24 / 30
絶望に伸ばされた手
呼び声に応えたのは
しおりを挟む
「助けて、ライゼ!!!」
リッテルが叫んだ、その瞬間。
どおおぉぉんっ!!!!
建物がびりびりと揺れるほどの轟音とともに、暗い部屋のなかにバラバラとなにかが落ちてきた。床にぶつかってごん、がつんと固い音を立てるそれらは、覆いかぶさっていたシェンダリオンの体のおかげでリッテルに傷をつくることはない。がつん、ごつんと音がするたび、シェンダリオンのうめき声が聞こえるばかり。
しばらくして落ちてくるものがなくなると、暗い暗い部屋の天井に、ぽっかりと夜空が現れた。
「なっ、なにごとか!」
「シェンダリオンさま、お怪我は!?」
慌てふためくふたりの声をどこか遠くで聞きながら、リッテルは久しぶりの空を見上げていた。
―――ああ、今日は月がない夜なんだ。
濃い闇色の空にくっきりと見える星々の明かりを見て、そんなことを思う。夜空に照らされて、ずいぶん高いところまでこの部屋の壁が続いているのが見える。
―――もしかして、ここはあの塔の中? 教会の真ん中にあった、あの高い塔の中なのかな。
わけのわからないことばかりの現実から逃避していたリッテルは、ふと、高い高い壁の天辺、崩れたところに立つ人影が見えた。
星空を背にした誰かの姿は、暗くて遠くてよく見えない。けれどもしかして、とリッテルが希望を抱くのと、その人影が飛んだのは、同時だった。
何かを覚悟する様子もなく、とん、と軽く壁のふちを蹴った人影が、みるみる近づいてくる。呆然と見守るリッテルの視界のなか、塔のなかほどまで落ちたところで影がちいさく声をあげた。
「あ」
思わず出たのだろうその声は、なぜかリッテルの耳にはっきりと聞こえてきた。そして、その間の抜けた声が聞きたかったそのひとの声だとわかったときには、人影はすぐ目の前まで落ちてきていた。
ごっ、だん!
落ちてきたライゼは寝床にぶつかる寸前で体をひねり、けれど避けきれずにシェンダリオンを巻き込んで寝床のしたへと落ちて重く、にぶい音を立てる。
「いやあっ、シェンダリオンさま!!」
悲鳴をあげたジュンナが折り重なって倒れるふたりのそばへ駆け寄り、うえに乗っていたライゼを片手で放り投げてシェンダリオンを助け起こしている。
放り投げられたライゼは空中で器用にくるりと一回転すると、軽く飛び跳ねてリッテルの元へやってきた。
「ライゼの名前、呼んでくれた。ありがとう。うれしい。ライゼ良かったね。おめでとう、ライゼ」
にこにこ笑いながら顔をのぞきこんでくるライゼのその顔が、おかしな物言いがあまりにも相変わらずで、思わずリッテルの胸に熱いものがこみあげてくる。
「名前くらい、いくらでも呼ぶよ。ライゼ、あなたに会いたかった……」
あふれそうな思いを押さえながら言って彼に触れようと手を伸ばしたリッテルだったが、ゆるく持ち上がった手は無粋な鎖に縫い留められて、彼に届かない。
「あ……」
がちり。無機質な音とともに腕が引き留められて、一瞬この鎖の存在をわすれていたリッテルは声をもらした。それを見て、ライゼはぱちりとまばたきをする。
「それ、いる? いらない?」
「いらないっ! 嫌いなの。外したい。あたしは自由になりたい!」
不思議そうに首をかしげたライゼに、リッテルは望みを告げた。すると、彼はうれしそうに笑う。にこにこ笑っていることの多いライゼだけれど、いまリッテルの望みを聞いた彼は本当にうれしそうに、幸せそうに笑っていた。
「きみのその願い、ライゼが叶えるよ。望まれて幸せだね、ライゼ。叶えられてよかったね、ライゼ」
言いながら、ライゼがじゃらりと右手を戒める鎖を持ち上げて、両手で握り左右に引いた。
ぱぎんっ。
耳障りな音を立てて、鎖がちぎれた。歪んでちぎれた鎖を落とすとライゼはすぐに左手、右足、左足と手を伸ばし、そのたびほんの瞬きの間に鎖を壊していった。そのたび、リッテルは自由になった箇所を動かして体を起こしていった。
じゃらん。最後の鎖が地に落ちると、リッテルはすでに自由だった。手首にはまったままの鉄の輪とそこから伸びるちぎれた鎖の残骸は重たかったけれど、寝床から起き上がり、足を床につけ、立つことができた。
自分の意思で立って、動ける。
「ああ、ああぁ」
そのことにリッテルは感動を覚えていた。寝かされてばかりだった体はぎしぎしきしみ、踏みしめた脚はふらつくけれど。そんなことなど気にならないほどに、足の裏に感じる床の冷たさが、立ち上がった体が感じる重みがうれしかった。
「ああ、ライゼ……」
ありがとう。絶望を叩き壊してくれた彼にそう伝えようと顔をあげたリッテルは、笑顔のライゼの背後の暗闇で跳躍した獣の姿に息を飲んだ。
「あぅううるぅぅあああぁぁっ」
吠え声とともに、異相の獣の牙がライゼに迫る。瞬きの間に肉薄した獣に、ライゼの血肉が食い散らかされる未来を思いリッテルは声も上げられず、目を閉じることもできず、ただ身を固くした。
けれど、ライゼはリッテルの絶望をふたたびやすやすと打ち砕く。
獣の牙が肉を裂く一瞬前、ライゼはその場で踵を軸にくるりと回って獣の牙を避け、ついでのように肘を打ち出して獲物を見失った異相の獣の横っ面に一撃をいれた。
「ぎぃっ」
強打をくらった獣は、短い悲鳴をあげながら寝床のうえを吹き飛んで、にぶい音とともに床にぶつかってもまだ止まらず、暗がりのなかへと転がっていく。その姿が見えなくなったのは、寸の間。
「ぅがあああぁっ」
まばたきののちには、咆哮をあげて異相の獣が暗がりから飛び出した。けれどそのままライゼに向かうことはせず、寝床のうえに降り立って鼻づらにしわを寄せて威嚇する。
血走ったひとの瞳に見据えられて身震いするリッテルをその背に隠し、ライゼが油断なく構える。
「……ひとと、獣が混じったのか。ひとの理性は残っていないのか」
相対する獣から目をそらさないままにライゼがつぶやけば、寝床の向こう側で獣の鎖から小刀を抜き取ったジュンナが倒れたシェンダリオンの上半身を助け起こしつつ笑う。
「ふふふ、どうなのかしら。それは、愛した女の遺した獣とずっとともにありたいと、望んだ愚か者理性なんて、もとからなかったのかもしれないわ。その願いの果てに生まれたひとでもない、獣でもない哀れな呪われた生き物に、食い殺されるがいいわ!」
ジュンナは笑いながら、呪いのこもった声とともにその手に握った小刀を放った。
「おっと」
一瞬のうちにリッテルを抱えて宙に飛び、難なく小刀を避けたライゼだが、避けた先を狙って獣が四肢をしならせ襲い掛かる。
「わわっ」
着地する間もない連撃に慌てたライゼは、間の抜けた声をもらしながらもリッテルを寝床のうえに放り、自身は迫る獣の頭に踵を落としてさらに高く飛ぶことで迫る鋭い爪から身をかわした。
再度、獲物に逃げられた獣は口端から血をこぼしながらも、地に落ちてすぐ、ライゼを狙うべく後脚に力を込めて飛びかかろうとしている。そこへ、間髪いれずジュンナの声が飛ぶ。
「命令よ、小刀を抜きなさい!」
「ぅるあうっ」
刺すようなジュンナの声に、獣はびくりと体を震わせた。苛立つような声をあげつつ、けれど逆らうことはできないのだろう。指示されたとおりすぐそばの床に突き立てられた小刀に食らいついて、牙がきしみ血が滴るのも構わず力の限りに引き抜いた。
ごりゅんっ、鈍い音を立てて、やせ細った男を縫い留めていた鎖が解き放たれた。そして、再びジュンナの声が響く。
「動きなさい! あなたを痛みから救ってくれる者を手に入れなさいっ」
ジュンナが言うが早いか、這いつくばってうめいていた男がずるりと体を持ち上げた。
「あ、あああいぃっぃぃいいいいたいいたいいたすけったすけていたいぃいいいぃ!」
膝立ちになった途端、男は悲鳴をあげて落ちくぼんでにごった瞳から涙を流す。けれどその目の真ん中に捉えられて、寝床のうえに座り込んでいたリッテルは身動きが取れなくなる。
「たす、けったいいいたいい、その力、ちょうだいたぃ、たすけて、力ほしいたいのいぃぃいいやああぁぁ!」
やせ細った男は異様な叫び声をあげながらリッテルに向かって這いよって来る。ライゼは異相の獣を相手に戦ううち、暗がりに移動してしまったらしい。激しい物音は聞こえるが、その姿は見えない。
逃げ場を探して振り返った背後には、ジュンナとシェンダリオンがいる。ライゼもろとも床に叩きつけられたシェンダリオンは、額から血を流しながらも意識はあるようだ。片手で頭を押さえ、ふらつきながらも立ち上がろうとするのをジュンナが支えている。
―――あのふたりの横をすり抜けられるだろうか。
ジュンナがいつも出入りしていた扉は、おそらく彼らの背後にあるはずだ。ジュンナたちにリッテルは気づかれないようそろり、と寝床から腰を浮かした。
リッテルが叫んだ、その瞬間。
どおおぉぉんっ!!!!
建物がびりびりと揺れるほどの轟音とともに、暗い部屋のなかにバラバラとなにかが落ちてきた。床にぶつかってごん、がつんと固い音を立てるそれらは、覆いかぶさっていたシェンダリオンの体のおかげでリッテルに傷をつくることはない。がつん、ごつんと音がするたび、シェンダリオンのうめき声が聞こえるばかり。
しばらくして落ちてくるものがなくなると、暗い暗い部屋の天井に、ぽっかりと夜空が現れた。
「なっ、なにごとか!」
「シェンダリオンさま、お怪我は!?」
慌てふためくふたりの声をどこか遠くで聞きながら、リッテルは久しぶりの空を見上げていた。
―――ああ、今日は月がない夜なんだ。
濃い闇色の空にくっきりと見える星々の明かりを見て、そんなことを思う。夜空に照らされて、ずいぶん高いところまでこの部屋の壁が続いているのが見える。
―――もしかして、ここはあの塔の中? 教会の真ん中にあった、あの高い塔の中なのかな。
わけのわからないことばかりの現実から逃避していたリッテルは、ふと、高い高い壁の天辺、崩れたところに立つ人影が見えた。
星空を背にした誰かの姿は、暗くて遠くてよく見えない。けれどもしかして、とリッテルが希望を抱くのと、その人影が飛んだのは、同時だった。
何かを覚悟する様子もなく、とん、と軽く壁のふちを蹴った人影が、みるみる近づいてくる。呆然と見守るリッテルの視界のなか、塔のなかほどまで落ちたところで影がちいさく声をあげた。
「あ」
思わず出たのだろうその声は、なぜかリッテルの耳にはっきりと聞こえてきた。そして、その間の抜けた声が聞きたかったそのひとの声だとわかったときには、人影はすぐ目の前まで落ちてきていた。
ごっ、だん!
