67 / 122
67. うちで飼うことになりました
しおりを挟む
引っ越し初日は扉の改装や掃除、それ以降は内装を変えたり周辺の雑草を取り除いたりとそれなりに忙しくしていた。
扉は子供でも開けれるように軽くて丈夫な木材にして、そのままだと石の壁に木の扉で見た目的にも防犯的にもよろしくないので幻影魔法を駆使してこれまで通りの重厚な扉に見せかけた。
更に防犯として屋敷に結界を張った。こんな街外れの寂れた土地になんて誰も来ないだろうけど。
ちなみに部屋割りは終始レルム達が言い争っていたので俺が適当に決めた。嘆くレルム達には悪いが、さっさと済ませたかったので。
引っ越し作業も大分落ち着いてきた頃、セレーナの襲撃に見舞われた。
繰り出される凶悪な打撃をあしらい、逆に魔法で反撃したりと軽く相手してやる。
「ふにゃぁ~!やっぱりフィードと遊ぶのが一番楽しいにゃ~」
「それはどうも。引っ越したことは言ってなかったはずだが、また勘で居場所特定したのか?」
戦闘が落ち着き、呆れ混じりにセレーナに問いかけたところ、予想とは違った返答が。
「今回は違うにゃ。フィードの家族は街外れに移り住んだって街の人達が言ってたのにゃ。なんでかアタシを見た人ほぼ全員に言われたにゃ~」
言外にこれ以上街中で暴れるなと訴えられている……
「にしても、こーんな何もないとこに引っ越すなんてフィードも物好きなのにゃ~」
「仕方ないだろ、種族特有の悩みの種が……どうした?」
俺から視線を外して訝しげに目を細めるセレーナ。僅かに警戒心が顔を覗かせている。
「ん~……んんん~~??」
ひたすら首を傾げて唸るセレーナに俺まで首を傾げてしまう。いったい何だというのか。
「ん~……そこにゃ!」
直後、セレーナが神速パンチを突き出した。
誰もいないはずの俺の背後に。
ぎょっとして振り返れば、そこには鳩尾を押さえて呻くルファウスの姿が。
「ル、ルファウス?大丈夫か?」
「ああ、なんとか……」
「にゃ?フィードの知り合いかにゃ~?それは悪いことしちゃったにゃ、なんとなくそこに誰かいそうだったからつい手を出しちゃったにゃ~」
ほんのちょっぴり申し訳なさげに眉を下げて言い放ったセレーナに驚愕する。
気配と魔力を遮断して徹底的に姿を表さないこいつの居場所を正確に見極め、尚且つピンポイントで急所を狙うとは……俺でも普段どこにいるか分からないのに。
「街中で、フィードがちょっかいをかけられる際にも近くにいたが、そのときは反応してなかった。何故だ?」
「あれ、街にもいたにゃ?人いっぱいいるから全然気付かなかったにゃ~」
「人気のないここでは些細な気配も探りやすい、と」
痛みを堪えながら立ち上がり、いたって冷静に自分を襲ったやつに声をかけて分析しだすルファウス。
「いやお前もっと言うことあるだろ」
思わず口を出してしまう。
一瞬きょとんとしたルファウスだが、ハッと何かに気付いてぽんっと手を叩いた。
セレーナに向き直り、真剣な顔で一言。
「素晴らしい拳だった」
そこかよ!
もっとあるだろ、こう、自慢の隠密行動と隠蔽技術をいとも容易く見破られて悔しがったり、突然の事態に呆然としたり、突如ぶん殴られた怒りが沸いたり……!
