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125.ミッちゃんのレトケレス探し21
「……ばぁちゃん、家に帰りたくなったんだけど」
毒針を振り立てるサソリのように此方に向かって暴言を吐く、十歳より少し上くらいの娘から目を背けてウルジェドは呟いた。
「ほんに、お前は片づけが苦手じゃの。今、帰ったらインテゲル宰相が泣くぞ」
気の毒な宰相は、グーリシェダに転移で寝室に侵入されて、寝台から優しく叩きだされて顔を洗う間も貰えずに、ここに連れて来られている。
珍しくシェブロンを巻いているのは、実は寝ぐせを隠しているからだ。
「ともかく、流人ではない子供がここに居るならば保護をしましょう。オルドー部隊長」
そのインテゲル宰相が、後ろに控えている軍人に声を掛けた。
直ぐにサピヤーが確保していた鍵を、武骨な南京錠に使い鉄の檻を開き中へと入った。
檻の中が見えるようにとグーリシェダが光の魔法を天井に向けて放ったお陰で、檻の角に固まる子供達がはっきりとした。
どの子供も濃淡の違いはあれども金の髪をしている。
貴族の子供らしく、皆、長髪だ。
助けろと騒いでいた少女が近づいたのを邪険に払って、サピヤーは他の子供達に声を掛けた。
「耳を切られていない子は居るかい」
尻もちを付いて、サピヤーを睨みつけている少女は無視する。
間違いなく、調査保護期間にも更生の兆しが無かったであろう、この少女は流人である。
ビクリと一塊の怯えた子供達から緊張が伝わる。
「断耳された者は何人いる?」
もし処分を受けた子供全員が、捕らえられたとしたら六人。
既に事切れている、あの子供を除くと五人。
そこの、如何にもエルフ貴族な娘も除くと四人。
残りの子供は攫われたかした者となる。
インテゲル宰相の声に、子供達を見渡したサピヤーが戸惑った顔をして檻の外を見る。
「宰相、全員です」
宰相が眉を顰めた。
「子供達九人、全員、耳を切られています」
サピヤーのざらついた声が響く。
暫く、誰も言葉が無かった。
「……それは困った。オルドー隊長、商会の者達と、子供達に聞き取り調査をする必要が出てきた」
「はっ、医療班と調査をした者達を呼び寄せます。その間、商会の者を拘束して参りますので、暫しこの場を離れます」
そう言うと、こちらを檻の中から見ているサピヤーに目をやり頷き、倉庫の外へと出て行く。
今から各方面の班長を招聘するための魔法鳥を飛ばすためだ。
「すまないが、お願いするよ。ウルジェド殿、なにやら妙な事が起こっているようだ。巻き込んでしまったようだね」
この言い方は、ズルイなぁ……と思いながらも
「いや、こちらの火の粉を払いに来たつもりが、熾火を見つけてしまったようだ」
ウルジェドは軽く会釈をする。
「チッ」
グーリシェダが舌打ちをした。
「ウルジェド、あやつが消えたぞ」
そう孫に伝えるグーリシェダの表情は険しい。
「物理結界を張っていたのじゃろ?あやつ、まさかの転移魔法で逃げおった」
「え⁈」
グーリシェダが言うのは異様な魔力の持ち主の事だ。
人族で転移魔法を使える者はいない。
使えるとしたら長命種とされているが、それも、かなり限定されるだろう。
エルダードワーフのガルデンとて媒体となる魔道具が必要なのだ。
「魔道具?ダンジョンスクロールかい?」
「判らん。だが魔道具が使われた気配は無かった」
自力での転移が出来る者など、ウルジェドは同族しか思いつかない。
だが、今この大陸に来ているのは三人。
自分と祖母と叔父だけだ。
それとも、自分の知らない転移系の魔道具があるのだろうか。
「インテゲル宰相、実はあちらの商家の方に、妙な魔力を持つ者が一人居っての、注意をしていたのだが……」
「はい。失礼ながら御話は聞かせていただきました。得体のしれない者が転移で逃げたようだと」
「うむ。気にかけておいて欲しい」
インテゲル宰相は礼をすると、檻から出てきたサピヤーに声を掛けた。
「あぁ、そこの副官かな?今の話を聞いていたかね」
「いいえ。自分は職務に専念しておりましたので、何も聞こえておりません」
宰相は少し口角を上げると、サピヤーに向かって指示を出す。
「とりあえず、流人とそれ以外の子供に分けねばな」
サピヤーが南京錠を閉めて、宰相に進言する。
「恐れながら申し上げます。処断の子供については各人の記録が部隊に残してありますので、特定は可能であると思われます」
「そうか。ならば部隊が来てからでいいだろう。ウルジェド殿、それまで魔道騎士をお借りしてもいいかな?」
「……いや、宰相閣下、これらは使いにくいので違う型を遣わそう。ばぁちゃん、いいな?」
「ふむ。権限はお前にあるから、好きにするがよい」
ウルジェドは召喚する魔道騎士を考える。
このリヨスアルヴァの街を考えると、騎馬には狭い場所が多そうだ。
「魔道騎士佰壱、佰弐、佰参」
土間を指さした三か所に円環が光って、|跪いた魔道騎士が現れる。
「宰相閣下、指揮権はどうする?」
「ふむ、オルドー部隊長……いや、そこの副官、名は何というのかな」
いきなり火の粉が飛んできたサピヤーは、動揺を隠して
「はっ、部隊長補佐、サピヤー=スパ・サカです」
内心の動揺─叫び─を隠して、名乗った自分をサピヤーは褒めてあげたい。
「では、彼に魔道騎士を貸してもらえるかな。どうやら、目が良さそうなのでね」
サピヤーに背を向けた宰相は、歪んだ笑顔でウルジェドを見た。
「インテゲル宰相、意外と意地悪ですね」
ウルジェドの小声に宰相は無言で笑うに留める。
「え、いや。自分にこのような怖…凄い魔道具を使いこなすことは出来ません」
(いや、ほんとに勘弁してくれ。
俺には無理だから!目立っちゃダメでしょ。王の目なんですから!)
「あぁ、サピヤー殿。大丈夫だ、彼らには、ちゃんと命令を聞くように指示をしておく。ただ、注意してほしいのだが……」
ウルジェドは檻の横に立つサピヤーに近づくと、その耳元で囁いた。
「生かす。殺す。の判断は、明確に伝えてくれ。滅殺が初期設定だから」
柔らかい声で、怖気がする事を告げられたサピヤーは
「ひっ」と、小さく悲鳴を上げた。
ポンポンと肩を叩いたウルジェドは、魔道騎士の方を向いて
「今より任務を命じる。このサピヤー=スパ・サカの命令の遂行を第一とする。サピヤー殿、魔道騎士の前へ立ってくれ。彼らが君を覚えるから」
ぐいっとサピヤーの肩を抱いて、3機の魔道騎士の前に押し出されたサピヤーは、目を泳がせながら、
「よ、よろしくお願いいたします」と挨拶をする。
それが、ダンジョン研修の子供達と重なって、吹き出しそうになるのをウルジェドは堪えた。
「あ、あの、ウルジェド殿……彼らの動力源は……」
「あぁ、気にしなくても大丈夫だ」
ハイエルフの魔道具に動力源の魔石などは必要としない。
それは自らと同様に、大気に含まれる魔素を取り込んでいるからだが、そのことを他者に教えることはないだろう。
外部魔素の取り込みをするのは、七つ石の邪獣だと伝説になっているので。
「後の細かいことは、ばぁちゃんにでも聞いてくれ」
両手を上げて伸びをすると、ウルジェドは
「そろそろ帰らないと、流石にまずいからなぁ」と呟いた。
「え?」
(まさか、この男、これだけ引っ搔き回して、俺に怖い魔道具を押し付けて帰る?
ウソだろ⁈)
そう思ってサピヤーは、ウルジェドを見た。
全くもって悪びれていないハイエルフは、
「あぁ、もしも足りなかったら、ばぁちゃんの魔道騎士を動かしてもらうといい。性能は同程度だけれど、かなり華やかな装備の近衛騎士だ」
「ウルジェド殿、わざとですか……いえっ、お気遣いとご配慮を、ありがとうございます!」
やっぱり、この人、悪人じゃないかなぁ?と、サピヤーは思う。
多分、悪人ではなくサピヤーを揶揄っているだけだ。
「ウルジェド、魔道騎士を念のため2機借りたい。命令系統を変更しておくれ」
インテゲル宰相と何やら話をしていたグーリシェダが、そう言ってきたのに頷いて、突剣を取り出して、認証をし、伍と陸の命令の優先順位を入れ替えた。
「じゃあ、私は帰るよ」
魔道騎士4機を戻したウルジェドが祖母に言う。
もう、空が白みかけてきている。
帰ってパウパウの寝顔が見たい。
寂しい思いをさせてしまったと考えると、切なくなった。
「ふむ……お前が、あの子供達に情けを寄せるかと思ったが、読み違えたかの」
外へと向かうウルジェドを見送るつもりか、グーリシェダが付いて来る。
「そうだねぇ……」
多分、昔の自分なら、エルフの子供達も何とかしてやろうと考えたかもしれない。
だが、今は
「あの子を生かすので精一杯だから、中身が何歳か分からないエルフの矯正に回す手はないよ」
カーカルデほどに大きな鎌の前脚ならば、掬えるのかもしれないが、生憎とハイエルフの腕は小さな子一人を抱き上げる分しかないのだ。
零さないように、落とさないように守るのは一人で精一杯だ。
「……そうか。どうもリヨスアルヴァが、きな臭い。ベネ殿に注意するように伝えてくれ」
グーリシェダの言葉に頷くと、集結しつつある軍人の騒めきに背を向けて、ウルジェドは転移をした。
毒針を振り立てるサソリのように此方に向かって暴言を吐く、十歳より少し上くらいの娘から目を背けてウルジェドは呟いた。
「ほんに、お前は片づけが苦手じゃの。今、帰ったらインテゲル宰相が泣くぞ」
気の毒な宰相は、グーリシェダに転移で寝室に侵入されて、寝台から優しく叩きだされて顔を洗う間も貰えずに、ここに連れて来られている。
珍しくシェブロンを巻いているのは、実は寝ぐせを隠しているからだ。
「ともかく、流人ではない子供がここに居るならば保護をしましょう。オルドー部隊長」
そのインテゲル宰相が、後ろに控えている軍人に声を掛けた。
直ぐにサピヤーが確保していた鍵を、武骨な南京錠に使い鉄の檻を開き中へと入った。
檻の中が見えるようにとグーリシェダが光の魔法を天井に向けて放ったお陰で、檻の角に固まる子供達がはっきりとした。
どの子供も濃淡の違いはあれども金の髪をしている。
貴族の子供らしく、皆、長髪だ。
助けろと騒いでいた少女が近づいたのを邪険に払って、サピヤーは他の子供達に声を掛けた。
「耳を切られていない子は居るかい」
尻もちを付いて、サピヤーを睨みつけている少女は無視する。
間違いなく、調査保護期間にも更生の兆しが無かったであろう、この少女は流人である。
ビクリと一塊の怯えた子供達から緊張が伝わる。
「断耳された者は何人いる?」
もし処分を受けた子供全員が、捕らえられたとしたら六人。
既に事切れている、あの子供を除くと五人。
そこの、如何にもエルフ貴族な娘も除くと四人。
残りの子供は攫われたかした者となる。
インテゲル宰相の声に、子供達を見渡したサピヤーが戸惑った顔をして檻の外を見る。
「宰相、全員です」
宰相が眉を顰めた。
「子供達九人、全員、耳を切られています」
サピヤーのざらついた声が響く。
暫く、誰も言葉が無かった。
「……それは困った。オルドー隊長、商会の者達と、子供達に聞き取り調査をする必要が出てきた」
「はっ、医療班と調査をした者達を呼び寄せます。その間、商会の者を拘束して参りますので、暫しこの場を離れます」
そう言うと、こちらを檻の中から見ているサピヤーに目をやり頷き、倉庫の外へと出て行く。
今から各方面の班長を招聘するための魔法鳥を飛ばすためだ。
「すまないが、お願いするよ。ウルジェド殿、なにやら妙な事が起こっているようだ。巻き込んでしまったようだね」
この言い方は、ズルイなぁ……と思いながらも
「いや、こちらの火の粉を払いに来たつもりが、熾火を見つけてしまったようだ」
ウルジェドは軽く会釈をする。
「チッ」
グーリシェダが舌打ちをした。
「ウルジェド、あやつが消えたぞ」
そう孫に伝えるグーリシェダの表情は険しい。
「物理結界を張っていたのじゃろ?あやつ、まさかの転移魔法で逃げおった」
「え⁈」
グーリシェダが言うのは異様な魔力の持ち主の事だ。
人族で転移魔法を使える者はいない。
使えるとしたら長命種とされているが、それも、かなり限定されるだろう。
エルダードワーフのガルデンとて媒体となる魔道具が必要なのだ。
「魔道具?ダンジョンスクロールかい?」
「判らん。だが魔道具が使われた気配は無かった」
自力での転移が出来る者など、ウルジェドは同族しか思いつかない。
だが、今この大陸に来ているのは三人。
自分と祖母と叔父だけだ。
それとも、自分の知らない転移系の魔道具があるのだろうか。
「インテゲル宰相、実はあちらの商家の方に、妙な魔力を持つ者が一人居っての、注意をしていたのだが……」
「はい。失礼ながら御話は聞かせていただきました。得体のしれない者が転移で逃げたようだと」
「うむ。気にかけておいて欲しい」
インテゲル宰相は礼をすると、檻から出てきたサピヤーに声を掛けた。
「あぁ、そこの副官かな?今の話を聞いていたかね」
「いいえ。自分は職務に専念しておりましたので、何も聞こえておりません」
宰相は少し口角を上げると、サピヤーに向かって指示を出す。
「とりあえず、流人とそれ以外の子供に分けねばな」
サピヤーが南京錠を閉めて、宰相に進言する。
「恐れながら申し上げます。処断の子供については各人の記録が部隊に残してありますので、特定は可能であると思われます」
「そうか。ならば部隊が来てからでいいだろう。ウルジェド殿、それまで魔道騎士をお借りしてもいいかな?」
「……いや、宰相閣下、これらは使いにくいので違う型を遣わそう。ばぁちゃん、いいな?」
「ふむ。権限はお前にあるから、好きにするがよい」
ウルジェドは召喚する魔道騎士を考える。
このリヨスアルヴァの街を考えると、騎馬には狭い場所が多そうだ。
「魔道騎士佰壱、佰弐、佰参」
土間を指さした三か所に円環が光って、|跪いた魔道騎士が現れる。
「宰相閣下、指揮権はどうする?」
「ふむ、オルドー部隊長……いや、そこの副官、名は何というのかな」
いきなり火の粉が飛んできたサピヤーは、動揺を隠して
「はっ、部隊長補佐、サピヤー=スパ・サカです」
内心の動揺─叫び─を隠して、名乗った自分をサピヤーは褒めてあげたい。
「では、彼に魔道騎士を貸してもらえるかな。どうやら、目が良さそうなのでね」
サピヤーに背を向けた宰相は、歪んだ笑顔でウルジェドを見た。
「インテゲル宰相、意外と意地悪ですね」
ウルジェドの小声に宰相は無言で笑うに留める。
「え、いや。自分にこのような怖…凄い魔道具を使いこなすことは出来ません」
(いや、ほんとに勘弁してくれ。
俺には無理だから!目立っちゃダメでしょ。王の目なんですから!)
「あぁ、サピヤー殿。大丈夫だ、彼らには、ちゃんと命令を聞くように指示をしておく。ただ、注意してほしいのだが……」
ウルジェドは檻の横に立つサピヤーに近づくと、その耳元で囁いた。
「生かす。殺す。の判断は、明確に伝えてくれ。滅殺が初期設定だから」
柔らかい声で、怖気がする事を告げられたサピヤーは
「ひっ」と、小さく悲鳴を上げた。
ポンポンと肩を叩いたウルジェドは、魔道騎士の方を向いて
「今より任務を命じる。このサピヤー=スパ・サカの命令の遂行を第一とする。サピヤー殿、魔道騎士の前へ立ってくれ。彼らが君を覚えるから」
ぐいっとサピヤーの肩を抱いて、3機の魔道騎士の前に押し出されたサピヤーは、目を泳がせながら、
「よ、よろしくお願いいたします」と挨拶をする。
それが、ダンジョン研修の子供達と重なって、吹き出しそうになるのをウルジェドは堪えた。
「あ、あの、ウルジェド殿……彼らの動力源は……」
「あぁ、気にしなくても大丈夫だ」
ハイエルフの魔道具に動力源の魔石などは必要としない。
それは自らと同様に、大気に含まれる魔素を取り込んでいるからだが、そのことを他者に教えることはないだろう。
外部魔素の取り込みをするのは、七つ石の邪獣だと伝説になっているので。
「後の細かいことは、ばぁちゃんにでも聞いてくれ」
両手を上げて伸びをすると、ウルジェドは
「そろそろ帰らないと、流石にまずいからなぁ」と呟いた。
「え?」
(まさか、この男、これだけ引っ搔き回して、俺に怖い魔道具を押し付けて帰る?
ウソだろ⁈)
そう思ってサピヤーは、ウルジェドを見た。
全くもって悪びれていないハイエルフは、
「あぁ、もしも足りなかったら、ばぁちゃんの魔道騎士を動かしてもらうといい。性能は同程度だけれど、かなり華やかな装備の近衛騎士だ」
「ウルジェド殿、わざとですか……いえっ、お気遣いとご配慮を、ありがとうございます!」
やっぱり、この人、悪人じゃないかなぁ?と、サピヤーは思う。
多分、悪人ではなくサピヤーを揶揄っているだけだ。
「ウルジェド、魔道騎士を念のため2機借りたい。命令系統を変更しておくれ」
インテゲル宰相と何やら話をしていたグーリシェダが、そう言ってきたのに頷いて、突剣を取り出して、認証をし、伍と陸の命令の優先順位を入れ替えた。
「じゃあ、私は帰るよ」
魔道騎士4機を戻したウルジェドが祖母に言う。
もう、空が白みかけてきている。
帰ってパウパウの寝顔が見たい。
寂しい思いをさせてしまったと考えると、切なくなった。
「ふむ……お前が、あの子供達に情けを寄せるかと思ったが、読み違えたかの」
外へと向かうウルジェドを見送るつもりか、グーリシェダが付いて来る。
「そうだねぇ……」
多分、昔の自分なら、エルフの子供達も何とかしてやろうと考えたかもしれない。
だが、今は
「あの子を生かすので精一杯だから、中身が何歳か分からないエルフの矯正に回す手はないよ」
カーカルデほどに大きな鎌の前脚ならば、掬えるのかもしれないが、生憎とハイエルフの腕は小さな子一人を抱き上げる分しかないのだ。
零さないように、落とさないように守るのは一人で精一杯だ。
「……そうか。どうもリヨスアルヴァが、きな臭い。ベネ殿に注意するように伝えてくれ」
グーリシェダの言葉に頷くと、集結しつつある軍人の騒めきに背を向けて、ウルジェドは転移をした。
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