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23、希、意外な特技を披露する
すずと一緒に保健室に来た。
友達にぼろぼろ泣いている顔を見られてしまって、少し恥ずかしい。
保健室の先生が不在だったので、勝手にベッドを拝借することにした。
別に気分が悪くて横になりたいワケじゃないので、すずと空いてるベッドに腰掛けて、カーテンを閉めた。
もちろん本当の病人が来たら、すぐに明け渡すつもりで。
「のんちゃん頭は痛くない? 泣いたあとってなんか頭痛くなるよね~」
すずがよしよしとオレの頭を優しく撫でてくれた。
こっ恥ずかしいんだけど、何故かじんわり嬉しい。
すずってなんか『お兄ちゃん』みたいだ。
オレには兄弟がいないからよくわからないけど、いたらきっとこんな感じじゃないのかなぁ……。
「大丈夫。心配してくれてありがとう、すず」
「ぼくも小さい頃からしょっちゅう兄貴たちに泣かされてたからさぁ。ったくもー吉永先生ってばホント大人げないよね! どう見ても八つ当たりだったよ、アレはさぁ!」
ホンモノの兄は弟に厳しいのか……。
世の中にはきっと弟に優しい兄もいると思うけど、この場合『お兄ちゃん』じゃなくて『すず』が優しいんだろうな。
「で、でもオレ、吉永先生に怒鳴られたのが恐くて泣いたんじゃないよ」
「え、そーなの?」
やっぱり勘違いされてた。
別にいいんだけど、なんとなくカッコ悪いから訂正することにした。
「不登校してたとき、先生たちは大抵みんな優しくしてくれたけど……中には怒鳴ってくる先生もいたから。まあ、オレの為に言ってくれてるのは分かってたんだけど」
「うん」
すずは真剣な眼差しでオレの話を聞いてくれている。
「オレ、今まであんな風に自分の意見を先生相手に言ったことなくって……」
「うんうん」
「でも吉永先生が怒るのも当然なんだ。だって今朝も同じこと散々言われたんだから。執行部は馬鹿みたいに権力が強いぶん、逆恨みされて狙われやすいらしいんだって。だから吉永先生がオレを心配してくれるのはすごくありがたいことなんだけど……」
「う~ん」
「でもオレ、やっぱり辞退したくないんだ。大変だって知っててもやりたい。今まで生徒会役員なんて務めたことないけど、だからこそやってみたくて……でも、恐いって気持ちも少しあって」
「うん」
すずに聞いて貰ってると、何故か言葉が躊躇せずスルスルと出てくる。
黒い瞳はまあるく柔らかく優しくて、見つめていると吸い込まれそうだ。
すず、将来はカウンセラーみたいな職業が向いてるんじゃないだろうか。
「今日の昼休みに生徒会の先輩たちとお話しして、みんなちょっと変わってるっていうか、一癖はあるけどやっぱりいいひとばっかりだから、この人たちと役員のお仕事したいなあって本気で思ったんだ」
「へええ……」
「要するに、ジレンマっていうのかな? オレにちゃんと務まるかわからないし、吉永先生にはあんなに強く反対されるから、やっぱりオレの判断は間違ってるのかなって。そしたらなんか、涙が出て……」
「うん……」
すずが優しく相槌を打ってくれるせいか、また目の前が歪んできた。
「さっきすずが生徒会役員になるって言ってくれてすごく嬉しかった……助けてくれて、ありがとう」
よく見えないけど、すずの目をしっかりと見つめて言った。
そしたら何故か、すずの白い顔がどんどん赤くなってきて。
「や……やだなーのんちゃんてば! 照れるじゃぁん。それにぼくたちまだお互いしか友達がいないんだから、助けるなんて当然でしょうよ!」
「え? でもすず、オレがいなくてもいっしょにごはん食べる友達いるって……」
「ああ、ごめんウソ。じゃなきゃのんちゃんが気にするかなって思ったの。ぼくはボッチ飯全然平気だから」
「そっか……気を遣わせてごめん。オレもぼっちってわりと平気かな。学校行った時は大概何でも一人だったし」
「のんちゃん、その告白はちょっと胸が痛いよ……」
「え、なんで?」
オレ、なんか変なこと言ったかな?
友達にぼろぼろ泣いている顔を見られてしまって、少し恥ずかしい。
保健室の先生が不在だったので、勝手にベッドを拝借することにした。
別に気分が悪くて横になりたいワケじゃないので、すずと空いてるベッドに腰掛けて、カーテンを閉めた。
もちろん本当の病人が来たら、すぐに明け渡すつもりで。
「のんちゃん頭は痛くない? 泣いたあとってなんか頭痛くなるよね~」
すずがよしよしとオレの頭を優しく撫でてくれた。
こっ恥ずかしいんだけど、何故かじんわり嬉しい。
すずってなんか『お兄ちゃん』みたいだ。
オレには兄弟がいないからよくわからないけど、いたらきっとこんな感じじゃないのかなぁ……。
「大丈夫。心配してくれてありがとう、すず」
「ぼくも小さい頃からしょっちゅう兄貴たちに泣かされてたからさぁ。ったくもー吉永先生ってばホント大人げないよね! どう見ても八つ当たりだったよ、アレはさぁ!」
ホンモノの兄は弟に厳しいのか……。
世の中にはきっと弟に優しい兄もいると思うけど、この場合『お兄ちゃん』じゃなくて『すず』が優しいんだろうな。
「で、でもオレ、吉永先生に怒鳴られたのが恐くて泣いたんじゃないよ」
「え、そーなの?」
やっぱり勘違いされてた。
別にいいんだけど、なんとなくカッコ悪いから訂正することにした。
「不登校してたとき、先生たちは大抵みんな優しくしてくれたけど……中には怒鳴ってくる先生もいたから。まあ、オレの為に言ってくれてるのは分かってたんだけど」
「うん」
すずは真剣な眼差しでオレの話を聞いてくれている。
「オレ、今まであんな風に自分の意見を先生相手に言ったことなくって……」
「うんうん」
「でも吉永先生が怒るのも当然なんだ。だって今朝も同じこと散々言われたんだから。執行部は馬鹿みたいに権力が強いぶん、逆恨みされて狙われやすいらしいんだって。だから吉永先生がオレを心配してくれるのはすごくありがたいことなんだけど……」
「う~ん」
「でもオレ、やっぱり辞退したくないんだ。大変だって知っててもやりたい。今まで生徒会役員なんて務めたことないけど、だからこそやってみたくて……でも、恐いって気持ちも少しあって」
「うん」
すずに聞いて貰ってると、何故か言葉が躊躇せずスルスルと出てくる。
黒い瞳はまあるく柔らかく優しくて、見つめていると吸い込まれそうだ。
すず、将来はカウンセラーみたいな職業が向いてるんじゃないだろうか。
「今日の昼休みに生徒会の先輩たちとお話しして、みんなちょっと変わってるっていうか、一癖はあるけどやっぱりいいひとばっかりだから、この人たちと役員のお仕事したいなあって本気で思ったんだ」
「へええ……」
「要するに、ジレンマっていうのかな? オレにちゃんと務まるかわからないし、吉永先生にはあんなに強く反対されるから、やっぱりオレの判断は間違ってるのかなって。そしたらなんか、涙が出て……」
「うん……」
すずが優しく相槌を打ってくれるせいか、また目の前が歪んできた。
「さっきすずが生徒会役員になるって言ってくれてすごく嬉しかった……助けてくれて、ありがとう」
よく見えないけど、すずの目をしっかりと見つめて言った。
そしたら何故か、すずの白い顔がどんどん赤くなってきて。
「や……やだなーのんちゃんてば! 照れるじゃぁん。それにぼくたちまだお互いしか友達がいないんだから、助けるなんて当然でしょうよ!」
「え? でもすず、オレがいなくてもいっしょにごはん食べる友達いるって……」
「ああ、ごめんウソ。じゃなきゃのんちゃんが気にするかなって思ったの。ぼくはボッチ飯全然平気だから」
「そっか……気を遣わせてごめん。オレもぼっちってわりと平気かな。学校行った時は大概何でも一人だったし」
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「え、なんで?」
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