3 / 3
本編
突然授かった"能力"
しおりを挟む
大義名分を手に入れたオレは、新しい制服に身を包み、兄貴の車に乗り込んでいた。
「やっぱり似合うな。違和感がない」
「女子に変化してんだから当たり前だろ、さっさと出発しろ」
先程まで男らしく肩に付かない長さだったダークブラウンの髪は腰までふわりと伸びている。
睫毛は長く、量も増え、唇は淡いピンクに色付いている。
肩幅が狭くなり、全体的に線は細くなったが、体は丸みを帯び、柔らかさがある。
鎖骨の下の男のロマンは、オレ好みに、大きすぎず小さすぎず、手に収まるくらいの大きさできちんと主張している。
どこからどう見ても女子。
自分でも満足の出来栄えだ。
「悠の変化能力は年々高くなってる気がするな。次の測定が楽しみだ」
ーー能力。
20XX年、今からおよそ100年前、前触れもなく起きた人類の突然変異。
人類は一人残らず、超能力を手に入れた。
当時はもう大混乱も大混乱だったらしい。
人によって超能力の種類も強さも異なるため、力の強いものによる暴徒化などが後を絶たず、世界中あらゆる国家が慌てて対応するための政策を打ち出した。
政策のうち、どこの国家も導入したのは学校分性分能全寮化。
この制度を以って、共学は廃止され、学校は全て全寮制の男子校もしくは女子校のみとなった。
入学する学校は学力ではなく、超能力の総合評価で決まり、定期的に生徒の入れ替えが行われる。
日本では、3歳から18歳までが義務教育となり、必ず全寮制の男子校もしくは女子校に入り、3年に1度超能力評価による転校が行われる。
ゆえに、多感な時期の青少年はみな女性に憧れを抱いている。
オレが女子高生という響きに揺らいでしまったのも致し方なし。
とはいえ、女子と全く交流がないということではなく、交流会みたいなものは定期的に開かれる。
しかし、それも先生監視の下。
青春時代に自由に恋愛もできない。全世界の人々が例外なくだ。無茶苦茶すぎる。
では、何故こんな無茶苦茶な制度がどこの国でも整備されたかといえば、この超能力には、ある特徴が存在することが判明したからだ。
「着いたぞ」
学校の駐車場にゆっくりと車を停車させる。
車から降りると、ちょうど新入生の登校時間帯なのか、オレと同じように新しい制服に身を包んだ初々しい女の子達が横を通り過ぎていった。
当たり前だけど、男と比べて断然可愛い。
やばい、なんか、心拍数上がってきたんだけど。
思わずうっとりとその姿を視線で追っていると、茶色のスクールバッグに邪魔をされる。
「なんだよ」
「バレないとは思うが、目立つことはするなよ」
「分かってるよ。何だかんだ、任務失敗したことないだろ、オレ」
スクールバッグを受け取り、得意げに笑ったかと思えば、そのまま普段通りの足取りで昇降口へと向かった。
「やっぱり似合うな。違和感がない」
「女子に変化してんだから当たり前だろ、さっさと出発しろ」
先程まで男らしく肩に付かない長さだったダークブラウンの髪は腰までふわりと伸びている。
睫毛は長く、量も増え、唇は淡いピンクに色付いている。
肩幅が狭くなり、全体的に線は細くなったが、体は丸みを帯び、柔らかさがある。
鎖骨の下の男のロマンは、オレ好みに、大きすぎず小さすぎず、手に収まるくらいの大きさできちんと主張している。
どこからどう見ても女子。
自分でも満足の出来栄えだ。
「悠の変化能力は年々高くなってる気がするな。次の測定が楽しみだ」
ーー能力。
20XX年、今からおよそ100年前、前触れもなく起きた人類の突然変異。
人類は一人残らず、超能力を手に入れた。
当時はもう大混乱も大混乱だったらしい。
人によって超能力の種類も強さも異なるため、力の強いものによる暴徒化などが後を絶たず、世界中あらゆる国家が慌てて対応するための政策を打ち出した。
政策のうち、どこの国家も導入したのは学校分性分能全寮化。
この制度を以って、共学は廃止され、学校は全て全寮制の男子校もしくは女子校のみとなった。
入学する学校は学力ではなく、超能力の総合評価で決まり、定期的に生徒の入れ替えが行われる。
日本では、3歳から18歳までが義務教育となり、必ず全寮制の男子校もしくは女子校に入り、3年に1度超能力評価による転校が行われる。
ゆえに、多感な時期の青少年はみな女性に憧れを抱いている。
オレが女子高生という響きに揺らいでしまったのも致し方なし。
とはいえ、女子と全く交流がないということではなく、交流会みたいなものは定期的に開かれる。
しかし、それも先生監視の下。
青春時代に自由に恋愛もできない。全世界の人々が例外なくだ。無茶苦茶すぎる。
では、何故こんな無茶苦茶な制度がどこの国でも整備されたかといえば、この超能力には、ある特徴が存在することが判明したからだ。
「着いたぞ」
学校の駐車場にゆっくりと車を停車させる。
車から降りると、ちょうど新入生の登校時間帯なのか、オレと同じように新しい制服に身を包んだ初々しい女の子達が横を通り過ぎていった。
当たり前だけど、男と比べて断然可愛い。
やばい、なんか、心拍数上がってきたんだけど。
思わずうっとりとその姿を視線で追っていると、茶色のスクールバッグに邪魔をされる。
「なんだよ」
「バレないとは思うが、目立つことはするなよ」
「分かってるよ。何だかんだ、任務失敗したことないだろ、オレ」
スクールバッグを受け取り、得意げに笑ったかと思えば、そのまま普段通りの足取りで昇降口へと向かった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる