うちの天使はツンデレらしい

智秋

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姉貴、勘弁してくれ… ( i д i )

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魔界の使者が来て、祝いの宴に招待された

ご指名は姉貴と俺
(舞いをご所望ですね、俺は護衛だな)

さて問題が発生しました

なんの祝いか記載がないっ!
おいおい、なんの謎かけだ
魔王様?お妃様がた?ご子息たち?ご令嬢たち?
いやぁ、あの人たちはうち(人界)みたいな誕生日はない種族なんだがなぁ

精霊界もだが、基本が長寿の彼らは子供も少ない種族でもある
産まれた時、成人した時、結婚した時、亡くなって寿命を迎えるとかも含めてが主な祝いだ
こちらの感覚ではなん十年に1度
人間みたいな数人、毎年とかあまりない
(収穫祭や豊穣の祈りとかは数年毎だが)

たしか、三女のご令嬢は昨年、(将軍と)婚約されて再来年が婚姻の為、しばらく軍部は大人しいはず

うちの姉貴とも文通する珍しいご令嬢で、かなりの武闘派なお方だった
珍しくこちらに来た時も案内役を姉貴にして、巡ったのは上級者向けのダンジョンだった
(あの時に同行していた渋い軍人が将軍になり、ご令嬢と婚姻を功績の褒美で貰ったらしいけど)
確かに、飾れば綺麗なんだよな…
武装したまま、(馬に似た)魔獣に騎乗して鬼神の如く矛をブン回す戦姫だ

長女と次女は既に貴族に嫁がれているし、嫡子は大変な美丈夫な方である
正室さま、八人の側室さま、愛妾たち
(認知された)ご子息は五人、ご令嬢は七人居る

どうするか…

明日にでも手紙で伺おう

※※※

姉貴の初恋は魔界の軍人だった

まだ、俺が母さんの手から抜け出せない、よちよち歩く幼児で、あまり外に出されずにいた頃
姉貴は一人でも遊ぶ元気な娘で、心配した母さんが足首に魔具を付けていたのだが、それが外されて村の井戸近くに落ちていた

姉貴は拐われていて、若い魔界人の嫁にして、奇跡的に子供が出来たら人界と行き来させる計画をしていたらしい

実際には、若い軍人の魔界人が姉貴の元気さに根負けして、家来になっていた程いつも通りに遊んでいたのを、親父達はつい「このまま飽きるまで暮らすのもありか?」と考え、しばらく放置して魔界を探検していたが、さすがに3日経つ頃には軍人の可哀想なやつれ具合に姉貴を回収したそうだ

で、成人した姉貴は軍人と再会したが向こうは結婚していた

姉貴は「え?そうだっけ?」と全然憶えてない反応だったけどね

※※※

はい。返事来ました

弟妹がソワソワして、窓際の止まり木を見ています

(綺麗な色した魔獣の伝書鳩もどきが気になるらしい)

魔獣も小さい人間が面白いらしく、しきりにおやつの箱をつついてる

あげるなら一個ずつ。とあげ方を見せてから手紙を開封した

嫡男のご正室にお子様がお産まれになった為、つきましてはお披露目の宴に招待致したく…と丁寧な文書

姉貴は祝いの楽曲を選ぶから♪と楽隊の宿舎へと襲撃しに行ったが、この後衣装屋と宝飾の工房へ行くなら今夜は夕食は取らないな

お袋に言っておかないと、姉貴が飯抜きになるし、腹を空かせた姉貴は野生の虎になる

俺は護衛だが贈り物は必要だろう

魔界の中でも有名な嫡男(魔界の貴公子)のお子様なら…しっかりした物を納めよう

(せっかくだ、弟妹が産まれる頃にうちの村で創作した魔術の誘拐防止、精神干渉防止、庇護欲増加を施したアイテムを作ろう)

おくるみ、よだれ掛け、揺りかご、ガラガラ、歯固め…色々作って雑貨屋で売ってる
(乳飲み子のことはわからんなぁ)

何が良いかお袋に相談してたら、珍しく姉貴が午前様まえには帰宅して、自分にも新しい舞踊扇を作れと言い出した

なんで扇子?職人どうした?
はぁ、ぎっくり腰ですか…
元は職人のモノをカスタマイズするならやりますよ
は?花びらを撒ける仕掛け着けろ?

俺は護衛(盾役の冒険者)だぞ?
こら!ナイフ投げるな!
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