落ちてきたライゼは寝床にぶつかる寸前で体をひねり、けれど避けきれずにシェンダリオンを巻き込んで寝床のしたへと落ちて重く、にぶい音を立てる。
「いやあっ、シェンダリオンさま!!」
悲鳴をあげたジュンナが折り重なって倒れるふたりのそばへ駆け寄り、うえに乗っていたライゼを片手で放り投げてシェンダリオンを助け起こしている。
放り投げられたライゼは空中で器用にくるりと一回転すると、軽く飛び跳ねてリッテルの元へやってきた。
「ライゼの名前、呼んでくれた。ありがとう。うれしい。ライゼ良かったね。おめでとう、ライゼ」
にこにこ笑いながら顔をのぞきこんでくるライゼのその顔が、おかしな物言いがあまりにも相変わらずで、思わずリッテルの胸に熱いものがこみあげてくる。
「名前くらい、いくらでも呼ぶよ。ライゼ、あなたに会いたかった……」
あふれそうな思いを押さえながら言って彼に触れようと手を伸ばしたリッテルだったが、ゆるく持ち上がった手は無粋な鎖に縫い留められて、彼に届かない。
「あ……」
がちり。無機質な音とともに腕が引き留められて、一瞬この鎖の存在をわすれていたリッテルは声をもらした。それを見て、ライゼはぱちりとまばたきをする。
「それ、いる? いらない?」
「いらないっ! 嫌いなの。外したい。あたしは自由になりたい!」
不思議そうに首をかしげたライゼに、リッテルは望みを告げた。すると、彼はうれしそうに笑う。にこにこ笑っていることの多いライゼだけれど、いまリッテルの望みを聞いた彼は本当にうれしそうに、幸せそうに笑っていた。
「きみのその願い、ライゼが叶えるよ。望まれて幸せだね、ライゼ。叶えられてよかったね、ライゼ」
言いながら、ライゼがじゃらりと右手を戒める鎖を持ち上げて、両手で握り左右に引いた。
ぱぎんっ。
耳障りな音を立てて、鎖がちぎれた。歪んでちぎれた鎖を落とすとライゼはすぐに左手、右足、左足と手を伸ばし、そのたびほんの瞬きの間に鎖を壊していった。そのたび、リッテルは自由になった箇所を動かして体を起こしていった。
じゃらん。最後の鎖が地に落ちると、リッテルはすでに自由だった。手首にはまったままの鉄の輪とそこから伸びるちぎれた鎖の残骸は重たかったけれど、寝床から起き上がり、足を床につけ、立つことができた。
自分の意思で立って、動ける。
「ああ、ああぁ」
そのことにリッテルは感動を覚えていた。寝かされてばかりだった体はぎしぎしきしみ、踏みしめた脚はふらつくけれど。そんなことなど気にならないほどに、足の裏に感じる床の冷たさが、立ち上がった体が感じる重みがうれしかった。
「ああ、ライゼ……」
ありがとう。絶望を叩き壊してくれた彼にそう伝えようと顔をあげたリッテルは、笑顔のライゼの背後の暗闇で跳躍した獣の姿に息を飲んだ。
「あぅううるぅぅあああぁぁっ」
吠え声とともに、異相の獣の牙がライゼに迫る。瞬きの間に肉薄した獣に、ライゼの血肉が食い散らかされる未来を思いリッテルは声も上げられず、目を閉じることもできず、ただ身を固くした。
けれど、ライゼはリッテルの絶望をふたたびやすやすと打ち砕く。
獣の牙が肉を裂く一瞬前、ライゼはその場で踵を軸にくるりと回って獣の牙を避け、ついでのように肘を打ち出して獲物を見失った異相の獣の横っ面に一撃をいれた。
「ぎぃっ」
強打をくらった獣は、短い悲鳴をあげながら寝床のうえを吹き飛んで、にぶい音とともに床にぶつかってもまだ止まらず、暗がりのなかへと転がっていく。その姿が見えなくなったのは、寸の間。
「ぅがあああぁっ」
まばたきののちには、咆哮をあげて異相の獣が暗がりから飛び出した。けれどそのままライゼに向かうことはせず、寝床のうえに降り立って鼻づらにしわを寄せて威嚇する。
血走ったひとの瞳に見据えられて身震いするリッテルをその背に隠し、ライゼが油断なく構える。
「……ひとと、獣が混じったのか。ひとの理性は残っていないのか」
相対する獣から目をそらさないままにライゼがつぶやけば、寝床の向こう側で獣の鎖から小刀を抜き取ったジュンナが倒れたシェンダリオンの上半身を助け起こしつつ笑う。
「ふふふ、どうなのかしら。それは、愛した女の遺した獣とずっとともにありたいと、望んだ愚か者理性なんて、もとからなかったのかもしれないわ。その願いの果てに生まれたひとでもない、獣でもない哀れな呪われた生き物に、食い殺されるがいいわ!」
ジュンナは笑いながら、呪いのこもった声とともにその手に握った小刀を放った。
「おっと」
一瞬のうちにリッテルを抱えて宙に飛び、難なく小刀を避けたライゼだが、避けた先を狙って獣が四肢をしならせ襲い掛かる。
「わわっ」
着地する間もない連撃に慌てたライゼは、間の抜けた声をもらしながらもリッテルを寝床のうえに放り、自身は迫る獣の頭に踵を落としてさらに高く飛ぶことで迫る鋭い爪から身をかわした。
再度、獲物に逃げられた獣は口端から血をこぼしながらも、地に落ちてすぐ、ライゼを狙うべく後脚に力を込めて飛びかかろうとしている。そこへ、間髪いれずジュンナの声が飛ぶ。
「命令よ、小刀を抜きなさい!」
「ぅるあうっ」
刺すようなジュンナの声に、獣はびくりと体を震わせた。苛立つような声をあげつつ、けれど逆らうことはできないのだろう。指示されたとおりすぐそばの床に突き立てられた小刀に食らいついて、牙がきしみ血が滴るのも構わず力の限りに引き抜いた。
ごりゅんっ、鈍い音を立てて、やせ細った男を縫い留めていた鎖が解き放たれた。そして、再びジュンナの声が響く。
「動きなさい! あなたを痛みから救ってくれる者を手に入れなさいっ」
ジュンナが言うが早いか、這いつくばってうめいていた男がずるりと体を持ち上げた。
「あ、あああいぃっぃぃいいいいたいいたいいたすけったすけていたいぃいいいぃ!」
膝立ちになった途端、男は悲鳴をあげて落ちくぼんでにごった瞳から涙を流す。けれどその目の真ん中に捉えられて、寝床のうえに座り込んでいたリッテルは身動きが取れなくなる。
「たす、けったいいいたいい、その力、ちょうだいたぃ、たすけて、力ほしいたいのいぃぃいいやああぁぁ!」
やせ細った男は異様な叫び声をあげながらリッテルに向かって這いよって来る。ライゼは異相の獣を相手に戦ううち、暗がりに移動してしまったらしい。激しい物音は聞こえるが、その姿は見えない。
逃げ場を探して振り返った背後には、ジュンナとシェンダリオンがいる。ライゼもろとも床に叩きつけられたシェンダリオンは、額から血を流しながらも意識はあるようだ。片手で頭を押さえ、ふらつきながらも立ち上がろうとするのをジュンナが支えている。
―――あのふたりの横をすり抜けられるだろうか。
ジュンナがいつも出入りしていた扉は、おそらく彼らの背後にあるはずだ。ジュンナたちにリッテルは気づかれないようそろり、と寝床から腰を浮かした。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
公爵家の秘密の愛娘
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。
過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。
そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。
「パパ……私はあなたの娘です」
名乗り出るアンジェラ。
◇
アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。
この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。
初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。
母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞
🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞
🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇♀️
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる