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第一部・第三章:これが日常とか拷問だろ!
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使ってたカップを台所に置き、部屋をあとにする。
扉に鍵をかけ、すぐ横にあるエレベーターに乗り1階のボタンを押す。
「お金、ちゃんと働いて返すから」
壁に寄りかかってぼーっとしてる南雲にそう告げれば、これまたしれっとすごいことを言い出した。
「別に返さなくていい。金なら腐るほどたくさんあるからな」
平然と、あたかも当たり前のように言い放たれた。
「えぇ?どゆこと?家のお金じゃないの?」
自分でも知らずに間抜けな声とアホ面で聞いてしまっていた。
すると俺の反応をどう受け取ったのか、一瞬眉をひそめた。
「……ああ、勘違いしないでくれよ。確かに僕の所有する財産の中には実家から送られた金も僅かばかりあるが、7割ほどは僕が自分で稼いだものだ」
「えええぇぇぇぇっ!!?」
南雲の言葉にはただただ驚くばかりだった。
陰陽師って稼げる職業なの!?つーかそんなに稼いだの!?実家から送られた金より額が高いってどうなの!?
ポーン…
「どうした柳?早く降りないと扉閉まるぞ」
1階に着いて扉が開いたにも関わらずフリーズ状態な俺にかけられた言葉に我にかえり、エレベーターの外に出ていた南雲を慌てて追いかける。
カウンターの女性に簡単に説明をして出入り口まで二人並んで歩く。
学校以外の外出はカウンターの人に一言断りを入れてかなきゃいけないらしい。覚えておこう。
男子寮から出て、女子寮へと続く道を少し歩けばすぐ横にそれなりに大きい敷居の売店が女子寮と男子寮に挟まれてるかたちでマンションに近い外観をしていた。
4階建ての店の中に入ろうとしたそのとき、足元がぐらついた。
「なんだ?地面が揺れてる……?」
しかしその揺れは数秒ほどでおさまり、その後の変化は見られなかった。
「また地震か。今朝だけだと思ったのだが……」
「今朝?揺れてなかったよ?」
「何を言う。7時30分頃に今くらいのやや大きい揺れがあっただろう。気付かなかったのか?」
え、知らない。7時30分頃っていったらちょうど白狐と嵐武様と一緒に人間界に降りてたときだもん。
「あ、あー……そのときは妖怪に襲われててそんなん気にしてる余裕なかったっていうか……」
だがそれを言う訳にはいかない。
嵐武様にも白狐にも俺が神界で育ったことやその他諸々を他人に言うなって言われてるもん。
「え?妖怪に襲われてた?その話もっと詳しく教えてくれないか」
だがしかし、下手に誤魔化して疑われるということにはならなかったから良いが俺の嘘話に見事に食いついてきた。
話がそれたのにホッとしたのも束の間、冷や汗が背中を伝う。
どうすれば良いかと頭をフル回転させていると、タイミング良く俺の腹がすごい音を立てて鳴った。
「寝起きはお腹が空くもんだよな!早いとこ何か買って胃に入れたいなあ!さあ早く入ろう!」
南雲の背中をグイグイ押して店内に入る。
幸いなことに南雲は追求してこなかったためそのまま買い物へ。
安めの衣服やら食材やらを買ったあとに運ぶのに苦労するミニテーブルや座布団、衣服を収納するクローゼット等を買った。
支払い完了した直後にレジの人からこちらで運びましょうか?って言われたから家具だけお願いしてお店を出た。
「そんな安いものばかりで良いのか?もっと良質なものもあったのに」
「最低限で充分だよ。それに、南雲の懐を軽くしたくないし」
「気にするなと言ってるのに」
「俺が気になるの!」
男子寮に帰る道中、こんな会話がくり広げられていた。かれこれもう15分くらいかな。なんで短い距離でそんな時間くってるんだって?それはな。
「ところで柳」
南雲が俺より数メートル先で立ち止まり、こちらを振り向く。
「数歩進んで休憩する、を繰り返すくらいならさっきの店員に家具と一緒にお願いした方が良かったんじゃないか?」
そう!意外にも重い荷物を両手に抱えてるもんだから、少し歩いただけで疲れちゃって荷物下に置いて休憩してたんだよね。
神界ではあんまり重い荷物運ぶ作業しなかったからかな、俺男なのに力ねぇな。
悲しいぜ!!非力すぎて泣けてくるわ!!くっそ、ぜってぇ男前になってやる。そうだ筋トレ始めよう。マッチョ目指そう。
とか涙目になりながら考えてるうちに寮についてた。
南雲にも手伝おうか?って心なしか心配そうに言ってくれたけど断った。だってただでさえ全額負担させちゃってんのにその上荷物も押し付けるとかまずできない。
自分の荷物はできるだけ自分で運ばないとね。
それから約二時間後、やることがないという南雲にも手伝ってもらって部屋の模様変えは終わった。一言で言うなら小綺麗でまとまってる部屋、って感じになった。
「家具の配置はこれで合ってるか?」
「合ってるとかはないだろ。自分が置きたいところに置けば良いんだから」
無難にまとめることができれば俺的にはそれで良いや。
「じゃあ買ってきた弁当でも食べようか。僕も夜は食べてないからな、一緒に食べよう」
「ん、そうしよう」
お金出してくれたことと手伝ってくれたことの礼……と思ったけど、安っぽすぎるからもうひとつ礼をしようかな。
温めればすぐ食べれる弁当を電子レンジに入れて温めてる間に南雲に聞いてみた。
「お礼は何が良い?」
「永遠の友達でいれればそれで良い」
目をランランと輝かせて言う南雲。なんだよ、そんなにぼっち卒業したいのかよ。しょうがない、俺でよければ……って、良くねぇぇぇぇぇ!!!
白狐との約束守れなくなるじゃん!
だからと言って友達になりたいって言ってくれてるのに断るのも気が引けるし、最良な策はないのか!?
南雲に見られないように壁に向かって百面相してる俺。
「……というのは単なる口実なんだがな」
「ほえ?」
「本当の目的は別にある」
意外な告白に、鳩に豆鉄砲くらった顔で呆けてる俺をよそにそのまま続ける。
「最初は本当にただの研究対象としか思ってなかったんだが、今は違う。柳、実を言うと、君がアドバイスをくれたときから考えてたんだ」
アドバイス?何か言ったか俺……ああ、言ったわ。結界のことで生意気にも言っちまってたわ。
「生意気言ってごめんなー。術が使えないどころか力すらない人間にアドバイスなんかしてほしくないよなぁ」
「いや、柳の指摘は正しかった。むしろ助かったよ、アドバイスしてくれて」
苦笑いしつつ謝ったらそんな言葉がかえってきた。俺は弾かれるように南雲の顔を凝視する。
「あの時柳は僕がつくった結界を『分厚くて余計な力が入ってるから薄く尚且つ強度を高めろ』と指摘してくれた。仕事を終えてからすぐに試しに薄くするよう心がけたのだがこれがなかなか難しくてな。だが少々時間を費やしてようやく薄く結界を張ることができて、柳の言葉を理解した」
一拍おいて再び口を開く南雲。その瞳は真っ直ぐ俺に向けられて。
「こめる力を調節したら、いつもより負担が少なかったんだ。おかげで予定より多くの依頼をこなせた。柳のアドバイスがなかったらそうはならなかっただろう」
とてつもなく真剣な表情で言ってるところ申し訳ないけど……
ものっっっっっすごく嫌な予感。
「研究対象とは思わない。良きアドバイザーとなってこれからも僕に色々指摘してくれるとうれしい」
わあ、滅茶苦茶キラキラしてるぅ!!
たかが一言アドバイスしただけでこんなことになるなんて……言わなきゃ良かったな。今更だけど。
「えぇっと、研究対象として見られなくなったのは俺も嬉しいんだけど、力もない俺にそんな大役務まるかどうか……」
「力はなくとも的確なアドバイスができる。それだけで充分素質はあるし僕としても是非頼みたい。そういった理由も含めて友人になりたいと言っている」
「えぇ、でもぉ、その……」
口をまごまごさせて挙動不審になっていると南雲が不愉快そうに口をへの字にさせて言った。
「なんだ、さっきは友達と言ったら快く了承してくれたのに……」
「そんなことなっ……」
否定しようとしてふと数十分前を思い起こす。
あ、本当だ。経緯はなんであれ結果だけ見れぱ了承してることになるわ。
「了承……したな」
ぽつりと呟くと南雲は納得顔で満足そうに力強く頷いた。
「てな訳で、改めてこれからよろしく」
「ウンヨロシクー」
さながら友情の握手とでも称するべきかな?南雲が俺の右手をガッチリ両手で掴んで、やりきった!みたいな清々しさを思わせる笑顔を見せる。ちなみに俺は脱け殻のような陰の薄い笑みを浮かべてる。
どうしよう。
白狐との約束、本気で守れそうにない。
扉に鍵をかけ、すぐ横にあるエレベーターに乗り1階のボタンを押す。
「お金、ちゃんと働いて返すから」
壁に寄りかかってぼーっとしてる南雲にそう告げれば、これまたしれっとすごいことを言い出した。
「別に返さなくていい。金なら腐るほどたくさんあるからな」
平然と、あたかも当たり前のように言い放たれた。
「えぇ?どゆこと?家のお金じゃないの?」
自分でも知らずに間抜けな声とアホ面で聞いてしまっていた。
すると俺の反応をどう受け取ったのか、一瞬眉をひそめた。
「……ああ、勘違いしないでくれよ。確かに僕の所有する財産の中には実家から送られた金も僅かばかりあるが、7割ほどは僕が自分で稼いだものだ」
「えええぇぇぇぇっ!!?」
南雲の言葉にはただただ驚くばかりだった。
陰陽師って稼げる職業なの!?つーかそんなに稼いだの!?実家から送られた金より額が高いってどうなの!?
ポーン…
「どうした柳?早く降りないと扉閉まるぞ」
1階に着いて扉が開いたにも関わらずフリーズ状態な俺にかけられた言葉に我にかえり、エレベーターの外に出ていた南雲を慌てて追いかける。
カウンターの女性に簡単に説明をして出入り口まで二人並んで歩く。
学校以外の外出はカウンターの人に一言断りを入れてかなきゃいけないらしい。覚えておこう。
男子寮から出て、女子寮へと続く道を少し歩けばすぐ横にそれなりに大きい敷居の売店が女子寮と男子寮に挟まれてるかたちでマンションに近い外観をしていた。
4階建ての店の中に入ろうとしたそのとき、足元がぐらついた。
「なんだ?地面が揺れてる……?」
しかしその揺れは数秒ほどでおさまり、その後の変化は見られなかった。
「また地震か。今朝だけだと思ったのだが……」
「今朝?揺れてなかったよ?」
「何を言う。7時30分頃に今くらいのやや大きい揺れがあっただろう。気付かなかったのか?」
え、知らない。7時30分頃っていったらちょうど白狐と嵐武様と一緒に人間界に降りてたときだもん。
「あ、あー……そのときは妖怪に襲われててそんなん気にしてる余裕なかったっていうか……」
だがそれを言う訳にはいかない。
嵐武様にも白狐にも俺が神界で育ったことやその他諸々を他人に言うなって言われてるもん。
「え?妖怪に襲われてた?その話もっと詳しく教えてくれないか」
だがしかし、下手に誤魔化して疑われるということにはならなかったから良いが俺の嘘話に見事に食いついてきた。
話がそれたのにホッとしたのも束の間、冷や汗が背中を伝う。
どうすれば良いかと頭をフル回転させていると、タイミング良く俺の腹がすごい音を立てて鳴った。
「寝起きはお腹が空くもんだよな!早いとこ何か買って胃に入れたいなあ!さあ早く入ろう!」
南雲の背中をグイグイ押して店内に入る。
幸いなことに南雲は追求してこなかったためそのまま買い物へ。
安めの衣服やら食材やらを買ったあとに運ぶのに苦労するミニテーブルや座布団、衣服を収納するクローゼット等を買った。
支払い完了した直後にレジの人からこちらで運びましょうか?って言われたから家具だけお願いしてお店を出た。
「そんな安いものばかりで良いのか?もっと良質なものもあったのに」
「最低限で充分だよ。それに、南雲の懐を軽くしたくないし」
「気にするなと言ってるのに」
「俺が気になるの!」
男子寮に帰る道中、こんな会話がくり広げられていた。かれこれもう15分くらいかな。なんで短い距離でそんな時間くってるんだって?それはな。
「ところで柳」
南雲が俺より数メートル先で立ち止まり、こちらを振り向く。
「数歩進んで休憩する、を繰り返すくらいならさっきの店員に家具と一緒にお願いした方が良かったんじゃないか?」
そう!意外にも重い荷物を両手に抱えてるもんだから、少し歩いただけで疲れちゃって荷物下に置いて休憩してたんだよね。
神界ではあんまり重い荷物運ぶ作業しなかったからかな、俺男なのに力ねぇな。
悲しいぜ!!非力すぎて泣けてくるわ!!くっそ、ぜってぇ男前になってやる。そうだ筋トレ始めよう。マッチョ目指そう。
とか涙目になりながら考えてるうちに寮についてた。
南雲にも手伝おうか?って心なしか心配そうに言ってくれたけど断った。だってただでさえ全額負担させちゃってんのにその上荷物も押し付けるとかまずできない。
自分の荷物はできるだけ自分で運ばないとね。
それから約二時間後、やることがないという南雲にも手伝ってもらって部屋の模様変えは終わった。一言で言うなら小綺麗でまとまってる部屋、って感じになった。
「家具の配置はこれで合ってるか?」
「合ってるとかはないだろ。自分が置きたいところに置けば良いんだから」
無難にまとめることができれば俺的にはそれで良いや。
「じゃあ買ってきた弁当でも食べようか。僕も夜は食べてないからな、一緒に食べよう」
「ん、そうしよう」
お金出してくれたことと手伝ってくれたことの礼……と思ったけど、安っぽすぎるからもうひとつ礼をしようかな。
温めればすぐ食べれる弁当を電子レンジに入れて温めてる間に南雲に聞いてみた。
「お礼は何が良い?」
「永遠の友達でいれればそれで良い」
目をランランと輝かせて言う南雲。なんだよ、そんなにぼっち卒業したいのかよ。しょうがない、俺でよければ……って、良くねぇぇぇぇぇ!!!
白狐との約束守れなくなるじゃん!
だからと言って友達になりたいって言ってくれてるのに断るのも気が引けるし、最良な策はないのか!?
南雲に見られないように壁に向かって百面相してる俺。
「……というのは単なる口実なんだがな」
「ほえ?」
「本当の目的は別にある」
意外な告白に、鳩に豆鉄砲くらった顔で呆けてる俺をよそにそのまま続ける。
「最初は本当にただの研究対象としか思ってなかったんだが、今は違う。柳、実を言うと、君がアドバイスをくれたときから考えてたんだ」
アドバイス?何か言ったか俺……ああ、言ったわ。結界のことで生意気にも言っちまってたわ。
「生意気言ってごめんなー。術が使えないどころか力すらない人間にアドバイスなんかしてほしくないよなぁ」
「いや、柳の指摘は正しかった。むしろ助かったよ、アドバイスしてくれて」
苦笑いしつつ謝ったらそんな言葉がかえってきた。俺は弾かれるように南雲の顔を凝視する。
「あの時柳は僕がつくった結界を『分厚くて余計な力が入ってるから薄く尚且つ強度を高めろ』と指摘してくれた。仕事を終えてからすぐに試しに薄くするよう心がけたのだがこれがなかなか難しくてな。だが少々時間を費やしてようやく薄く結界を張ることができて、柳の言葉を理解した」
一拍おいて再び口を開く南雲。その瞳は真っ直ぐ俺に向けられて。
「こめる力を調節したら、いつもより負担が少なかったんだ。おかげで予定より多くの依頼をこなせた。柳のアドバイスがなかったらそうはならなかっただろう」
とてつもなく真剣な表情で言ってるところ申し訳ないけど……
ものっっっっっすごく嫌な予感。
「研究対象とは思わない。良きアドバイザーとなってこれからも僕に色々指摘してくれるとうれしい」
わあ、滅茶苦茶キラキラしてるぅ!!
たかが一言アドバイスしただけでこんなことになるなんて……言わなきゃ良かったな。今更だけど。
「えぇっと、研究対象として見られなくなったのは俺も嬉しいんだけど、力もない俺にそんな大役務まるかどうか……」
「力はなくとも的確なアドバイスができる。それだけで充分素質はあるし僕としても是非頼みたい。そういった理由も含めて友人になりたいと言っている」
「えぇ、でもぉ、その……」
口をまごまごさせて挙動不審になっていると南雲が不愉快そうに口をへの字にさせて言った。
「なんだ、さっきは友達と言ったら快く了承してくれたのに……」
「そんなことなっ……」
否定しようとしてふと数十分前を思い起こす。
あ、本当だ。経緯はなんであれ結果だけ見れぱ了承してることになるわ。
「了承……したな」
ぽつりと呟くと南雲は納得顔で満足そうに力強く頷いた。
「てな訳で、改めてこれからよろしく」
「ウンヨロシクー」
さながら友情の握手とでも称するべきかな?南雲が俺の右手をガッチリ両手で掴んで、やりきった!みたいな清々しさを思わせる笑顔を見せる。ちなみに俺は脱け殻のような陰の薄い笑みを浮かべてる。
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