好きです、朝比奈先パイ。~元引きこもりの美少年、陽キャヤンキー先輩に溺愛される~

すずなりたま

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 昼休み。オレはすずから待ちに待った朝比奈先輩の噂を聞いた。

「……えーっと、それ絶対半分以上嘘だよね?」
「ぼくも最初はそう思ったよ! それがさぁ、嘘だってはっきり否定できる根拠もないんだよね」
「生徒会の人ってだけじゃ、悪い噂を否定できないかな……」

 噂の内容は予想以上にひどいものだった。ひどすぎて逆にまったく真実味がない。小学生の頃から飲酒喫煙? キスされたとき、煙草の匂いなんか全然しなかったけどなぁ……。
 思い出したら、顔が熱くなってきた。

「のんちゃん? なんだか顔が赤いけど大丈夫?」
「だ、大丈夫大丈夫……」

 それで言うと、ヤリチ……のくだりは本当かもしれない。
 オレも部屋に連れ込まれて即脱がされそうになったし。あれはかなり手慣れてたよな……。
 何故だか少し面白くないというか、複雑な気分になった。

「それでどうするの? のんちゃん生徒会室に行くの?」
「行こうと思ってるよ」
「うーん……そんなに朝比奈先輩の舎弟になりたい? パシられたりしたら大変そうだよぉ……学年だって違うし」

 すずが心配する気持ちも分かる。
 噂の内容はほとんどが嘘かもしれないけど、そもそもそんな噂があること自体が問題なんだ。でも。

「だって、あんな強いひと今まで会ったことない……別に舎弟じゃなくてもいいけど、そばにいさせてもらいたい。その理由が欲しいんだ」

 自分でもよくわからないけど、一度憧れた気持ちはなかなか消せないものだ。何せ死ぬ覚悟までしたのだから。

「なんかのんちゃん、朝比奈先輩に恋してるみたいだねぇ」
「え!? こ、恋!?」
「まーそれは冗談ってことで。 でものんちゃん、もしだよ? 噂が本当で朝比奈先輩がマジモンのドヤンキーだったらさ、のんちゃんも不良街道まっしぐらだよ。そんなことになったらせっかくの奨学金が貰えなくなっちゃうんじゃないの? 親は学費払ってくれないんでしょう?」
「うっ……」

 そうなったら自分でバイトして学費を稼ぐしか……って、高校生の時給で払えるような金額じゃないし!
 そうなったら高校中退でニートまっしぐらか……未来が暗い。
 もう、こうなったら。

「噂なんて……全部信じない!」
「へ?」

 オレは立ち上がってそう言った。
 すずと、半分は自分自身に言い聞かすように。

「一部本当かもしれないけど……全部は信じない! だから大丈夫! 大体そんな問題ありまくりな人が生徒会役員に選ばれるわけないと思う! それがなによりの証拠だよ!!」
「おお……説得力ありまくりぃ。でもなんらかのカラクリはありそうだけどね」
「それはそうだけど……本気で悪い人じゃないと思う。オレは、オレを助けてくれた朝比奈先輩を信じたい」

 だって朝比奈先輩はちゃんと素直に『ごめんなさい』が言えるひとだ。
 着いてきたオレが絶対悪いとか、そういう無理矢理な責任転嫁はしなかった。言われたけど。

「のんちゃんがそこまで言うならぼくはのんちゃんを信じるよ。でも危ないことされたり、させられそうになったら絶対に逃げるって約束して。もし逃げられなくてもちゃんとスマホで会話を録音して後から言い逃れできないよう確実に証拠なりなんなりを残すんだよ」
「う、うん、わかった……?」

 すず、ちょっと朝比奈先輩とは別の意味でこわい。
 いや頼りになるというべきか。
 その黒曜石みたいな大きな瞳は、真面目にオレを心配してくれているのが分かる。
 会ったばかりなのに、こんなに自分のことを心配してくれる友達ができて嬉しい。
 オレは変わりたい。
 過去の自分を捨てて、新しい自分になりたい。
 朝比奈先輩のそばにいたら、それが叶うんじゃないかって勝手に思ってる。
 あの人みたいに、恐いものなんて何もないような強い人間になりたい。
 こんな風に思われて、迷惑かもしれないけど……。
 放課後、オレの足はまっすぐに生徒会室へと向かっていた。
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