73 / 77
異世界ブルーインパルス~異世界で稲作はじめました?
第六話
しおりを挟む
「松島基地の面々がそろっとるんはええけど、実際のところ、ここはどのへんなんやろな」
飛びながら下を見る。普段と飛行高度の違いはあるが、見渡す限り草原だ。川や小さめの池っぽい存在は認められたが海はない。この地形からすると、松島基地がある東松島市ではなさそうだ。
「海は見えませんから内陸部なんですかね」
「隊長が見てた映画てなんやったっけ? 冒険モノやっけ?」
「ファンタジー系の冒険モノですね。ロケは自然の多い広い海外でやったという話でしたけど」
「てことは日本でもないわけやな。田んぼ、大丈夫なんやろか。米、ここで育つやろか?」
ワンチャン北海道の可能性も考えたがどうも違うらしい。
「大丈夫じゃなかったら、隊長にお願いして巨大ドームを作ってもらうとか?」
「オール君、なんや班長と思考が似てきたんちゃう?」
「あー……それ、耕運機の写真を送った時、隊長にも言われました」
「せやろ~~」
そして俺達は飛行訓練に入ったわけだが、今回は前回と違って色々と発見があった。ドラゴンたちはそこまで早く飛べない。逆さまになって飛ぶのは得意でない。あと、あまり無理をさせると文句を言い出し鼻から火を噴くヤツが出る、などなど。やはりそこは生き物だってことらしい。
飛行訓練を一通りして地上に降りる。ブルーのアクロが全てできるわけではないことが判明して、隊長は少しばかりご機嫌ななめだ。
「フェニックスループができるんやし、合格点なんちゃいますのん。それ以上ハードにすると鼻から火を出すんはしゃーないですやん。あ、この場合、フェニックスループやのうてドラゴンループて言わなあかんのかな」
ちなみに五番機君と六番機君はデュアルソロ課目をすべてクリアーした。ドラゴンによって飛行能力には個体差があるようで、そのへんも生き物ならではの現象だ。
「可能なら五番機君と一番機君を交代させてもええんやけど」
俺がそう言ったとたん、五番機君が鼻から火をチョロチョロと出しながら不満げな声をあげた。
「イヤやゆーてるんでしゃーないですわ」
「おーい」
そんなことを話していると青井が手を振りながらやってきた。
「影山、ちょっと聞きたいことがあるんだけどさ」
「なんや?」
「ここに植える米なんだけど、どこの品種が良いと思う? 炊く時は同じ場所の米と水が良いんだよな?」
青井の質問に首をかしげてしまった。炊く場合はそうだが育てる場合はどうなんだ?
「わいは食べるのが専門やからなあ。そもそもここって隊長の夢の中やん? あまり品種は関係ない思うけど?」
「言われてみればそうだな。じゃあ沖田、質問なんだけど」
「俺は地元のブランド米なんて知らないからな」
質問の内容を察した隊長が先に答える。
「えー、知らないのかよ。だったらそこは宿題だな。目が覚めたら調べておいいてくれ」
「宿題……」
「隊長の地元の農協サイトで調べたら出てくるんちゃいます?」
「それぐらいなら青井でもできるじゃないか」
「俺はこっちでもあっちでも忙しいんだよ。それぐらいって言うならお前が調べろよ、ここはお前の夢なんだから」
隊長は大きなため息をつくと「調べておく」とだけ言った。どうやっても班長には口では勝てない。それは現実世界でも夢の世界でも同じのようだ。
「班長はこっちでもあっちでも変わらないですね」
葛城が感心したように言った。
「変わらなすぎてこっちが調子狂うわ。つか、こっちでのほうが生き生きしてへん?」
「それは確かに。まあ楽しいですけどね、ここ。さてと。俺も次の飛行訓練まで田んぼの手伝いしてきます」
葛城は六番機君をキーパー達に任せると、楽しそうな足取りで青井の後ろをついていく。
「班長もやけど、オール君もすっかりなじんでるやん」
ある意味その高い順応性はうらやましい。こっちはおっかなびっくりでドラゴンに乗っているというのに、葛城ときたらもうすっかりベテランのドルフィンならぬドラゴンライダーだ。田んぼづくりや米づくりにも積極的だし、もうちょっと手先が器用だったら、班長2号になれるのでは?と思わないでもない。
「やっぱり年も関係あるんやろか。班長は別格やとして」
葛城を見送ってから、五番機君の鞍をはずしている坂崎たちのところに戻った。
「五番機君の様子はどないや? 次も機嫌よう飛んでくれそうか?」
「大丈夫だと思いますよ。こいつ、誰かさんと違って飛ぶのが大好きみたいなんで」
坂崎がニヤニヤしながらこっちを見る。
「せやったら隊長付きのドラゴンになったほうがええんちゃうん? 隊長やったら休憩なしで一日中飛んでくれるで?」
だがその提案は気に食わないようで、鼻からチョロチョロと火を出しながらガウガウと声をあげた。
「五番機君はデュアルソロが飛びたいそうですよ」
「まったく。わいの周りは飛びたがりで困ったもんやで」
ま、ここは隊長の夢の中やし、しかたないのかもしれんけどな。
飛びながら下を見る。普段と飛行高度の違いはあるが、見渡す限り草原だ。川や小さめの池っぽい存在は認められたが海はない。この地形からすると、松島基地がある東松島市ではなさそうだ。
「海は見えませんから内陸部なんですかね」
「隊長が見てた映画てなんやったっけ? 冒険モノやっけ?」
「ファンタジー系の冒険モノですね。ロケは自然の多い広い海外でやったという話でしたけど」
「てことは日本でもないわけやな。田んぼ、大丈夫なんやろか。米、ここで育つやろか?」
ワンチャン北海道の可能性も考えたがどうも違うらしい。
「大丈夫じゃなかったら、隊長にお願いして巨大ドームを作ってもらうとか?」
「オール君、なんや班長と思考が似てきたんちゃう?」
「あー……それ、耕運機の写真を送った時、隊長にも言われました」
「せやろ~~」
そして俺達は飛行訓練に入ったわけだが、今回は前回と違って色々と発見があった。ドラゴンたちはそこまで早く飛べない。逆さまになって飛ぶのは得意でない。あと、あまり無理をさせると文句を言い出し鼻から火を噴くヤツが出る、などなど。やはりそこは生き物だってことらしい。
飛行訓練を一通りして地上に降りる。ブルーのアクロが全てできるわけではないことが判明して、隊長は少しばかりご機嫌ななめだ。
「フェニックスループができるんやし、合格点なんちゃいますのん。それ以上ハードにすると鼻から火を出すんはしゃーないですやん。あ、この場合、フェニックスループやのうてドラゴンループて言わなあかんのかな」
ちなみに五番機君と六番機君はデュアルソロ課目をすべてクリアーした。ドラゴンによって飛行能力には個体差があるようで、そのへんも生き物ならではの現象だ。
「可能なら五番機君と一番機君を交代させてもええんやけど」
俺がそう言ったとたん、五番機君が鼻から火をチョロチョロと出しながら不満げな声をあげた。
「イヤやゆーてるんでしゃーないですわ」
「おーい」
そんなことを話していると青井が手を振りながらやってきた。
「影山、ちょっと聞きたいことがあるんだけどさ」
「なんや?」
「ここに植える米なんだけど、どこの品種が良いと思う? 炊く時は同じ場所の米と水が良いんだよな?」
青井の質問に首をかしげてしまった。炊く場合はそうだが育てる場合はどうなんだ?
「わいは食べるのが専門やからなあ。そもそもここって隊長の夢の中やん? あまり品種は関係ない思うけど?」
「言われてみればそうだな。じゃあ沖田、質問なんだけど」
「俺は地元のブランド米なんて知らないからな」
質問の内容を察した隊長が先に答える。
「えー、知らないのかよ。だったらそこは宿題だな。目が覚めたら調べておいいてくれ」
「宿題……」
「隊長の地元の農協サイトで調べたら出てくるんちゃいます?」
「それぐらいなら青井でもできるじゃないか」
「俺はこっちでもあっちでも忙しいんだよ。それぐらいって言うならお前が調べろよ、ここはお前の夢なんだから」
隊長は大きなため息をつくと「調べておく」とだけ言った。どうやっても班長には口では勝てない。それは現実世界でも夢の世界でも同じのようだ。
「班長はこっちでもあっちでも変わらないですね」
葛城が感心したように言った。
「変わらなすぎてこっちが調子狂うわ。つか、こっちでのほうが生き生きしてへん?」
「それは確かに。まあ楽しいですけどね、ここ。さてと。俺も次の飛行訓練まで田んぼの手伝いしてきます」
葛城は六番機君をキーパー達に任せると、楽しそうな足取りで青井の後ろをついていく。
「班長もやけど、オール君もすっかりなじんでるやん」
ある意味その高い順応性はうらやましい。こっちはおっかなびっくりでドラゴンに乗っているというのに、葛城ときたらもうすっかりベテランのドルフィンならぬドラゴンライダーだ。田んぼづくりや米づくりにも積極的だし、もうちょっと手先が器用だったら、班長2号になれるのでは?と思わないでもない。
「やっぱり年も関係あるんやろか。班長は別格やとして」
葛城を見送ってから、五番機君の鞍をはずしている坂崎たちのところに戻った。
「五番機君の様子はどないや? 次も機嫌よう飛んでくれそうか?」
「大丈夫だと思いますよ。こいつ、誰かさんと違って飛ぶのが大好きみたいなんで」
坂崎がニヤニヤしながらこっちを見る。
「せやったら隊長付きのドラゴンになったほうがええんちゃうん? 隊長やったら休憩なしで一日中飛んでくれるで?」
だがその提案は気に食わないようで、鼻からチョロチョロと火を出しながらガウガウと声をあげた。
「五番機君はデュアルソロが飛びたいそうですよ」
「まったく。わいの周りは飛びたがりで困ったもんやで」
ま、ここは隊長の夢の中やし、しかたないのかもしれんけどな。
35
あなたにおすすめの小説
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます
おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。
if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります)
※こちらの作品カクヨムにも掲載します
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる