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59. 高度な技術だったようです
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段々朝と夜が冷え込んできたある日、グレイルさんに呼び出された。
魔道具を量産するための職人を何人か確保したと連絡が入ったからだ。
「5人か。よく集められたね?」
「工房を持たねぇ職人はそれなりにいますからね。自慢じゃねぇがその筋では顔が広いんで、話を持ちかけたらすぐ食い付いてきましたよ。あ、ちゃんと人選してるんで心配しないで下さい」
グレイルさんの執務室にて三人顔を突き合わせる。
今回はヴォルクリンが一肌脱いでくれたので割りとすぐに職人が集まった。
人選は恐らく俺のことを考慮してくれたんだろう。職人にも種族によって対応を変える人はいるらしいし。
「職人としての腕もいいんで、フィードさんの特殊な魔道具にもすぐ順応できると思います」
どうやら差別意識がなく腕のいい職人を揃えてくれたようだ。
にしても、特殊って。魔石を複数使った魔道具は前世では普通だったのに。
「おいヴォルさんよ、そりゃ嫌味にしか聞こえねぇぜ」
「天下のリーバー商会専属魔法剣職人のアンタに腕がいいって言われてもなぁ」
黙って成り行きを見ていた職人達が苦笑しながら声を上げる。
この執務室には職人達も集まっており、顔合わせも兼ねて仕事内容の詳細を説明するつもりだったのだ。
「にしても信じ難いな。ノンバード族って魔力がないんだろ?本当に魔道具なんて作れるのか?」
嫌な視線ではないがどこか懐疑的な眼差し。
ステータスカードを見せれば一発で分かるが、一々目くじらを立てても仕方ないのでスルー。
情報開示は必要最低限の方向にして、さっそく複数魔石の魔道具作りを簡単に説明する。
「……は?魔石を複数使う?」
「何言ってんだこのヒヨコ……魔道具はひとつしか魔石使えねぇだろ」
こちらでも魔道具ひとつに魔石ひとつが常識らしく、丁寧に説明したのに理解してもらえなかった。
ので、実際に作りながらレクチャーしてみる。
「ここの魔力回路をこうして繋げて、ただ繋ぐだけだと途中で切れるので調整しながら……」
「いやいや待て待て!」
「馬鹿な……魔石の魔力を繋げるなんて……」
「しかもこの細さ……こんな複雑な魔力回路見たことねぇ」
「これを俺らに作れって……?」
「こんなん無理に決まってるだろ!」
一番簡単な構造の温熱魔導クッションの魔力回路を実際に見せながら作り上げ、職人達にもやってもらったのだが、誰ひとり完成しない。
いきなり魔石四つは難しかったかと思い、比較的魔力を繋げやすく単純な回路しか作れない屑魔石を2つ用意して魔力を繋げてみせたのだが、そもそも魔石の魔力を繋げること自体できないと言われた。
終いには「こんな高度な技術を持つなんて、実はノンバード族は凄い種族なんじゃないか?」と若干誤解した職人達がざわつく。
高度な技術認定された。そんなつもりは微塵もなかったのに。
「困ったねぇ。腕の立つ職人でも作れないのか……」
「すいやせん。力及ばず……」
まさか職人が作れないなんて考えてもいなかった俺達はどうしようかと悩む。
この人達の反応からして他の職人も複数魔石の魔道具を作れない可能性が……最悪、俺ひとりで量産しなくてはいけない。
いや、待てよ?魔道具の作り方は弟妹達に教えたよな?
幸いにもレルム達は出稼ぎに来ている。稼げるならどんな仕事でもやる!と意気込んでいたし、特にノヴァは魔道具を作るのが大好きな子だから率先して動いてくれるだろう。
基礎しか教えてないから複数魔石の魔道具は作らせたことなどないが、大丈夫うちの子なら覚えられる。
という訳でグレイルさん達に一言断りを入れてノヴァとレインを連れてきた。
レルムは連日冒険者ギルドに通って依頼を受けている。セルザは街を見て回って物価を調べたり商業ギルドで商売のいろはを学んだりしているそうだ。
子供だけで外出させるのは心配だったが最近は街中で絡まれる頻度もかなり減ってきたし、冒険者ギルドでも商業ギルドでも顔を覚えられたから俺の家族に下手な真似はしないはず。
冒険者ギルドでは畏怖され、商業ギルドでは金の成る木と認識されているからな。そんな俺の身内を害したらただじゃ済まないのは明白。更に最近はルファウス率いる護衛があの子達を守ってくれている。よって問題なし。
「わーい!魔道具作れるー!」
「ノヴァ姉さん落ち着いて。はしゃぎすぎだよ」
「だってだって、新しい技術を教えてくれるんだよ!?それもお兄ちゃんが!はしゃぐなって方が無理だよーっ」
「気持ちは痛いほど分かるけど……」
「はいはい2人とも、今から教えるからはしゃぐのもほどほどにな」
普段よりテンション高めな2人を諌めて屑魔石を6個取り出す。
俺が魔力回路を繋げたりしたのをその目で見てたからか、職人達の「本当に作れるのか?」的な眼差しは鳴りを潜めている。
しかし小雛である2人がヒヨコの俺を兄と呼んでいることに疑問符を浮かべている様子。いつものことだ。
グレイルさんとヴォルクリンは俺達メルティアス兄弟が魔道具を作れることを知っているので特に反応なし。
先程と同じように屑魔石同士の魔力を繋げて説明してみせたらさっそく実践してみせる2人。
ちょっと難しかったのか多少時間がかかったものの、無事魔力を繋げることに成功。
「できたー!お兄ちゃん、できたよ!ほら!」
「僕もだよ。見て見て、フィード兄さん」
「ん、2人ともちゃんと魔力を繋げたな。えらいぞー」
背伸びをしてヒヨコの手で頭を撫で撫で。
きゃっきゃとはしゃぐノヴァ、照れ臭そうにはにかむレイン。
めちゃめちゃ可愛いんですけどうちの子達……!
弟妹のあまりの可愛さにノックアウトされているとグレイルさんとヴォルクリンが感心するようにほぅっとため息。
「何度見てもすごいねぇ。魔石の魔力を繋げるなんて」
「魔道具ひとつに魔石ひとつが当たり前ですし、いくら腕のいい職人でもいきなり非常識ぶっこまれてもそりゃ無理ですよね」
非常識とは失礼な。常識の範疇だぞ。前世基準だけど。
「オレらができなかったことをああも簡単に……」
「うぅむ……悔しいが、自分はできそうにないな」
一部始終を傍らで見ていた職人達は何人もの子供が平然と魔石の魔力を繋げたことに少し唖然としていたが、やがて悔しげにしつつも完敗だと笑った。
おや?多少は何か言われると踏んでいたのに。
ヴォルクリンが選んだだけあって変に突っかかってこないな。類は友を呼ぶってこういうことか。
突っ掛かってくるどころか逆にいいものを見させてもらった、いい勉強になったとお礼を言われたり、どこどこの工房の誰々は差別意識が強いから近付かない方がいい、逆にどこそこの工房は小規模ながら良い仕事をするからオススメなどお得情報を流してくれた。
果たしてヒヨコが武器や防具を身に付けることがあるのかとてつもなく疑問が沸いてくるが、善意で教えてくれてるのに水を差すのもどうかと思うので黙っておいた。
魔道具作りは俺とノヴァとレインが中心となって行うことに決まり、あとから話を聞いたセルザも手伝ってくれることに。
ちなみにレルムは「ちまちま魔道具作るより魔物倒す方がずっと楽しい!」という理由で不参加。
最近レルムの脳筋ぶりが目に見えて酷くなってきたんだが、どうやって矯正しよう……
魔道具を量産するための職人を何人か確保したと連絡が入ったからだ。
「5人か。よく集められたね?」
「工房を持たねぇ職人はそれなりにいますからね。自慢じゃねぇがその筋では顔が広いんで、話を持ちかけたらすぐ食い付いてきましたよ。あ、ちゃんと人選してるんで心配しないで下さい」
グレイルさんの執務室にて三人顔を突き合わせる。
今回はヴォルクリンが一肌脱いでくれたので割りとすぐに職人が集まった。
人選は恐らく俺のことを考慮してくれたんだろう。職人にも種族によって対応を変える人はいるらしいし。
「職人としての腕もいいんで、フィードさんの特殊な魔道具にもすぐ順応できると思います」
どうやら差別意識がなく腕のいい職人を揃えてくれたようだ。
にしても、特殊って。魔石を複数使った魔道具は前世では普通だったのに。
「おいヴォルさんよ、そりゃ嫌味にしか聞こえねぇぜ」
「天下のリーバー商会専属魔法剣職人のアンタに腕がいいって言われてもなぁ」
黙って成り行きを見ていた職人達が苦笑しながら声を上げる。
この執務室には職人達も集まっており、顔合わせも兼ねて仕事内容の詳細を説明するつもりだったのだ。
「にしても信じ難いな。ノンバード族って魔力がないんだろ?本当に魔道具なんて作れるのか?」
嫌な視線ではないがどこか懐疑的な眼差し。
ステータスカードを見せれば一発で分かるが、一々目くじらを立てても仕方ないのでスルー。
情報開示は必要最低限の方向にして、さっそく複数魔石の魔道具作りを簡単に説明する。
「……は?魔石を複数使う?」
「何言ってんだこのヒヨコ……魔道具はひとつしか魔石使えねぇだろ」
こちらでも魔道具ひとつに魔石ひとつが常識らしく、丁寧に説明したのに理解してもらえなかった。
ので、実際に作りながらレクチャーしてみる。
「ここの魔力回路をこうして繋げて、ただ繋ぐだけだと途中で切れるので調整しながら……」
「いやいや待て待て!」
「馬鹿な……魔石の魔力を繋げるなんて……」
「しかもこの細さ……こんな複雑な魔力回路見たことねぇ」
「これを俺らに作れって……?」
「こんなん無理に決まってるだろ!」
一番簡単な構造の温熱魔導クッションの魔力回路を実際に見せながら作り上げ、職人達にもやってもらったのだが、誰ひとり完成しない。
いきなり魔石四つは難しかったかと思い、比較的魔力を繋げやすく単純な回路しか作れない屑魔石を2つ用意して魔力を繋げてみせたのだが、そもそも魔石の魔力を繋げること自体できないと言われた。
終いには「こんな高度な技術を持つなんて、実はノンバード族は凄い種族なんじゃないか?」と若干誤解した職人達がざわつく。
高度な技術認定された。そんなつもりは微塵もなかったのに。
「困ったねぇ。腕の立つ職人でも作れないのか……」
「すいやせん。力及ばず……」
まさか職人が作れないなんて考えてもいなかった俺達はどうしようかと悩む。
この人達の反応からして他の職人も複数魔石の魔道具を作れない可能性が……最悪、俺ひとりで量産しなくてはいけない。
いや、待てよ?魔道具の作り方は弟妹達に教えたよな?
