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16、親友に相談だ♪
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教室に向かっている途中で吉永先生がオレに色々話しかけてきてくれたけど、オレはかなりうわの空で適当に返事を返していた。
吉永先生、ごめんなさい。
オレの自意識過剰かもしれないけど、吉永先生はオレに構い過ぎている気がする。
元々不登校だったと知っているから当然かもしれないけど。
初めてクラスを受け持つと言っていたし、きっと色々大変なんだろう。
なるべく問題児にはならないでおこうと思ったのにさっそく心労をかけて、なんだか申し訳ない。(でも改善するつもりはない)
そんなことより今のオレの頭の中は執行部の重圧でもなく、引きこもりだった過去を嘆くでもなく、朝比奈先輩のことでいっぱいなのだった。
なんだろう、このふわふわした気持ちは。
好きだと自覚した途端、こんな風になるものなのか。
数分前のウジウジしたオレは一体どこに行ったんだ。
誰かを特別好きになったことのない恋愛弱者のオレは、いわゆる『恋愛』を漫画やドラマの中でしか見たことがなかった。
だから恋をするということがどういう気持ちなのか、オレにはずっと本当の意味で理解できなかった。
だから今までそのテの話で主人公に共感できたことなど一度もなかった。
何故少し優しくされただけで浮かれているのか。
何故意地悪なことをされても簡単に嫌いにならないのか。
何故こんなに他人のために尽くせるのか。
見返りがあるわけでもないのに。
そういう気持ちが全部、理屈じゃないんだと理解した。
遅すぎるのは分かっているけど、今までそういうふうに好きになれる相手がいなかっただけで――……
「のんちゃん! のんちゃんってば!」
「ほえ?」
気付いたら、すずのどアップが目の前にあった。
「なに? どうしたの?」
「何じゃないよ、次移動教室だよ! のんちゃんこそどうしちゃったの? 帰ってくるなり黒板見つめたままボーっとしてるし、先生が声かけても無視だし、チャイム鳴ってもそのまま動かないから心配したじゃん。先生ちょっと恐がってたよぉ」
「あ、移動教室か」
辺りを見渡せば、確かにもう半分以上は教室から出て行っている。
次の授業はたしか化学室へ移動だった。
「ほらぼくたちも早く行こ! 場所まだ覚えてないからみんなについていかなきゃ道迷っちゃうよぉ」
「ご、ごめん待って準備するから……!」
早歩きでクラスメイトを追いかけながら、すずが話しかけてきた。
「吉永先生の話かなり長かったねぇ。何の話だったの?」
「えーと……色々すずに話したいことがありすぎてまとまらない」
「ありすぎなの!? なにそれ、後であますことなく全部話してね!?」
「何から話せばいいのか……あ、そうそう。やっぱりオレ、朝比奈先輩のことがめちゃくちゃ好きみたい……」
「へ?」
とっちらかってまとまらないから、とりあえず今一番すずに知らせたいことを簡潔に伝えた。
あとから冷静に考えたら移動教室の途中で話す話題じゃないと思ったけど、今のオレにはそこまで気にする余裕がなかった。
「は? ちょっ、マジでいったい何があったの? 気になり過ぎて吐きそうなんだけど!?」
「昨日すずに朝比奈先輩のこと好きなんじゃないかって言われた時は絶対に違うって思ったんだけど……なんか違わなかったみたい。ごめんすず」
あんなに否定していたのに、本当に恥ずかしい。
でも、もしすずや西園先輩にあんなふうに真剣な顔で甘い声で囁かれても、オレはきっとこんなにもときめかないと思った。
だから、自分の気持ちに気付いた。
気付かされてしまったんだ。
「ちょ、ちょっと待ってのんちゃん。別に謝ってもらわなくていいんだけど、いつどうやって自覚したの? それって吉永先生と話してたことに関係あるの? ごめん、ぼくも聞きたいことが多すぎてまとまらなくなってる。盛大にネタバラシされたあとにお金かかったドッキリにかけられたみたいな気持ちなんだけど……」
それってどんな状態だろう。
仕掛け人側なのにオレにも分からない。
「すず、どうしよう」
「どうしようってなにが?」
「オレ、今までこんなふうに誰かを特別に好きになったことがないから、どうしたらいいのかわからなくて……どうもしなくていいのかな……」
オレはいたって真剣に聞いてるのに、すずは大きく目を見開いたあと泣き出しそうな、もしくは必死で笑いをこらえてるような顔で震えていた。
「オレっておかしいのかな。高校生にもなってこんなことで悩むって……すずも困るよね、ごめん」
「謝らないでーッ!! 別におかしくないから! 人それぞれだから!! もうっのんちゃんは何回ぼくを萌え殺せば気がすむの!?」
「は?」
も、もえころ? なんて?
