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「でも似合ってるよ。君の顔に」
「あ、ありがとうございます」
ほ、褒められてるんだよね……?
話しやすいけど妙な威圧感を感じて、気軽には話せない。
「ところで、柊馬はどうしたのか知ってるかい? あいつも一応一緒に来るようにと呼び出したんだがね」
「あ、まだ部屋で寝てると思います……。起こしたんですけど」
「ほう、一緒に寝たのかい?」
「!?」
な、なんだか物凄く恥ずかしいぞ……!
『寝てる』って言い方が別の事情を指してるみたいで……本当にただ『寝てる』だけなのに!
「君、もしかして柊馬と付き合ってる?」
「は、はい……でもオレ達、まだ清い仲ですのでっ!」
一緒には寝てもやらしいことなんてしてませんと主張した。
すると理事長は口元にスっと手をやって――わ、笑った?
「すまない、別に詮索しているわけじゃないよ。そうか、これであのじゃじゃ馬も少しはおとなしくなるといいんだが……」
「じゃじゃ馬」
「いや、暴れ馬の間違いだったかな」
どう見ても朝比奈先輩は草食動物じゃないけど、理事長があえて馬に例えてるのは先輩の名前が柊『馬』だからだろうか。
「夜中に柊馬から報告があったけど、昨日は大変な目に遭ったそうだね。今更だけど大丈夫かい?」
「ご心配ありがとうございます、でも未遂でしたし、あの人達とは多分和解したので……大丈夫です」
「ほう、和解?」
「な、なんとなくですけど……」
オレのこと『斉賀ちゃん』って呼んでたし、結局朝比奈先輩から命を救ったみたいな感じになったし……なんとなくだけど、次に会った時は仲良くなれそうな気がする。
「君は変わった子だなぁ」
「あ、ハイ……」
「自覚があるの?」
というか、『普通』がよく分からないだけだ。
引きこもっていたせいで常識とかズレてそうだし、それならオレは間違いなく『変人』だと思う。
「別に貶めているわけじゃないよ、それも君の個性だからね」
「は、はぁ……」
理事長って、なんか優しい人?
初めてまともに目を合わせたら、藤堂先輩はお父さんによく似ているんだな、と思った。
藤堂先輩が更けたらこんな風になるんだろうなーって。でも、理事長の方が若干雰囲気が柔らかい気がする。
年の功ってやつだろうか。
「それで、君はどうしたい?」
「ど、どうしたいとは……?」
「君を襲った生徒達の処分だよ。未遂とはいえ、彼らは君を強姦しようとしたわけだからね。何か罰を受けないと」
「罰……は、とっくに受けてます。だからこれ以上は特に何もしなくていいんじゃないでしょうか」
朝比奈先輩、あの人たちの顔思いっきり殴ってたもんな……。
以前襲われたときも未遂だったのにボコボコにしてたし、むしろこっち(執行部)の方がやらかしてる気がするんだよな。
「うーん……分かった、君がそう言うなら」
「お願いします」
「未遂とはいえ、とてもデリケートな問題だからね。君が退学処分を願えばそうするつもりだったんだが」
「そんなことができるんですか?」
「君は一般の生徒じゃなく、執行部だからね」
ヒェッ。噂に聞く執行部の権力凄い……。
というか怖いな?
「もう誰かに聞いたかもしれないけど、執行部の一員として一番必要なのは力じゃない。大切なのは、心の強さだ。柊馬はいつも適当だけど本当に鼻がきくんだ。だから君にそれを感じて指名したんだろう」
朝比奈先輩が、オレに?
テンパってただけなんだけど、本当だろうか。
「君の一存で3人の生徒が退学処分になるかもしれなかった。その制裁により、自分が他人からどう思われるかきちんと考えたかい? また、それらの重圧に耐えられる? ……無理だったら考え直してもいい。君はまだ執行部に入ったばかりだからね」
なんとなく、理事長はオレに『辞めさせる』ことは考えていないように思えた。
だから、オレも正直に話した。
「オ、僕は自分の心が強いなんて今まで思ったことないです。ずっと不登校だったし……朝比奈先輩はきっと僕を買い被ってるんです。ただ、僕はそんな弱い自分を変えたくてこの学校に来ました。それは本当です」
「ほう」
「どんな目に遭っても執行部を辞めるつもりはありません。それに……朝比奈先輩の、そばにいたいので」
「……なるほど」
「?」
理事長の前で堂々と惚気(?)てしまったのだけど、この時のオレはそれに気付いていなかった。
……このままずっと気付かないでいたかったッッ!!
「あ、ありがとうございます」
ほ、褒められてるんだよね……?
話しやすいけど妙な威圧感を感じて、気軽には話せない。
「ところで、柊馬はどうしたのか知ってるかい? あいつも一応一緒に来るようにと呼び出したんだがね」
「あ、まだ部屋で寝てると思います……。起こしたんですけど」
「ほう、一緒に寝たのかい?」
「!?」
な、なんだか物凄く恥ずかしいぞ……!
『寝てる』って言い方が別の事情を指してるみたいで……本当にただ『寝てる』だけなのに!
「君、もしかして柊馬と付き合ってる?」
「は、はい……でもオレ達、まだ清い仲ですのでっ!」
一緒には寝てもやらしいことなんてしてませんと主張した。
すると理事長は口元にスっと手をやって――わ、笑った?
「すまない、別に詮索しているわけじゃないよ。そうか、これであのじゃじゃ馬も少しはおとなしくなるといいんだが……」
「じゃじゃ馬」
「いや、暴れ馬の間違いだったかな」
どう見ても朝比奈先輩は草食動物じゃないけど、理事長があえて馬に例えてるのは先輩の名前が柊『馬』だからだろうか。
「夜中に柊馬から報告があったけど、昨日は大変な目に遭ったそうだね。今更だけど大丈夫かい?」
「ご心配ありがとうございます、でも未遂でしたし、あの人達とは多分和解したので……大丈夫です」
「ほう、和解?」
「な、なんとなくですけど……」
オレのこと『斉賀ちゃん』って呼んでたし、結局朝比奈先輩から命を救ったみたいな感じになったし……なんとなくだけど、次に会った時は仲良くなれそうな気がする。
「君は変わった子だなぁ」
「あ、ハイ……」
「自覚があるの?」
というか、『普通』がよく分からないだけだ。
引きこもっていたせいで常識とかズレてそうだし、それならオレは間違いなく『変人』だと思う。
「別に貶めているわけじゃないよ、それも君の個性だからね」
「は、はぁ……」
理事長って、なんか優しい人?
初めてまともに目を合わせたら、藤堂先輩はお父さんによく似ているんだな、と思った。
藤堂先輩が更けたらこんな風になるんだろうなーって。でも、理事長の方が若干雰囲気が柔らかい気がする。
年の功ってやつだろうか。
「それで、君はどうしたい?」
「ど、どうしたいとは……?」
「君を襲った生徒達の処分だよ。未遂とはいえ、彼らは君を強姦しようとしたわけだからね。何か罰を受けないと」
「罰……は、とっくに受けてます。だからこれ以上は特に何もしなくていいんじゃないでしょうか」
朝比奈先輩、あの人たちの顔思いっきり殴ってたもんな……。
以前襲われたときも未遂だったのにボコボコにしてたし、むしろこっち(執行部)の方がやらかしてる気がするんだよな。
「うーん……分かった、君がそう言うなら」
「お願いします」
「未遂とはいえ、とてもデリケートな問題だからね。君が退学処分を願えばそうするつもりだったんだが」
「そんなことができるんですか?」
「君は一般の生徒じゃなく、執行部だからね」
ヒェッ。噂に聞く執行部の権力凄い……。
というか怖いな?
「もう誰かに聞いたかもしれないけど、執行部の一員として一番必要なのは力じゃない。大切なのは、心の強さだ。柊馬はいつも適当だけど本当に鼻がきくんだ。だから君にそれを感じて指名したんだろう」
朝比奈先輩が、オレに?
テンパってただけなんだけど、本当だろうか。
「君の一存で3人の生徒が退学処分になるかもしれなかった。その制裁により、自分が他人からどう思われるかきちんと考えたかい? また、それらの重圧に耐えられる? ……無理だったら考え直してもいい。君はまだ執行部に入ったばかりだからね」
なんとなく、理事長はオレに『辞めさせる』ことは考えていないように思えた。
だから、オレも正直に話した。
「オ、僕は自分の心が強いなんて今まで思ったことないです。ずっと不登校だったし……朝比奈先輩はきっと僕を買い被ってるんです。ただ、僕はそんな弱い自分を変えたくてこの学校に来ました。それは本当です」
「ほう」
「どんな目に遭っても執行部を辞めるつもりはありません。それに……朝比奈先輩の、そばにいたいので」
「……なるほど」
「?」
理事長の前で堂々と惚気(?)てしまったのだけど、この時のオレはそれに気付いていなかった。
……このままずっと気付かないでいたかったッッ!!
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