好きです、朝比奈先パイ。~元引きこもりの美少年、陽キャヤンキー先輩に溺愛される~

すずなりたま

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【数分後】

「――かくかくしかじかそんなわけで、朝比奈君に気にいられた斉賀君は生徒会執行部に推薦されたんだ!」
「そんなわけって、どんなわけですか?」
「ン? それは各々で察してくれるかい?」
「は、はい……」

 適当すぎる説明に納得のいってないクラスメイトを笑顔で黙らせる橘先輩。
 きっと橘先輩にツッコんでマトモに返してもらえるのは、つばめ先輩ただ一人に違いない。

「で、斉賀君が推薦した山田君ってのはどの子かな?」
「あ、ぼくです」

 すずが小さく手を上げて、存在を示した。

「斉賀君から話は聞いてる? じゃあどうかな? 生徒会の会計係は。色々と大変だけど僕もつばめくんもいるし、きっと楽しいよ!」
「はい。ぼくでよければ喜んで引き受けさせて頂きます」
「ありがとう! じゃ、決定ということで皆、拍手!!」

 教室中からまばらな拍手が巻き起こった。
 決めるのは一週間の猶予があったはずだけど、畳み掛け方がすごいな……もしかしてそういう作戦なんだろうか?(考える暇を与えないという)
 そういえば、もう一人の生徒会役員候補はどうなったんだろう。

「橘先輩、首席の人はもう勧誘してきたんですか?」
「それが教室にいなくてね。クラスの子に聞いたら、六限目は保健室にいたみたいだ。バッグはあるから戻ってくると思うけど、体調が悪いみたいだし明日出直すことにしたよ」
「「え!?」」

 思わず、すずと返事がハモった。そのまま顔を見合わせる。
 さっき保健室に居たのって、オレたちだけじゃなかったのか。
 そしたらオレたちが話してたこと、全部聞かれてたんじゃ……?

「でもせっかく一年生の教室まで来たことだし、斉賀君が苦戦してるかもって思って僕からも山田君にお願いしようとここに来たわけさ! まあ助けはいらなかったようだけどね!」
「あの……橘会長、もう一人の候補の名前を教えてもらえませんか? よかったら明日、ぼくが捜して勧誘してみます。同じ1年だし」

 すずが言った。確かに、その方が話が早い気がする。

「ほんとかい? それは凄く助かるけど頼んじゃってもいいのかな……君達も東雲君とは初対面だよね?」
「任せてください、コミュ力には自信あるんで!」
「へえ、ホントに頼りになるんだね、山田君。朝比奈君の言ってた通りだ。斉賀君、山田君を推薦してくれてどうもありがとう」
「は、はい……!」

 橘先輩は綺麗な笑顔をオレとすずに向けてくれて、オレはすずを推薦してよかったと誇らしい気持ちになったし、すずも照れくさそうな――嬉しそうな顔をしてみせた。

「もう一人の候補はA組の東雲千春しののめちはる君だ。ちょっと変わり者みたいに言われていたけど……ま、お任せするよ。勧誘が難しいと思ったら僕に知らせてくれるかい。朝比奈君でもいいよ、同じ寮生だから彼の方が会いやすいよね。――それで来週には全役員を正式に決定して、再来週のお昼の校内放送で生徒会と執行部の全メンバーの自己紹介をするから、そのつもりでよろしく」

 さ、再来週? お昼の校内放送で自己紹介!?
 なんだその、コミュ障にめちゃくちゃハードルが高そうな行事は……!
 オレは無事にそのミッションをこなせるのだろうか。

「じゃ、僕はこれから愛するつばめくんのところへ行くから!」
「あ、はい。いってらっしゃいませ」

 橘先輩はくるりと踵を返すと、ルンルンと軽い足取りで教室を出て行った。

「しののめ、ちはるくんか……」

 東雲て、またしてもカッコイイ名前だ。
 名前の通りのイケメンだろうか。

「ねえのんちゃん、絶対さっきのぼくらの会話聞かれてるよね? シノノメ君に。てか、シノノメってどういう漢字だろ?」

 オレは黒板に『東雲』という漢字を書いてすずに教えてあげた。
 知ってて良かった。

「説明する手間が省けたから逆に良かったんじゃないかな。今頃どうしようか考えてくれているかも」
「そうだね……。彼、ぼくたちの会話聞いてビックリしただろうね」
「ねー」

 オレ達はふふふ……と謎の微笑みを交わした。
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