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8、毒舌美少年・西園つばめ
昨日のオリエンテーションで先生に校内を案内してもらったとはいえ、まだ全ての教室を完璧に把握できていない。
なので廊下に張り付けてある校内マップをもう一度確認して、再度生徒会室の場所を頭に入れるとオレは教室のある三階から一階へと降りていった。
階段の途中ですれ違う先輩たちに「うわ、すげえ頭。軽音部か?」とか「「ヒュー! 派手だな~一年」などと話しかけられた。
何故オレが一年だということが分かるのだろう……身長のせい?
職員室を通り過ぎて角を曲がると、一気に人気のなくなった廊下が現れた。この先に理事長室、校長室、そして生徒会室があるはずだ。
ふと、オレの数メートル先を一人の生徒が歩いているのが見えた。
その人は一見何の変哲もない生徒だったが、普通の人とは違う点が一つだけあった。
――杖を突きながら歩いている。
高齢者のそういう姿は街を歩けばある程度目にするけれど、自分と歳がそう変わらない人が杖を突いて歩く姿はあまり見かけないため、なんとも言えない気持ちになった。
オレの気配に気付いたのか、その人はいきなり首だけ振りかえった。
「!」
「きみ、1年生? こんなところでどうしたの、迷子?」
「いえっ、あの、生徒会室に用事があって……!」
その人はオレの返事に柔和に微笑むと、せっかく進んだのにわざわざオレの方へと戻ってきてくれた。
改めて顔をよく見ると、とても綺麗な人だ。
紫がかったサラサラの黒髪に、垂れ気味の目。
泣きぼくろが印象的で、それにほのかな色気を感じて少しドキドキする。
同じ男なのに、何故かきれいなおねえさんに微笑まれたような心持ちだった。
「生徒会室に何の用事? 先生からの頼まれごと? 僕でよかったら会長に伝えておくけど」
どうやら彼は、生徒会関係者らしい。
「特別用事っていうのは無いんですけど……朝比奈先輩に放課後生徒会室に来いって言われてて……あっ別に強制的じゃなくて、なんというか……」
「……柊馬がそう言ったの?」
「は、はい」
朝比奈先輩のことを呼び捨てで呼んだ……?
昨日今日とその名前を出すだけで他の生徒は怯えていたのに、この人は全然そんな様子は見せず、むしろ親しい友達を呼ぶような感じで。
「君のクラスと名前を教えてくれる?」
「1年C組の、斉賀希です」
「僕は2Aの西園燕。生徒会の書記をやってます、よろしくね、斉賀君」
「こっ、こちらこそよろしくお願いします……!」
すっと手を差し出されたので、思わず反射的に握り返した。
こんなにスマートに握手を求められたのは初めてで、思わず手に汗をかいていないかどうか心配になった。
「まだ電気がついてないから誰も来てないと思うけどどうぞ入って。お茶くらい出すよ」
「いいえ、おかまいなく!」
「その髪の色、すごく可愛いね」
ニコッと微笑まれ褒められて、今度こそ思い切り心臓が跳ねた。
「あ……ありがとうございます」
一気に体温が上昇したのが自分でも分かった。
この髪の色を可愛いと言われたのは初めてで、すごく嬉しい。(実はオレ自身、結構お気に入りだったりする)
オレと歳は一つしか変わらないのに、なんだかすごく年上の人と話しているような気がした。
西園つばめ先輩、か。なんだか不思議な人だなぁ……。
「西園先輩、その、足……はどうされたんですか?」
「ん? ああ、気になるよね。3年前に交通事故に遭って、その後遺症なんだ。神経がちょっとね。杖無しでも歩けないことはないんだけど……」
「そ、そうなんですか……立ち入ったことを聞いてすみません」
「ううん。勝手な想像されるよりははっきり聞いてくれた方が嬉しいよ」
またにこりと綺麗なおねえさんばりの笑顔を向けられて、オレは再び顔が熱くなった。
そして、生徒会室へに着いた。
「あれ? 鍵が開いてるな」
ドアノブに手をかけた西園先輩が、不思議そうな顔で言った。
「どなたか先に来てたんでしょうか」
「うーん……それか鍵の閉め忘れかな。まったく不用心な……あ?」
西園先輩は軽く憤りながらドアを開けたが、中に目を向けた途端その場に立ち竦んだ。
不思議に思ったオレも、西園先輩の後ろから生徒会室の中を覗いてみた。
すると、ソファーから盛大にはみ出している長い足が見えた。心なしか軽いいびきのようなものも。
なので廊下に張り付けてある校内マップをもう一度確認して、再度生徒会室の場所を頭に入れるとオレは教室のある三階から一階へと降りていった。
階段の途中ですれ違う先輩たちに「うわ、すげえ頭。軽音部か?」とか「「ヒュー! 派手だな~一年」などと話しかけられた。
何故オレが一年だということが分かるのだろう……身長のせい?
職員室を通り過ぎて角を曲がると、一気に人気のなくなった廊下が現れた。この先に理事長室、校長室、そして生徒会室があるはずだ。
ふと、オレの数メートル先を一人の生徒が歩いているのが見えた。
その人は一見何の変哲もない生徒だったが、普通の人とは違う点が一つだけあった。
――杖を突きながら歩いている。
高齢者のそういう姿は街を歩けばある程度目にするけれど、自分と歳がそう変わらない人が杖を突いて歩く姿はあまり見かけないため、なんとも言えない気持ちになった。
オレの気配に気付いたのか、その人はいきなり首だけ振りかえった。
「!」
「きみ、1年生? こんなところでどうしたの、迷子?」
「いえっ、あの、生徒会室に用事があって……!」
その人はオレの返事に柔和に微笑むと、せっかく進んだのにわざわざオレの方へと戻ってきてくれた。
改めて顔をよく見ると、とても綺麗な人だ。
紫がかったサラサラの黒髪に、垂れ気味の目。
泣きぼくろが印象的で、それにほのかな色気を感じて少しドキドキする。
同じ男なのに、何故かきれいなおねえさんに微笑まれたような心持ちだった。
「生徒会室に何の用事? 先生からの頼まれごと? 僕でよかったら会長に伝えておくけど」
どうやら彼は、生徒会関係者らしい。
「特別用事っていうのは無いんですけど……朝比奈先輩に放課後生徒会室に来いって言われてて……あっ別に強制的じゃなくて、なんというか……」
「……柊馬がそう言ったの?」
「は、はい」
朝比奈先輩のことを呼び捨てで呼んだ……?
昨日今日とその名前を出すだけで他の生徒は怯えていたのに、この人は全然そんな様子は見せず、むしろ親しい友達を呼ぶような感じで。
「君のクラスと名前を教えてくれる?」
「1年C組の、斉賀希です」
「僕は2Aの西園燕。生徒会の書記をやってます、よろしくね、斉賀君」
「こっ、こちらこそよろしくお願いします……!」
すっと手を差し出されたので、思わず反射的に握り返した。
こんなにスマートに握手を求められたのは初めてで、思わず手に汗をかいていないかどうか心配になった。
「まだ電気がついてないから誰も来てないと思うけどどうぞ入って。お茶くらい出すよ」
「いいえ、おかまいなく!」
「その髪の色、すごく可愛いね」
ニコッと微笑まれ褒められて、今度こそ思い切り心臓が跳ねた。
「あ……ありがとうございます」
一気に体温が上昇したのが自分でも分かった。
この髪の色を可愛いと言われたのは初めてで、すごく嬉しい。(実はオレ自身、結構お気に入りだったりする)
オレと歳は一つしか変わらないのに、なんだかすごく年上の人と話しているような気がした。
西園つばめ先輩、か。なんだか不思議な人だなぁ……。
「西園先輩、その、足……はどうされたんですか?」
「ん? ああ、気になるよね。3年前に交通事故に遭って、その後遺症なんだ。神経がちょっとね。杖無しでも歩けないことはないんだけど……」
「そ、そうなんですか……立ち入ったことを聞いてすみません」
「ううん。勝手な想像されるよりははっきり聞いてくれた方が嬉しいよ」
またにこりと綺麗なおねえさんばりの笑顔を向けられて、オレは再び顔が熱くなった。
そして、生徒会室へに着いた。
「あれ? 鍵が開いてるな」
ドアノブに手をかけた西園先輩が、不思議そうな顔で言った。
「どなたか先に来てたんでしょうか」
「うーん……それか鍵の閉め忘れかな。まったく不用心な……あ?」
西園先輩は軽く憤りながらドアを開けたが、中に目を向けた途端その場に立ち竦んだ。
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