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一応朝比奈先輩の名誉のため、オレはここに来た経緯を簡単に西園先輩に説明した。
入学式の前日に、不良っぽい三人組に絡まれたところから。
最初はウンウンと親身になって聞いてくれていた西園先輩だったが、話し終わる頃にはなんだか物凄いうんざりしたような顔をしていた。そして。
「斉賀君……悪いことは言わないから考えなおしなさい。舎弟なんてなるもんじゃないよ、よりによってこの男の」
ポン、と両肩に手を置かれて説得された。
笑顔なのになんかめちゃくちゃ恐いんですけど。
圧がすごいよ、美人の圧が。
「おーい早ェ! 否定すんのがクソ早ェ!」
「黙れクソが。この子をお前の舎弟にするだなんて、そんな馬鹿げたことを聞いて黙っていられるか!」
「はあ? 自分から志願してンだよノンタンは!」
「同じことだ」
「同じかァ!? ……まあ、結果だけ見りゃそうだけどォ」
目の前で繰り広げられる先輩たちのコミカルなやりとりを聞いてると、朝比奈先輩はとても噂で聞いたようなド不良にはやっぱり思えなかった。
そうだ、まず噂の真相を確かめなければ。
「あの、朝比奈先輩に関する噂ってアレ本当なんですか…?」
「100パーセント本当だよ、斉賀君」
「ちげぇよ! せいぜい50パーセントくらいだろうが!」
西園先輩は笑顔で肯定して、朝比奈先輩は焦って否定した。
半分は本当なのか……やっぱヤリチ……のくだりかな。
「つっても俺、今どんな噂が流れてんのか詳しくは知らねェんだけどな。とりあえずビビらしときゃいいかなって思ってひとつも否定してねェだけで。なあノンタン、最近の俺の噂ってどんなだった?」
い、言ってもいいんだろうか……。
ちらっと西園先輩を見たら、『言え』と言わんばかりに頷かれたので話すしかなさそうだ。
「えっと……ヤクザの息子で、鬼のように強くて、や、ヤリチン……で、小学生の頃から飲酒喫煙万引き殺人の常習犯だとか」
こんなひどい噂を一方的に流されても否定しないのか……でも、それってある意味かなり心が広くないか?
「ふはっ、内容が去年よりパワーアップしてやがんなーウケる。さすがの俺様もまだ一線は越えてねェわ」
「笑いごとじゃないだろうが!」
本当に笑いごとじゃないですよ、朝比奈先輩。
内容は嘘くさすぎて笑えるかもしれないけど、それをみんなが本気にしているっていうのが問題だ。
「でも、朝比奈先輩ってホントに生徒会役員だったんですね。実はここに来るまで半信半疑だったんですけど……」
「生徒会役員っていうか、執行部だけどな」
「え?」
生徒会……執行部? とはなんだろう。
「まあ平たく言やあ風紀委員みたいなモンだな。うちはわりかし自由な校風だから通常の風紀委員ってのは存在しねェんだけど、その代わりに存在するのが執行部」
「はあ……それはいったいどんな活動をするんですか?」
「ん? ノンタンはもう体験しただろ?」
体……験した? オレ、何か朝比奈先輩に注意されることしたっけな……?
オレがなかなか答えに辿りつかないのを見かねて、西園先輩が説明してくれた。
「校内の不届き者を罰すンの。それが生徒会執行部の役目だよ」
「あッ……!」
そういえばオレをあの三人組から助けてくれたとき、朝比奈先輩は『制裁』と言っていた。
あれは、生徒会執行部としての活動の一環だったのか……!!
