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14、吉永先生の注意喚起
教室へ向かう途中で、担任の吉永先生に声をかけられた。
「斉賀、山田、おはよう」
「「おはようございまーす!」」
すずと声を揃えて挨拶した。
なんだか小学生みたいだな、と多分その場にいた三人同じことを思ったに違いない。
「斉賀、今から少しだけいいか? 話がある」
「な、なんですか? 分かりました」
朝から呼び出しなんて、オレは何かしたのだろうか。
高校に入ってからはまだ一度も不登校していないのに。(と言っても、入学したのは一昨日だ)
「山田は先に教室に行ってなさい」
「はーい。のんちゃん、リュック持ってったげるよ」
「ありがとう」
すずにリュックを預けると、オレは吉永先生について職員室へ行った。
吉永先生は自分のデスクに座って一息つくと、横に立っているオレを見上げて言った。
「斉賀、2年の朝比奈柊馬に生徒会執行部にスカウトされたというのは本当か? 今朝理事長から職員全員にメールで通達があったんだが」
「スカウト? ああ……はい」
スカウトされて、既にもう入ったことになったと思っていた。
「やっぱりそうか……その、悪いことは言わないから辞退しなさい」
「え!?」
いきなり何だって?
驚きを隠せないオレを無視して、吉永先生は続けた。
「朝比奈が怖くて断れなかっただけなんだろう? 先生が朝比奈の担任か三年の二小山に断っておくから安心しなさい」
「ちょっと待ってください! オレ、別に朝比奈先輩に強制されたわけじゃありません!」
なんで辞めろなんて先生から言われないといけないんだ?
しかも朝比奈先輩に脅されたって決めつけてるし。
ニコチャン先輩の本名がフタコヤマさんというのは分かった。
「朝比奈には詳しく説明してもらってないんだろう?」
「あ、はい。でも今日の昼休みに集まりがあるからそこで詳しく教えてもらうつもりでいました、三年の先輩に挨拶もするし」
「詳しく聞いたあとじゃ断りづらいだろう、生徒会役員にも紹介されるだろうし。今から先生が生徒会執行部について簡単に教えてやる。朝比奈がちゃんと真実を教えるかどうかわかったもんじゃないしな」
すごい朝比奈先輩。先生に信用されてなさすぎる。
ていうかすでに生徒会の人達全員に会っちゃってるんですが……今は言わないでおこう。
「朝比奈は去年俺が副担をやったクラスの生徒なんだ。それはもう問題児でな、担任じゃなくて本当に良かったと思う」
「はあ」
「朝比奈の悪い噂は聞いてるんだろう? まさかそれも知らないわけじゃないよな?」
「一応は」
その噂が真実じゃないってことまで知っている。
吉永先生、オレが朝比奈先輩の舎弟って聞いたら卒倒しそうだな。
「まぁいい。どういう経緯で斉賀が朝比奈に目を付けられたのか分からんが、きっと髪の色で仲間だと思われたんだろうな。派手な頭にするからだぞ」
「先生、執行部の説明をお願いします……」
何故か突然オレへの説教が始まりそうだったので、話の本筋を戻した。
吉永先生の話はこうだった。
藤堂学院高校は歴史ある名門校だがそれは表向きで、内情は結構色々と問題を抱えているらしい。
なんとなく気付いてたよそれは。
生徒の大半はさんざん親に甘やかされて育ったお坊ちゃんのため、特に親元を離れた寮生は色々な問題を起こしてきたらしい。
けれど、彼らが起こした数々の愚行は、ほぼすべて親の権力で握りつぶされて表向きにはならなかった。
それで味をしめた彼らの悪行はだんだんとエスカレートし、教師が注意するだけではきかなくなっていった。
むしろ教師が注意すると、体罰だなんだと子供が親に泣きついてクビに追いやったりしたそうだ。
吉永先生が赴任してきたのがちょうど5年前で、その頃が一番無法地帯だったらしい。
あまりにも悪名が轟くと、名門だろうとマトモな生徒は入学してこなくなる。
それでは学校経営は立ち行かない。
そこで困った理事長が、一計の策を講じた。
それが、生徒会執行部。
それまでもお飾りの風紀委員は存在していたが、わざわざ自分からヤンキーに注意したりはしなかった。(当たり前だ、怖いし)
それで理事長が風紀委員会を廃止し、ちゃんとヤンキーに注意したりと徹底抗戦できる生徒を数名選び、学校の秩序を守るよう命令したそうだ。
そして誕生したのが生徒会執行部。
執行係を命じられたのは、正義感や腕っ節の強い生徒だった。
生徒の問題は生徒同士で解決する。
それが理事長の策。
どんな問題を起こそうが、生徒同士のいざこざとして学校内で解決すればわざわざ保護者は出てこない。教師の負担も減るし、保護者も余計な手回し等をしなくていいから助かる。
執行部は理事長権限で『絶対正義』の名のもとに、学校の秩序を守るためならどんな所業も容認されている……らしい。
「斉賀、山田、おはよう」
「「おはようございまーす!」」
すずと声を揃えて挨拶した。
なんだか小学生みたいだな、と多分その場にいた三人同じことを思ったに違いない。
「斉賀、今から少しだけいいか? 話がある」
「な、なんですか? 分かりました」
朝から呼び出しなんて、オレは何かしたのだろうか。
高校に入ってからはまだ一度も不登校していないのに。(と言っても、入学したのは一昨日だ)
「山田は先に教室に行ってなさい」
「はーい。のんちゃん、リュック持ってったげるよ」
「ありがとう」
すずにリュックを預けると、オレは吉永先生について職員室へ行った。
吉永先生は自分のデスクに座って一息つくと、横に立っているオレを見上げて言った。
「斉賀、2年の朝比奈柊馬に生徒会執行部にスカウトされたというのは本当か? 今朝理事長から職員全員にメールで通達があったんだが」
「スカウト? ああ……はい」
スカウトされて、既にもう入ったことになったと思っていた。
「やっぱりそうか……その、悪いことは言わないから辞退しなさい」
「え!?」
いきなり何だって?
驚きを隠せないオレを無視して、吉永先生は続けた。
「朝比奈が怖くて断れなかっただけなんだろう? 先生が朝比奈の担任か三年の二小山に断っておくから安心しなさい」
「ちょっと待ってください! オレ、別に朝比奈先輩に強制されたわけじゃありません!」
なんで辞めろなんて先生から言われないといけないんだ?
しかも朝比奈先輩に脅されたって決めつけてるし。
ニコチャン先輩の本名がフタコヤマさんというのは分かった。
「朝比奈には詳しく説明してもらってないんだろう?」
「あ、はい。でも今日の昼休みに集まりがあるからそこで詳しく教えてもらうつもりでいました、三年の先輩に挨拶もするし」
「詳しく聞いたあとじゃ断りづらいだろう、生徒会役員にも紹介されるだろうし。今から先生が生徒会執行部について簡単に教えてやる。朝比奈がちゃんと真実を教えるかどうかわかったもんじゃないしな」
すごい朝比奈先輩。先生に信用されてなさすぎる。
ていうかすでに生徒会の人達全員に会っちゃってるんですが……今は言わないでおこう。
「朝比奈は去年俺が副担をやったクラスの生徒なんだ。それはもう問題児でな、担任じゃなくて本当に良かったと思う」
「はあ」
「朝比奈の悪い噂は聞いてるんだろう? まさかそれも知らないわけじゃないよな?」
「一応は」
その噂が真実じゃないってことまで知っている。
吉永先生、オレが朝比奈先輩の舎弟って聞いたら卒倒しそうだな。
「まぁいい。どういう経緯で斉賀が朝比奈に目を付けられたのか分からんが、きっと髪の色で仲間だと思われたんだろうな。派手な頭にするからだぞ」
「先生、執行部の説明をお願いします……」
何故か突然オレへの説教が始まりそうだったので、話の本筋を戻した。
吉永先生の話はこうだった。
藤堂学院高校は歴史ある名門校だがそれは表向きで、内情は結構色々と問題を抱えているらしい。
なんとなく気付いてたよそれは。
生徒の大半はさんざん親に甘やかされて育ったお坊ちゃんのため、特に親元を離れた寮生は色々な問題を起こしてきたらしい。
けれど、彼らが起こした数々の愚行は、ほぼすべて親の権力で握りつぶされて表向きにはならなかった。
それで味をしめた彼らの悪行はだんだんとエスカレートし、教師が注意するだけではきかなくなっていった。
むしろ教師が注意すると、体罰だなんだと子供が親に泣きついてクビに追いやったりしたそうだ。
吉永先生が赴任してきたのがちょうど5年前で、その頃が一番無法地帯だったらしい。
あまりにも悪名が轟くと、名門だろうとマトモな生徒は入学してこなくなる。
それでは学校経営は立ち行かない。
そこで困った理事長が、一計の策を講じた。
それが、生徒会執行部。
それまでもお飾りの風紀委員は存在していたが、わざわざ自分からヤンキーに注意したりはしなかった。(当たり前だ、怖いし)
それで理事長が風紀委員会を廃止し、ちゃんとヤンキーに注意したりと徹底抗戦できる生徒を数名選び、学校の秩序を守るよう命令したそうだ。
そして誕生したのが生徒会執行部。
執行係を命じられたのは、正義感や腕っ節の強い生徒だった。
生徒の問題は生徒同士で解決する。
それが理事長の策。
どんな問題を起こそうが、生徒同士のいざこざとして学校内で解決すればわざわざ保護者は出てこない。教師の負担も減るし、保護者も余計な手回し等をしなくていいから助かる。
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