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小ネタ
普通じゃない普通
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忘備録に書いた小ネタです。
http://kagaminoyou.blog.fc2.com/blog-entry-66.html
書いた時には三匹目のコグマちゃんはいなかったので少し加筆しました。
時期としては双子ちゃんが小学校高学年から中学生ぐらい、コグマちゃんが院内保育園に通い始めた頃ぐらいです。
++++++++++
「ママ、いつも思うんだけどさ、パパの真綿で何重にもぐるぐる巻きな溺愛をよく平気で受け流せてるよね」
ある日、子供達が楽しみにしていた映画がテレビで放映していたので皆でそれを観ていた時、CМの合間に友里(ゆり)がいきなりそんなことを口にした。
「急にどうしたの?」
今まで観ていた呑気なアニメとは全く違う話題だったのでビックリして前に座っている娘を見詰める。
「え、なんとなく。なんでそんな暑苦しいパパの溺愛に平気な顔をしていられるのかなーって不思議になっただけ。ねえ?」
そう言って友里は私の膝の上に座っているコグマちゃん、じゃなくて航(わたる)に話しかけた。航は大好きなお姉ちゃんに声をかけられ「ねー?」と同意するように可愛らしく頷いている。友里はともかく、こっちのおチビさんはその意味が分かっていないと思うんだけど。
「溺愛? パパはそんなことしてないわよ。ねえ信吾さん、うちは極々普通の仲良し夫婦なだけだよね?」
隣に座っている信吾さんに同意を求める。あれ? なんでそこで視線を外すかな? その様子を見ていた友里はわざとらしく大きな溜め息をついた。
「……それ、絶対におかしいから」
「そうかなあ……そうなの?」
そう言われて更に信吾さんの顔を覗き込んでみたんだけれど、信吾さんはますます明後日の方を向いてしまった。ねえ、これってどういうこと? そんな私の疑問をよそに信吾さんはあっちを向いたまま目を閉じてしまった。
「ちょっと信吾さん、そんないきなり寝たふりなんかしないでよ、ねえったら」
腕を引っ張っても寝たふりをやめてくれそうにないので、友里の隣で足をだらんとのばしてゲームをしていた渉に援軍要請をしてみることにした。
「ねえ渉(あゆむ)、どう思う? パパとママは普通に仲良しだよね?」
「え、僕に聞くの……?」
私に声をかけられた渉は明らかにギョッとした顔をしている。あら、こっちもなの? もしかして森永家の男子は当てにならないってこと?
「ママ、援軍を求めてもダメだから。渉ちゃん、絶対にパパを見習ったら駄目だからね? 世の中の女子はママみたいな人ばかりじゃないんだから。ううん、ママみたいな人は稀有だから!! 稀有って言葉の意味、分かってるよね?」
「分かってるよ」
「あまり暑苦しいことをすると女の子に嫌われちゃうんだからね? 分かった?」
「……分かった」
「なんでそこで納得しちゃうの~? っていうか、どうしてそんな話になるの? もしかして誰かに何か言われた?」
もしかして小さい頃から仲良しのまー君? でもあそこだって今もパパとママは仲良しでうちのことをどうのこうの言うような感じじゃないんだけどな。ってことは残るはあそこの人達?
「……もしかして安住さん達が何か吹き込んだんじゃないよね? 信吾さん、なにか心当たりある?」
そう言って問い掛けたら信吾さんはトイレとか言いながらソファから立ち上がってしまった。
「ちょっとお……」
信吾さんが籠ってしまったトイレのドアを軽く睨みながら更にブツブツ。誰も私の味方になってくれないってどういうことなの?
「安住さん達とか関係ないから。とにかくママは凄いなって尊敬するよ、うん」
「それ、褒められている気がしないんだけど……」
「うん、褒めてないもの」
「……渉、どう思う?」
「……僕もトイレ行きたい」
まったくもう……!!
うちは極々普通の家族で、私と信吾さんは世間様に比べるとちょっとだけ仲良し度が高い普通の夫婦なんだからね!!
http://kagaminoyou.blog.fc2.com/blog-entry-66.html
書いた時には三匹目のコグマちゃんはいなかったので少し加筆しました。
時期としては双子ちゃんが小学校高学年から中学生ぐらい、コグマちゃんが院内保育園に通い始めた頃ぐらいです。
++++++++++
「ママ、いつも思うんだけどさ、パパの真綿で何重にもぐるぐる巻きな溺愛をよく平気で受け流せてるよね」
ある日、子供達が楽しみにしていた映画がテレビで放映していたので皆でそれを観ていた時、CМの合間に友里(ゆり)がいきなりそんなことを口にした。
「急にどうしたの?」
今まで観ていた呑気なアニメとは全く違う話題だったのでビックリして前に座っている娘を見詰める。
「え、なんとなく。なんでそんな暑苦しいパパの溺愛に平気な顔をしていられるのかなーって不思議になっただけ。ねえ?」
そう言って友里は私の膝の上に座っているコグマちゃん、じゃなくて航(わたる)に話しかけた。航は大好きなお姉ちゃんに声をかけられ「ねー?」と同意するように可愛らしく頷いている。友里はともかく、こっちのおチビさんはその意味が分かっていないと思うんだけど。
「溺愛? パパはそんなことしてないわよ。ねえ信吾さん、うちは極々普通の仲良し夫婦なだけだよね?」
隣に座っている信吾さんに同意を求める。あれ? なんでそこで視線を外すかな? その様子を見ていた友里はわざとらしく大きな溜め息をついた。
「……それ、絶対におかしいから」
「そうかなあ……そうなの?」
そう言われて更に信吾さんの顔を覗き込んでみたんだけれど、信吾さんはますます明後日の方を向いてしまった。ねえ、これってどういうこと? そんな私の疑問をよそに信吾さんはあっちを向いたまま目を閉じてしまった。
「ちょっと信吾さん、そんないきなり寝たふりなんかしないでよ、ねえったら」
腕を引っ張っても寝たふりをやめてくれそうにないので、友里の隣で足をだらんとのばしてゲームをしていた渉に援軍要請をしてみることにした。
「ねえ渉(あゆむ)、どう思う? パパとママは普通に仲良しだよね?」
「え、僕に聞くの……?」
私に声をかけられた渉は明らかにギョッとした顔をしている。あら、こっちもなの? もしかして森永家の男子は当てにならないってこと?
「ママ、援軍を求めてもダメだから。渉ちゃん、絶対にパパを見習ったら駄目だからね? 世の中の女子はママみたいな人ばかりじゃないんだから。ううん、ママみたいな人は稀有だから!! 稀有って言葉の意味、分かってるよね?」
「分かってるよ」
「あまり暑苦しいことをすると女の子に嫌われちゃうんだからね? 分かった?」
「……分かった」
「なんでそこで納得しちゃうの~? っていうか、どうしてそんな話になるの? もしかして誰かに何か言われた?」
もしかして小さい頃から仲良しのまー君? でもあそこだって今もパパとママは仲良しでうちのことをどうのこうの言うような感じじゃないんだけどな。ってことは残るはあそこの人達?
「……もしかして安住さん達が何か吹き込んだんじゃないよね? 信吾さん、なにか心当たりある?」
そう言って問い掛けたら信吾さんはトイレとか言いながらソファから立ち上がってしまった。
「ちょっとお……」
信吾さんが籠ってしまったトイレのドアを軽く睨みながら更にブツブツ。誰も私の味方になってくれないってどういうことなの?
「安住さん達とか関係ないから。とにかくママは凄いなって尊敬するよ、うん」
「それ、褒められている気がしないんだけど……」
「うん、褒めてないもの」
「……渉、どう思う?」
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