「そーいうコト。あのときも、寮生のどいつかしんねぇけど実は通報してくれたヤツがいたんだぜ。やり方はちょーっと過激だけどな。でも理事長は容認っていうかむしろ推奨してるし、俺も楽しいからウィンウィンってやつ」
「何がウィンウィンだ。暴力で全てが解決すると思うなよ」
「それおまえが言う? 手始めに俺への暴力を控えてくれよ、あと暴言も。俺だって人並みには傷つくんですゥ」
「キモい、死ね」
西園先輩、オレと朝比奈先輩への態度の温度差が違いすぎて怖い……。
とにかく、この学校のシステムを少しだけ理解した。
なんだか他の学校とは違うルールがまだまだ沢山ありそうだ。
入学式の前日に、不良っぽい三人組に絡まれたところから。
最初はウンウンと親身になって聞いてくれていた西園先輩だったが、話し終わる頃にはなんだか物凄いうんざりしたような顔をしていた。そして。
「斉賀君……悪いことは言わないから考えなおしなさい。舎弟なんてなるもんじゃないよ、よりによってこの男の」
ポン、と両肩に手を置かれて説得された。
笑顔なのになんかめちゃくちゃ恐いんですけど。
圧がすごいよ、美人の圧が。
「おーい早ェ! 否定すんのがクソ早ェ!」
「黙れクソが。この子をお前の舎弟にするだなんて、そんな馬鹿げたことを聞いて黙っていられるか!」
「はあ? 自分から志願してンだよノンタンは!」
「同じことだ」
「同じかァ!? ……まあ、結果だけ見りゃそうだけどォ」
目の前で繰り広げられる先輩たちのコミカルなやりとりを聞いてると、朝比奈先輩はとても噂で聞いたようなド不良にはやっぱり思えなかった。
そうだ、まず噂の真相を確かめなければ。
「あの、朝比奈先輩に関する噂ってアレ本当なんですか…?」
「100パーセント本当だよ、斉賀君」
「ちげぇよ! せいぜい50パーセントくらいだろうが!」
西園先輩は笑顔で肯定して、朝比奈先輩は焦って否定した。
半分は本当なのか……やっぱヤリチ……のくだりかな。
「つっても俺、今どんな噂が流れてんのか詳しくは知らねェんだけどな。とりあえずビビらしときゃいいかなって思ってひとつも否定してねェだけで。なあノンタン、最近の俺の噂ってどんなだった?」
い、言ってもいいんだろうか……。
ちらっと西園先輩を見たら、『言え』と言わんばかりに頷かれたので話すしかなさそうだ。
「えっと……ヤクザの息子で、鬼のように強くて、や、ヤリチン……で、小学生の頃から飲酒喫煙万引き殺人の常習犯だとか」
こんなひどい噂を一方的に流されても否定しないのか……でも、それってある意味かなり心が広くないか?
「ふはっ、内容が去年よりパワーアップしてやがんなーウケる。さすがの俺様もまだ一線は越えてねェわ」
「笑いごとじゃないだろうが!」
本当に笑いごとじゃないですよ、朝比奈先輩。
内容は嘘くさすぎて笑えるかもしれないけど、それをみんなが本気にしているっていうのが問題だ。
「でも、朝比奈先輩ってホントに生徒会役員だったんですね。実はここに来るまで半信半疑だったんですけど……」
「生徒会役員っていうか、執行部だけどな」
「え?」
生徒会……執行部? とはなんだろう。
「まあ平たく言やあ風紀委員みたいなモンだな。うちはわりかし自由な校風だから通常の風紀委員ってのは存在しねェんだけど、その代わりに存在するのが執行部」
「はあ……それはいったいどんな活動をするんですか?」
「ん? ノンタンはもう体験しただろ?」
体……験した? オレ、何か朝比奈先輩に注意されることしたっけな……?
オレがなかなか答えに辿りつかないのを見かねて、西園先輩が説明してくれた。
「校内の不届き者を罰すンの。それが生徒会執行部の役目だよ」
「あッ……!」
そういえばオレをあの三人組から助けてくれたとき、朝比奈先輩は『制裁』と言っていた。
あれは、生徒会執行部としての活動の一環だったのか……!!
「そーいうコト。あのときも、寮生のどいつかしんねぇけど実は通報してくれたヤツがいたんだぜ。やり方はちょーっと過激だけどな。でも理事長は容認っていうかむしろ推奨してるし、俺も楽しいからウィンウィンってやつ」
「何がウィンウィンだ。暴力で全てが解決すると思うなよ」
「それおまえが言う? 手始めに俺への暴力を控えてくれよ、あと暴言も。俺だって人並みには傷つくんですゥ」
「キモい、死ね」
西園先輩、オレと朝比奈先輩への態度の温度差が違いすぎて怖い……。
とにかく、この学校のシステムを少しだけ理解した。
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