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84. 人類を超越した者と思い出
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「おかえりなさーい!」
「ただいま、皆」
国王への謁見を終え、ルファウスの寄り道に付き合い、ようやく可愛い弟妹達のもとへ帰って来れた。
元気よく俺に突進してくる4匹の小雛を受け止める。もちろん身体強化を使って。子供のパワーをナメてはいけない。
「王様に会ったんだよね?お兄ちゃんすごーい!」
「さすがフィード兄!」
ノヴァとセルザがぴょんぴょん跳びながら自分のことのように喜んでくれた。ここに天使がいる。
「この国で一番偉い人に会ったんだよね?にいにすごーい!」
「ノンバード族が日の目を見るのも近そうだね」
レルムも興奮気味に俺をぎゅーっと抱き締める。レインだけは子供らしからぬ明後日の方向に解釈しているが。
「いいねぇいいねぇ眼福だねぇ。小動物が戯れてるのってすっげぇ癒されるわー。そう思わない?ルファウス様」
「そうだな。謁見のとき、財務部長がフィードを一目見て撫で繰り回したい衝動に駆られていたのは面白かった」
「あー癒しを求めて的な?日々帳簿と睨めっこで胃薬の世話になってるもんねーあの人。そいや癒し要員が日に日に増えて小動物盛り沢山な屋敷になっちゃってるっつー噂マジ?」
「ああ、こっそり見てきた。子猫と子犬と小鳥が数えきれないほどいたぞ」
さらっと国の重鎮のプライバシーを侵害している2人組は放置して、レルム達と一緒にドラゴン温卓の中へ……
「ふにゃあ~……ふにゃあ~……」
「……猫ちゃん寝てる」
入ろうとしたのだが、セレーナが占拠していたので新たにドラゴン温卓を取り出して皆で暖まる。
ようやく落ち着いてきたところで、冬の間は何をするかという話題に。
「うーん、討伐に行きたいけど寒いしなぁ……」
「ノンバード族用の防寒着ってないのかな?あったら外でも活動できるのに」
「王宮のお針子さんに特注で作ってもらおうよ!ケイオス様も好きにしていいって言ってたし!」
この国にノンバード族用の服はない。というより鳥類獣人の服がそもそも作られてない。
ノンバード族は例外だが、鳥類は空を羽ばたく種族だ。服なんて着たらその動きが阻害されてしまう。だから鳥類獣人用の服が作られたことはなかったのだ。
そんな鳥類獣人用の服を特注。針子が頭を抱える未来が目に浮かぶ。
「フィード兄はどうするの?」
「俺か?俺はいつも通り素材採取しに行くぞ」
「ええっ!?」
何気ないセルザの質問に答えたら皆に驚かれた。次いで必死に引き留めようとするレルム達。
「お外寒いよ?凍え死んじゃうよぉ」「兄さん、いくらなんでもそれは止めよう?」などと焦った風に言われて、何故外出を止められるのか、その理由に思い至った。
「凍え死んだりしないぞ。魔力を身体に浸透させるから」
「魔力を……」
「浸透……?」
揃って首を傾げる小雛達。
そういえばこの方法は教えてなかったか。
魔法とは自身の持つ魔力を変換して世界に干渉することを指す。その魔法を使う直前、世界に干渉する直前のいわゆる属性魔力を維持することにより魔力の使い方の幅が広がるのだ。
「……つまり、火魔法に変換する前の魔力を使えば寒さを感じないってこと?」
「そういうことだ」
レインの問いかけに頷くも反応がない。
どうしたんだろうと周りを見てみれば、驚愕に目を見開いてぽかんと俺を凝視するレルム達の姿があった。
なんでそんな顔してるんだろう?と首を傾げていると、ドラゴン温卓の毛布を捲って呆れた顔をしたルファウスがため息を吐いた。
「君……そんなとんでもなく高度な技術を使わなくても、魔法でどうとでもできるだろう?そんなのは魔力の無駄使いだ」
ルファウスの鋭い指摘にギクッと目を泳がせる。
そうなのだ。魔力を魔法に変換して体外に放出するよりも、魔法に変換する直前の魔力を維持して使う方が消費が激しいのだ。
一見無駄の多い行為だが、ちゃんと意味はある。
「魔力を増やすためだ」
「すでにドラゴンを上回る魔力量なのにまだ増やすか……」
今世紀最大の阿呆を見る目で俺を見下ろすルファウス。背後のレストが「化け物ヒヨコじゃーん!ウケるー」と爆笑していた。
魔力を増やすには魔力を使わねばならない。なのでできるだけ多くの魔力を消費するためにこんなまどろっこしいことをしているのだ。こうでもしないと、この身に宿る膨大な魔力はなかなか減らないからな。
「アント殲滅のときルファウスが使ってた魔法あるだろ?あの規模の魔法を連続で撃てるようにしたいのだが、魔力消費が激しいから数発くらいしか放てない。なら魔力を増やすしかないだろう?それに……」
「それに?」
「前世の師匠に追い付くためにも魔力を増やすのは必要不可欠だしな」
「魔力を増やさないと追い付けないのか……」
「次元をねじ曲げて異空間を造ってそこで生活するような人だったな。世界の裏側で起こった大規模な災害を予知して動かずに指先ひとつで防いだり、海底で海龍の群れを瞬殺したり、国を丸っと結界で覆ったり……俺でもまだできないな」
「マジで?もうそれ人類超越してない?」
我が師ながら頭おかしいと思うことを軽々とやってのけてたからな。2人の気持ちは痛いほど理解できるぞ。
そこでフリーズが解けたレルム達がしょんぼりと落ち込んだ。
「僕らに教えてないってことは僕らにはできないんだよね?」
「うぅ……お兄ちゃんと目一杯遊べるチャンスだと思ったのに……」
大好きな兄ちゃんにできて自分にはできないのが悔しいのと、一緒にいられる時間が減っちゃうのが寂しいのと感情がごちゃ混ぜになっている声色で、涙目で見上げてくる弟妹達。
あまりの可愛さに思わずぎゅうっと抱き締めてしまった。
「大丈夫だ。お前達と遊ぶ時間くらい確保できる。だからそんな悲しそうな目をしないでくれ」
言いながら全員の頭を撫でてやれば、一気に表情が明るくなる弟妹達。もう本当に可愛いすぎてどうしよう……
兄馬鹿を発揮した俺にもう用はないとばかりにドラゴン温卓の毛布を元に戻してレストと会話に花を咲かせるルファウス。
しばらく皆と一緒に遊ぶ計画を立てて、ふとさっきの話題を脳内で引っ張りだす。
懐かしいなぁ。あの人が課す修行で何度死にかけたか分からない。初めての対魔物戦はフェニックスで、次がユニコーン。
初戦でいきなりSランクの魔物とデスバトルする羽目になるとはこれっぽっちも思わなかったよ。おかげさまでフェニックスは少々トラウマになっている。
ユニコーン戦では女装させられたな。誘き寄せるのにちょうどいいからって……あのときのことは思い出したくもない……
まぁ、色々と問題のある人だったけど、魔法の技術は本当に素晴らしかった。そういう意味では心の底から尊敬している。
絶対師匠に追い付いてやるんだと決意したのはいつからだったろう。
「フェリアーナ師匠、今頃何してるかな……」
「――――――っ!」
ぽつりと呟いた魔法の師匠の名前にルファウスが大きく反応したことは、ドラゴン温卓の中でレルム達と一緒にうとうとしていた俺には気付けなかった。
「ただいま、皆」
国王への謁見を終え、ルファウスの寄り道に付き合い、ようやく可愛い弟妹達のもとへ帰って来れた。
元気よく俺に突進してくる4匹の小雛を受け止める。もちろん身体強化を使って。子供のパワーをナメてはいけない。
「王様に会ったんだよね?お兄ちゃんすごーい!」
「さすがフィード兄!」
ノヴァとセルザがぴょんぴょん跳びながら自分のことのように喜んでくれた。ここに天使がいる。
「この国で一番偉い人に会ったんだよね?にいにすごーい!」
「ノンバード族が日の目を見るのも近そうだね」
レルムも興奮気味に俺をぎゅーっと抱き締める。レインだけは子供らしからぬ明後日の方向に解釈しているが。
「いいねぇいいねぇ眼福だねぇ。小動物が戯れてるのってすっげぇ癒されるわー。そう思わない?ルファウス様」
「そうだな。謁見のとき、財務部長がフィードを一目見て撫で繰り回したい衝動に駆られていたのは面白かった」
「あー癒しを求めて的な?日々帳簿と睨めっこで胃薬の世話になってるもんねーあの人。そいや癒し要員が日に日に増えて小動物盛り沢山な屋敷になっちゃってるっつー噂マジ?」
「ああ、こっそり見てきた。子猫と子犬と小鳥が数えきれないほどいたぞ」
さらっと国の重鎮のプライバシーを侵害している2人組は放置して、レルム達と一緒にドラゴン温卓の中へ……
「ふにゃあ~……ふにゃあ~……」
「……猫ちゃん寝てる」
入ろうとしたのだが、セレーナが占拠していたので新たにドラゴン温卓を取り出して皆で暖まる。
ようやく落ち着いてきたところで、冬の間は何をするかという話題に。
「うーん、討伐に行きたいけど寒いしなぁ……」
「ノンバード族用の防寒着ってないのかな?あったら外でも活動できるのに」
「王宮のお針子さんに特注で作ってもらおうよ!ケイオス様も好きにしていいって言ってたし!」
この国にノンバード族用の服はない。というより鳥類獣人の服がそもそも作られてない。
ノンバード族は例外だが、鳥類は空を羽ばたく種族だ。服なんて着たらその動きが阻害されてしまう。だから鳥類獣人用の服が作られたことはなかったのだ。
そんな鳥類獣人用の服を特注。針子が頭を抱える未来が目に浮かぶ。
「フィード兄はどうするの?」
「俺か?俺はいつも通り素材採取しに行くぞ」
「ええっ!?」
何気ないセルザの質問に答えたら皆に驚かれた。次いで必死に引き留めようとするレルム達。
「お外寒いよ?凍え死んじゃうよぉ」「兄さん、いくらなんでもそれは止めよう?」などと焦った風に言われて、何故外出を止められるのか、その理由に思い至った。
「凍え死んだりしないぞ。魔力を身体に浸透させるから」
「魔力を……」
「浸透……?」
揃って首を傾げる小雛達。
そういえばこの方法は教えてなかったか。
魔法とは自身の持つ魔力を変換して世界に干渉することを指す。その魔法を使う直前、世界に干渉する直前のいわゆる属性魔力を維持することにより魔力の使い方の幅が広がるのだ。
「……つまり、火魔法に変換する前の魔力を使えば寒さを感じないってこと?」
「そういうことだ」
レインの問いかけに頷くも反応がない。
どうしたんだろうと周りを見てみれば、驚愕に目を見開いてぽかんと俺を凝視するレルム達の姿があった。
なんでそんな顔してるんだろう?と首を傾げていると、ドラゴン温卓の毛布を捲って呆れた顔をしたルファウスがため息を吐いた。
「君……そんなとんでもなく高度な技術を使わなくても、魔法でどうとでもできるだろう?そんなのは魔力の無駄使いだ」
ルファウスの鋭い指摘にギクッと目を泳がせる。
そうなのだ。魔力を魔法に変換して体外に放出するよりも、魔法に変換する直前の魔力を維持して使う方が消費が激しいのだ。
一見無駄の多い行為だが、ちゃんと意味はある。
「魔力を増やすためだ」
「すでにドラゴンを上回る魔力量なのにまだ増やすか……」
今世紀最大の阿呆を見る目で俺を見下ろすルファウス。背後のレストが「化け物ヒヨコじゃーん!ウケるー」と爆笑していた。
魔力を増やすには魔力を使わねばならない。なのでできるだけ多くの魔力を消費するためにこんなまどろっこしいことをしているのだ。こうでもしないと、この身に宿る膨大な魔力はなかなか減らないからな。
「アント殲滅のときルファウスが使ってた魔法あるだろ?あの規模の魔法を連続で撃てるようにしたいのだが、魔力消費が激しいから数発くらいしか放てない。なら魔力を増やすしかないだろう?それに……」
「それに?」
「前世の師匠に追い付くためにも魔力を増やすのは必要不可欠だしな」
「魔力を増やさないと追い付けないのか……」
「次元をねじ曲げて異空間を造ってそこで生活するような人だったな。世界の裏側で起こった大規模な災害を予知して動かずに指先ひとつで防いだり、海底で海龍の群れを瞬殺したり、国を丸っと結界で覆ったり……俺でもまだできないな」
「マジで?もうそれ人類超越してない?」
我が師ながら頭おかしいと思うことを軽々とやってのけてたからな。2人の気持ちは痛いほど理解できるぞ。
そこでフリーズが解けたレルム達がしょんぼりと落ち込んだ。
「僕らに教えてないってことは僕らにはできないんだよね?」
「うぅ……お兄ちゃんと目一杯遊べるチャンスだと思ったのに……」
大好きな兄ちゃんにできて自分にはできないのが悔しいのと、一緒にいられる時間が減っちゃうのが寂しいのと感情がごちゃ混ぜになっている声色で、涙目で見上げてくる弟妹達。
あまりの可愛さに思わずぎゅうっと抱き締めてしまった。
「大丈夫だ。お前達と遊ぶ時間くらい確保できる。だからそんな悲しそうな目をしないでくれ」
言いながら全員の頭を撫でてやれば、一気に表情が明るくなる弟妹達。もう本当に可愛いすぎてどうしよう……
兄馬鹿を発揮した俺にもう用はないとばかりにドラゴン温卓の毛布を元に戻してレストと会話に花を咲かせるルファウス。
しばらく皆と一緒に遊ぶ計画を立てて、ふとさっきの話題を脳内で引っ張りだす。
懐かしいなぁ。あの人が課す修行で何度死にかけたか分からない。初めての対魔物戦はフェニックスで、次がユニコーン。
初戦でいきなりSランクの魔物とデスバトルする羽目になるとはこれっぽっちも思わなかったよ。おかげさまでフェニックスは少々トラウマになっている。
ユニコーン戦では女装させられたな。誘き寄せるのにちょうどいいからって……あのときのことは思い出したくもない……
まぁ、色々と問題のある人だったけど、魔法の技術は本当に素晴らしかった。そういう意味では心の底から尊敬している。
絶対師匠に追い付いてやるんだと決意したのはいつからだったろう。
「フェリアーナ師匠、今頃何してるかな……」
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