間の赤ん坊より背が低いんだから当たり前だが。
生活面で事あるごとにそう認識せざるを得ないなら戦闘でも思うように動けないのは想像に難くない。だから今のうちに現世での戦い方を突き詰めようかと思っている。
魔法の使い方然り、身体の動かし方然り。いずれこの地を出て前世でやり残した研究の再開、またそれに伴う研究機関の設立や資材の調達に赴くならばしっかり地盤を固める必要がある。
今の俺では身体強化もなしに強風が吹けばコロコロ転がっていくくらい軟弱だからな。爽やかな春風で足元が浮いたときはびっくりしたもんだ。そっちでも今後対策を練らねば。
人間の身体とはあらゆる面で差異があり、どう影響するかは判断がつかないが……それは追々、な。
「いやー驚いた!まさかフィードが魔法を使えるなんてな!」
領主へ納税を済ませた帰り道。
ちょっとばかし興奮した様子で父が切り出した。
「魔力が継続されたことは話しただろ?」
「そうなんだけどなぁ、ノンバード族は魔法を使えない種族代表だから魔力云々関係なく魔法を使えないもんだと思ってたから」
なるほど。血栓の存在を知らないなら魔力の有無も分からないし、たとえ保有していても血栓が邪魔して魔法を阻害されるから使えないって認識されてるのか。
見たところ、血栓さえ取り除けば魔力は使える。
……ふむ、試してみる価値はあるか。
「父よ。ちょっと実験台になってくれ」
「は?」
「命に別状はないから大丈夫だ(多分)」
「待て待て待て!いきなりなんだ!?」
息子が突如訳の分からんことを言い出したと全力で顔に書いてあるが無視。
万が一失敗しても女子供の発言力が強い我が家において家庭内権力が低い父ならどうなっても構わな……いや流石に可哀想か。骨くらいは拾ってやろう。
実験台なんて不穏なワードに恐怖と困惑が入り交じったような表情で一歩下がる父の羽根にしがみつく。「ひぇっ」と息子を抱き留めたとは思えぬ情けなくも短い悲鳴が聞こえ、そんなだから嫁の尻に敷かれるんだよと思ったがそんなものは意に介さず、魔力の血栓を引っこ抜いた。
するとどうだろう。
みるみるうちに魔力が全身に巡り、肉体が活性化するではないか。
「う……おおおおお!?な、なんだ!?急に力が湧いてくるぞ!」
瞬間的に魔力が循環した影響でメキメキと筋肉が盛り上がる。
血栓を抜いた直後によくあることだ。解き放たれた魔力が肉体に浸透すると筋肉が活性化してマッチョ体型になる。
端から見たら8頭身のゴリマッチョ鶏である。
思わずアイアンクローを叩き込んだ俺は悪くない。
「ううう……子供達の俺への扱いが雑になってく……」
幸いにも筋肉が活性化するのは血栓を抜いてから数秒程度なのですぐに元のスリムボディ鶏に戻ったが、息子の暴挙にしくしく涙を流している父。
最近じゃ子供達に運動がてらサンドバッグにされ、これまた遊んでほしい子供達に綱引きよろしく千切れんばかりに引っ張りだこにされて肩の間接が外れることもあるのだからこれくらい慣れてほしいものだ。
ちなみに母は「あらあらお父さんったら人気者ねぇ」と笑って過ごしている。
「どうだ?魔力の血栓を抜いたんだが、身体に異常はないか?」
「え?ケッセン?……よく分かんないけど、身体は軽くなった気がするね。妙に力も漲るし」
よし成功だ。
これで父も魔法を使える。
そうだ、どうせなら家族全員の血栓を取り除こう。
ここらでは魔物を見かけないし、治安もいいから危険なんてほぼほぼないが万が一ということもある。想定外の事態に備えて家族を鍛えてやるのもいいかもな。
前世の記憶持ちとはいえ大事な家族だ。何か起こってから後悔するよりずっといい。
てな訳で帰ってから早速全員の血栓を抜いた。
「うおおおお!」
「すごいすごい!よく分かんないけどすごーい!」
「何これ面白ーい!」
魔力を解き放ち覚醒した弟妹達がはしゃぐ。
だが残念ながらその姿を見ることはできない。
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俺の可愛い天使達がゴリマッチョになるなんて考えるだけで恐ろしい。
お前達は永遠の天使でいてくれ……
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