愛しのあなたにさよならを

MOMO-tank

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第3話

貧乏伯爵家に生まれた私、ジャスミン・ウォーカーは幼い頃から二人の兄の後をくっついていた。
虫取り、木登り、魚釣り。
自然豊かな領地では、いつも裸足で駆け回っていた。

兄達が剣を習い始めてからは、自分も近くで見よう見まねで木の棒を振った。 
10歳になる頃には、兄達に力では負けるものの、足の速さや木登りでは負け知らず、身体能力に優れていたらしい私は兄達の剣術の先生から直々に『君に剣を教えたい』と言われ、女ながらに剣を持つことを許された。

剣術の楽しさに目覚めた私は、朝から晩まで剣を離さなかった。
そんな私は、母から最低限の貴族女性のマナーを学び、12歳で特待生枠で王都の学園の騎士科へ入学した。

学園では剣術以外にも馬術や体術を学び、私はそれらをどんどん吸収していった。
上級生相手でも私は負け知らずで、唯一互角だったのが、2学年上のルイス第三王子だった。

16歳になった私は騎士団入団試験に合格し、第一騎士団の騎士となった。
そこで圧倒的強さを誇るローガン副隊長に出会った。

ローガン副隊長は銀髪に紫目の整った顔立ちに、話せばユーモアに溢れている魅力的な人物で皆から慕われていた。
そんな騎士団きっての美丈夫は、女性から常に秋波を送られてそれに答えるプレイボーイでもあった。

ある日、女性の腰を引き寄せ甘い言葉を吐き、口づけする副隊長を見かけた後、話しかけられた。

『ウォーカー、お前のその顔立ちに剣の腕だと女性からの誘いが絶えないだろう。
スマートなと口説き方と断り方を伝授するぞ』

どうやら男性と間違われていたらしい。
女だと告げると驚かれ何度も謝られた。
これが私達の最初の会話だった。

それからローガン副隊長と話すようになった。 
侯爵令息だというに、堅苦しさは一切感じさせず常に人を楽しませる副隊長は、ひとたび剣を握れば人が変わったように異彩を放つ。
そんなローガン副隊長に私はどんどん惹かれていった。

でも、心の中ではいつも警笛が鳴っていた。
“この人を好きになってはいけない。
この人を好きになっては、きっと苦しむ”
案の定、ローガン副隊長の周りには大抵美しい女性が居た。

自分の気持ちに蓋をして3年が経ち私が19歳になった頃、私達の関係に変化が起きた。
遠征先でトラブルに巻き込まれ、副隊長と2人激流に飛び込んだはいいが、足がつった私は途中で意識を失った。

目を覚ますと、私は裸で、同じく裸のローガ副隊長に抱きしめられていた。
夢?何?これは?
私は混乱した。
ローガン副隊長を見れば、眠っているようだった。

私のがモゾモゾ動き出すと、目を開けた副隊長にきつく抱きしめられた。
その後も確かめるように何度も顔を確認され、髪を撫でられ、『無事で良かった』と言われた。

どうやら副隊長は激流で意識を失った私をこの洞窟まで運んで、冷え切った体を温めてくれたらしかった。
それはわかるが、この状況は・・・。
外は嵐で、服は焚き火で乾かしているが、まだかなり湿っていた。


私達はその夜一線を越えてしまった。

私は、純潔を失った。






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