セレーナはよく分かってない様子で、しかし褒められたのはなんとなく伝わったのか「ありがとにゃ?」と語尾に疑問符をつけてお礼を言う。2人揃って天然か。
脱力する俺に今度はルファウスが首を傾げたが、まあいいかと軽く流して諦めの混じった声音で言った。
「どうやらこの猫には隠せそうにないし、姿を現しておこう。また目にも留まらぬ殺人パンチの餌食になるのは御免だしな」
◇ ◇ ◇
3人(2人と1匹?)揃って俺の家へ。
途中、土魔法で畑をつくっていたレインと遭遇し、2人を紹介した。
にこやかに対応するレインに対し、2人は「天敵を狙う狩人みたいな雰囲気だにゃ~」「あの黒い笑顔、宰相と話が合いそうだな」とよく分からない評価を下していた。うちの可愛い弟に何を感じ取ったんだこの2人は。
「なんで畑もあるのにゃ?農家でも営むのにゃ?」
「我が家の食糧庫だ」
「フィードの家族大食いなのにゃ~」
「確かに胃袋がブラックホールだったな。毎回見てるこっちが胃もたれを起こしそうになる」
雑談を交わしながら歩いてると豪邸に着いた。
王族で、しかも監視として常に俺のそばにいるルファウスは特に何の反応もなかったが、セレーナは感嘆した様子で「でっかい家にゃ~」と目を瞬かせていた。
寒い中わざわざここまで来てくれたんだからと改良版ドラゴン温卓に案内したところ、中で丸くなって動かなくなってしまった。
「ふにゃぁ~……前のやつよりずっと気持ちいいにゃ~!ぽかぽかでぬくぬくで快適にゃ~」
「また1人ドラゴン温卓の魔の手に堕ちたか……」
「猫は炬燵で丸くなる……懐かしい歌を思い出した」
「決めた!アタシ、ここに住むにゃ~!」
「勝手に他人ん家に住み着くな!」
「番犬ならぬ番猫はいかがかにゃ?フィードの家族守ってあげるにゃ」
「イエ間に合ってます」
「じゃあペット枠にゃ!」
「ペット枠!?」
「じゃあ私もペット枠で。この猫がいるなら隠れられないし」
「お前もかルファウス!?」
自分ん家に帰れと散々説得したが徒労に終わり、セレーナとルファウスを我が家に迎え入れることとなった。
ただし、ペットとして。
お前ら本当にそれでいいのか……?
扉は子供でも開けれるように軽くて丈夫な木材にして、そのままだと石の壁に木の扉で見た目的にも防犯的にもよろしくないので幻影魔法を駆使してこれまで通りの重厚な扉に見せかけた。
更に防犯として屋敷に結界を張った。こんな街外れの寂れた土地になんて誰も来ないだろうけど。
ちなみに部屋割りは終始レルム達が言い争っていたので俺が適当に決めた。嘆くレルム達には悪いが、さっさと済ませたかったので。
引っ越し作業も大分落ち着いてきた頃、セレーナの襲撃に見舞われた。
繰り出される凶悪な打撃をあしらい、逆に魔法で反撃したりと軽く相手してやる。
「ふにゃぁ~!やっぱりフィードと遊ぶのが一番楽しいにゃ~」
「それはどうも。引っ越したことは言ってなかったはずだが、また勘で居場所特定したのか?」
戦闘が落ち着き、呆れ混じりにセレーナに問いかけたところ、予想とは違った返答が。
「今回は違うにゃ。フィードの家族は街外れに移り住んだって街の人達が言ってたのにゃ。なんでかアタシを見た人ほぼ全員に言われたにゃ~」
言外にこれ以上街中で暴れるなと訴えられている……
「にしても、こーんな何もないとこに引っ越すなんてフィードも物好きなのにゃ~」
「仕方ないだろ、種族特有の悩みの種が……どうした?」
俺から視線を外して訝しげに目を細めるセレーナ。僅かに警戒心が顔を覗かせている。
「ん~……んんん~~??」
ひたすら首を傾げて唸るセレーナに俺まで首を傾げてしまう。いったい何だというのか。
「ん~……そこにゃ!」
直後、セレーナが神速パンチを突き出した。
誰もいないはずの俺の背後に。
ぎょっとして振り返れば、そこには鳩尾を押さえて呻くルファウスの姿が。
「ル、ルファウス?大丈夫か?」
「ああ、なんとか……」
「にゃ?フィードの知り合いかにゃ~?それは悪いことしちゃったにゃ、なんとなくそこに誰かいそうだったからつい手を出しちゃったにゃ~」
ほんのちょっぴり申し訳なさげに眉を下げて言い放ったセレーナに驚愕する。
気配と魔力を遮断して徹底的に姿を表さないこいつの居場所を正確に見極め、尚且つピンポイントで急所を狙うとは……俺でも普段どこにいるか分からないのに。
「街中で、フィードがちょっかいをかけられる際にも近くにいたが、そのときは反応してなかった。何故だ?」
「あれ、街にもいたにゃ?人いっぱいいるから全然気付かなかったにゃ~」
「人気のないここでは些細な気配も探りやすい、と」
痛みを堪えながら立ち上がり、いたって冷静に自分を襲ったやつに声をかけて分析しだすルファウス。
「いやお前もっと言うことあるだろ」
思わず口を出してしまう。
一瞬きょとんとしたルファウスだが、ハッと何かに気付いてぽんっと手を叩いた。
セレーナに向き直り、真剣な顔で一言。
「素晴らしい拳だった」
そこかよ!
もっとあるだろ、こう、自慢の隠密行動と隠蔽技術をいとも容易く見破られて悔しがったり、突然の事態に呆然としたり、突如ぶん殴られた怒りが沸いたり……!
セレーナはよく分かってない様子で、しかし褒められたのはなんとなく伝わったのか「ありがとにゃ?」と語尾に疑問符をつけてお礼を言う。2人揃って天然か。
脱力する俺に今度はルファウスが首を傾げたが、まあいいかと軽く流して諦めの混じった声音で言った。
「どうやらこの猫には隠せそうにないし、姿を現しておこう。また目にも留まらぬ殺人パンチの餌食になるのは御免だしな」
◇ ◇ ◇
3人(2人と1匹?)揃って俺の家へ。
途中、土魔法で畑をつくっていたレインと遭遇し、2人を紹介した。
にこやかに対応するレインに対し、2人は「天敵を狙う狩人みたいな雰囲気だにゃ~」「あの黒い笑顔、宰相と話が合いそうだな」とよく分からない評価を下していた。うちの可愛い弟に何を感じ取ったんだこの2人は。
「なんで畑もあるのにゃ?農家でも営むのにゃ?」
「我が家の食糧庫だ」
「フィードの家族大食いなのにゃ~」
「確かに胃袋がブラックホールだったな。毎回見てるこっちが胃もたれを起こしそうになる」
雑談を交わしながら歩いてると豪邸に着いた。
王族で、しかも監視として常に俺のそばにいるルファウスは特に何の反応もなかったが、セレーナは感嘆した様子で「でっかい家にゃ~」と目を瞬かせていた。
寒い中わざわざここまで来てくれたんだからと改良版ドラゴン温卓に案内したところ、中で丸くなって動かなくなってしまった。
「ふにゃぁ~……前のやつよりずっと気持ちいいにゃ~!ぽかぽかでぬくぬくで快適にゃ~」
「また1人ドラゴン温卓の魔の手に堕ちたか……」
「猫は炬燵で丸くなる……懐かしい歌を思い出した」
「決めた!アタシ、ここに住むにゃ~!」
「勝手に他人ん家に住み着くな!」
「番犬ならぬ番猫はいかがかにゃ?フィードの家族守ってあげるにゃ」
「イエ間に合ってます」
「じゃあペット枠にゃ!」
「ペット枠!?」
「じゃあ私もペット枠で。この猫がいるなら隠れられないし」
「お前もかルファウス!?」
自分ん家に帰れと散々説得したが徒労に終わり、セレーナとルファウスを我が家に迎え入れることとなった。
ただし、ペットとして。
お前ら本当にそれでいいのか……?
22
あなたにおすすめの小説
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
赤ん坊なのに【試練】がいっぱい! 僕は【試練】で大きくなれました
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はジーニアス
優しい両親のもとで生まれた僕は小さな村で暮らすこととなりました
お父さんは村の村長みたいな立場みたい
お母さんは病弱で家から出れないほど
二人を助けるとともに僕は異世界を楽しんでいきます
ーーーーー
この作品は大変楽しく書けていましたが
49話で終わりとすることにいたしました
完結はさせようと思いましたが次をすぐに書きたい
そんな欲求に屈してしまいましたすみません
転生後はゆっくりと
衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。
日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。
そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。
でも、リリは悲観しない。
前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。
目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。
全25話(予定)
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
小さな貴族は色々最強!?
谷 優
ファンタジー
神様の手違いによって、別の世界の人間として生まれた清水 尊。
本来存在しない世界の異物を排除しようと見えざる者の手が働き、不運にも9歳という若さで息を引き取った。
神様はお詫びとして、記憶を持ったままの転生、そして加護を授けることを約束した。
その結果、異世界の貴族、侯爵家ウィリアム・ヴェスターとして生まれ変ることに。
転生先は優しい両親と、ちょっぴり愛の強い兄のいるとっても幸せな家庭であった。
魔法属性検査の日、ウィリアムは自分の属性に驚愕して__。
ウィリアムは、もふもふな友達と共に神様から貰った加護で皆を癒していく。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる