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39 希、朝比奈先輩にダメージを与える
三人を順番にグーで殴った朝比奈先輩は、そのまま一人ずつ首根っこを掴んで廊下にポイーッと放り出した。
壊れたドアはどうするのか聞いたら、『明日の朝になったら寮監に頼んで直してもらうぜ』とこともなげに言った。
「で、なんでノンタンはこんな夜中に連絡もせずに俺の部屋に来たんだ?」
直球で聞かれた。聞かれて当然だけど。
オレは何から説明していいか分からなくて、ただ顔を赤くして俯いてしまった。
本当に自分の行動が浅はかで、みっともなくて……
オレも三人と同じように廊下に放り出して欲しかったけど、そうはされなかった。
朝比奈先輩は何も答えないオレにめげずに質問した。
「俺、今夜はバイトだって言っただろォ? 朝までには帰ってくる予定だったけど、わりかし仕事も早く終わってやることないから帰ってきたけど……今度同じことがあっても助けられるとは限らねぇからな」
「はい……ごめんなさい」
「俺に会いたかったのか?」
「!」
仕事で危険なことがありそうだから心配だったとか。
今までの恋人さんたちみたいにちょっと奔放になって、朝比奈先輩にあまり気を遣わせないようにしたいとか。
色々思うことはあったけど――突き詰めたら、それに尽きる。
オレはただ、朝比奈先輩に会いたかったんだ。
「はい。会いたかった、です」
「他にも思惑はありそうだけどな。まあ無理には聞かねえよ」
「すみません……」
好きなのに……好きだからなのか、嫌われたくないって思うと何も言えなくなってしまう。
恋をするとこんなに臆病になるなんて、知らなかった。
すると、朝比奈先輩はいきなりオレをぎゅっと抱きしめてくれた。
「ゴメンな。今日の昼、俺がノンタンの納得のいくような答えを出してやんなかったから悩んでたんだろ? やっぱうまく言えねェけど……俺はホント~にノンタンのことが好きだぜ。さっきまたひとつ好きになったしな!」
「え、さっき……? いったいどの辺が」
好きになったというんだろう。
朝比奈先輩、言っちゃ悪いが趣味が少し悪いのでは……?(失礼)
「意外に無鉄砲で、心配が尽きねェところ!」
「はい? ……それはどちらかというと、マイナス要素では……」
「それもノンタンのまた新たな魅力のひとつだぜ! ほんっと退屈しねェわ。心臓がいくつあっても足りねぇけどな~」
「……」
それのどこがいいのかさっぱり分からない。
オレ、自分ではわりと慎重派だと思ってたけど、自己評価間違ってるかな……?
「さ、もう寝ようぜ。疲れて眠くなっただろ?」
「いえ、今日昼間にずっと寝てたんであまり……ふぁあ」
あ、あれ? いきなり欠伸が……恥ずかしっ。
「やっぱ眠いんだろ? 今日も仲良く一緒に寝ような~」
「ハイ」
「あれ? もしかしてノンタン、俺のこと夜這いに来たのかァ!?」
「いッいいいいいえ!!? あ、いや……そう、かも、です」
「マジか」
そうなっても構わないと思ってきたけど、改めて指摘されるとめちゃくちゃ恥ずかしいぞコレ……!
耐えられなくて、思わず両手で顔を覆ってしまった。
「ノンタン、めちゃくちゃ嬉しいけど、俺、愛の試練だと思って耐えてるからマジで無理しなくていいぜ?」
あ、愛の試練!!? (朝比奈先輩、さっきも『愛の鉄拳』って言ってたし『愛』って単語が好きなのかな)
「だ、だって……今までの恋人さんたちとはすぐにセッ……し、シてたんですよね? オレだって恋人になったんだから、朝比奈先輩に我慢させたくないし……いや、無理してないって言ったらウソですけど」
両手指を絡ませながらまごまごしながら言ったのに、朝比奈先輩はオレの意図を正確に汲んでくれたようだった。(何故かサーッと蒼くなっていたけど)
「の、ノンタンすまねェ!! 俺が昼間に昔付き合ってたビッチの話なんかしたからこんなことになったんだな!? うわああやっぱ俺が原因じゃねーかァ!! まじでデリカシー無し男でゴメン!! 昔のオンナの話なんて聞きたくもねェよなァ!! 」
朝比奈先輩が物凄い勢いで謝罪してきた。
それなのにオレは意味が分からずにキョトン、としてしまったのだが。
「べ、別に過去は過去ですし。朝比奈先輩が色んな人と付き合ってたのは事実で、今のオレにはどうにもできないことだし、いちいち嫉妬してたらキリがないじゃないですか」
「それはそうだけどォ!! それでもフツー恋人に元カレとか元カノの話したり匂わせするのはルール違反だって世間的にはなってんだよ! あぁぁマジでゴメンな、俺、そういうの気にする女と付き合ったことねェから……って俺はまたー!!」
恋愛のルールって色々あるんだな……。
勉強よりよっぽど難しいんだけど。参考書とか売ってないかな。
でも。
「それならオレ、付き合うのは朝比奈先輩が初めてだから、その恋愛ルールだけは守れそうです!」
付き合ってる人にわざわざ好きになった理由を聞く、というルールは早々に破って失敗したけど。
「ぐッ……ノンタンが清らか過ぎて余計自分が穢れて見える……過去のクソヤリチンの俺、頼むから死んでくれッ……!」
「し、死んだらイヤですよ……」
なんか、オレが喋るたびに朝比奈先輩にダメージを与えているような気がするんだけど……気のせいだろうか。
「ノンタン、俺、ノンタンのことマジで大事にするから……その、できれば呆れねェで、これからもそばにいて貰えると嬉しいんだけど……」
「? オレは朝比奈先輩が許してくれるかぎりは一緒にいますけど」
「それはこっちのセリフなんだよォ! でも俺はノンタンがもう一緒にいたくないって言っても手放せないかもしれねェ……!」
え……?
オレは朝比奈先輩から離れたいなんて一ミリも思っていないから、そんな風に言って貰えるなんてめちゃくちゃ嬉しいんだけど……!
「朝比奈先輩、もう寝ましょう? ごめんなさい、仕事帰りなのに余計に疲れさせちゃって」
「でもノンタンはまだ俺の愛の重さを分かってねェ気がする! 俺はこのクソデカ感情をノンタンに伝えたいんだよォ!」
「大丈夫です、伝わりました」
「軽ッ」
不安は一気に吹き飛んでしまった。
朝比奈先輩は気付いていないみたいだけど、さっきの言葉がオレが欲しかった答えの最適解、な気がするから。
壊れたドアはどうするのか聞いたら、『明日の朝になったら寮監に頼んで直してもらうぜ』とこともなげに言った。
「で、なんでノンタンはこんな夜中に連絡もせずに俺の部屋に来たんだ?」
直球で聞かれた。聞かれて当然だけど。
オレは何から説明していいか分からなくて、ただ顔を赤くして俯いてしまった。
本当に自分の行動が浅はかで、みっともなくて……
オレも三人と同じように廊下に放り出して欲しかったけど、そうはされなかった。
朝比奈先輩は何も答えないオレにめげずに質問した。
「俺、今夜はバイトだって言っただろォ? 朝までには帰ってくる予定だったけど、わりかし仕事も早く終わってやることないから帰ってきたけど……今度同じことがあっても助けられるとは限らねぇからな」
「はい……ごめんなさい」
「俺に会いたかったのか?」
「!」
仕事で危険なことがありそうだから心配だったとか。
今までの恋人さんたちみたいにちょっと奔放になって、朝比奈先輩にあまり気を遣わせないようにしたいとか。
色々思うことはあったけど――突き詰めたら、それに尽きる。
オレはただ、朝比奈先輩に会いたかったんだ。
「はい。会いたかった、です」
「他にも思惑はありそうだけどな。まあ無理には聞かねえよ」
「すみません……」
好きなのに……好きだからなのか、嫌われたくないって思うと何も言えなくなってしまう。
恋をするとこんなに臆病になるなんて、知らなかった。
すると、朝比奈先輩はいきなりオレをぎゅっと抱きしめてくれた。
「ゴメンな。今日の昼、俺がノンタンの納得のいくような答えを出してやんなかったから悩んでたんだろ? やっぱうまく言えねェけど……俺はホント~にノンタンのことが好きだぜ。さっきまたひとつ好きになったしな!」
「え、さっき……? いったいどの辺が」
好きになったというんだろう。
朝比奈先輩、言っちゃ悪いが趣味が少し悪いのでは……?(失礼)
「意外に無鉄砲で、心配が尽きねェところ!」
「はい? ……それはどちらかというと、マイナス要素では……」
「それもノンタンのまた新たな魅力のひとつだぜ! ほんっと退屈しねェわ。心臓がいくつあっても足りねぇけどな~」
「……」
それのどこがいいのかさっぱり分からない。
オレ、自分ではわりと慎重派だと思ってたけど、自己評価間違ってるかな……?
「さ、もう寝ようぜ。疲れて眠くなっただろ?」
「いえ、今日昼間にずっと寝てたんであまり……ふぁあ」
あ、あれ? いきなり欠伸が……恥ずかしっ。
「やっぱ眠いんだろ? 今日も仲良く一緒に寝ような~」
「ハイ」
「あれ? もしかしてノンタン、俺のこと夜這いに来たのかァ!?」
「いッいいいいいえ!!? あ、いや……そう、かも、です」
「マジか」
そうなっても構わないと思ってきたけど、改めて指摘されるとめちゃくちゃ恥ずかしいぞコレ……!
耐えられなくて、思わず両手で顔を覆ってしまった。
「ノンタン、めちゃくちゃ嬉しいけど、俺、愛の試練だと思って耐えてるからマジで無理しなくていいぜ?」
あ、愛の試練!!? (朝比奈先輩、さっきも『愛の鉄拳』って言ってたし『愛』って単語が好きなのかな)
「だ、だって……今までの恋人さんたちとはすぐにセッ……し、シてたんですよね? オレだって恋人になったんだから、朝比奈先輩に我慢させたくないし……いや、無理してないって言ったらウソですけど」
両手指を絡ませながらまごまごしながら言ったのに、朝比奈先輩はオレの意図を正確に汲んでくれたようだった。(何故かサーッと蒼くなっていたけど)
「の、ノンタンすまねェ!! 俺が昼間に昔付き合ってたビッチの話なんかしたからこんなことになったんだな!? うわああやっぱ俺が原因じゃねーかァ!! まじでデリカシー無し男でゴメン!! 昔のオンナの話なんて聞きたくもねェよなァ!! 」
朝比奈先輩が物凄い勢いで謝罪してきた。
それなのにオレは意味が分からずにキョトン、としてしまったのだが。
「べ、別に過去は過去ですし。朝比奈先輩が色んな人と付き合ってたのは事実で、今のオレにはどうにもできないことだし、いちいち嫉妬してたらキリがないじゃないですか」
「それはそうだけどォ!! それでもフツー恋人に元カレとか元カノの話したり匂わせするのはルール違反だって世間的にはなってんだよ! あぁぁマジでゴメンな、俺、そういうの気にする女と付き合ったことねェから……って俺はまたー!!」
恋愛のルールって色々あるんだな……。
勉強よりよっぽど難しいんだけど。参考書とか売ってないかな。
でも。
「それならオレ、付き合うのは朝比奈先輩が初めてだから、その恋愛ルールだけは守れそうです!」
付き合ってる人にわざわざ好きになった理由を聞く、というルールは早々に破って失敗したけど。
「ぐッ……ノンタンが清らか過ぎて余計自分が穢れて見える……過去のクソヤリチンの俺、頼むから死んでくれッ……!」
「し、死んだらイヤですよ……」
なんか、オレが喋るたびに朝比奈先輩にダメージを与えているような気がするんだけど……気のせいだろうか。
「ノンタン、俺、ノンタンのことマジで大事にするから……その、できれば呆れねェで、これからもそばにいて貰えると嬉しいんだけど……」
「? オレは朝比奈先輩が許してくれるかぎりは一緒にいますけど」
「それはこっちのセリフなんだよォ! でも俺はノンタンがもう一緒にいたくないって言っても手放せないかもしれねェ……!」
え……?
オレは朝比奈先輩から離れたいなんて一ミリも思っていないから、そんな風に言って貰えるなんてめちゃくちゃ嬉しいんだけど……!
「朝比奈先輩、もう寝ましょう? ごめんなさい、仕事帰りなのに余計に疲れさせちゃって」
「でもノンタンはまだ俺の愛の重さを分かってねェ気がする! 俺はこのクソデカ感情をノンタンに伝えたいんだよォ!」
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