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第二話 かまどの神様 2
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そして二週間後の週末、石窯のあるイタリア料理店に行くことになった。週末の飲み会ではなく、神様の様子を見にいく八百万ハローワークの仕事の一つで、『視察』と呼ばれているものだ。
「羽倉さん、今日は視察の日だっけ?」
職場を出る準備をしていると、普段は自分達の後ろで雑務を一手に引き受けている、榊さんに声をかけられた。
「はい。なので、今日は残業なしの早上がりなんです。すみません」
「気にしない気にしない。それも大事な仕事だからね。一緒に行くのは?」
「私でーす!」
同じように帰りじたくをしていた、隣の窓口担当の一宮さんが、元気よく手をあげる。一宮さんは、今年の春に入省したばかりの新人さんで、今回が初めての視察だった。
「職場のおごりでイタリアンなんて、めっちゃハッピーです!」
「これは遊びじゃないのよ? 神様達が斡旋先で、問題なく働けているかどうかの確認なんだから」
榊さんが、あきれた顔をしながら言った。
「それはわかってますけど! それでも、イタリアンはハッピーでーす!」
「ま、おいしい仕事ではあるかな」
「はい!」
もちろん視察は飲食店関係ばかりではない。ただ最近は、この手の視察が多いせいか、新人職員が一緒に行きたがることも多い。しかし榊さんが言うように、これは仕事で、一宮さんが言うような「ハッピー」なことばかりではないのだ。
「今日の参加者は、羽倉さんと一宮さんだけなの?」
「二週間前って、けっこう神様の再就職がたくさん決まりましたから。今日の視察は、あっちこっちに分散してるんですよ」
「なるほど」
「課長達が行くことになったお寿司屋さんも、捨てがたかったですよねー」
一宮さんが首をかしげながら言った。
「お寿司を食べるだけの視察なら、そうだったかもねー」
「あれ? 違うんですか?」
「ハッピーばかりじゃないらしいよ?」
「ああ、なるほど。それで課長と課長補佐の鎌倉さんなんですね」
「そういうこと」
相手は「人」ではなく「神様」だ。人ならざる者達が相手となると、私達のような平凡な人間では、手におえない事態になることも多い。そういう時は、課長や偉い人達の出番だった。
「じゃあ、ハッピーな視察になりそうな時は、お寿司屋さんにつれていってもらいます!」
「あははは……」
さすが一宮さん。入省早々、八百万ハローワークに配属されてきただけのことはある。なかなかの肝っ玉ぶりだ。こういうところが見込まれて、ここに配属されてきたのかもしれない。
「じゃあ、お先に失礼します」
「行ってきまーす!」
「お疲れさま。行ってらっしゃい。神様達によろしく」
「はーい!」
私達は事務所を出た。
「神様達によろしくなんて、そうそう聞かない言葉ですよね!」
「まあ、聞かないし言わないね、普通」
それだけ、八百万ハローワークが特殊ということだ。
「あ、そうだ。この視察って、お酒はダメなんですよね?」
「一応、仕事だからね」
「あそこのお店はおいしいワインがあるって、口コミサイトに載ってたんですよ。ざんねーん」
相変わらずの口調に、思わず笑ってしまった。
「飲みたかったら、仕事以外の時に行くしかないねー。口コミサイト、他になにか書き込まれてた?」
口コミサイトの内容が気になったので、それとなく聞いてみる。
「えーと、生地が変わったのか、ピザが前よりおいしくなったって。ちなみに、一週間前の書き込みです」
「ってことは、石窯の神様、うまくいってるのかな」
「あ、そうですね! そうなのかも!」
それまでのお店の評判も悪くなかった。ただ私が見た時は、ワインがおいしいとか、生ハムが絶品だとか、そんな感じの書き込みが多く、ピザのことまでは書かれていなかったように思う。新たにピザの口コミが書かれるようになったということは、石窯の神様に落ち着いた神様が、毎日、はりきって働いているということだ。
「じゃあ、ピザは絶対にオーダーしなきゃですね!」
「だねー」
そんな話をしていたせいか、バス停につくころには二人とも、頭の中がピザやパスタのことでいっぱいで、仕事のことなんてすっかり頭から抜け落ちてしまっていた。
+++
お店に入ると、ふんわりと香ばしい匂いが漂ってきた。ピザが焼けている匂いだ。
「うわー、いい匂いしてます! 早く食べたい!」
一宮さんが嬉しそうに言う。お店のスタッフさんに案内されて、石窯が見える席に座った。
「私、石窯を直接みたの初めてです。意外とオシャレですね」
「私も最初は、陶器を焼く窯みたいなものを想像してた」
店内にある石窯は、表面にオレンジ色のカラフルなタイルが埋めこまれた、想像以上に可愛いものだった。
「それと、思っていたより小さいです。あれだと、一度にたくさんのピザは、焼けそうにないですね」
「窯の火力が強いから、あっという間に焼き上がるのかな」
「ああ、なるほど」
メニューからいくつか選んでオーダーする。もちろんピザもだ。榊さんより少し年配な感じの店員さんが、飲み物を運んできた。テーブルにグラスを置いてから、ニッコリとほほ笑む。
「今回はありがとうございました。いい神様を紹介していただいて」
その言葉に、一宮さんが椅子から十センチほど、とびあがった。
「え? え?!」
一宮さんはあわてた様子で、店員さんと私の顔を交互に見ている。
「いえいえ。私達はお手伝いをしただけですから。大事なのは相性なのですよ。きっと、この石窯との相性が良かったんですね」
「あの、羽倉さん? こちらは?」
声をひそめて一宮さんが質問をしてきた。
「ここの神様責任者さん」
「ビア樽の神です」
「ああ、そうなんですか。ビックリしたー……って、ええ?!」
神様と接触をするのは、基本的に八百万ハローワークの職員だけだ。一般の人達は、よほどのことがない限り、神様達の姿を見ることはなかった。こうやって自分達のすぐ目の前に立っているのに、店内のお客さんや店員さんは、この神様の存在にまったく気づいていないのだ。
「ってことは、他の人は気づいていないんですか? えっと、こちらのこと」
「そうみたい」
「神様って、本当にそういう不思議な力があるんてすね。驚きです!」
その無邪気な言葉に、ビア樽の神様が笑った。特に気を悪くした様子はなかったけれど、一宮さんには、あとでよく言い聞かせておかなくては。なにせ相手は神様なのだから。
「ハローワークのかたとお話するには、こうやって出てくるしかありませんのでね。ああ、こちらでオーダーされたピザが焼き上がったら、石窯の神がお持ちしますよ」
「大丈夫なんですか? お仕事中に石窯から離れてしまって」
他のピザが焦げてしまったらどうしようと、一宮さんは心配している。
「少しの間でしたら大丈夫ですよ。神が不在の間もここのオーナーシェフは、石窯を使いこなしていましたから。では、ごゆっくり」
ビア樽の神様がテーブルから離れると同時に、一宮さんが体を乗り出してヒソヒソと話しかけてきた。
「驚きました。どう見ても人間だったし、接客しなれした様子ですね。神様ってすごく多才」
「ま、神様だから。人間のふりをすることぐらい、おちゃのこさいさいってヤツなんだと思う」
「もっと変わった人間のふりをする神様っているんですか? たとえばー……漫才師のふりをする神様とか、学校の先生のふりをする神様とか」
目の前で、とんでもないことを言いだす。
「まあ、そのうち一宮さんも、色々な神様と会うことになんじゃないかな。でも、お話をする時は気をつけてね。相手は神様。気を悪くするようなことを言ったら、それこそ大変なことになるから」
「あ、はい、気をつけます!」
まあ、こればかりは経験をつまないと実感できないかもしれないな、と思った。
+++
「すっごく、おいしいです、ピザ! 今まで食べた中で一番かも!」
そしてやってきたピザを一口食べた一宮さんが声をあげる。
「ピザ生地が絶品ですね。私もこのお店のリピーターになりそう」
「どうじゃどうじゃ、わしの火加減は最高じゃろ?」
そんな私達の横で、神様がニコニコしている。
「はい。石窯との相性はバッチリでしたね」
「火の神とも馬があっての。ここに来ることができて、わしは幸せモンじゃ。お前さんには感謝している」
「いえいえ、私はお手伝いをしただけです。こことのご縁は、神様自身が引き寄せたご縁ですから」
私の前では一宮さんが、二切れ目に手をのばしていた。
「石窯の神様、さいこーーです!」
かまどの神様あらため、石窯の神様の転職はうまくいったようで、私も肩の荷がおりた気分だった。
「羽倉さん、今日は視察の日だっけ?」
職場を出る準備をしていると、普段は自分達の後ろで雑務を一手に引き受けている、榊さんに声をかけられた。
「はい。なので、今日は残業なしの早上がりなんです。すみません」
「気にしない気にしない。それも大事な仕事だからね。一緒に行くのは?」
「私でーす!」
同じように帰りじたくをしていた、隣の窓口担当の一宮さんが、元気よく手をあげる。一宮さんは、今年の春に入省したばかりの新人さんで、今回が初めての視察だった。
「職場のおごりでイタリアンなんて、めっちゃハッピーです!」
「これは遊びじゃないのよ? 神様達が斡旋先で、問題なく働けているかどうかの確認なんだから」
榊さんが、あきれた顔をしながら言った。
「それはわかってますけど! それでも、イタリアンはハッピーでーす!」
「ま、おいしい仕事ではあるかな」
「はい!」
もちろん視察は飲食店関係ばかりではない。ただ最近は、この手の視察が多いせいか、新人職員が一緒に行きたがることも多い。しかし榊さんが言うように、これは仕事で、一宮さんが言うような「ハッピー」なことばかりではないのだ。
「今日の参加者は、羽倉さんと一宮さんだけなの?」
「二週間前って、けっこう神様の再就職がたくさん決まりましたから。今日の視察は、あっちこっちに分散してるんですよ」
「なるほど」
「課長達が行くことになったお寿司屋さんも、捨てがたかったですよねー」
一宮さんが首をかしげながら言った。
「お寿司を食べるだけの視察なら、そうだったかもねー」
「あれ? 違うんですか?」
「ハッピーばかりじゃないらしいよ?」
「ああ、なるほど。それで課長と課長補佐の鎌倉さんなんですね」
「そういうこと」
相手は「人」ではなく「神様」だ。人ならざる者達が相手となると、私達のような平凡な人間では、手におえない事態になることも多い。そういう時は、課長や偉い人達の出番だった。
「じゃあ、ハッピーな視察になりそうな時は、お寿司屋さんにつれていってもらいます!」
「あははは……」
さすが一宮さん。入省早々、八百万ハローワークに配属されてきただけのことはある。なかなかの肝っ玉ぶりだ。こういうところが見込まれて、ここに配属されてきたのかもしれない。
「じゃあ、お先に失礼します」
「行ってきまーす!」
「お疲れさま。行ってらっしゃい。神様達によろしく」
「はーい!」
私達は事務所を出た。
「神様達によろしくなんて、そうそう聞かない言葉ですよね!」
「まあ、聞かないし言わないね、普通」
それだけ、八百万ハローワークが特殊ということだ。
「あ、そうだ。この視察って、お酒はダメなんですよね?」
「一応、仕事だからね」
「あそこのお店はおいしいワインがあるって、口コミサイトに載ってたんですよ。ざんねーん」
相変わらずの口調に、思わず笑ってしまった。
「飲みたかったら、仕事以外の時に行くしかないねー。口コミサイト、他になにか書き込まれてた?」
口コミサイトの内容が気になったので、それとなく聞いてみる。
「えーと、生地が変わったのか、ピザが前よりおいしくなったって。ちなみに、一週間前の書き込みです」
「ってことは、石窯の神様、うまくいってるのかな」
「あ、そうですね! そうなのかも!」
それまでのお店の評判も悪くなかった。ただ私が見た時は、ワインがおいしいとか、生ハムが絶品だとか、そんな感じの書き込みが多く、ピザのことまでは書かれていなかったように思う。新たにピザの口コミが書かれるようになったということは、石窯の神様に落ち着いた神様が、毎日、はりきって働いているということだ。
「じゃあ、ピザは絶対にオーダーしなきゃですね!」
「だねー」
そんな話をしていたせいか、バス停につくころには二人とも、頭の中がピザやパスタのことでいっぱいで、仕事のことなんてすっかり頭から抜け落ちてしまっていた。
+++
お店に入ると、ふんわりと香ばしい匂いが漂ってきた。ピザが焼けている匂いだ。
「うわー、いい匂いしてます! 早く食べたい!」
一宮さんが嬉しそうに言う。お店のスタッフさんに案内されて、石窯が見える席に座った。
「私、石窯を直接みたの初めてです。意外とオシャレですね」
「私も最初は、陶器を焼く窯みたいなものを想像してた」
店内にある石窯は、表面にオレンジ色のカラフルなタイルが埋めこまれた、想像以上に可愛いものだった。
「それと、思っていたより小さいです。あれだと、一度にたくさんのピザは、焼けそうにないですね」
「窯の火力が強いから、あっという間に焼き上がるのかな」
「ああ、なるほど」
メニューからいくつか選んでオーダーする。もちろんピザもだ。榊さんより少し年配な感じの店員さんが、飲み物を運んできた。テーブルにグラスを置いてから、ニッコリとほほ笑む。
「今回はありがとうございました。いい神様を紹介していただいて」
その言葉に、一宮さんが椅子から十センチほど、とびあがった。
「え? え?!」
一宮さんはあわてた様子で、店員さんと私の顔を交互に見ている。
「いえいえ。私達はお手伝いをしただけですから。大事なのは相性なのですよ。きっと、この石窯との相性が良かったんですね」
「あの、羽倉さん? こちらは?」
声をひそめて一宮さんが質問をしてきた。
「ここの神様責任者さん」
「ビア樽の神です」
「ああ、そうなんですか。ビックリしたー……って、ええ?!」
神様と接触をするのは、基本的に八百万ハローワークの職員だけだ。一般の人達は、よほどのことがない限り、神様達の姿を見ることはなかった。こうやって自分達のすぐ目の前に立っているのに、店内のお客さんや店員さんは、この神様の存在にまったく気づいていないのだ。
「ってことは、他の人は気づいていないんですか? えっと、こちらのこと」
「そうみたい」
「神様って、本当にそういう不思議な力があるんてすね。驚きです!」
その無邪気な言葉に、ビア樽の神様が笑った。特に気を悪くした様子はなかったけれど、一宮さんには、あとでよく言い聞かせておかなくては。なにせ相手は神様なのだから。
「ハローワークのかたとお話するには、こうやって出てくるしかありませんのでね。ああ、こちらでオーダーされたピザが焼き上がったら、石窯の神がお持ちしますよ」
「大丈夫なんですか? お仕事中に石窯から離れてしまって」
他のピザが焦げてしまったらどうしようと、一宮さんは心配している。
「少しの間でしたら大丈夫ですよ。神が不在の間もここのオーナーシェフは、石窯を使いこなしていましたから。では、ごゆっくり」
ビア樽の神様がテーブルから離れると同時に、一宮さんが体を乗り出してヒソヒソと話しかけてきた。
「驚きました。どう見ても人間だったし、接客しなれした様子ですね。神様ってすごく多才」
「ま、神様だから。人間のふりをすることぐらい、おちゃのこさいさいってヤツなんだと思う」
「もっと変わった人間のふりをする神様っているんですか? たとえばー……漫才師のふりをする神様とか、学校の先生のふりをする神様とか」
目の前で、とんでもないことを言いだす。
「まあ、そのうち一宮さんも、色々な神様と会うことになんじゃないかな。でも、お話をする時は気をつけてね。相手は神様。気を悪くするようなことを言ったら、それこそ大変なことになるから」
「あ、はい、気をつけます!」
まあ、こればかりは経験をつまないと実感できないかもしれないな、と思った。
+++
「すっごく、おいしいです、ピザ! 今まで食べた中で一番かも!」
そしてやってきたピザを一口食べた一宮さんが声をあげる。
「ピザ生地が絶品ですね。私もこのお店のリピーターになりそう」
「どうじゃどうじゃ、わしの火加減は最高じゃろ?」
そんな私達の横で、神様がニコニコしている。
「はい。石窯との相性はバッチリでしたね」
「火の神とも馬があっての。ここに来ることができて、わしは幸せモンじゃ。お前さんには感謝している」
「いえいえ、私はお手伝いをしただけです。こことのご縁は、神様自身が引き寄せたご縁ですから」
私の前では一宮さんが、二切れ目に手をのばしていた。
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