好きです、朝比奈先パイ。~元引きこもりの美少年、陽キャヤンキー先輩に溺愛される~

すずなりたま

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11、暗躍といえば格好いい

 放課後のんちゃんを生徒会室に送り出したぼく――山田清白は、とりあえず暇なので部活動見学に行くことにした。
 この学校、あまり部活動には力を入れていないと思っていたけど、一応全員何らかの部活に所属しないといけないらしい。
 中学では卓球部に入っていたぼくだけど、別に強くもないし弱くもない、卓球が好きなわけでもないという中途半端ぶりだった。
 そんなわけで高校でも卓球を続ける理由はないので、何か楽しそうな文化系の部活に入ろうと思っている。 

 ちなみにこの学校で一番有名なのは声楽部らしい。
 校舎の垂れ幕で見たけど、西園雲雀にしぞのひばりという人が声楽部のエースで、全国大会とかバンバン出ているとか。
 しかし音楽系文化部の中身はバリバリの体育会系だと知っているので、ぼく的にはナシだ。(そもそもそんなに歌が得意ではない)
 ぼくはこれと言って趣味がないので、こういうときひどく困ってしまう。
 お笑いを見るのは好きだけど、将来芸人になりたいとか人前に出て目立ちたいとかそういう願望は持ち合わせていないし。(よってお笑い研究会はナシ)
 料理が得意っちゃ得意だけど、別に趣味ではなく生活のために仕方なく覚えただけなのでわざわざ部活でやりたくはない。(なのでお料理部もナシ)
 
 とりあえず友達が入ってる部に入って気楽に楽しくダラダラと過ごしたい、というのが目下の目的である。
 だからのんちゃんに決めてもらうのが一番いい。
 ぼくは金魚の糞になろう。
 いちおう参考にはなるかなーと思い、差し出された部活紹介のチラシは全部受け取った。
 校舎から正門に向かうまでの間、下校中の新入生に対して各部活の情熱的な勧誘が行われている。
 目立っているのはやはり運動部だ。
 捕まったら厄介そうなので、もう少し人が少なくなってから帰ることにした。
 そう思って教室へ戻る途中、階段の踊り場でいかにも悪そうな先輩風な人たちとすれ違った。

 なんか全員めちゃくちゃ満身創痍なんだけど。
 痛そう~。こんな状態でも学校に来るなんてエライな。ぼくなら絶対に休む!
 ヤンキーは友達に会うために学校へ来るって本当だったんだなぁ。
 その時。

「あーくっそ! イッテェ~……!! 朝比奈のやつ思いっきり蹴りやがってマジで許せねぇ」

 とても聞き覚えのある名前に反応して、ぼくは彼らには見えない死角へサッと移動して耳をすませた。

「ホントにな。ったく、手加減ってもんを知らねぇのかよ、あの野郎」
「執行部じゃなきゃぶっ潰してやんのによぉ!」

 朝比奈先輩にやられたのか。
 あんな怖い噂があってもケンカに挑む奴ってのはやっぱり一定数いるんだなぁ。
 バカなのかな? そうに違いない。

「執行部じゃなくても無理だろ。どうやってアイツ潰すんだよ?」
「大勢で奇襲かけたらなんとかなるんじゃねぇ?」
「ならねぇだろ、相手は朝比奈だぞ……大勢対一人で勝ったって噂聞いたことねえのか」

 うへえ、どんだけ強いんですか朝比奈先輩。
 実際にやられた人の口から聞くとリアルだなぁ。

「クソッ……じゃあやられっぱなしかよ!」
「殺されなかっただけマシだと思うしかねぇな。俺らだってアイツに立ち向かう気はそもそもなかったんだし」
「なんか弱みとかねーのかよ、アイツには!」

 ぼくはなんだか不安になってきた。
 やはり朝比奈先輩は相当危険人物のようだ。
 のんちゃんはまたしても会いに行ったけど、今頃大丈夫だろうか。
 生徒会室だから他の人達もいるかもしれないって勝手に思って安心してたけど、もしいなかったら……。
 いやいや! のんちゃんは朝比奈先輩を信じるって言ったんだ。
 だったらぼくはのんちゃんを信じなければ。

「これも全部あのピンク頭の一年のせいだ! アイツさえいなきゃ……」
「おう、アイツが俺たちの前に現れなければ俺達は朝比奈にボコられずにすんだんだよ。だってあんな可愛いのがいきなり目の前に現れたら男だろうと襲わずにいられるかっての、卑怯だよなぁ!」
「おう! それだそれ!」

 んん……!?
 ピンク頭の可愛い一年って、ぼくが知る限りではのんちゃんなんだけど。
 ええ、もしかしてこの人たちって寮でのんちゃん襲って朝比奈先輩にやられたっていう人たち?
 そんで逆恨みしてるとか……ダッサァァ!!
 朝比奈先輩に勝てないからって、自分らのことを棚に上げて被害者――すなわちのんちゃんのせいにするとか、こんなことある!?
 マジでダサすぎて草っていうか大草原なんだけど!! 

「今度会ったら絶対にヤってやらぁ! この恨みも込めてな!」
「独り占めすんなよ。ヤるなら俺も呼べ!」
「俺も! あんな可愛いの女でもそうそういねぇし、想像だけで抜けるわ~」

 ダサいうえにキモいよぉ!
 助けてド〇えもぉん……って、すず太くんになってる場合じゃないな。
 早くこのことをのんちゃんに伝えて、何か対策を講じないと!
 ぼくは別の階段を使って、裏門から急いで寮に帰った。

 のんちゃんはまだ帰宅していなかった。
 心配になってそこら辺を探しに行こうと思った、ら。

「あれ、すずも今帰ったの? ただいまおかえり。今日の夕飯はカレーでいいかな……遅くなっちゃってごめん」

 ちょうどのタイミングで帰ってきた!

「のんちゃんっ!!」
「ど、どーしたの?」
「無事でよかったぁーっ!!」
「ちょ、すず? なにごと!?」

 のんちゃんの無事な姿を確認できたせいか、感極まってつい抱きしめてしまった。(これはセクハラじゃありません、念のため)
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