好きです、朝比奈先パイ。~元引きこもりの美少年、陽キャヤンキー先輩に溺愛される~

すずなりたま

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 そしてオリエンテーション終了後、オレの机の周りは嘘みたいに取り囲まれていた。
 こんな人気者のような光景を、いったい誰が想像しただろうか……。

「なあなあ斉賀君、S市から来たってことは寮生!?」
「う、うん」

 この学校は全寮制ではないので、実家が近い生徒は普通に家から通っている。
 中には実家が近いのに寮に住む変わり者もいるらしい。

「いーなあ寮生活! 俺も入りたかった!」
「そ、そうなんだ」
「ところでなんで髪色ピンク? バンドか何かやってるの?」
「いや、えっと、美容室でイメチェンの依頼をしたらこの髪色になってて……」

 経緯を説明するのは少し恥ずかしかった。たとえ嘘でも、ピンクが好きだからとかなんとか言った方が聞こえが良かったかもしれない……。
 っと、聞かれた質問に答えるだけじゃなくてオレからも質問しなきゃ!
 受け身なだけはダメだってコミュニケーションの本で読んだ気がする。

「あ……あのさ、誰かアサヒナって人知らない? 二年か三年だと思うんだけど……」

 その名前を出した途端、今までにこやかだった数人のクラスメイトの顔が急に引きつった――ように見えた。

「おーい誰か知ってるか? アサヒナ先輩だって」
「あ、あの……アサヒナって、朝比奈柊馬のこと、か……?」

 顔をひきつらせたクラスメイトの一人が、そっと手を挙げてオレの質問に恐る恐る反応してくれた。
 頼むから間違いであってくれというような切実な顔をしているのは何故だろうか……。

「下の名前は知らないけど、多分その人だと思う。知ってたらクラスとか教えて欲しいんだけど……。昨日お世話になったから、お礼が言いたくって」
「せっ、せせ世話になったぁ!? 朝比奈柊馬に!?」 
「……うん、?」

 なんだろう、この過剰な反応は。
 確かに昨日アサヒナセンパイが現れたときは、眠りから覚めた魔物か何かかな? と思ったけど、去り際は意外と優しそうに見えた……のに。

「ご、ごめん! 俺も別に朝比奈柊馬に詳しいとかじゃないから、特に教えられることは何もない!!」
「あ、そうなんだ? ざんね……いや、ありがとう」

 何も知らないわけなさそうなんだけど、これ以上追及したら彼が泣きだしてしまいそうだったから詳しくは聞けなかった。

「じゃ、じゃあ俺はこれで!!」

 彼はまるで逃げるように、そそくさと教室から去って行った。

「なんだ? あいつ……変なの。まー気にすんなよ、斉賀君!」
「う、うん……」

    彼のことは別に気にならないけど、アサヒナセンパイのことは気になる……。
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