「のんちゃんは何も心配しないで。というか、今は何もしなくて大丈夫です」
「本当?」
すずは首がもげそうなくらい何度も激しく頷いた。
さすが持つべきものは友達だ。
さっきから少し様子がおかしいけど、それは多分お互い様だろう。
「ああもう、授業サボってのんちゃんと部屋で語り倒したい!」
「昼休みも集まりがあるから、話すのは帰ってからだね」
「うう、一日が長いよぉ」
オレは、少し上気して薔薇色のほっぺになっているすずの横顔をちらりと見た。(すずはとても色白なので、赤くなるととてもわかりやすい)
そして、思ったことをそのまま口に出してしまった。
「すずが生徒会役員ならいいのになぁ」
「へ?」
「あ、ごめん。そうだったらいいのにって思っただけ。生徒会と執行部って部室も一緒だしすごく仲良さそうなんだ。だから、すずが生徒会役員だったらもっと長い時間一緒にいれるのになって思って」
「のんちゃん……」
突拍子も無いことなのは分かっているけど。
そういえば生徒会役員はどうやって決めるんだろう。選挙だろうか。
執行部は朝比奈先輩がほぼノリでオレを指名したけど。
絶対に辞退しないと吉永先生に啖呵をきったのはいいけれど、本当に自分が執行部をやれるのかなんだか不安になってきた。
それでもやっぱりふわふわした気持ちの方が勝っていたので、その後の授業もオレはふわふわした気持ちで過ごしたのだった。
吉永先生、ごめんなさい。
オレの自意識過剰かもしれないけど、吉永先生はオレに構い過ぎている気がする。
元々不登校だったと知っているから当然かもしれないけど。
初めてクラスを受け持つと言っていたし、きっと色々大変なんだろう。
なるべく問題児にはならないでおこうと思ったのにさっそく心労をかけて、なんだか申し訳ない。(でも改善するつもりはない)
そんなことより今のオレの頭の中は執行部の重圧でもなく、引きこもりだった過去を嘆くでもなく、朝比奈先輩のことでいっぱいなのだった。
なんだろう、このふわふわした気持ちは。
好きだと自覚した途端、こんな風になるものなのか。
数分前のウジウジしたオレは一体どこに行ったんだ。
誰かを特別好きになったことのない恋愛弱者のオレは、いわゆる『恋愛』を漫画やドラマの中でしか見たことがなかった。
だから恋をするということがどういう気持ちなのか、オレにはずっと本当の意味で理解できなかった。
だから今までそのテの話で主人公に共感できたことなど一度もなかった。
何故少し優しくされただけで浮かれているのか。
何故意地悪なことをされても簡単に嫌いにならないのか。
何故こんなに他人のために尽くせるのか。
見返りがあるわけでもないのに。
そういう気持ちが全部、理屈じゃないんだと理解した。
遅すぎるのは分かっているけど、今までそういうふうに好きになれる相手がいなかっただけで――……
「のんちゃん! のんちゃんってば!」
「ほえ?」
気付いたら、すずのどアップが目の前にあった。
「なに? どうしたの?」
「何じゃないよ、次移動教室だよ! のんちゃんこそどうしちゃったの? 帰ってくるなり黒板見つめたままボーっとしてるし、先生が声かけても無視だし、チャイム鳴ってもそのまま動かないから心配したじゃん。先生ちょっと恐がってたよぉ」
「あ、移動教室か」
辺りを見渡せば、確かにもう半分以上は教室から出て行っている。
次の授業はたしか化学室へ移動だった。
「ほらぼくたちも早く行こ! 場所まだ覚えてないからみんなについていかなきゃ道迷っちゃうよぉ」
「ご、ごめん待って準備するから……!」
早歩きでクラスメイトを追いかけながら、すずが話しかけてきた。
「吉永先生の話かなり長かったねぇ。何の話だったの?」
「えーと……色々すずに話したいことがありすぎてまとまらない」
「ありすぎなの!? なにそれ、後であますことなく全部話してね!?」
「何から話せばいいのか……あ、そうそう。やっぱりオレ、朝比奈先輩のことがめちゃくちゃ好きみたい……」
「へ?」
とっちらかってまとまらないから、とりあえず今一番すずに知らせたいことを簡潔に伝えた。
あとから冷静に考えたら移動教室の途中で話す話題じゃないと思ったけど、今のオレにはそこまで気にする余裕がなかった。
「は? ちょっ、マジでいったい何があったの? 気になり過ぎて吐きそうなんだけど!?」
「昨日すずに朝比奈先輩のこと好きなんじゃないかって言われた時は絶対に違うって思ったんだけど……なんか違わなかったみたい。ごめんすず」
あんなに否定していたのに、本当に恥ずかしい。
でも、もしすずや西園先輩にあんなふうに真剣な顔で甘い声で囁かれても、オレはきっとこんなにもときめかないと思った。
だから、自分の気持ちに気付いた。
気付かされてしまったんだ。
「ちょ、ちょっと待ってのんちゃん。別に謝ってもらわなくていいんだけど、いつどうやって自覚したの? それって吉永先生と話してたことに関係あるの? ごめん、ぼくも聞きたいことが多すぎてまとまらなくなってる。盛大にネタバラシされたあとにお金かかったドッキリにかけられたみたいな気持ちなんだけど……」
それってどんな状態だろう。
仕掛け人側なのにオレにも分からない。
「すず、どうしよう」
「どうしようってなにが?」
「オレ、今までこんなふうに誰かを特別に好きになったことがないから、どうしたらいいのかわからなくて……どうもしなくていいのかな……」
オレはいたって真剣に聞いてるのに、すずは大きく目を見開いたあと泣き出しそうな、もしくは必死で笑いをこらえてるような顔で震えていた。
「オレっておかしいのかな。高校生にもなってこんなことで悩むって……すずも困るよね、ごめん」
「謝らないでーッ!! 別におかしくないから! 人それぞれだから!! もうっのんちゃんは何回ぼくを萌え殺せば気がすむの!?」
「は?」
も、もえころ? なんて?
「のんちゃんは何も心配しないで。というか、今は何もしなくて大丈夫です」
「本当?」
すずは首がもげそうなくらい何度も激しく頷いた。
さすが持つべきものは友達だ。
さっきから少し様子がおかしいけど、それは多分お互い様だろう。
「ああもう、授業サボってのんちゃんと部屋で語り倒したい!」
「昼休みも集まりがあるから、話すのは帰ってからだね」
「うう、一日が長いよぉ」
オレは、少し上気して薔薇色のほっぺになっているすずの横顔をちらりと見た。(すずはとても色白なので、赤くなるととてもわかりやすい)
そして、思ったことをそのまま口に出してしまった。
「すずが生徒会役員ならいいのになぁ」
「へ?」
「あ、ごめん。そうだったらいいのにって思っただけ。生徒会と執行部って部室も一緒だしすごく仲良さそうなんだ。だから、すずが生徒会役員だったらもっと長い時間一緒にいれるのになって思って」
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執行部は朝比奈先輩がほぼノリでオレを指名したけど。
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