幸いにもレルム達は出稼ぎに来ている。稼げるならどんな仕事でもやる!と意気込んでいたし、特にノヴァは魔道具を作るのが大好きな子だから率先して動いてくれるだろう。
基礎しか教えてないから複数魔石の魔道具は作らせたことなどないが、大丈夫うちの子なら覚えられる。
という訳でグレイルさん達に一言断りを入れてノヴァとレインを連れてきた。
レルムは連日冒険者ギルドに通って依頼を受けている。セルザは街を見て回って物価を調べたり商業ギルドで商売のいろはを学んだりしているそうだ。
子供だけで外出させるのは心配だったが最近は街中で絡まれる頻度もかなり減ってきたし、冒険者ギルドでも商業ギルドでも顔を覚えられたから俺の家族に下手な真似はしないはず。
冒険者ギルドでは畏怖され、商業ギルドでは金の成る木と認識されているからな。そんな俺の身内を害したらただじゃ済まないのは明白。更に最近はルファウス率いる護衛があの子達を守ってくれている。よって問題なし。
「わーい!魔道具作れるー!」
「ノヴァ姉さん落ち着いて。はしゃぎすぎだよ」
「だってだって、新しい技術を教えてくれるんだよ!?それもお兄ちゃんが!はしゃぐなって方が無理だよーっ」
「気持ちは痛いほど分かるけど……」
「はいはい2人とも、今から教えるからはしゃぐのもほどほどにな」
普段よりテンション高めな2人を諌めて屑魔石を6個取り出す。
俺が魔力回路を繋げたりしたのをその目で見てたからか、職人達の「本当に作れるのか?」的な眼差しは鳴りを潜めている。
しかし小雛である2人がヒヨコの俺を兄と呼んでいることに疑問符を浮かべている様子。いつものことだ。
グレイルさんとヴォルクリンは俺達メルティアス兄弟が魔道具を作れることを知っているので特に反応なし。
先程と同じように屑魔石同士の魔力を繋げて説明してみせたらさっそく実践してみせる2人。
ちょっと難しかったのか多少時間がかかったものの、無事魔力を繋げることに成功。
「できたー!お兄ちゃん、できたよ!ほら!」
「僕もだよ。見て見て、フィード兄さん」
「ん、2人ともちゃんと魔力を繋げたな。えらいぞー」
背伸びをしてヒヨコの手で頭を撫で撫で。
きゃっきゃとはしゃぐノヴァ、照れ臭そうにはにかむレイン。
めちゃめちゃ可愛いんですけどうちの子達……!
弟妹のあまりの可愛さにノックアウトされているとグレイルさんとヴォルクリンが感心するようにほぅっとため息。
「何度見てもすごいねぇ。魔石の魔力を繋げるなんて」
「魔道具ひとつに魔石ひとつが当たり前ですし、いくら腕のいい職人でもいきなり非常識ぶっこまれてもそりゃ無理ですよね」
非常識とは失礼な。常識の範疇だぞ。前世基準だけど。
「オレらができなかったことをああも簡単に……」
「うぅむ……悔しいが、自分はできそうにないな」
一部始終を傍らで見ていた職人達は何人もの子供が平然と魔石の魔力を繋げたことに少し唖然としていたが、やがて悔しげにしつつも完敗だと笑った。
おや?多少は何か言われると踏んでいたのに。
ヴォルクリンが選んだだけあって変に突っかかってこないな。類は友を呼ぶってこういうことか。
突っ掛かってくるどころか逆にいいものを見させてもらった、いい勉強になったとお礼を言われたり、どこどこの工房の誰々は差別意識が強いから近付かない方がいい、逆にどこそこの工房は小規模ながら良い仕事をするからオススメなどお得情報を流してくれた。
果たしてヒヨコが武器や防具を身に付けることがあるのかとてつもなく疑問が沸いてくるが、善意で教えてくれてるのに水を差すのもどうかと思うので黙っておいた。
魔道具作りは俺とノヴァとレインが中心となって行うことに決まり、あとから話を聞いたセルザも手伝ってくれることに。
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