好きです、朝比奈先パイ。~元引きこもりの美少年、陽キャヤンキー先輩に溺愛される~

すずなりたま

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28、清白、オカン力を発揮する


 ぼくはこれからどうすべきか悩んでいた。

 昨日ぼくの親友でルームメイトののんちゃんが、恋人の朝比奈先輩のお部屋へ泊まりに行った。
 きっと昨夜はたっ、大変なことになったのではないかなぁ!? と色々破廉恥な妄想をしてしまいます……仕方ないじゃん、ぼくだって性欲と好奇心旺盛な男子高校生なんだからね!

 ぼくは別に同性愛に偏見はないけど、自分は違うと思う。
 けど! のんちゃんなら抱ける気がするなぁっていう矛盾がある。
 本人は否定するけど、ぶっちゃけそこらへんの女子よりずっとず――っと可愛い。
 ぼくも地元ではわりとカワイイと言われることが多かったけど、ぶっちゃけレベチってやつだ。
 ぼくにはゴリラみたいな兄貴が二人もいるから、その二人と比べたらそりゃあ可愛く見えたでしょう。
 そういうことです。

 そして今ぼくが何に悩んでいるのかというと、いつもならのんちゃんと二人で食堂に朝食を食べに行くんだけど、今日は一人で行くか――それとも帰ってくるのを待つか……という選択を迷っているのだった。
 着替えとか持っていってなかったから、そろそろ帰ってくるんじゃないかと思うんだけど……
 と思っていたら、ちょうど部屋のインターホンが鳴った。

 ピンポーン

 自分の部屋なんだからわざわざ鳴らさなくてもいいのにと思いつつ部屋のドアを開けると、そこにはのんちゃんを抱っこした朝比奈先輩がいた。

「よっす、こけしっち! ノンタンお届けに来たぜ~、実は熱があんだよ、なんと38度越え!」
「へ?」
「すず、おはよう。ご、ごめん……」

 のんちゃんは別に悪くないのに謝ってきた。
 ぼくはてっきり昨日朝比奈先輩が無茶なことをして熱が出たのかと思ったけど、どうやら僕のふしだらかつ破廉恥な妄想は現実にはならなかったようだ。
 食堂の朝食はわりと重たいので入らないとのことで、朝比奈先輩はぼくにお粥的なものを作ってくれとお願いしてきた。
 お安い御用すぎて、料理が得意で良かった~と思ったよね。
 朝比奈先輩の分も作ってあげると言ったらオカン扱いされたけど。

「すず、雑炊すごく美味しいよ。ありがとう。朝からごめんね」
「いいよォそんなの。寮生なんて助け合わないとやってけないじゃん! 先生にも言っとくし、ノートも取っとくから!」
「恩に着ます……」

 まあ上から三番目の成績でこの学校に入学したというのんちゃんには、ぼくのノートなんてあってもなくても同じだと思うけど。
 いやいや、ぼくだって逆の立場だったら嬉しいんだから自信持て!

「まじで旨ぇな、この雑炊。こけしっち、絶対俺のオカンより料理上手だわ。まー俺んちで飯作ってんのはオカンじゃねェけどな」
「え、じゃあ誰が作ってるんですか?」
「住み込みのオヤジの部下」
「へえぇ……」

 お手伝いさんとかじゃなくて部下なのか……。
 もっと突っ込んだことが聞きたいけど、それはもっと仲良くなってからかなー。
 朝食を食べ終わったあと、のんちゃんは自分のベッドで横になるとすぐに眠ってしまった。
 のび太くん並に寝るの早いなァと思ったけど、多分それだけ熱が高いんだろう。
 入学後ののんちゃんの動向からして、ぼくはある種の知恵熱的なもんじゃないかな、と思っている。

「さてと。うまいメシのお礼に今朝は俺様が同伴で登校してやんよ!」
「はい?」
 
 部屋へ帰るという朝比奈先輩を見送ろうとしたら、突然そんなことを言いだした。
 何でごはんのお礼が同伴なんだ?
 てか朝比奈先輩と一緒に歩いてたらめちゃくちゃ目立つのでは?
 できればそれは遠慮願いたいような……
 のんちゃんと毎日一緒に登校してる時点で既に目立ってるんだけど、何故かそこには気付かなかったよね。

「やっぱ遠くから見守っとく感じにするか。その方が自分でイロイロ気付けるしな」
「え!? すいません別に朝比奈先輩と歩くのがイヤっていうわけじゃなくて、ぼくは目立つのがあまり――」

 もしかしてぼく口に出してたのか!?
 と慌てて弁解したけど、朝比奈先輩はキョトンとした顔をしていた。

「ん?」
「え?」
「こけしっち、まだ強い彼氏作ってねェだろ? 昨日の今日だし。だからしばらくは俺がガードしてやるってハナシなんだけど」

 そうだ、昨日ぼくが聞きたかったこと。
 強いカレシがどうとかいうのは置いといて。

「あ、あのぅ。ぼくはいったい誰に襲われるんですかね……?」

 おそるおそる質問したら、朝比奈先輩は何故かニヤァと笑った。

「それを知るために、俺は後方でオマエを見守ってやるっつってんの。俺が横にいたら襲ってこねェから、そしたら敵の正体が分かんねェだろ?」
「……!?」

 て、敵って何――!?
 ていうか襲ってくることが事前に分かってるなら、是非一緒に登校して欲しいんですけどぉ!?!?
 だって囮みたいなもんじゃん!!
 いや、ぼくが自分で自分を守らなくちゃいけないなら、まずは『敵』の正体を知らなくちゃいけないのか。
 なるほど、それで自信が無いなら彼氏という名のボディーガードを作れ、と。
 やっと腑に落ちたぞ。


「じゃあ俺は15分後に寮を出るから玄関で待っとけヨ、こけしっち」
「は、はい」

 彼氏(しかも強い)って、普通どうやって作るんですかね。
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