36 / 46
第一部・第三章:これが日常とか拷問だろ!
36
しおりを挟む
「なっ……んで、嘘だと……っ」
「主人が言ってたの。有象無象の中にずば抜けて強い力を持つ人間がいるって。間違いなくソウだわ」
ずば抜けて力が強いやつ……まさか。
「知ってるわね?その顔は」
俺の首に爪を食い込ませる。かなり痛い。
「……知ってる。が、名前と一致しない」
「一致しない?」
「俺の知ってるやつで力の強いやつは南雲 清流という名前だ。ソウという名前ではない」
きっぱり言い切った。
妖怪相手に正直に言うのはなんか癪だったが、このままでは自分の命が危うくなるために白状してしまった。
誰だって、自分の命が危険に晒されたらそうするものだ。
自分も例外なくその人間の一人だと理解した瞬間、ひどくもどかしくなった。
「ふぅん……今度は嘘じゃないみたいね」
ほんの少しだけ手の力を緩めてくれたおかげで息がしやすくなった。少しむせたが問題ない。
「でも、そうなの……違ったの。残念ね。やっと再会できると思ったのに……」
首から手を離し、少し時間が経ったときにポツリとあからさまに残念そうに言葉を紡ぐ女。
と、そこで、今まで空気と化していた男が口を開き、またもや謎発言をした。
「……特別力が強い訳ではないが、不思議な力を感じる」
「え?あなた、どういうこと?」
「……まさか、な」
「ちょっとぉ!置いてきぼりにしないでぇ~!」
頬を膨らまして男についていく女。
……ちょっと待て。そっちは……
俺は首をおさえたまま走りだし、二人の前に立ちはだかる。
「ここから先には行かせない」
この先には学園がある。
一般の生徒もいる学園に、危険因子である妖怪を行かせることなどできない。
何よりイオリが危険になる事態にはなってほしくない。
しかし俺は迂闊にも忘れていた。
この男が先程ここS地区を焼け焦げにしたほどの凄腕の妖怪だということを。
妖怪二人は俺をじっと見つめ、男は冷酷な鋭い瞳を向けたまま微笑を浮かべる。女はまるで逃さないとばかりににんまりと口角を上げる。
「ーーーーーーーーーっっ!!!」
その後すぐに学園側に念話で応援要請をだすなんて思ってなかった。
それほど圧倒的な差があったんだ。
俺と、目の前にいる化け物二人は。
「主人が言ってたの。有象無象の中にずば抜けて強い力を持つ人間がいるって。間違いなくソウだわ」
ずば抜けて力が強いやつ……まさか。
「知ってるわね?その顔は」
俺の首に爪を食い込ませる。かなり痛い。
「……知ってる。が、名前と一致しない」
「一致しない?」
「俺の知ってるやつで力の強いやつは南雲 清流という名前だ。ソウという名前ではない」
きっぱり言い切った。
妖怪相手に正直に言うのはなんか癪だったが、このままでは自分の命が危うくなるために白状してしまった。
誰だって、自分の命が危険に晒されたらそうするものだ。
自分も例外なくその人間の一人だと理解した瞬間、ひどくもどかしくなった。
「ふぅん……今度は嘘じゃないみたいね」
ほんの少しだけ手の力を緩めてくれたおかげで息がしやすくなった。少しむせたが問題ない。
「でも、そうなの……違ったの。残念ね。やっと再会できると思ったのに……」
首から手を離し、少し時間が経ったときにポツリとあからさまに残念そうに言葉を紡ぐ女。
と、そこで、今まで空気と化していた男が口を開き、またもや謎発言をした。
「……特別力が強い訳ではないが、不思議な力を感じる」
「え?あなた、どういうこと?」
「……まさか、な」
「ちょっとぉ!置いてきぼりにしないでぇ~!」
頬を膨らまして男についていく女。
……ちょっと待て。そっちは……
俺は首をおさえたまま走りだし、二人の前に立ちはだかる。
「ここから先には行かせない」
この先には学園がある。
一般の生徒もいる学園に、危険因子である妖怪を行かせることなどできない。
何よりイオリが危険になる事態にはなってほしくない。
しかし俺は迂闊にも忘れていた。
この男が先程ここS地区を焼け焦げにしたほどの凄腕の妖怪だということを。
妖怪二人は俺をじっと見つめ、男は冷酷な鋭い瞳を向けたまま微笑を浮かべる。女はまるで逃さないとばかりににんまりと口角を上げる。
「ーーーーーーーーーっっ!!!」
その後すぐに学園側に念話で応援要請をだすなんて思ってなかった。
それほど圧倒的な差があったんだ。
俺と、目の前にいる化け物二人は。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
勘当された少年と不思議な少女
レイシール
ファンタジー
15歳を迎えた日、ランティスは父親から勘当を言い渡された。
理由は外れスキルを持ってるから…
眼の色が違うだけで気味が悪いと周りから避けられてる少女。
そんな2人が出会って…
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる
家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。
召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。
多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。
しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。
何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる