最強賢者、ヒヨコに転生する。~最弱種族に転生してもやっぱり最強~

深園 彩月

文字の大きさ
39 / 122

39. 探されてた

しおりを挟む
 ドラゴンを討伐した日から何日も過ぎ、アネスタにも少しずつ慣れてきた。
 その間何をしていたかというと、もちろん素材集めである。

 レアポーク領方面の森に潜む魔物を討伐したり、バードランス火山周辺の魔物を討伐したり、薬草なども採取していた。
 必要な素材は魔物だけじゃないからな。

 外出時、たまにセレーナに絡まれたりもしたが難なくかわした。

 なんで俺の居場所分かるんだろう?教えてないのに、と思って聞いたら「猫の勘にゃ!」と自信満々に答えた。
 勘だけで居所を当てるのもすごい。
 毎回道を変えてるのにピンポイントで強襲してくるからな、あの猫……

 幸いにもグレイルさんの家にいる間は襲ってこないから問題ないか。

 アネスタに来てからというもの、ずっとグレイルさんの家に世話になってたりする俺である。

 ずっと世話になるのも迷惑だろうと宿に泊まろうとしたのだが、他ならぬグレイルさんに引き留められたのだ。
 家に泊める代わりに仕入れた魔道具の性能を上げてくれと頼まれたため現状そこに落ち着いた。
 毎度少なくない報酬を渡されるが、その上で泊めてもらってブルーの遊び相手にもなってくれて、なんだかちょっと申し訳ないので魔道具を作ったら一番にグレイルさんにプレゼントしよう。

 ファイヤーバードの羽が大量にあるので、これから来る冬に備えて魔導クッションにしようかな。
 フォレストラウルフの毛皮をふわふわになるように手を入れて、中にファイヤーバードの羽を詰める。ファイヤーバードの羽はそのままだとすごく熱いのが特徴で、ただ中に詰めただけだと段々熱くなってきて使い物にならなくなる。

 ここで魔力回路の出番だ。
 魔石を動力源にして魔力回路を作り出し、半永久的に程よく温かくなるように調整する。
 間違えてはならないのが魔石の種類。
 ファイヤーバードの羽を使う場合、炎系の魔物の魔石を使うのはタブーだ。何故かって、炎系の魔物の素材と魔石を組み合わせたら相乗効果で燃えるからだ。
 そういう魔道具を作るなら問題ないが、あくまで作るのはクッションだからな。燃えるクッションなんて使えないだろ。

 幸いアネスタまでの道中で大量に狩ったオークの魔石があるのでそれを使えばちょうどいい具合に温度を保てる。
 あまり強い魔物の魔石だと今度は温度が下がってただのクッションになってしまうからな。
 オーク大量発生したときはどうせならワイバーンを大量に出せと憤ったが、魔石を沢山取れたから魔導クッションを作れるのだ。今では必要なことだったと思う。

 魔道具は魔石に宿る魔力が動力源だ。つまり、魔石に宿る魔力が底をついたら魔道具としての機能は失われる。
 魔石を取り替えれば何度でも使えるから問題にはならないけどな。

「こんにちはフィードさん。今日も森へ素材採取ですか」

 黒豹獣人の門番が、俺が提示したステータスカードを確認しながら無表情に言う。

「こんにちは。今日はポイズンスネークの素材と沼の底に生息してる水草の採取が主ですね。前回はフォレストラウルフを中心に討伐してたので」

「本当に素材を採取するのがお好きなんですね」

「素材採取が、というより魔道具を作るのが好きなんです。この素材でこんな魔道具を作りたいなーって思うと楽しくて」

「くれぐれも怪我などしないようにお気をつけ下さい。天気が怪しいのでできるだけ雨が降る前に戻ってきて下さいね」

 こうして世間話するくらいには黒豹獣人と親しくなった。

 最初ステータスカード見せたときは称号見て固まっていたが、それでも態度を変えずに気さくに話しかけてくれた。
 無表情だし、声は淡々としてるしで分かりづらいけど、割りとフレンドリーな人なのだ。

 結構嬉しいもんだな。隣のトカゲ獣人やバードランス火山方面の門番だと物凄く丁寧に対応されるからな。
 賢者の称号に反応してそうなってるのは明らかで、掌を返すようにそんな態度をされると少し困る。普通にしてほしいのに。

 黒豹獣人の門番との世間話を終えて森へ向かい、今日もせっせと素材を採取。

 ポイズンスネークの口から放たれる毒をかわして真っ二つにしては収納に入れ、視界に入った次なるポイズンスネークに軽く威嚇射撃して強制的に意識をこちらに向ける。そして再び毒攻撃を避けてはぶちのめす。この毒も使い道があるので確保。

 沼の周辺にいるそれらを間引きしたあと、沼の水を風で巻き上げて水草を採取し、風魔法を切って元に戻す。

 周辺にある植物も使えそうなものがあったらどんどん採取していき、黒豹獣人の忠告通り雨が降る前に帰還。
 門が見えてきたところでぽつぽつ雨が降りだしたので急ぐ。

「……あれ?誰かいる」

 何やらトカゲ獣人と誰かが話し合っている。

 レアポーク領方面に行くのは冒険者かたまに行商人くらいなものだが、トカゲ獣人と話してる人は身なりがいい。
 田舎領に行く行商人より身なりが良く、体格もがっしりしていて……というより、見覚えのある格好だな。

 近くまで行くとその人物は気配を察して振り向いた。

「フィード!やっと見つけた……」

 どこか安堵した様子で息を吐くその人は冒険者ギルドのマスターだった。

「どうしました?」

 ギルマスの口振りからするに、俺を探していたっぽい。

 はて?
 俺は依頼を受けてないので冒険者ではない。懐は温かいので冒険者ギルドで魔物を売ったりもしていない。というかまず冒険者ギルドに行ってない。なので前みたいにギルド破壊して罰則をくらうなんてことももちろんない。

 ギルマスが探しに来るような案件はないはずだが、いったいどうしたのか。

しおりを挟む
感想 144

あなたにおすすめの小説

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

赤ん坊なのに【試練】がいっぱい! 僕は【試練】で大きくなれました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はジーニアス 優しい両親のもとで生まれた僕は小さな村で暮らすこととなりました お父さんは村の村長みたいな立場みたい お母さんは病弱で家から出れないほど 二人を助けるとともに僕は異世界を楽しんでいきます ーーーーー この作品は大変楽しく書けていましたが 49話で終わりとすることにいたしました 完結はさせようと思いましたが次をすぐに書きたい そんな欲求に屈してしまいましたすみません

転生後はゆっくりと

衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。 日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。 そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。 でも、リリは悲観しない。 前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。 目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。 全25話(予定)

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

処理中です...